ウルトラマンオーブ THE MISSION SSSS.GRIDMAN   作:火野ミライ

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覚・醒(A)

親鳥が雛に獲物を与え、草花が踊り、太陽が地上を照らす。

誰もが日常を送る中、人々は昼間の青空に流れる光を見上げ立ち止まる。

 

青々とした草が生い茂り、バッタが跳ね、スズメが木の枝で休憩する川沿いの道。木陰で可愛らしい寝息を立てる幼い少女。木の幹にもたれて寝ており、天然の金髪が風によって(なび)く。スヤスヤと穏やかに眠る少女の鼻先に1頭の蝶が止まる。

 

「…………………うぅ~ん」

 

やがてひときわ強い風が吹き、少女を夢の世界から呼び起こす。

 

「…ここどこ?」 

 

寝起きに呟かれた言葉は見た目も相まって、ただの迷子にしか見えない。少女はゆっくりと立ち上がり、木陰の外へ。その際に膝の上にのせていた短剣の様な物が転がり落ちる。 

 

「なにアレ…………………?」 

 

セミの鳴き声を背に少女が見つめる先には青空いっぱいに広がる積乱雲。しかし少女の瞳には巨大な影が映っていた………

 

 

 

 

 

この町【ツツジ台】の中を目的もなく少女は歩く。右手のは先程の短剣の様な物を握りしめている。見た目が見た目なだけにお気に入りの玩具を持ち運ぶ少女だが、本人にそんな気は一切ない。やがてたどり着いた小さな公園のベンチに座り込む。

 

(結局、よく分からない。あの怪獣のことも、私のことも………)

 

ベンチに座り込んだ少女は俯き、地面を見つめながら思考の海へと沈みこむ。

 

(私の名前は?分からない。どうしてでここに居るの?分からない。両親は?顔すら浮かび上がらない。どこに住んでいるの?分からない。この剣は?よく思い出せないけど、大事な物。)

 

自問自答を淡々と繰り返し、ひたすら自分につながる何かを探している。今の少女の状態、それは記憶喪失と呼ばれる状態。何一つ分からない現状にただただ不安だけが積みあがっていき、ついには目から涙があふれ出す。

 

重力したがって目から零れた雫は地面を濡らす。一度流れ始めた涙は決壊したダムのように止まるところ知らず、静かに流れ続ける。なんとか涙を止めようと拳に力を籠め、ズボンを握りしめる。

 

「………ッ!」

 

そこで初めてズボンのポケットに何か入っていることに気が付いた。自分につながる物かもしれない! 藁にも縋る気持ちで取り出したのは長方形の物体。寄せ合わせの物で作られたと思うハーモニカの様な楽器。実際のハーモニカに沿って口に添え音を鳴らす。

 

独特音色を鳴らすハーモニカの様な楽器、少女は目をつむり無心に音を鳴らし続ける、やがてそれはどこか物悲しい印象を受ける独特のメロディーへとなり公園に響き渡る。

 

不思議なことに先程まで不安は消え、光に包まれたかのような暖かな気持に変わっていた少女。頭にい浮かび上がったフレーズを演奏し終え、ゆっくりと息を吐く。そして鳴り響く拍手の音。

 

びっくりした少女が目を開けると公園に遊びに来ていた少年が、ペットの散歩に来ていた女性が、ジョギングに来ていたご連敗が、ベビーカーを押す若者が、学校帰りの学生が、老若男女様々な理由で公園を訪れた者たちが少女に拍手を送る。中には少女の演奏をスマホで録画している人も…

 

理由は言わずもながらさっきの演奏。よく周りを見てみると人だけでなく、小鳥や猫と言った動物も少女の演奏を聴いていた。そのことに気が付いた少女は顔が赤くなっていき、慌てて剣を持ちこの場を去っていく。

 

「さっきの演奏にオーブカリバー……………相当なオーブ好きの少女だな」

 

先程少女の演奏を録画していた高校生が呟いた【オーブ】の単語に気を惹かれるのを感じながら。

 

 

 

 

 

時間は進み夜、雨除けのあるベンチに座りおでん缶を頬張る少女。猛暑日が続くといっても夜は冷え込むため、寒さで体が震えてる。

 

「よう!こんな所で野宿か?」

 

「……ッ!」

 

音もなく突然後ろから歩み寄ってきた影。思わず立ち上がり振り向く少女。そこに佇むのは紳士服をきっちりと着こなす青年。街灯の明かりを背にしているため顔は見えないが、その手には日本刀のよく似たものを持つ。とっさに剣を拾い、視線を青年に向けたまま、ゆっくりとひらけたた場所に移動する。

 

「そんなに警戒するなよぉ~ …ユーリ」

 

「ユーリ?」

 

自信を警戒する少女にねっとりとした口調で言葉をかけていた青年。そして少し間を開けて放たれた言葉、その単語につっかりを覚えた少女は警戒を続けたままであるが青年に訊ねる。

 

「は? 本気で聞いてるのか?」

 

少女の言葉を受け、先程までと違いまじめなトーンで話す青年。彼の疑問に少女は首を縦に振ることで肯定する。それを見た青年は顎に手を添えて考え込む。

 

……そういう事か。どうりでお前ひとりの訳だ。【ユーリ・エーベルヴァイン】、それがお前の名だ。」

 

「ユーリ・エーベルヴァイン……」

 

小さく呟いた後、発せられた言葉。一度聞いただけで心に隙間にすっとハマった気がして、復唱する少女いや、ユーリ。

 

「それより先は()()()でなんとかしろ!」

 

「待っt」

 

背を向けて歩きだす青年を止めようを手を伸ばした時、強風が吹き土煙が宙に舞う。とっさに目を腕でかばったが、次に目を開けた時には青年の姿は見当たらなかった…………




To be continued

この作品のイメージOPは?

  • オーブの祈り
  • ULTRAMAN ORB
  • True Fighter
  • UNION
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