デュエル・マスターズBLANK   作:佑ノ宮 末法

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第七話 ドキッ‼イレギュラーだらけのミステリー

水文明のレースは滞りなく開始され、ブランカ一行は水文明の小島に上陸してキャンプを整えているところであった。

 

「では、ブランカ君、アイリ君。夜も更けたことだし、この島で野宿だ。せっかくだからこの僕が水文明の大まかな概要を……。」

 

ブランカが挙手して遮る。

「はい!先生!」

 

「早速どうした?ブランカ君。」

 

「なんで一緒にいるんですか?」

 

「すまないが、それが仕事なんだ。」

やや微笑みながら返す。

 

「いい加減しつこいぞ」

アイリもブランカに同調する。

 

「アイリもなんでいるんですの。」

 

「それは分からないな。……とまあ、冗談はさておき、夜も更けるまでまだ先だから、一般的なクリーチャーによる世間話くらいにでも聞いてくれ。」

 

三人は砂浜の丸太の上に腰掛ける。

すると、ヴィーヤは『魔術』を繰り出した。

 

魔素行使(スペリング) 『Xf』。」

 

ヴィーヤが詠唱すると、何もないところから炎が発生し、周囲が明るくなった。

 

「!?」

 

「ああ、そうか。アイリ君は()()を知らないんだったね。今やったのは『魔素(オド)』と呼ばれるものをいじくりまわす呪文みたいなものさ。ドルマゲドンによって『龍素』と呼ばれていたものから変質したものと言われている。どこの文明にもあるんだけど、とくに水文明(ここ)では濃度が高いんだ。」

 

はぇ~……。と顔をぽかんと開けるアイリ。

 

「さぁ、まずはこの水文明の地理をざっくりと教えよう。僕たちが今いるところが『ラプラス諸島地帯』。先のドルマゲドンによる『災厄』のせいで海と島だけの水文明の中でも一番安全な地帯だ。今回はラプラスから色んな島と海域を渡っていきながらゴール地点の『ボーダー・ザ・オーパーツ』に向かうわけだけど……。」

 

「だけど……?どうしたんだよ。」

アイリが言った。

 

推測するブランカ。

「おそらく、『V・バミューダ』の事ですよね。」

 

ヴィーヤは地図を取り出して答えた。

「ああ、そうだね。ここからゴールに近づくと、ちょうど直線的にいけばいいんだけど……、魔の海域とも呼ばれる『V・バミューダ』を通り過ぎることになるんだ。そこは僕でも無傷で踏破するのは難しいから、迂回して通ることをお勧めする。」

 

ほぉん、と聞くアイリ。

「それだったらよ。あのブランカの『力』使えばいいんじゃねえの?」

 

「ああ、あの……、とてつもない大きくなってみんなを乗せてそのままゴール……。」

 

「そうそう!海だったらよ!もう飛んでゴールまで行っちゃったほうがさ!」

 

「それが、なぜか使えませんの……。」

 

驚くアイリ。

 

「えぇ!?なんで?」

 

「というか、あの時が咄嗟でしたし、あれを『使う』トリガーが分からないんですの……。アイリのバイクからそうなるのはそれとなく分かるんですけど。」

 

ヴィーヤが提案する。

 

「であれば、調べたほうがよさそうだね。」

 

「できんのか?そんなこと。」

 

すぐ振り向き期待を持ったアイリに対し、ヴィーヤは自信をもって答える。

 

「ああ!できるとも!航路的に寄り道をすれば図書館があるから、そこで調べればいい。なに、少しくらいのタイムロス、ブランカ君の『力』が戻れば大丈夫だろう。」

 

「図書館?」

 

「知らないんですの?この世界の全てを記しているともされている、()()()()()()()()『エビデゴラス』。留学してた時は重宝してましたわ。」

ついていけないアイリに、ブランカが説明する。

 

「この世界に起きる現象であれば、あっちに行けば調べられるからね。先々代の長、ペディアはその身を以てして最大の叡智(エビデゴラス)をもたらした……。―こういうのは水文明の長の伝統なのかもしれないね。」

 

「…………。」

ブランカは、ヴィーヤの方を見た。

 

 

「よし……そうと決まれば、やることは一つですわね!」

ブランカが立ち上がった。

 

「もう出るのかい?」「えぇ!?さすがに気が早いぜ……。」

心配する二人。

 

「寝ますわよ。」

真顔で言うブランカ。

 

二人はずっこけてしまった。

 

~~~~~

 

ああ、早く!早く!これを解決しなければ、誰が、何の目的で……、

 

「お久しゅうございます。お姉様。」

 

「ああ、カナロア……?」

 

ビックリした。()()()()()からはまともな生活を送ることができないと思っていたからだ。

 

「水文明はどうやってる?私の『報告』は役に立ってるかい?今は申し訳ない……。歴史の調査(しんたく)にジャミングがかかってるんだ……。ヴィーヤにも―。」

 

「ええ、そのことですが、お姉様。」

 

次の一言で、私は思考が止まってしまった。

今思えば、間違いなくこれが一大事件の始まりだった。

 

「バミューダの浸食にご協力いただいてほしいのです。お姉様―いえ、『アカシア』には、私の計画を遂行するためのリソースになってもらうのです。」

 

「は?」

 

「レースを止めるには時間がないのです。ですから、しばらくお休みになって頂くのです。」

 

「おい、待て!ヴィーヤにもこのことは――」

 

「あの蝙蝠男は役に立ちません。狂騒と実利に他が走るなら、私たちだけで解決すればいい話なのです。」

 

そう言い終えないうちに、私は、『アカシア』は文字通りマナ(リソース)となり、活動を停止した――。

 

~~~~~

 

どこに、いるの?貴方(レッドゾーン)は。

 

「あたり一面のクソブルー。こりゃ探すの大変だぜ。」

 

私はため息をついた。

「ズァキェル……。あなたを同行させたのは、あの子を探すためなのよ。役割を果たしておきなさい。」

 

「そんな怒らずに見ろぜ!これから女一人探せっていうのが無理な話なんだぜ。」

 

「全く……、このクソみたいなレースは、あの子しかもう意味がないのに……。一刻も早く見つけないと、封印するわよ!ズァキェ―」

 

そう振り向くと、私が連れてきたはずの、ズァキェルの姿がいなくなっていた。

 

「!!」

 

気づけば、気持ち悪いほどに澄み、小島がちょんちょんと見える先ほどの風景とは裏腹に、暗雲が立ち込め、稲妻が逆立ち、波が()()()()()()()()の奇妙な光景が広がっていた。

 

~~~~~

 

―朝が明け

 

「ふわぁ……おはよ、ブランカ……。」

 

起き上がって辺りを見回しても、ブランカの姿は見当たらない。

 

「先に準備してんのかな……。」

 

そうアイリがうつらうつらと眠気が取れないでいると、どこからともなく現れたヴィーヤの言葉ですぐに目が覚めた。

 

「大変だ。アイリ君。ブランカ君が!」

 

「は?」

 

「……いない!」

 

「え、ちょっ……はぁぁぁぁぁ!?」

 

 

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