防衛軍幹部はリリィ達の育成をする   作:影病

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SIXSTORY-感謝-

人は日々、感謝をしている

 

ご飯を食べる時は様々な生き物に感謝する

自分のミスをカバーしてくれたり、助けてくれたりする時に感謝する

人間は1日に沢山の生き物に沢山感謝している

僕だって色んな人に感謝している

親や、同期

でも僕はどちらかというと感謝される側の方が多い

なんでだろうな…

 

 

 

 

 

 

昨日の戦闘から一夜明け、朝の時

僕は知らないところで目を覚めた

白い綺麗な天井が目に入り

日光が窓から眩しいくらいとても入ってきている

そして鬱陶しいくらい、筒のような物が体に貼られていた

僕はすっーと起き上がり周りを見渡した

 

辺りに人はいなく静かであった

「どこだ、ここは?病院?」

僕の左後ろにあった機械をみて確信する

「病院だ」

 

でも何故僕は今病院にいるのだろう…

あの後僕は倒れて…

そっから覚えてないな…

何も覚えていない

「とりあえず、寝とこうかな…」

体もダルいし、頭も少し痛い

こういう時は寝るに限るな

 

 

「?足音?」

寝ようと体を元の位置に戻した瞬間

こちらに近づいてくる足音が聞こえた

「誰かくる…」

一応警戒をした

ここが本当に病院なのか分からない

 

数秒して、足音が止まった

ドアの下をみると影があった

「ここで止まってやがる…誰だ…」

ここで問うのはやめよう

相手が部屋に入ってきてからだ

 

そしてとうとう相手はドアを開けた

ゆっくりと静かに

心臓の音が聞こえるほど何故か緊張していた

 

緊張しながら僕はまず顔の方を注目した

 

「…?目覚めていたんですね」

部屋に入ってきた人は青髪の少女

制服を着ていたので百合ヶ丘では無いことは確かだ

少女と分かった瞬間にホッとした

警戒していた僕がバカバカしく思えてきた

 

 

 

 

 

ん?

この子どっかで見たことあるような…

でもなんで見た事あるんだろう…

百合ヶ丘の生徒以外は見た事ないような…

 

一生懸命に考えていると少女は僕のベットの近くにあった椅子に座った

 

「特に大きな損傷はないと診断されています、復帰は早くて明後日には出来るかと」

「あ、ああそうなのか…そりゃ良かった…」

明後日には復帰か…今の状況を知りたいがやめとくか

「あのーすまんが君って僕に会ったことある…?」

遠慮気味に話しかけた

「?会ったも何も、昨日助けてくれたじゃないですか」

「あれ?そうだっけ?」

記憶がない…

昨日僕は何をしてたってけ…?

「あなた、記憶がないんですか?」

「そうっぽいな…てか君は何者だ?」

「あ、すみません自己紹介を忘れていました」

大人だなー

百合ヶ丘の人間ではない

どこかの職員か?

「私は相澤一葉という者です、学院はエレンスゲ、所属レギオンはヘルヴォル、隊長を務めています」

「レギオンの隊長さんがなんで僕のところにいるんだ?」

「お見舞いです」

「そんな大切じゃないことをよくするね…」

「お見舞いだけではなく私たちはあなたに感謝をしに来たのです」

「感謝ね…」

感謝か、そんな大層な事しなくてもいいのに…

とりあえずこの子は帰ってもらおう

エレンスゲは確かヒュージと戦うことが目的、いつ任務が入ってもおかしくはない

「感謝の気持ちは嬉しいが君はエレンスゲの生徒、いつ任務が入ってもいいように今日は帰った方がいい」

エレンスゲがいないと僕らもヒュージにやられてもおかしくないしな

 

「任務の事ならご心配なく、今日は休暇という事でここに来てますし、ここは病院ですがもうすぐそこはエレンスゲですし」

「え?」

「?」

「いまなんと?」

「すぐそこはエレンスゲですが…」

ま、マジかよ…

帰るべき人間は僕だったか…!

 

不味い不味い…!

百合ヶ丘のリリィが心配で仕方がない!

「はぁ…」

「ため息をつきますと幸せが逃げますよ?」

「僕は幸せなんて元からないから安心して」

またも「はぁ」とため息をつく

どうしようか…

待てよ…何故この子は僕がここにいると知っている?

「て、てかさーなんで僕がここにいるって分かったのー?」

苦笑いしながら質問する

「分かったも何も私たちが運んできたので」

 

 

 

「ん?どういう意味だ?」

「貴方が倒れているところを私たちレギオンが見つけて運んできたって事です」

「待てよ、なんで僕を百合ヶ丘の方まで運んでくれなかった?!運んでくれたのは嬉しいけれど…!」

「何故ってここの病院が近かったからです」

「まじか…」

でもそんなには遠くないはず…

女性が運べる距離だ…

いや待てよ

エレンスゲは確か東京…

百合ヶ丘はというと…

 

 

 

「神奈川の鎌倉…」

程遠い…遠すぎる!

どういう事だ…

頭の整理が追いつかん

と、とりあえず今はこの子から情報を提供してもらおう

「ひ、1人で僕を運んできた…の?」

「いえ違います、私たちレギオンが…」

 

 

「!?誰だ?」

相澤が発言している途中にドアを開ける音がする

 

発言をやめ2人とも警戒する

「ノックもなしで入ってくるとはな…」

 

ガラガラとゆっくり音がなり、ゆっくりドアが開く

 

数秒後にはドアが完全に開いた、が

「誰もいない…?」

通路には誰もおらず、ただ音が聞こえるだけ

よく耳を澄ます

ドアの前に誰かいるか確認をしていた

しかし音は何も聞こえない

「相澤、すまんがドアの前を確認してくれないか?」

「分かりました…」

相澤は恐る恐るドアに近づく

そして僕は引き続き耳を澄ます…

 

 

「!?」

横から足音が聞こえた

僕の横は特にないが外の空気を吸えるベランダ的なところがある

その上らへんから音がする

「カッカッ」と歩いている音だ…

 

「相澤!何かいたか?!」

「いいえなにも!」

僕は相澤の方を見ながら問う

「じゃあやっぱりこっちに……っ!?誰…!」

「?!教官!」

 

 

 

 

 

 

「ぐ、ぐぅ痛いー!!」

 

 

 

 

窓から出てきたのは1人の少女

その少女は僕を床に座りながら睨んでいる

 

睨み合っていると相澤が駆け寄ってきた

 

「ら、藍!なんでそんなところから!?」

「一葉ー!この人に殴られた〜やっぱいい人じゃない〜!」

「あ、相澤知り合いか?」

「は、はいヘルヴォルの隊員です…一体あなたは藍に何を…」

「窓から出てきたら地面に叩きつけられたー!」

「すまんすまん!てっきり敵かなんかと思って…」

「防衛軍幹部って怖いですね…」

「相澤、誤解するな!」

「防衛軍はこわーい!」

ニコニコ笑いながら言っている

弱みを握られたような感覚だ

 

 

足音がしたのでドアの方を見ると3人エレンスゲの生徒がいた

 

「どうしたのー?一葉?何そんなにザワついてって…えー!!起きてるー!」

急に距離を縮めるエレンスゲの生徒

「いや僕はそんなに重症じゃなかったから起きていてもおかしくは…」

「ほんっっっっっっとに助けてくれてありがとうございました!」

至近距離で感謝を述べられた

「相澤さん…僕本当に昨日何をしたの…?」

苦笑いしながら相澤に聞く

 

すると相澤は自信満々な顔をしながらこう言った

 

「"リリィ助け"です!」

 

 

 

 

 

 

 

僕が目覚めてから早2日経った

「そろそろ退院だなー」

やっと退院できる

百合ヶ丘のみんなが心配だったがやっとその気持ちも取れる

 

僕がぼっーとしているとドアがノックされた

「相澤です」

「入ってどうぞ」

名前を名乗り知っている人物だったので許可した

「どうした相澤?退院を祝いにでも来たのか?」

「それもありますが今回はもっと重要です」

「なんだよ…そんなに改まって…」

何か嫌な予感がする…気のせいだといいが…

「率直に言います」

「ああ」

 

 

 

「エレンスゲ女学園の教導官になって欲しいです」

 

 

 

 

 

嫌な予感が的中したな…

「何故僕が教導官を?僕は百合ヶ丘の教官なんだけど…」

「それは重々承知しています…ですがエレンスゲをもっと強くするにはあなたのような何事も守れる人が教官をするしか無いのです…」

「随分と申し訳なさそうだな」

「はい…私もそれほど頭はおかしく無いので…」

困ったな…百合ヶ丘かエレンスゲか…

正直こいつらを育てた方が人類の生存率は上がる

だがここで百合ヶ丘を捨てる訳にもいかない

 

どうしたもんか…

 

 

 

 

 

 

 

「分かった、"君達"を育ててやる」

「!!ありがとうございます!では学園に…」

「おいおいちょっと待てよ」

「え?なんでごさいましょうか」

「誰も学園"全員"育てるとは言ってねぇよ」

「ではどういう意味が…」

「"君達"…つまりヘルヴォルだけを育てる、という意味だ」

「な、何故私たちだけを…」

「僕は2つのガーデンの生徒全員を育てられるかと言われたら無理になってしまう、だが1つのレギオンなら簡単だろうと思ってな」

相澤はとても驚いた顔で止まっていた

 

 

「これからよろしくな、相澤…いやヘルヴォルさん」

「はい!」

 

 

 

こうして僕はある1つのガーデンのレギオンを育てることになった

これからどうなるかは分からないがこのレギオンをそだてれば人類の生存率も上がるだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

退院してから3日が経った

僕は山のあるところで人達を待っている

「……」

遅い…遅い!

どれほど待たせる気だ…

予定時刻より8分28秒37も遅れている

 

 

「すみません…!教官!遅れてしまって…」

数秒後に人が来た

「遅いぞ相澤!何をしていた?約8分30秒も遅刻するとは…どういう事だ?説明してもらおうか…!」

「す、すみません!じ、実は…訓練をする事を…忘れ…ていて…」

どんどん小声になっていく一葉

「いきなり思い出して…用意に時間が…かかってしまって…」

「はぁ…いいか相澤…今回はもう見逃してやる、忘れているのは仕方ない…今後このような事が無いように対策を取れ」

「!ありがとうございます!」

「そういえば相澤1人で来たのか?他のメンバーはどこに…?」

「みんなまだ準備をしてまして…私が急に言っちゃったものだから…」

「なるほどな…」

相澤一葉、学園内では色々と1位だがたまにヘマをする

これが今なっているヘマか…

人間完璧じゃないって事だな…

「とりあえず相澤はあそこの家で訓練の用意を、僕はここにいる」

「家?あなたの家なのですか?」

「昨日、買っておいた」

「す、凄いですねぇ…」

「どうでもいいからはやく用意を」

「了解!」

駆け足で家に入る相澤

家に入った直前に声が聞こえた

「教官ー!遅れてすみませんー!!」

「遅いぞヘルヴォル…今相澤があの家で訓練の用意をしている、君たちも用意を」

「「「「了解!」」」」

 

 

 

 

「全員いるな?」

「はい、います」

「では訓練を行う」

「今日は何をするのでしょうか?」

「今回は対人戦闘をする」

「対人?意味はあるのですか?」

「前の戦闘でもいたが今人型ヒュージの出現率がupしている、それを想定した訓練だ」

「対ヒュージはやらなくていいのー?」

「君達はヒュージとの戦闘は他のどのガーデンよりも優れている、実施してもいいが人型ヒュージにやられるだけだ…なので今回は対人戦闘を行う」

 

 

 

 

「対人ではこんなに長い武器は不利になる、なので今日はこの木製の短刀を使って訓練する」

「不利?あなたはあんなに使いこなしていたのに…?」

「僕は対人戦闘のプロ、いくらこんな大剣を振れても隙が生じて死ぬ確率が上がる+疲れるしな」

僕は5人に木製の短刀を配る

あの人数での戦闘はチャームは使い物にならない

短刀の方がよく振れて隙がない

「短刀のチャームはまた工廠科にお願いする、完成した際には君たちにも報告する」

「今はこれで訓練ですか…」

「本物をご所望か?」

「いえ、そんな事ではないのですが」

「何かあるのか?」

「その、私たちが慣れている武器での戦闘の方が有利なのではないかと思って…」

「…確かにそうだな…じゃあ確かめてみるか?」

「はいはーい!藍やりたーい!」

「いい勢いだ…では僕と佐々木でやる」

「わーい!わーい!」

とても喜んでいる佐々木

僕らはお互いに距離をとった

「ルールは簡単だ、僕は素手でいく佐々木は僕にチャームを少しでもあてたら勝ちだ」

負ける訳がない

「ちょっと待ってください!あなたチャーム所持のリリィを相手にしてるんですよ?死ぬに決まってます!」

相澤が僕の前に出てくる

「安心して、僕は"死なない"から」

死のうとしても死ねない…それが僕だ

それに僕はほぼ毎日リリィ達の訓練をしている

相手は大きな剣だ、人にはそんなの通用しない

「相澤、スタートの合図を」

「…分かりました、いきますよ?よーいスタート!!」

合図と共に一気に距離を詰める佐々木

「無駄なのにな…」

 

 

 

 

 

「?!藍!!」

「いたーい!いたーい!」

「強くやりすぎちゃったかな…」

佐々木は地面に倒れている

その近くには相澤がいる

とても心配している

「一体何を」

「ただ投げ技を仕掛けただけ」

「そうには見えませんでしたが…」

「一つ一つ解説していくと… まず佐々木は僕一直線にチャームを刺そうとしてきた、だが僕はチャームを持っている手を左手で止め顎に掌底を打った直後に足を掛けて地面に転ばせた、ただそれだけだ」

手順だけでは簡単だ

それを体に馴染ませるのが難しい…

だから日々の訓練は大事なんだ

「これで分かって貰えたかな?人には大剣、デカいものは通用しないって」

「凄い…凄すぎる…改めて感心してしまいました」

「これから訓練をやっていけば君たちもすぐに出来るよ…」

防衛軍の時と一緒だな…

生徒に教えていい生徒をつくる

 

 

何がいい生徒だ…

 

結局みんな政府の判断で死んでいった…

 

こいつらもいつか政府の判断で死ぬのか…?

こいつらの絆や命はどこにいくのだろう

 

「教官?何か考え事ですか?」

「あ、いやなんでもない相澤、ちょっと昔の事を思い出しただけだよ

君達のような光ある目をした人達をね」

 

「どゆことー?藍分からなーい」

「なんでもいい、訓練を続けるぞ」

手を差し伸べてその手を佐々木が受け取る

 

 

 

「!?」

手と手が合わさった瞬間に妙に嫌な予感がした

昔の事を思い出した

 

佐々木ってどこかで聞いた事あるとは思っていたが…

「奴だ…奴だ…」

僕の声は腰抜けた臆病な声だっただろう

「教官?どうされましたか?」

相澤が視界に入る

だが僕は相澤を押し退け佐々木に近づく

「藍!君の身内に戦場で行方不明になった者はいるか?!」

「……」

「……やはり言いたくないか…すまない変な事を聞いて…」

僕は佐々木から目を離した

心を落ち着かせようと景色を見ようとすると

「お母さん…」

「なんだって?」

「だからお母さん…」

 

「!!良く言ってくれた佐々木…感謝する…」

佐々木藍、どこかで感じたことのある人情

戦闘が好きなリリィ

 

 

全てが繋がった…

そうだあの時、僕が戦ったのは…

佐々木藍の母である…

 

 

 

 

 

 

 

「気づいたのか…レン…」

どこかの山の麓でニヤリと笑う女性

真横にはチャームが刺さっている

「久しぶりの戦いになりそうわね」

とても喜んでいる様子

白髪でポニーテール姿の女性

髪色は佐々木藍と似ている

 

 

 

 

 

僕のメイン任務はリリィ育成なんかじゃなかった…

「悲しい再会になりそうだ…」

佐々木藍の母親である佐々木燐を殺すことだ

だからあの人は僕の配属先をここに…

 

 

 

 

 

 

「教官!どうされたんですが?!」

奴の事を思い出した瞬間にいきなり頭が痛くなる

痛かったのでおさえていると相澤が心配してくる

「あ、すまんすまん嫌な事を思い出した…」

詳しくは話さないがとりあえずその言葉で流した

 

「教官、体調がお悪いのでは?」

「そうかもな…」

「今日の訓練は中止しましょう」

「私もその方が良いかと…」

「すまないが今日はこれにて終了とさせてもらう、集中が出来なくてな…自己勝手ですまんな…」

「いえとんでもないです…慣れない環境での生活はやはり体に負荷がかかる物ですね…」

 

「百合ヶ丘に戻らないと…」

息がどんどん抜けていく

しんどくてもアイツらの心配をしてるなんて

僕も馬鹿だな…

 

 

「私がバイクで百合ヶ丘まで教官を運びます!」

「ちょっと一葉?正気?!」

「はい恋花さま、こうなったのも私たちがここに運んできてしまったからです、なので私が責任もってお送りします」

何を言っているのかさっぱり分からないが僕を百合ヶ丘まで送るとかなんとか…

「行きましょう、教官!」

僕の手を掴みやや強引気味に引っ張って走る

 

 

 

「一葉ー!ちょっと……行っちゃった…」

「ここは任せましょうか」

 

 

 

「教官!乗ってください」

「分かってる…」

ダメだ奴の事で頭いっぱいだ

頭痛のせいで反応が鈍くなってやがる

これも奴が何かやったのか…?

 

 

僕はバイクの後ろに跨りバイクをしっかり掴む

「準備出来ましたか?」

「……あ…出来ている」

親指を立てながら発言する

「教官本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」

頭痛はどんどん酷くなっていくが相澤に心配をかけさせたくない…

 

 

そしてバイクはエンジン音を出して勢いよく出発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発してから20分程経っただろう

何も考えられなくなってきた…

「はぁ…はぁ…」

息遣いも荒くなってきた

しんどいな…

「教官?!生きてますか?!」

「なん…とか…」

ヤバい…なんでだ?

なんでこんなにも急に…

 

「ぐっ…く!!…」

いきなり頭が「キーン」と痛くなっていく

「クソ!…野郎め…」

とても頭が痛い…

過去最高だ

 

頭痛が激しくなっていく

「キーン」という頭痛は治まりつつあると思っていたら

 

 

どこからか声が…

 

 

 

「ご機嫌いかが?久々ね、レン・リエスタさん♪」

佐々木の母、燐の声だ

とても上機嫌の様子だ…

 

 

「はぁ…どこにいやがる…」

辺りを見渡す

だが人はどこにもいないし、バイクで走行中なのに声が聞こえるのはおかしい

「教官!どうかされたんですか?!」

「独り言だ…気にせず走ってくれ…」

「了解!」

 

 

「あらあらお仲間さん?」

「てめぇに教える訳ねぇだろ…」

ダメだ、どんどんと体がダルくなっていくし

頭も痛くなっていく

「随分としんどそうね」

「前もやってきただろ…」

「前って随分と前の話ね」

「そうだな…まだあんたがもうちょい若い時だな…」

「そんな状況でも悪口を叩けるのは変わってないわね」

「事実だろ?2年前はあんたは33…ってことはあんたもう35か」

「もう死にたい?」

「ふっ…僕を殺せるのか?君ごときで…」

佐々木燐

僕がまだ17、防衛軍に入隊したくらいに戦った相手である

唯一僕が恐れている人間…いやリリィか

こいつには1度殺されたが追撃はしてこなかったので完全に死には至らなかった

「あんたの性質、よーく分かったわ、この2年間で」

「そりゃ楽しみだ…いつか戦える日を待ってるよ…」

「あらあら、私一言もまた今度とは言ってないわよ?」

「今日殺りにきたのか?」

「もちろん♪」

「来ていただき申し訳ないが、今日はあいにくの体調不良でな…さっさと僕から離れてくれないかな?」

「なんで近くにいるって分かってるの?」

「影で分かってるんだよ…」

「分かったわ…今日は見逃してあげるわ、大人の余裕ってやつ♪」

「ババアがそんな事言うとキツイな」

「気が変わったわ、今日戦いましょ」

「冗談だ…綺麗なお姉さんは僕の事を見逃してくれるよな?」

「そこまで言うんだったら見逃すわよ…次あったらやり合いましょ」

「それまでに死ぬなよ?」

「あんたもね」

 

 

 

話し終わった瞬間にだんだんとしんどさが無くなっていった

「相澤、もう着くか?」

「あと数分です!体調の方は?!」

「君の声を聞いて元気になった、引き続き運転を頼む」

「りょ、了解!」

 

またあいつと喧嘩か…

2年前に殺しとくべきだったな

実力が無かったから殺せなかったんだけどな

 

 

 

みんながあいつとヒュージに殺されて

僕だけ火に囲まれる中、奴と戦って

1度殺されて…

思い出すたび思うよ

 

「最悪だってな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教官!百合ヶ丘に到着しました!」

「ありがとう相澤…運転ご苦労様でした」

 

「あ!レンー!おかえりー!お姉ちゃん心配したんだよー?」

「ちょ、抱きつくのはやめろ!人がいるんだ」

飛びついてくるイロハを退ける

「ありがとうな相澤…ってもうこんな時間か…」

時刻はもう21時…

「相澤をもう一度運転させる訳にもいかないしな…」

「あ、私なら大丈夫ですよ」

「大丈夫であってもな…」

「あ、私が行こうか?!付き添いって事で!ほら私飛べるじゃん?!」

「そうだな…別に教官であるこいつが死んでも誰の責任でもないし…よし相澤の付き添いでエレンスゲまで行ってくれ」

「了解!」

「本当に大丈夫ですから…」

「遠慮しないしない!」

「相澤、今日はありがとうな…また明後日にはそっち行くよ」

「はい了解しました!」

「え?なになに付き合ってるのー?」

「僕と相澤はそんな関係じゃない」

「そうよねー亜羅椰ちゃんがいるのに付き合って…」

僕は咄嗟にこいつの口を抑える

今ここで言われると色々と誤解を招く

「え?教官がなんて言いましたか?」

「いやなんでもないよ相澤、と、とりあえず今日はありがとう」

「いえいえ、こちらこそ今日はあなたの凄さを知れて嬉しかったです」

「なら良かったよ…ほらとっとと行け駄目姉が!」

「はいはい分かってますよー!行こうか相澤ちゃん!」

「はい!それではごきげんよう!」

一礼してバイクに跨り出発する

 

 

 

 

「また対策しないとな…奴の対策…」

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