「クロエ、死にたいか?」
「あなたの傍で死ねるなら本望です!」
どうやら死んでもいいらしい
「なら着いてこい!」
僕らは車で急ぎ百合ヶ丘に向かっている
僕が運転し、助手席にクロエ
「一体百合ヶ丘に何があったんですか?」
クロエは髪を除ける仕草と共に耳を出す
「百合ヶ丘に多分だが防衛軍、もしくは反政府組織の傭兵が向かっているらしい」
「傭兵?雇われ兵が?」
「そうだ、後しっかりシートベルトつけろよ、飛んでも知らねぇよ」
「教官もつけてないじゃないですか?!」
「俺はいいんだ」
「あ、俺っていった」
「そんなにおかしいか?」
防衛軍の時は俺と言っていたがなんか似合わないとこいつに言われたので僕にしていたが、なんだが面倒になってきた
「教官は僕が似合いますよ!」
「馬鹿野郎、立ち上がるな!装甲車では立つなと言っただろ!」
「す、すみません!」
久々に怒ったな…
本当にこいつには世話を焼いた
何度言っても分かってないのか、同じ失敗をする
俺じゃなきゃ、今頃防衛軍やってないだろうな…
「なんだか、久々に怒られたような気がします…」
頬を人差し指で触りながら、何かを言いたそうにしている
「どうした?お前らしくないぞ、はっきりと言ったらどうだ?」
「実はですね…」
「ああ」
やはり隠し事をしていたか…
「私、今の教官に死んでこいって言われてここに来たんですよね…」
「ふっ分かってる教官じゃないか…」
鼻で笑い、からかうような発言をする
「ええー!私が死んでもいいんですか?!」
「防衛軍は最終的に死ぬ事が仕事だ、特に問題はない」
ハンドルをきりながら、そういう
「だが本気で死んでこいと言われているのなら、お前は使いもんになんねぇって言われてんだ」
「……」
珍しく黙るクロエ
いつもはお喋りなのにな
「訓練とか普通にやってんのか?」
今の教官がどんなのか知っておかなければ
「私、教官に差別されてるんですよね…」
口を開いたと思えば驚きの回答が飛んできた
「ほぉ…」
「お前は女性だから訓練しても無駄だって」
「他には?」
「私を性奴隷にするというのも言ってきました、更に訓練を終えると私だけ呼び出しをくらって、あげくの果てには私の胸なんか触ってくるんです…」
「触る胸はねぇのにな…」
「だ、黙ってください!!貧乳だっていいところはあるんですよ?!」
いつからだろうな…こいつをいじりだしたのは
俺ではない、それだけは言っておく
「てか、リリィにもそんな事言ってるんですか?!」
「やめろ!俺がいつもそんな事言うのは日常茶飯事みたいになるだろ!」
「え?!教官って変態とかじゃないんですか?!」
「馬鹿野郎!俺は今までそんなセンシティブ発言はしてないぞ?!」
「え?!そうなんですか?!思春期の男の子みたいに変なこというから…」
「まあ…俺はまだ思春期ではあると思うけど…」
「え?」
「ん?」
「教官何歳?」
「今年で20」
「え?私と1年違い?」
「そうだな…それがどうした?」
「え?本当に言ってるんですか?」
「ああ」
「…まじですか?」
「何回聞けば気が済むんだよ?!俺はまた20なの!」
「へぇ…ってこんな話じゃない!今の教官の話…」
「嫌そうだったから話を逸らしてあげたが、自分から戻すとはな…俺に助けでも求めてるのか?」
自分から嫌な話をする人間はだいたい助けを求めている
そして、その相手は周りよりよっぽど信用している人間
こいつは俺を信用しているのか?
それかただ単純に馬鹿なだけか…
「…そうではないと否定は出来ません…」
「……本当に差別されてんだな」
「差別どころか…せ、性犯罪もですよ?!」
さっきの話か…
正直な話、俺には解決出来ないだろう
俺の味方は防衛軍では数少ない
理由は俺に関わったら殺されると思われているから
そんな俺が上司に部下が虐められていると言っても信じられないだろう
「…すまないが俺にはその事情は解決出来ない」
「…な、なんとか出来な…いんですか…」
下を向き、涙を隠そうとするクロエ
本当に何も出来ない…教官の呼び出しは無視しろと言っても無視したら退職処分を受けてしまう
訓練は俺にでも出来るが、こいつの給料が入らない…
教官を変えてもらう事も出来るが、元殺人鬼の部下だ
誰も受け入れてはくれない
どうしたものか…
やはりあの時、接触は避けるべきだったか…
なんで迷惑がかかると知っていたのに、こいつを引き受けてしまったのだろう…
すまない…クロエ…
「なあクロエ、なんであん時俺らの部隊に来たんだ?」
「引き受けてくれる人がいなかったので…」
やはりか…
「……もう嫌だ…本当に…」
ぼそっと呟くクロエ
相当ストレスが溜まっているのか…
「クロエ1つ質問だ、俺とリリィとお前で訓練するか、いつも通り変な教官のとこで訓練する、どっちがいい?」
「それはもちろん、貴方とリリィ達で訓練したいですが…」
「なら交渉成立だ」
体目的の教官…別に奪ってもいいだろ
こいつを強くさせると言って貰っても誰も文句は言わない
訓練をさせてないから、強いから留める理由も見つからない
体目的と言っても処分を受けるだけだ
こいつの金は無くなるが、俺の金で十分だろ
貯金はしとくべきだな
あれからしばらく運転していると百合ヶ丘が見えてきた
「やっと百合ヶ丘が見えてきたか…」
「!陸佐、前方から敵が!」
おそらく傭兵の警備係
「クロエ!運転変われ!」
「は、はい!でも私運転した事ないですよ?!」
「お前なら大丈夫だ!百合ヶ丘の入口集合だ!何かあれば無線を繋げ!」
俺はドアを小銃を持ちながら開け身を乗り出す
「了解!…陸佐、死なないで…」
何か言ったが聞こえなかった
俺は受け身を取り、敵の方を向く
向いた直後に車は迂回していく
「何者…ぬぁ!!」
相手が口を開く前に左右にいた傭兵を撃ち殺す
俺はそいつらの死体を隠す
「武器はM4カスタムとGLOCK…安定だな…」
反政府組織にはこんなもの買う経済は無いはずだがな…
死体をそこらの草に隠す
そして静かに入口へと向かう
道は普通に滑らかな坂である
防衛軍の訓練よりかは全然楽だ
それにしても敵が全くいない
こんなに長かったら中間地点に警備を置いた方が良いのにな
それほど百合ヶ丘の中に兵を上げているのか?
歩いていると腰につけていた無線の音がなる
「こちらクロエです、問題はないですか?」
無線を繋げるとクロエからの通信だった
「今目標へと向かってる途中だ、そっちは?」
「こちらは入口目前です、ですがやはり入口には5人の警備が」
「了解、急ぎ向かう」
通信を切り、駆け足で坂を登る
坂を登りきると、報告通り5人の警備
警備の近くにはカメラが1台
「こちらレン、クロエカメラを破壊できるか?」
「はい、出来ます」
「了解、俺の合図でカメラを破壊しろいいな?」
「了解」
俺は所持していたハンドガンと小銃を敵に合わせる
一気に2人やってまた2人やって最後は1人
簡単だ
「よし、クロエ準備はいいな?3…2…1…今だ撃て!!」
合図と共に警備兵には同時に3発の弾丸が着弾する
2人倒れ、もう2人に照準を合わせる
そしてまた発砲
もう4人死んでいる
「あと1人…」
照準を頭に合わせトリガーを引く
「制圧完了、合流だ」
「は、はぁ」
俺が指示を出し入口まで行き、合流する
「ここからが本番だ」
「そうですね」
「危なくなったら逃げるんだぞ」
「私はあなたのお役に立ちたいので逃げたりなんかしません!」
大した根性だ
入口を開け静かに中に入る
案の定百合ヶ丘の中に兵力が集中している
1発でも銃を撃てば蜂の巣だ
「どうするんですか?お兄さん」
耳元で少し色気を出しながら喋りかけるクロエ
その発言に体がゾクッとしてしまった
「く、クロエ!やめろ!ここは戦場だぞ?!」
声を小さくしながら怒る
「ここじゃ無いところならいいと?」
ニヤリと小悪魔の様に笑う
こいつをこれからクロエと呼ぶのはやめてリトルデビルとでも呼ぶか
「ほんとにどうするんですか?」
「今考えてる、黙ってお座りでもしとけ」
どうしようかな…誰か1人殺して服でも盗むか…
「あ、私が注目を集めましょうか?」
「注目?」
「そうです!私が迷い込んだみたいな、女だし手は出されないと思うんです」
確かにな…女には手は出さないか…
こいつも悪になったもんだ
「よし、それで行こうお前は少し後ろに戻って上手くやれ」
「了解!」
俺は光が当たってないところまで移動し、クロエが行動するまで待つ
クロエ…どう動く?
入口の方をじっと見る
そして門が開き、クロエが入ってくる
「何者だ?!」
傭兵達は入口に銃口を向ける
「よし、今のうちに移動だ」
静かに匍匐前進をし、百合ヶ丘へと近づく
クロエはどういう風に注目を集めてるんだ?
「!女か!?…な、なんという格好!」
興味津々な傭兵
あいつどんな衣装で…
ちらっと後ろを向くとそこには…
「良かった…助けがあって…」
上半身がタンクトップで、下半身がショートパンツ
「どこから持ってきたんだよ…まてあれよく見たら戦闘服?」
あの短時間でどうやって…
「兵士さん達は逞しいから安心できるわ、今追われてて…その…助けて…くれる?…」
傭兵に上目遣いで演技をする
傭兵はそれに耐えられなかったのか鼻血を出している
傭兵も傭兵だ
こんな事で自分の任務を忘れていてば、任務完了なんか出来ない
ま、今はその愚かさに感謝だな
俺は静かに校舎へと入る…
「クロエ、中に入った撤退してくれても構わん」
「了解、でも今相手してって言われてて…どうすればいいですかぁぁ!!?」
泣きついてくるように発言する
「大丈夫だ、お前がやられる前に任務完了させる」
「信じますからね!助けてくださいね!」
「任せろ」
とっとと任務完了をしないとな…
でも何処が制圧されているか分からない…
とりあえず最上階の理事長室を目標に制圧していこう
それぞれのリリィの部屋を見ていこう
だが流石にリリィ以上の傭兵はいないか…
ならどこか広い部屋か…
浴場、体育館、教官室、あるとするなら体育館
あるとするなら体育館だな…よし行こう
俺は体育館の壁を登り、上から中の様子を覗く
体育館に行くと案の定生徒が集められていた
その近くには傭兵が10人…
簡単か
俺はすぐさま行動に移した
窓を蹴破り、上から下へと落ちる
落ちる間に、5人を撃ち殺すことに成功
大幅リードだ
俺を見て、リリィ達は驚いた様子だった
綺麗に着地した後、残りの5人を小銃で頭に1発ずつ発砲する
「簡単だったな…」
一瞬にして、傭兵10人は血を流して死んでいる
「きょ、教官…?」
一柳が、立ち上がりながら言う
怖かったのか、声が震えている
「一柳、これを持っておけ」
「え、ええ?!!」
俺は持っていた小銃を一柳に突き出す
もちろん、こいつが銃を扱えないのは分かっている
だが小銃は近接攻撃も可能だ
何も無いよりかはマシだ
「ここにいるリリィ達はまだここで待機をしておけ」
まだ敵の位置も把握していない、決して外は安全とは言えない
俺はその言葉を最後に、体育館を後にした
次は理事長室…
理事長室にはもしかしたら生徒会のリリィがいるかもしれない…
「ん?無線?クロエ」
歩いている途中に無線が鳴る
俺はそれに応答する
「クロエ、どうした?」
「近くにいるか分かりませんけど、外から見るに室内で銃を発砲している人がいるかもです!」
「了解だ」
見えるって事は廊下かな?
そこら辺で銃を撃ちまくってるのか…
銃声は聞こえないが…
よく分かったな、あいつもやるようになったもんだ
…任務が1つ増えたな…
「…!銃声?!」
最上階を目指していると、どこからか銃声が聞こえる
さっきクロエが言っていた人間か?
俺は廊下に出て、銃を取り出す
今でも銃声が鳴り響いている
足音を出さずに銃声が鳴っている部屋に向かう
ドアの前に来た瞬間…
「っ?!!」
いきなりドアが開く
そして俺にナイフを振りかざす相手
俺は側転で横に移動しながら躱す
そしてハンドガンを相手に向ける
「何者だ?!」
今よくよく見ると変な格好をしている
黒のマントを着用し、鳥のような仮面を着けている
正体を隠している?…バレたらまずい人間…どこかの工作員か?
それに部屋の中にある死体は傭兵…第三者!?
「止まれ!それ以上近づいたら撃つぞ?!」
俺はハンドガンのサイトを胴体へと合わせる
誰だ…誰だ?!
考えている内に相手は両手を上に上げている
「よし、それでいい…そのまま………」
近づいていくと…
「なにっ?!!」
凄まじい力で胸倉を掴まれ、上に投げ飛ばされる
一瞬にして、俺は1つ上の階にいた
部屋はピッタリ理事長室
体制を立て直すと、理事長と生徒会の3人
そして、傭兵の3者
案の定、生徒会はここにいた
「レ、レン教官…?!」
驚いている声で俺の名を言う出江
他のみなも俺の方を見ている
「出江、すまないが今は助けれねぇ」
「助けに来たんじゃ…?」
理事長室に空いた穴から、さっきの黒マントの人間が登ってくる
それを見て確信したのか出江は、黙った
「出江、とりあえずその傭兵を殺せ!」
「了解!」
俺の言葉と共に出江は戦闘態勢に入る
そして俺は俺で相手の目を見ている
いつ攻撃されてもカウンターを入れれるように
ついに相手は動き出す
相手は右でジャブを打ってくる
それを手のひらで受け力を地面の方に落とす
そして、左足でみぞおちを蹴る
綺麗に当たり、怯んでいる事が分かる
だが直ぐに、俺の頭目掛けて蹴りを入れる
足を躱し、片方の足を滑らせ転す
負けじと相手は寝転がりながら俺の足を滑らせる
俺は片手で地面を捉え、転ばずに体制を立て直す
相手は立ち上がり、ゆっくりと歩いてくる
急に歩き出す相手
なんだ?
そして俺が見えないようにぶつかってくる
?この身長差どこかで見た事あるような…
「っ!なぜ……」
相手の手のひらにはマギがたまっている様だった
そしてその手で掌底打ちをする
間一髪で掌底をマギでガードした
力と力がぶつかりあった事で大爆発のような事が起き、理事長室は約5割が削れていた
「出江、風通しがよくなったぞ」
俺は笑いながら、修理費用の事を考える
「いま、修理費用の事考えてましたね?」
「な、なんで分かった?!」
こりゃ驚きだ
「…そんなことよりですね…外にいますよ?」
出江に言われ、外を見ると相手が真ん中で棒立ちしていた
俺が生きると分かっているかのように
俺は足にマギをため、相手の目の前まで飛ぶ
「なあ、あんた何者だ?」
それに応えるかのように、ナイフを向ける
「なるほどな…知りたきゃ殺せって事か…」
正直言って多分今は殺せない…
何故だかそう思う…
「ナイフってな…素手じゃ不利だろ?」
相手の目を見て呟く
「そうだな…どこからかアーセナルである2年生が特性のナイフを投げたりしてくれないかなー…」
無駄に大きい声で早口で意味の分からない事をいう
だが1人だけ意味の分かるやつがいる
この言葉にそいつは反応した
ナイフがどこからか、投げ飛ばされそれをキャッチする
ヒルトなし、グリップは黒色の何かで巻かれていてとても持ちやすい
全長は24くらいといったところ…
マギをためると34くらいか…
ナイフを受け取った瞬間にマギをため、相手の攻撃を防ぐ
「受け取ってすぐはないぞ…」
相手と俺の間にはナイフが擦れあって火花が少し散っている
俺は空いていた腹に肘打ちをする
相手は怯み隙が生じる
追い打ちを掛けるように、頭に蹴りを当てる
相手は後ろに倒れ込む
だが直ぐに立ち上がりナイフを振る
右でストレートのようにナイフを刺そうとしてくるが、手首を掴み顔に肘打ち
仮面には少しヒビが入っている
「いける…!」
仮面を取れると思った
その時だった…
相手はその場でマギとマギを擦り合わせ大爆発を起こす
反応が少し遅れ、シールドを展開出来ず爆風に巻き込まれる
「1…2…3…4…5…6…7…8…9…10…」
「…んっ?…」
目を開けると僕を覗き込むような出江さんの顔があった
これを膝枕と言うのだろう
「お目覚めですか?ご主人様」
「君はそんなにふざけるキャラだっけか?」
「こんな風に呼ばれたら男の人なら嬉しいと聞きましたけど?」
「普通はな…僕は普通じゃないって知ってるだろ?」
「これから一生あなたにはこんな事言いません」
悔しがっている
「それで、僕が戦った相手は?」
「行方は分かってません、もう少しでしたのに」
「そうだな…」
あと少しだったのにな…
膝枕されていると足音が聞こえた
地面と近いからかとてもうるさく感じた
「きょーかーんー!!私のナイフどうだっ…え?」
足音の正体は、真島
どうやらナイフの性能を知りたいらしいのだが
今の状況を見て絶句している
「教官は、出江様とそんな関係だったのぉー!?」
僕はすぐさま起き上がり、否定する
「いや待て!違う!僕と出江さんは付き合ってるとかじゃないから!」
「私は…べ…別に教官とそんな関係でも…いい…ですわよ…?///」
目を逸らしながら変なことを小声でいう出江さん
「いや!ちょっと待って!何言って…」
「ふーん…」
ニヤリと笑う真島
これが修羅場というやつか…?
「ほんとにそんな関係じゃ…」
「これはいい弱点を持ったなー私は」
「ちょ、マジで違うってー!!!」