デュエル・マスターズBLANK   作:佑ノ宮 末法

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第十五話 『ダークサイド』

「さあ、カナロア。喧嘩しよう。」

水で作った巨大なレンチ型の棍棒を構え、ヴィーヤは高らかに宣戦布告を吹っかけた。

 

ヴィーヤの魔術で一瞬体勢を崩されたカナロアは、すぐに調子を取り戻し、V・バミューダ中の魔力をかき集める。

「……もう戻れないのですよ?」

 

「!」

 

集められた魔素はすぐさまカナロアの体内へ向かい、取り込まれていく。カナロアが手をかざすと空間がゆがみ、そこから光線が放たれた。

 

「これは、ギュウジン丸のッ!」

 

「V・バミューダの『特性』……!過去の力がおまえを倒すのです!」

 

回避を試みたが、かつての革命軍を危機に追いやった攻撃は大探検家でも避けることは不可能であった。

 

「グァァッ!」

 

左胸に大きな穴が空く。被ばくしたと同時に体内に入ってしまった侵略ウイルスが、じわじわと彼を蝕んでいく。

 

「あっけないのですね。ヴィーヤ。」

 

カナロアは親指を立て、人差し指を彼の方に向ける。そこからまた『歪み』が発生し、溜める。今度は水文明のドラグハート、真理銃のそれに等しい。

 

「食らうのです!」

 

が、発射した瞬間何故か、後ろから声が聞こえた。

 

「まだ終わらないよ。」

 

振り向く間もなく、横腹を殴られた感触。

―3秒経ったか、立て直そうと視界を取り戻す。

先ほどの光線でダメージを追っていたはずの彼が、―左胸に空いてるはずの穴が無く、全くの無傷で立っていた。

 

「お、おまえ!何を!!」

 

「『エターナル・ファイト』……。自分のあらゆる時間を組み込むことができる。ギュウジン丸の光線は確かに痛かったし、侵略ウイルスはすさまじいものだったよ。しかし、僕の体を2分前まで戻して、その攻撃をなかったことにした。」

 

カナロアは歯ぎしりのを立てながら間合いをとる。

 

「であれば、こうするしかないですね。」

 

カナロアは呪文を唱えると、水の縄が現れ、ヴィーヤを縛る。

 

「!!」

 

「無駄だよ!また自分を『過去に戻して』……。」

 

しかし、ヴィーヤが術を使用するや否や、体は先ほどの胸に穴が空いた状態に戻っていた。

 

「……ガァッ!」

 

「知っているのですよ?『VV』の力はバミューダ由来の力。であれば、バミューダの力を取り込めば、そちら側の時間を書き換えることだって可能なのです。」

 

「……魔素行使『Cg』ッ!」

 

ヴィーヤはすかさず縄をふりほどきながら、魔術で応急手当を行う。

 

「でも、欠陥があるんじゃあないかい?今の水文明の技術では、無尽蔵に魔素を引き出すことは不可能。」

 

「そうですね。しかし、『VV』もまた、自身の魔力と引き換えに時間を組み替える魔術。長期戦に厳しいのは、お互い様なのです。」

 

互いに看破した直後、二人はそれぞれ、瞬で思考を巡らせる。

 

(カナロアの魔力源は『アカシア』からだ。魔力の差はひっくり返すことはできない。……しかし、アイリ君が合流できれば勝機はある。)

 

(こちらは水文明全域から魔素を吸い上げているのに対して向こうは周囲の魔素のみ……、魔力の差はこちらに分があるはずなのに、なぜこの男は余裕なのです?外交官故に、他文明から息がかかってるとすれば、―単独で仕掛ける理由は大方予想はつくのです。)

 

コンマ1秒経過。

 

(現在、水文明はめちゃくちゃだ。その原因はカナロアによるアカシアへの干渉……。ということはつまり――。)

 

(バミューダ化は水晶への干渉という事をヴィーヤが織り込み済みであると仮定するなら、水晶に触れられてしまったら逆転されてしまうのです。つまり――。)

 

コンマ2秒経過。

 

(アカシアに触れてバミューダ化を『解除』すれば勝てる!)

 

(アカシアに触れさせずに『解除』を防げばジリ貧で相手は自滅する!)

 

コンマ3秒経過、

と同時に、ヴィーヤとカナロアはとびかかり、水しぶきをぶつかり合わせた。

 

~~~~~

 

魔の海域の中で、ブランカは闇文明の使者、ズァキェルと遭遇し、会話を行っていた。

 

「聞きたい……こと?」

 

少し戸惑うブランカに、闇文明の使者、ズァキェルは言った。

 

「ああ、これは、おれのポリシーなんだぜ。少し付き合ってくれや。」

 

そう言うと、ズァキェルは今までのひょうひょうとした態度から一遍、真面目な顔でブランカに問いかける。

 

「ズバリよ、ブランカ・サンダーボルト、『お前に、夢はあるか』?」

 

ブランカは、停止した。生まれてから誰からも、さらには自分にも問いかけたことがなかった題であったからだ。

 

「夢……、か。」

 

少し考えてから、ブランカはきっぱりと答えた。

 

「そんなもの、()()()()()()。私には、火文明の明るい未来こそが夢ですもの。」

 

そうか、とズァキェルはつぶやいた。

 

「なら、死んでくれぜ。」

 

そう舌の根も乾かぬうちに、バリバリと音を立てると彼は無から雷の弓矢を生成した。ギリ、ギリとつがえると、彼はこう告げる。

 

「俺はよォ、嘘つくヤツと夢が無ェやつは死ぬほど嫌いなんだぜ。それによォ、お前は特に、夢を持ってねえとだめだ。」

 

「!?」

 

 

~~~~~

目的を果たし、ヴィーヤと合流を試みるアイリ。

 

「とりあえず走ってるけどよ……。どうやってあのヤローと落ち合えばいいんだか……、」

 

と、ぼやいている中、異変を感じ取ったのかマドンナはふいに言った。

 

「……変わったわ。水文明の様子が。」

 

「それってどういうことだよ。」

 

「おそらくだけど、V・バミューダの力が弱まってるわ。知らないけど。」

 

もしかして、あの先公が……、

 

そう思ったアイリは、バイクのギアを2つ上げる。

 

「突っ(パシ)っぞッ!」

 

ぶるん、と轟音を立て、走ろうとすると、どこからともなく時空のゆがみが発生する。

 

「ッ!? アイリ、止まりなさい!」

 

マドンナが槍で静止すると、その歪みはやがてはっきりとした空間へと変わり、その向こうの様子がはっきりと見えてきた。

 

そして、そこにあったのは、

 

「お前は特に、夢を持ってねぇとだめだ。」

 

明らかに殺意を持って矢をつがえる男と、狩られる寸前の少女の光景だった。

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