そんな一言でもスタートしました。
素人ですが最後まで書ききりたいと思います。
メロスは激怒した。
――話が違えじゃねか。
※
俺の名前はメロス。とある田舎の村で暮らしているしがない羊飼いだ。
そう、あの《メロス》である。
前世の記憶を持つ俺は、俺と同じ立場の人間ならきっと誰もが知っている名作――あの『走れメロス』の世界に転生を果たした。
自分でも何を言っているのかよくわからないが、事実なので仕方ない。もう明らかに俺のいた時代より過去なっているのだが、そうなんだからどうしようもなかった。
まあ、とはいえ、しかし。
何の因果か、いや時代的にもう因も果もない感じなのだが、ともあれ俺はこうして、古代の時代でも上手いことやっている。せっかくの第二の人生だ、楽しまなければ損だろう。
そんな風に思っていた。
――しかし。
とうとうこの日が来てしまった。
そう、王城へのカチコミだ。
そりゃそうだ。だって俺、メロスだし。
前世では正義感はそこまで強いやつだったわけではないと思うが、やはり目の前で困っている人や悪事を働いている人間を見ると簡単に放っておけないのである。
『走れメロス』の筋書きは何となくだが覚えている。
具体的にいつかは分からないが、やがて俺は妹の結婚式のために町に必要な品を手に入れに行くだろう。
そこで訪れた町の様子がひどく暗く落ち込んでいることを不審に思い、市民に何が起きているのか問う。そして原因である邪知暴虐の王の所業を聞き、城へのブッコミに至る。
そこからみんなご存じあの物語につながっていく。
もちろん命惜しさに俺の意思一つで物語の
しかしそれを理由に町の者を救わずにいるのは申し訳ない。何より結末として俺は自分が助かることを知っている。
一つ申し訳なく思うのが、セリヌンティウスのことだ。
彼は元は同じ村の出身で幼い頃から長い時間を共にした無二の――竹馬の友である。
今は町で石工をしている。
彼もまた善良な男だ。石を削り、石と共に暮らしながら、けれど邪悪には人一倍に敏感で・・・あとよく石に話しかけてる。半ば石だ。
このところ会っていないのだが、元気にしているだろうか。
――いや、わかっている。
今から自分がやろうとしていることはそんな友を危険に巻き込もうとしていることだ。
俺は彼の善良さと友というつながりを盾に彼に三日三晩縛られるという苦行を強いようとしているのだ。
だが、それでもやはり自分の思いに蓋をすることなどできないのだ。
いざ行くぞ。名場面へっ!!!!