防衛軍幹部はリリィ達の育成をする   作:影病

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FOURTEENSTORY-善悪-

「……いい加減吐けよ、陸佐」

 

 

 

 

とある警察署で俺は取り調べ室に座っていた

あの後ここまで連行され今この様だ

 

ったく…俺が何したって言うんだよ…

あの金髪少女め…めちゃくちゃな嘘つきやがって

「なあ陸佐、ほんとにあんたがやったのか?」

「やってねぇだろ、そんな昔の事」

「…やっぱりか?」

やっぱり?どういう事だ?

まるで事件の真相でも知っている様だ

「その事件の容疑者を俺はこの目でみた」

 

 

「いや!じゃあ今すぐ言えよ!俺にはまだ仕事とか……」

「まあまあ待て待て」

俺が立ち上がり力強く言うとそれを押さえるように俺の肩を掴む

「俺もあんたを逃してやりたいけど…上のやつらが解放する気はねぇんだよ」

「どういう事なんだ?」

「多分、そのまま容疑がかかって死刑までに持っていくんじゃねぇか?」

「俺を殺すのが上の目的か?」

「多分な…」

 

 

 

 

 

沈黙が続く

相手は何も言わないでただ立っている

俺はこれから生きるか死ぬかを選んでいた

どっちにしても辛いな…

生きるならどこかで逃げなければならない

居場所も見つけないとな…

「なあ陸佐よ…お前はどうしたいんだ?」

どうしたい?…

そうだな…

 

「もし俺を殺すのが目的なら上を殺したいな…」

「いいのか?リリィ達には失望されるぞ?」

「もういい…あいつらも俺と関わっているのが辛いだろうし…」

 

「一回死刑執行されてみたらいいんじゃないか?」

刑事としては失格な発言をした

やべぇだろ

「執行されてみてからの反応を見たら?」

「いやいや俺の性質知ってるなら執行されたところでな…」

「その時は俺が止めてやるよ…そういう焦ってる時は目標を表に出しやすいのが人間だ、ま、それが目的じゃなくても助けるけどな」

流石刑事だ

「で、でもなぁお前はどうすんだよ?刑事だろ?」

「安心しろ、宛がある」

宛か…

「どういうところなんだ…?」

「そうだな…まあ今は人数が少ねぇんだけどお前が来てくれれば士気があがるだろう…」

「なんとなくは分かった……」

 

 

 

 

 

「死刑は来月くらいになるだろう、それまでゆっくりしとけ」

「ああ分かった成功するが分からんがな……ところであんたの名前は?」

「バージル、バージル・アートン、呼びやすい名で呼べ」

「バージルか……改めてよろしくなバージル」

「お前を見てると昔の俺を見ている気分になるよ…はは」

「…なんだよそれ…」

こいつ…なぜ俺なんかのために自分の位を捨ててまで助けてくれるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日から29日くらいが経った

俺は牢屋の中で過ごしている

暇だ、まさかこんなことになるとはな…

ごめんな…クロエ、育てることができなかったよ…

ごめんな…咲楽、まだまだ教えれることはいっぱいあったのにな

「よおレン元一等陸佐」

「その呼び方…俺の仕事はもうないって事だな?」

「おお!早いな……唐突だが死刑執行日が決まった」

改まった顔で目を見る

「明日の昼頃だ、覚悟しておけ」

「分かったよバージル…お前を信じるぞ」

「任せろ」

こいつを信じていいのかは分からない

だがどの道行ってもいい

最後は人を信じてもいいんじゃないか…

「言っとくが俺はレン、お前を見捨てる気はない…そこは安心しろ」

「胸に刻むぜ、その言葉」

「ふん…勝手にしろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死刑執行当日

冷たい空気

誰もいない通路

唯一いたのは防衛大臣だな

俺は縄がある部屋へと移動する

そして真ん中に切れ目がある床に立った

そこで俺は初めて気づいた

バージルの姿がない…

同じ部屋にいるのはトドメを刺すナイフを持った刑務官

「おいおい…俺死んじまうぜ……」

「何変なこと言っている?!とっとと首を入れろ!社会のクズが!」

言い過ぎだろ…

俺は縄に首を入れ考える

やっぱり騙されたかな…

 

 

 

そして合図もなしに床が開く

 

 

 

 

 

俺は死んだ

やはり騙されたのか…

でもまだ意識はある

よく言うよな

死んだ数秒はまだ意識があるって

そういえば俺、走馬灯見なかったな

それほどしょうもない人生だったなのか…

 

 

 

「…い…い…お…」

誰かに呼ばれる

それに反応し、目が勝手に開く

 

 

「おいおい大丈夫か?!」

目の前にいたのは返り血を浴びたバージルだった

俺はまだ生きている?

な、なぜ?!

「バージル…見捨てたんじゃ」

「そんな訳ないだろう!さあ!はやく行くぞ!」

バージルは持っていた刀で縄を切る

「そんな刀どこから…」

「ああ、俺はこう見えてもマギは使えるんだぜ、まあちょっとだけだけどな」

「それは頼もしい…」

「ほら早く!走るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺らは警報音がなる室内を全速力で走り抜けた

いつの間にか外に出ていた

 

 

 

だが外は地獄だった

「ちっ…やっぱり刑務官の特殊さん達は早いな…」

「バージル刑事!いますぐ離れてください!あなたを撃ちたくない!」

部隊のリーダーであろう人がバージルに向かって言う

「そんなお前のエゴでどく訳ないだろう?!こいつは俺の未来…いや

反政府組織のこれからを作っていく人間だ!」

「は、反政府?!」

「バージル!あんたそんなのに所属してたのかよ!まあ分かってたけど…」

分かっていたがまさか本当に刑事が反政府組織の一員だとはな…

 

「撃つしかないようですね…構えぇ!!」

一斉に銃を向けられる

「ここまでか…ごめんなレン」

「何言ってんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武器がいるんじゃない?」

ふと聞き覚えのある声がする

 

「そうだな…出来ればナイフがいいな…」

 

 

 

「真島!!」

俺は横から来た真島の質問に答える

「レン!あれあんたの教え子じゃ…」

「大丈夫だ!ヘリの手配をしてるんだったよな?それまで耐え抜くぞ!」

真島の方へ行きナイフを貰う

「ビックリしたじゃないか…なんでここに…」

「私は教官が正しいと思ってるのも!私も反政府に入るわ」

「いいのか?ミリアムが悲しむぞ?」

「グロっぴーは…政府に拉致られちゃったんだ」

「リリィを誘拐?!」

「そうなの…実験に行くって言って帰ってこなくてね」

まさかそんな事までしていたとは

「ついてくるか?!俺に!」

「もちろんよ!」

 

「レン・リエスタ教官!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでもありな日常

それは覚悟していた

だけどまさかこんなにもめちゃくちゃだと、疲れるな

 

 

「刑務官を舐めるなよ!社会のゴミ達がよぉ!」

さっきの態度とは急変し裏の顔を表した

「やるぞ、レン!」

「ああ分かってるよ!」

 

3人VS刑務官30名

負ける確率の方が圧倒的だが…

「1人10人、殺れよ!」

「了解!」

 

 

無謀な戦いが始まった…

 

 

 

 

 

 

 

次々に攻撃を仕掛けてくる相手

上手く捌きひとつひとつの行動を攻撃へと繋ぐ

銃を撃たれても上手く躱し、カウンターをする

「流石だなぁ!教官!」

「あんたもだ!刑事の癖して人を容易く殺すなんて!」

まさかまた人を殺す日が来るなんて

思ってもいなかった

 

 

「レン!そろそろヘリの到着時間!」

戦闘しながらも時計を見る

「退くぞ!」

殺してある人間からスモークグレネードを奪い

足元に投げる

 

 

 

「絶対に逃がすな!何をしてでも殺れ!」

(反政府組織に入られては私たちの野望が無くなってしまう!)

 

 

 

 

 

 

僕らはいた所から1km離れたビルにの中にいる

「急げ!追っ手がくるぞ!」

屋上まで足を運ぶ

下の階からは銃を発砲されている

 

 

「真島!先行け」

「はいはい!」

屋上まで登り詰めると真島を先に出させて

ハンドガンを撃って追っ手の数を少しだけ減らしておく

「何人いやがる!」

想像以上の数に若干焦りが出てしまう

「レン!行くぞ!」

一緒に発砲していたバージルは俺の肩を掴む

 

 

「乗れ!乗れぇ!」

もうヘリは目と鼻の先

後は走るだけ

ヘリからは銃を撃って応戦している人の姿が

「急げ急げ!」

俺とバージルは一直線に走る

しかし、数発流れ弾が来た

俺は左腕を撃たれる

ふと心配になりバージルの方である後ろを向くと

 

 

 

倒れているバージルの姿が目に入った

足から出血していて歩けそうにない

「バージル!!」

「行け!反政府を頼んだ!!」

バージルは自分の状況を理解し、ハンドガンを撃ち出す

俺は再び前を向いた

初めて人を見て涙を流した

 

ヘリはもう、少しだけ高度を上げていっていた

その為、俺はジャンプをした

上半身を乗せることに成功

先程応戦していたガタイのいい男に上半身を掴まれてヘリに搭乗する

 

 

搭乗して僕は涙を流した

バージルを助けられていたかもしれない

後悔と虚しさが同時に起こる

 

「あん時のクソガキはどこにいったんだ?」

応戦していた人間は俺に話かける

「あんた……どこかで……」

「覚えてるのか?そうさ、唯一俺がお前の首を締めた、反政府組織の人間さ」

涙を拭き顔を改める

「バージル主将はこう言ってたよ、レンみたいな奴がいれば俺は死ねる。しっかり言うこと聞いて政府を潰せって」

 

 

「今政府はリリィを使った実験、ヒュージの開発…どっちが正義か知らんが、これだけは分かる」

 

 

 

「お前はそんな政府が嫌いだ」

 

 

 

 

「そっちの女の子も政府の悪を知ったから反政府に来た、だろ?」

「そうだけど…」

「反政府にはそんな奴が一杯いる、そのトップはお前だ。レンさん」

目を見て話させる

「一緒に政府を潰して、リリィを正式な使い方をしての平和を握ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリは町外れのスラム街に着陸

「ここが反政府の人間が集まった街、通称、ラジアータ」

街中を歩きながら説明される

道中は痩せ細った子供、死んでいるのにも関わらず子供の死体を抱く母親

まるで戦後のよう

「ここには普通の生活を諦めたやつや、政府から追い出された追放者、元防衛省に務めていたやつから、貧困問題を抱えた家族まで、色んな人間がいる」

 

説明を受けながらも歩いていると急に男は立ち止まった

「ここが反政府組織の中心建築物、アイリス」

外見は錆びていておりドアも開きそうにないのだが

男はカードをスキャナーに当てて扉を開ける

自動扉で開く度に錆が落ちてくる

 

 

 

 

「ここがあんたの部屋だ、好きにしろ」

個室の部屋に案内される

普通の部屋で特に特徴はない

「一息ついたら上の階にこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くか…」

数分して俺はする事がなくなったので指定通り上の階にいく

「エレベーターもボロボロだなぁ」

錆びてはいないが色が剥げている

 

 

上の階に着くと真島と男の姿が目に留まった

「お、来たな!こっちだ着いてこい」

またしても彼が先頭になり歩き始める

 

 

 

 

道中でのこと

「あんた、百合ヶ丘の教官だったのか?」

「ああ、そうだが」

「言い難いが……いや言おう。反政府に入ったからにはもしかしたらリリィと戦う事になる」

言いずらそうに小声で発言した

「リリィは一応政府が正しいと思ってるから俺らとは敵対になっている」

「覚悟は出来ている…」

心配させまいと思い考えてもいない事を言う

「そりゃぁ助かるよ」

 

 

 

 

「メリア?入るぞ」

ドアの前で立ち止まった男は何者かの名前を言って自動扉を開ける

 

入っていったので僕らも一緒に入った

 

 

「お!その子が隊長?…ってこの人…」

相手は18くらいの女性

部屋の奥にとてつもなく大きいディスプレイ

他、PCモニターが4、5枚

「紹介するよ、俺の妹、アルストロメリア」

ニコっと笑い手を振る

「反政府組織の司令塔のような役割プラス色んな物の分析官」

「よろしくねー」

「そして俺の名前はアズラーイール、呼びやすい呼び方で構わない」

力強い握手を交わす

「レン・リエスタさんだっけ?防衛軍幹部のトップの人間で百合ヶ丘の教導官、そっちの人は真島百由、百合ヶ丘のアーセナル…凄い人達ねー」

ディスプレイに書いてある事を音読する彼女

「今日からレンには反政府組織の隊長を務めてもらうつもりなんだが……」

2人とも何故か黙り込む

「了承してしまえば後戻りは出来ないかもしれない…それでも隊長をして政府を潰すか?……」

後戻り…その言葉に引っかかる

出江さんや亜羅揶、イロハに一柳隊の全員

そいつらとはもう話も出来ない、会うことすらも出来ない

深く考えれば考えるほど悲しい

でもこのままならリリィは実験体にされるだけ

だったら別れより未来を紡ぐ方を俺は選ぼう

「反政府組織の隊長を俺はやる、一緒に潰して安心安全の未来を…」

 

 

 

 

その回答に驚きながらも

イールは俺の肩を強く握る

 

 

 

 

「ようこそ……反政府組織へ」

 

 

 

 




えー
半年間失踪してしまい申し訳ありませんでした
詳しいことは別の枠をとりますのでそちらを見ていただけると幸いです
本当に申し訳ありませんでした

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