マブラヴThird!~苔のむす迄~   作:ふじら

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再会

【国連軍広報官2】

 

通信端末を取り出し、三人とは少し離れた所に移動して基地へ連絡を取る。

 

「どうした?また反国連運動に巻き込まれたか?」

 

「いいえ、博士はいらっしゃいますか?」

 

「‥なぜだ?」

 

「白銀家と鑑家の御子息様が国連軍への入隊希望です」

 

「なるほどな、分かった。博士に回そう」

 

博士といってもまだ19歳、就任早々厄介事に巻き込まれて可哀想にな。

しばらくして通話先が切り替わった。

「何かありまして?」

 

「はい。私は国連軍広報の者ですが、巡回募集をしていた所で先日亡くなられた白銀家と鑑家の御子息様方が国連への入隊希望との事です。」

 

「…ハヤイワネ」

 

「何か?」

 

「いいえ。なら私の所まで連れてきて下さいませ」

 

「了解しました」

 

博士‥?少し声が上ずっている様に聞こえたが。

 

 

 

 

 

「君達、書き終わったかな?」

 

通信端末をしまいながら二人に駆け寄る。

 

「はい」

 

「‥」コクッ

 

「じゃあ着いてきてくれるか?基地まで」

 

「ん?もう連れて行くのか?」

 

「ああ、お呼びだ。ハカセガナ」

 

「リョウカイ」

 

 

 

 

【香月夕呼】

 

固定通信機器から離れて、部屋の席につく。

 

やっぱりね。

 

私が先にこうやって目覚めるなんて事ありえないもの、私が気づくと同時に白銀も来たんでしょう。

 

けれど未だに妙ね、どうして2001年時に来ないのかしら?

 

まあそれを言ったら私のこの状況も謎でしかないけれど。

 

現状考えうる理論で組み立てれば鑑が弄ったのが原因。

 

彼女の心境に大きな変化があったようね、前は白銀への愛だけだったけれど今回は…白銀の願いを叶えたいとかかしら?

 

「愛もあそこまで行くと困ったものよね、愛が世界を変えるなんてよく言うけれど変え過ぎよ‥ふふ」

 

さて、アイツがいるなら早めにXM3を作りたい所だけれどまだ中学生‥。

 

なーんて関係無いわよね。

 

アイツは戦術機に関しては化物だもの、どうせ直ぐにでも乗せてもらう気満々でしょうし。

 

 

【鑑純夏】

たけるちゃんは抱きしめてくれた‥それにありがとうって。

 

私が‥私が巻き込んだのに。

 

心を壊してまで繰り返させた。

 

たけるちゃん‥は強くなったんだね。

 

私のせいだけどそれでも受け止めてくれてる。

 

私も、私も支えなきゃ…せめて。

 

 

【白銀武】

国連兵の後ろを黙々と着いて行く。

 

「そういや君達、」

 

前にいる国連兵が歩きながら語りかけてくる。

 

「はい」

 

「日本軍からは何か来てないのか?」

 

「いいえ、何も」

 

「…君達は日本軍と国連軍で国連を選んだがそれで良かったのかな?」

 

「はい、なんせ頼りになる人が国連に居ますので」

 

「そうか、なら良かった」

 

 

 

 

 

コンコンコン

「博士、お連れしました」

 

博士?夕呼先生のことか?何故?

 

「二人だけ中にお願い」

 

間違いない夕呼先生だ。

どうしてだ?

 

「はい、じゃあ君達行ってきてくれ。大丈夫だ中にいるのは怖いけどちょっと可愛いお姉さんだからね」

 

……まあ間違いない。

 

「失礼します」

 

「しっしつれいします!」

 

扉を開け中に入るとすぐに閉める。

すると、

 

「あら〜白銀に鑑、まだ幼くて可愛らしいじゃない?」

 

「はい?」

 

「ふぇ?先生!?」

 

「母性が目覚めちゃうわ〜」

 

「‥夕呼先生記憶あるんですか?」

 

「もうちょっと構ってくれても良いんだけど?まあ仕方ないわね。そうよ、何故か記憶があるわ。AL5遂行の世界、桜花作戦に元の世界まで」

 

「先生…」

 

‥純夏の思い、俺の願望が叶ったのか?

夕呼先生まで繰り返すだなんて。

 

「まあ取り敢えずそこ座りなさいな」

 

 

 

「それでだけど鑑、あんた何かしたんじゃないの?」

 

「??」

 

「自覚ないのかしら?」

 

「…みたいですね。」

 

「あら白銀、あんたも気づいてたの?」

 

「そりゃあ夕呼先生、歴史的ならモノならまだしも個人に影響するとなれば純夏しかありません」

 

「…ふぇえ分からないよ」

 

「まあなら仕方ないわね、鑑?今回はどんな思いで作ったのは分かる?」

 

「‥たけるちゃんの願いを叶えたい、御剣さん達を救いたい……それ以上は…」

 

それを聞いた途端ニコニコした表情で俺を見てくる夕呼先生。

 

「なるほどねえ、ということは白銀の願いは私と一緒に生きたいって事かしら?」

 

「ゆっ!夕呼先生!?」

 

「え?たけるちゃん!?」

 

「いっいや!違うんだ純夏!これには深い訳が!」

 

「分かるけど!この世界を救う為に必要なの「そうよぉ〜、私と愛し合って体を重ねあったんだから深い訳があって当然よ〜」

 

「うぅおぉお……たぁぁああ…」

 

「先生!先生なんてことを!!」

 

「けぇぇええ…」

 

「あら本当の事でしょ?まあ私年下は恋愛対象外なんだけど」

 

「るぅぅうう…」

 

「ほっ!ほら!先生もそう言ってる!」

 

「ちゃぁぁああん…」

 

「貴方は例外だったってことね」

 

「の!」

 

「ひうっ!」

 

「ばかぁぁぁあああ!!!」

 

「マッヅォオオン!!」

 

 

 

【香月夕呼】

あの様子だと色んな世界線…どうせ私や鑑以外とも関係を持ってるだろうけどそれらは知らないようね。

 

なら鑑は前の世界のまま、その上先生呼びってことは元の世界の記憶を持って来たってことね。

 

「この不届き者ぉおお!」

 

「やめろって!純夏!!」

 

「……」

 

まだ1995年、この子達がいるならAL4が完遂できるかもしれないわね…。

 

あ号標的を倒して終わりじゃない、その後の大攻勢も。

 

この世界ぐらい、私も何か成し遂げないとね。

 

白銀、鑑、私も尽力するわ。

 

 

「それでですが」

 

「あんた天井にぶっ刺さったまま続ける気?」

 

「どうせ引き抜いてくれないでしょう?…なあ?純夏」

 

「知らないよ!!」

 

「で?続けていいわよ」

 

「はい、俺はXM3を今からでも開発して欲しいと思ってます」

 

「まあ早いとこ作って損はないけれど…」

 

「分かってます、世界を大きく変えるのは未知の領域。その為には前の通り西日本を捨てて横浜ハイヴを取り返してからの運用になる」

 

「その通りよ、あんたも分かってきたじゃない。あ、鑑お茶飲む?」

 

「飲みます!」

 

…笑顔で応える鑑。一見凄く可愛らしいのだけれど目だけは笑ってはいない。

 

さっすが恋愛原子核!!

 

数々の修羅場は見てきたけれど体の関係を持った事に関してはここまで来るのね!

 

いやぁ白銀、やっぱりあんた好き勝手できそうにないわよぉ。

 

「ですがXM3の早期開発をする事による利点があります」

 

「個人運用での重要人物の生存、システムの向上、それを見据えた訓練内容改変、戦術機運用の再設計。ぱっと思いつくのはこれらね」

 

「はい、しかしもう一つあります」

 

首から上が無い状態で右手の人差し指を付きあげる。

 

「何かしら?‥はい鑑」

 

「XM3を将来的に、または数個だけでも先行して渡す。それを材料にして極東国連が影響力を高めたい国家へ取引を持ち出します」

 

悪くないけれど技術流出の悪影…無いわね。

 

白銀の動きを教えも無しで習得なんかできないわ、それどころかマトモに歩行も出来ずぶっ倒れて旧OS未満になる。

 

よっぽどの天才で柔軟な思考がある衛士が居ないと渡した所で教導してくれと懇願されるわね。

 

で、影響力を高めたい国家…。

 

日本帝国は勿論だけれど、他は?台湾政府に来年設立される筈の大東亜連合…亡命臨時政府ぐらいかしら。

 

「日本に、台湾、大東亜に亡命国?」

 

 

「夕呼先生?一国忘れてますよ?」

 

「??他に何かあったかしら?」

 

 

「ソビエト連邦です」

 

 

 

「しろがねぇ‥あんたそれマジで言ってる?」

 

「マジです」

 

はあぁあ?

潜在敵国どころか真正面から敵国よ?

 

「‥ソビエトを味方につけるって?」

 

「そこまでは分かりません、ですがソ連は最前線でありながら戦術機の技術革新は遅れています‥。確かにそれをカバーする為にAL3を利用しての計画もありますが」

 

「ソビエト様お得意の非人道的な策略ね」

 

「……そこでXM3です。」

 

「そんな分野にリスク背負って賭けなくても良いってことを伝えたいの?」

 

「そういうことです、更にXM3を使うには関節部分の強度が高くなくてはいけない」

 

「XM3と強化パーツのセット売り?」

 

「はい!それを提供すれば例えセット売りでも頷くでしょう?この時点で儲けが出るのは確実ですが。」

 

「はいはい、分かった!分かったわよ。要するにXM3と強化パーツを何セットか送りつけて儲けが出て1つ目のメリット。もう一つは何かしら好きなことをソビエト、まあ軍部に要求できるってことね。XM3への惚れ具合では複数個の要求も可能」

 

「はい、ソ連の独裁体制の破壊も」

ソビエト連邦(民主主義)は笑うわ。

まあ極悪人が創った国家だけど国民は産まれた時からその国で育ったから誇りを持っている。だからそのままの国号で民主主義へ誘導。

 

「……面白いじゃない!!あんた何処でそんな脳みそついたのよ!乗ったわ!乗った!いやぁソ連の特定分野の技術は欲しかったのよぉ!!ついさっきの天井!?あんたのパートナーやってて良かったわ!」

 

「ゆっ!夕呼先生?」

 

「ほらキスしてあげるわよぉ〜!!」

 

「香月先生!!!!!!!!」

 

「あらなに鑑?…‥しっかたないわねえ」

 

「たけるちゃん!なんでそんな受けの姿勢で待ってたの!?」

 

「いっいや!違うんだこれは不可抗力で」

 

「さっきから難しい事ばかり話して置いてけぼりにしないでよぉ!!」

 

「純夏はバカだから仕方な「誰がバカかぁ!!」ヒデブッ!」

 

 

 

【白銀武】

ああ、まだ頭が痛い。それにお腹も。

全く助けようとしてくれないし…結局さっきの国連兵に引き抜いてもらったぞ?

当然顔は見えなかったが声色だけで驚愕してたのは分かった。

 

今は強化装備に着替えてシミューレータールームに移動している。XM3の早期開発案の為だ。

純夏はどうやら取り敢えずCPになれと夕呼先生に言われたようで教本を持ち歩いている。うちのバカでも分かるコマンドポスト!っていう本だ、これでも純夏には難しそうに思える。なんせ万年赤点だからなあ。

 

 

シミュレータールームにつき、肝心のシミュレーターを見る…が。

 

「夕呼先生?」

 

「なに?」

 

「なんか前の型と違いません?こう‥溢れ出る旧式感が」

 

「まあねぇ〜、でも大丈夫よ多分」

 

「多分っ!?」

 

「だって普通の衛士なら問題ないし、あんたらが使ってた次世代機との違いはほぼないもの。あるのは強度よ」

 

「え?じゃあ多分ってそれ」

 

「そう、あんたの変態機動に機体がついていけずプツッとなる可能性があるわ」

 

「褒めてるんですか?それとも死ねと?」

 

「いつもなら両方なんだけど今回ばかりは前者よ」

 

「…‥パートナーじゃないんですか?」

 

「まあまあ不貞腐れないの!ほら行ってきなさい!ついでに鑑もCPの視点を味わうと良いわ」

 

「はい」

 

この時の夕呼先生ってまだ19歳なんだよなぁ…もし同級生だったらどんな感じなんだろうか。

 

「なに白銀、若い私に見惚れちゃった?」

 

「いいえ全く」

 

「つまらない子ねぇ、ほら行った行った。手前のやつで宜しくね〜。」

 

 

【香月夕呼】

私…まだ19なのよねえ、体は。

この歳でAL4責任者なんだから普通は凄いのよ、でも白銀達は命を捨てた。

ほっんとそういうとこじゃあいつらの方が大人。

もし白銀が同級生だったら…なんだかんだ直ぐ惚れてたかもね。

まっ!恋愛原子核様だから当然なんだけど、複雑な気持ちよ。

 

「鑑、こっちはデータ収集可能よ。マニュアル通りに開始、白銀にお願い」

 

「はい!…うぇっと……たけるちゃん?聞こえる?」

 

霞が居ないと色々と面倒ねえ、早めにソ連へ行こうかしら?

はいっ!リミッター解除。

 

「えっーともう準備できてるって夕呼先生が……うん…うん、あっ!マニュアル通りにお願いね!…先生!始めます!」

 

「Okよぉ〜」

 

ガコンガコンガコンガコン

 

「ちょっと白銀ぶっ飛ばし過ぎじゃない?」

思わずシミュレーター内のアイツの動きを確認する為に定点カメラを覗く。

 

「…ただ歩いてるだけ」

 

一瞬分からなかったけどそうよね、私もこいつの変態ぶりに慣れちゃった?

 

「硬直時間が全く無い、バランスを崩すことも、そして常に加速している」

 

普通ならゆっくりと確実に前進、肩慣らしをしてから加速に入るけど最初から一般衛士の最終段階。

 

変態ねえ。

 

しばらくは基本動作、目を離してても大丈夫でしょ。

 

こっちも一応報告しとかなきゃならないのが面倒なのよ。

 

まだここは帝国軍基地、そりゃあ国連基地でもあるけど握ってるのは帝国。

 

新OSの開発については最低限、帝国技術廠に深く語らずとも少しだけ伝えなきゃならない。

 

面倒なことがなければ良いけど。

 

端末で報告書を書いていると‥

 

ガコンガコンガコン

 

ガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコン

 

ガコンギャコンガコンギャコンガコンギャコンガコンギャコンガコンギャコンガコンギャコンガコンギャコンガコンギャコン

 

「ちょっ!ちょっと!次は何よ…!?」

 

そう言って顔を上げ、機体を見つめる。

 

「…‥…本当にやっちゃうなんて」

 

「先生‥これ大丈夫なんですか?」

 

鑑がこちらへ顔を向ける。

 

「ちょっと中止…鑑」

 

「はい……たけるちゃん、中止!」

ハッ?ナンデダ?

 

「いいから!」

 

【白銀武】

なんか怒られたんだが…純夏に。

「どうしたんですか?」

 

「気持ちは分かるわよ、でもね白銀」

 

「?」

 

「あれはやり過ぎよ」

 

あれ?多分光線級の攻撃を避ける動作のことか?

 

「後ろ見てみなさい、特に可動部分」

 

「…‥」

 

ヒビが入っている。それも全ての可動部に。

 

「次世代型の強度は必要みたいね…まあ基本動作のデータは集まってるし大丈夫よ。一週間後ぐらいにはいつものシュミレーターにしとくから体力でもつけときなさい」

 

「…‥たけるちゃんやり過ぎだよぉ」

 

「すまん」

 

何とも言えないこの気持ち‥なんなんだ。

 

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