デュエル・マスターズBLANK   作:佑ノ宮 末法

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第四話 仮想実戦

「まずったな……。」

ヴィーヤに少し焦りが見え始めた。

 

「二人の、それも一人はブランカ君の……、『怪物化』の片鱗のきっかけを作ってしまったとなると……いやはや、こりゃあ火文明(トニトゥルムさん)にどう言ったらいいのやら…。」

 

諦めずも追跡するヴィーヤの死角から、一人の刺客が襲う(くる)

 

「…ッ!」

ヴィーヤは光線を間一髪でよける。流れ弾を食らった浮島はものすごい爆発音を立てて粉微塵になっていった。

 

「女の子二人を追いかけまわすなんて、ずいぶん趣味が悪いですね。」

 

「名乗りも上げずに不意打ちして煽り立てる君も、かなり趣味が悪くないかい?」

 

気が悪くなったウートポスは、端的に述べる。

「…失礼。私の名は『ウートポス』。ヴィーヤ・ドレッドノート、あなたを始末しに来ました。」

 

 

~~~~~

あぁ。心底腹が立つ。

『ボーダー・ザ・ミラダンテ』。

 

光と水の境界線。

この第1レースのゴール。

私の立っている場所。

 

―ミラダンテ?

ミラクルスター(ボンクラ)を助けた唯の舞台装置が?

巨悪を倒し損ねた唯の二枚目が?

なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?

……何で名前を刻まれているの?

 

キレイなだけの白鳥が讃えられ、褒めそやされるなど

この僕には到底許されない。

 

―光の兵の骸、臓物、取るに足らない遺体共で積み上げてしまった玉座は、実に、実に気持ちが悪い。どうせあのカス野郎の入れ知恵よ。ごちゃごちゃした鉄くずだらけ。ああそうよ。あのカス野郎はいつも()()()()()が好きだったわ。

 

こんな玉座、まだ愛しき()()()の方が百倍心地が良い。

 

このまま、気持ちの悪い椅子を積み重ねて私だけになって、これで演目は、はい、おしまい。カス野郎の思いつきのとんだコメディは僕がミスフォーチュンに変えてしまうのだから。

 

―そう…。

―どうせここにも、いないのでしょう?

 

ドキンダム()の演目を最後まで見届けてくれる。レッドゾーン(貴方)は。

 

~~~~~

 

「大丈夫か!?ブランカ。」

抱き抱えられているアイリはブランカに大声で呼びかける。

 

「うん…大丈夫!だけど……。」

少し、動揺しているブランカを、アイリは半ば強引に励ます。

「今はそんなことはいい!頼むから、ゴールまで行けるか!?」

 

「うん……!つかまって……!」

翼のエンジンを全速力にする。

 

「すげぇ……!速ェや……!」

思わず口にしてしまったが、アイリはすぐハッとなって口を閉じる。

 

そして、暫く時が経ち…… 。

 

「もうそろそろゴールだと思うのだけど…。」

その速さとはいえ、十分な距離を飛んだことは十分に認識しているブランカ。浮島だらけの同じ景色で、若干戸惑いと焦りが勝つ。

 

「これ……。大丈夫だよな…?」

 

「まあでも、大丈夫でしょ!こんな事言っていいのか分からないけど……。わたし今、すっごく楽しいもん。」

 

不意に肩を撫で下ろすアイリ。

「あっ!見つけたわ!……だけど、あれは何?」

 

「ん……?げぇっ!趣味悪ぃな……。」

 

二人が見たのは、大量の死骸で積みあがった巨大な椅子。

そして、それにつまらなさそうにふんぞり返る漆黒のドレスをきた少女の姿であった。

 

「あれは……もしかして、『マドンナ』か?」

アイリの推察に、ブランカは背筋がびびびっと、冷たくなってしまった。

 

「『マドンナ』……。闇文明の実質的支配者……。」

 

アイリが尋ねる。

「ブランカ……。何か知ってるんじゃないか?その…マドンナってやつのこと。」

 

「詳しくは知らないわ…。大半はあなたたちが想像しているのと同じ。踊って、見惚れさせて、そうしたもの全てを石にする恐ろしいやつ、としか噂がない。五文明の会談でも現れるのは彼女の部下である使者で、本人は来ない…。謎に包まれてるのよ……。」

 

「どうする?迂回するか?」

 

「……これ無理かも。本当にゴールの目の前にマドンナがいる。」

 

うろたえる二人。ブランカは一旦滞空しながら考える

が、どう考えてもよい考えが思いつかない。

 

「ダァーッ!ごちゃごちゃしても何も始まんないしさ、突っ込んじまおう。」

 

「……まあそれしか方法がないのも事実……。」

そういった結論に至ったブランカは深呼吸をすると、

 

「ッ!」

覚悟を決めてゴールライン(玉座の向こう側)に向かってフルスロットルで飛んだ。

 

 

だんだんと近づいてくる。

 

一瞬目をつぶりながらも、眼を開きなおして進む。

 

そして、()()()()()()()()

 

ゾクッ……、と肝が冷える。

 

支配者の気迫は、こんなにも凄まじいのかと……。

 

いや、ブランカ・サンダーボルト。

 

私はただ、()()()()()()()()、それでいい―。

 

羽虫を潰すように、足で薙ぐ一閃がブランカを襲う。

 

が、

 

「フッ!」

 

音速並みの速さでよけて見せる。

 

「よし!何とか躱した…。」

 

次の刹那、

 

「アハッ」

 

あの女の笑う顔を見た。

これ以上ない嫌な予感がする。

 

手をかざす。

その手から()がだんだんと生まれて―。

 

「ブランカッ!」

 

アイリの声でハッとした。

あの槍は避けなければ。

 

だけど、ああ―、

『あれ』は、あまりにも美しくて―。

 

(ガウディウム)

マドンナの残酷な声と共に槍が発射される。

 

ふいに目をつぶってしまった。

 

 

 

激しい爆風と重低音が響く。

 

気が付いたら、佩いていたオレンジの刀剣を、身を護るように構えていた。

 

「ッ!?」

 

ブランカは驚いた。死ぬと思いながらも、咄嗟でやっていたのか―。

 

「ブランカ!ゴールはもう目の前だ!行くぞ!」

 

アイリに呼び戻される形で、ブランカはアイリを乗せてゴールへ向かう。

 

これで、ゴールへ向か……。

 

「僕を見て!」

 

背後からおぞましい声が聞こえた。

 

「!?」

 

マドンナが、こちらを追いかけてくる。

 

「……ッ!」

どうする…?後ろにはアイリが乗ってる。

 

避けても、()()()()()()()()()()()

 

なら、止めるしかない!

だけど、どうやって……?

 

その時に、ふと、先ほど持った剣に目がいった。

「これなら…!」

 

「ねぇ、僕を見て!僕を見て!」

迫りくるマドンナ。

 

「!」

 

ブランカは、上空へと飛び立つ。

 

そして、抜刀し、

 

「食らいなさい!マドンナ!」

 

「『パラレル・バスター』!!」

 

音速でかかり、瞬でよけるように迂回しながら斬撃をくらわす。

まるで、別次元から斬るように。

 

「あがッ!」

斬られたマドンナは、()()()()が鎖となって見動きをとられずにいる。

 

「今のうちに!」

ブランカは、動きを封じたマドンナを後にして水文明へ向かった。

 

~~~~~

 

「う~ん…。」

一難去ったヴィーヤは、空を仰ぎながら頭をかく。

 

「今日はうまくいかない日だなぁ…。色々やるべきことは増えたというか……。」

やや途方に暮れていると、どこからともなく『(アナウンス)』が聞こえた。

 

「第一レース、『ハイエスト・タワー』から『ボーダー・ザ・ミラダンテ』区画一位通過者を発表します。」

「一位は、『ブランカ・サンダーボルト』、『アイリッシュ・ブルージェット』の同率一位となっております。」

 

「!」

ヴィーヤはその通告に驚かされた。

 

「いやはや、とりあえず、生きていたことは喜ぶか。……では、この作戦で行った方がいいな。」

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