デュエル・マスターズBLANK   作:佑ノ宮 末法

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第六話 ダークサイド

 

「どうなってる!『光の奴らに連れ去られた』だァ!?」

 

トニトゥルムは怒号を飛ばしていた。

 

「はっ……。ゴールをしたところで『灯火』の幹部諸共包囲したのですが……。」

 

「あの光文明(ウスノロ)……。今度という今度はぶん殴ってやる…………!!」

 

すると、別の兵がトニトゥルムの下へ来た。

「トニトゥルム様ぁ~ッ!光の使者からこのような文が……。」

 

トニトゥルムはその手紙を余裕なく取って読むと、先ほどの怒りの表情が打って変わって焦りに変わった。

 

「こ……これは……!」

 

しばらくすると、トニトゥルムは鬼気迫り、兵に命令を下した。

 

「……総員、撤退だ。」

 

「と、申しますと……?」

 

「……ブランカは()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

~~~~~

 

「―で……。」

 

元の世界に戻ったブランカは、大声で叫んだ。

 

「なんで先生がいるんですの~~!!」

 

「ハハ……。しょうがないよ。アルズさんに言われたもん。」

 

「どうあっても私の心は変わりませんからね!」

 

便乗するようにアイリも睨む。

「そーだぞ!ガイハートはちと悔しいが……。アタシはちゃんとテッペンぶんどってガイハートを取ってやるさね!」

 

「なんであなたもここにいるんですか。」

 

「貴方の伴侶だからだよ。は・ん・りょ♡」

にやけ顔でブランカの頬を突っつくと、一人で勝手に照れ始めた。

 

ブランカは真顔である。

 

「それよりこれ、見てくれ。レースの順位表。同率一位だってね。」

 

ボーダー・ザ・ミラダンテの待合所では、もうすでに1stレースが終わり、表が貼り出されていた。アナウンス通り、ブランカとアイリが同率一位と書かれており、表の端っこには「50pt」と書かれていた。

 

「一位は100ポイント……。」

 

「僕は…2位で70ポイントか……。」

 

ブランカは驚いた。

「2位だったんですか!?……あの『怖い人』は?」

 

「ん?ああ……、『マドンナ』さんかい?水文明の魔術をなめてもらっちゃあ困るね!」

 

しばらく談笑の後、ヴィーヤが去る。

「レース完走者は、ガイドの案内に従ってそれぞれの控室にてしばしの休憩を。」

アナウンスが機械的に、それでいて優しく告げた。

 

 

「―それじゃあ、僕の控室はあっちだから、()()()()()。」

 

 

「もしかして……。」

 

微笑みながら去っていった。

 

「はぁ……。ヴィーヤ先生とはいえ、少ししつこすぎますわ……。アルズさん、もしかして結構嫌な人じゃないのかしら……。アイリもそう思うわ――。」

 

ブランカが振り向くと、そこにアイリの姿はいなかった。

 

~~~~~

 

「―で、話ってなんだよ。」

戸惑いながらも、アイリはヴィーヤの方をにらむ。

 

「ブランカ君についてだ。」

 

眉間にしわが寄った。

「トニトゥルムの差し金か?」

 

「僕はあくまで水文明の者(たんけんしゃ)だ。そこまで何でも屋をするつもりはないけどね。……話すのは()()()()()()()()()だ。」

 

「出自?」

 

 

「ああ……、君も、体の中に『怪物』を秘めているだろう?火文明のクリーチャーは体の中に『怪物』と呼ばれる癌細胞のようなものが先天的に宿っていて、外的要因や内的要因等がトリガーしてその怪物が顕在化して暴走してしまう……。ここ最近の水と火の共同研究で分かったことだ。」

 

「…………。」

 

「水文明はその研究の一環として、当時留学生だったブランカ君の身体検査をした。彼女は火文明の発展のためなら、と喜んで被検体になってくれた。」

 

「……!」

 

続くヴィーヤの言で、アイリは何かを察した。

「だけど、彼女の中に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……。」

 

「僕たちも最初は驚いたよ。次にやったことは、彼女がどこから来たのかを調べた。が、火文明以外の文明と取り合っても、彼女らしき戸籍は見当たらなかった。」

 

「そ、それが何だってんだよ……。」

もしかして、と少しばかりで確かな不安を紛らわすために、アイリは虚勢を張るようなことをする。

 

 

「……これは独り言として聞いてほしいんだけど、実は、今回のアルズさんの取引について、―細かい経緯は伏せるけど、ブランカをメンバーに入れる打診をしたのはアルズさんなんだ。アルズさんとトニトゥルムさん、表向きは火と光は仲悪かったりするけど、戦争にまで行かないって言う事はおそらく裏でこの二人だけの何かがあるんだろう……。今回の両陣営の動向を含めての、僕と水文明の見解を述べると……。」

 

~~~~~

 

 

「おはよう!ブランカ~!」

アイリは元気にブランカに抱きつく。

 

「昨日どこ行ってましたの?探してたんですよ?」

 

「わりぃ……。ちと幹部と話しててさ。」

 

「幹部って…………ああ、あなたレジスタンスでしたわ。ほめてないですけど、フレンドリーすぎて今まで忘れてました。」

 

「ハハッ!だんだん恋人に近づいちゃってるねぇ~~~。このまま一緒に最後までゴールに……。」

 

ブランカは悲しい眼でこぼす。

「そうだと……、いいですね。」

 

(『怪物』とみられるような組織は見当たらなかった。)

 

脳裏にヴィーヤの言葉がちらつく。彼の()()()()()()()が本当なら――。

 

「第二レース、まもなく開始します。走者は位置についてください。」

 

「まあ、とりあえず水文明もよろしく頼むぜ!」

アイリは明るく返す。

 

しかし、それでも、ブランカの顔は曇っていたままだった。

 

~~~~~

 

とうとうこの時が来てしまいましたか。

 

アカシアにジャミングがかけられたのです。

 

何故だと嘆いても、今は私のなすべきことをなすしかありませんのです。

 

何、指標が壊れただけの事、レースによって世界が崩壊するのであれば、それを阻止すればいいだけの事。

 

神託の間、アカシアの大結晶に私は触れる。禁忌を犯すには、それくらいの『魔素(オド)』が必要です。

 

「ロゼッタ姉様。少し力を貸してほしいのです。これより、全海域を『V・バミューダ』へと作り変えるのですから。」

 

 

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