人は皆獣なんじゃないの?正体見たり!って感じだな   作:散髪どっこいしょ野郎

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全ての上位者は赤子を失い、そして求めている
催眠おじさんもまた、その例外ではなく
穢れた血が、神秘的な交わりをもたらしたのだろう








ヤーナム聖堂街

「ごほっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ。

……ああ、私のことは、もう気にしなくて構いません。もう、お役に立てることもないようです。

最後に、これを」

 

ヨセフカの診療所を出てから長い梯子を登って直ぐの家には、重病人ギルバートが住んでいる。

 

彼はかつて血の医療を求めこのヤーナムへと足を運んだのだが、今や立つことすら叶わず寝たきり生活を送っていた。

 

そんな彼が狩人に渡したのは火炎放射器。

 

《こりゃスムースに獣狩りできそうだ》

 

茶化しながら受け取るが、狩人は彼のことをそれなりに心配していた。

 

「結局、私には無為の品でしたが、あなたなら違うでしょう。ごほっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ。

……これは不治の病、一縷の望みでこの街を訪ね……怪しげな血に頼ってでも、今まで生き長らえたのです。

もう、十分ですよ。むしろ、獣の病に罹らぬことを、感謝しています。

せめて、人のまま死ねるのですから……」

 

ギルバートはそう言うが、本音は彼ももっと生きたいはずなのだ。しかしいくら催眠でも不治の病を癒す程のトンデモ能力は無い。

 

《本当に誠心誠意死んでもいいと思ってる?

その言葉を聞くとそうは思えねぇな》

 

「……」

 

出会って間もないとはいえ自身に助言を送ってくれたのだ。少なくともゲールおじいちゃんよりかはよっぽど有意義な情報をくれた。

 

とはいえこのままではどうしようも無い。狩人は名残惜しそうにその場を立ち去った。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

《忍耐と美脚と美貌といつも見惚れてるよ

心技体と鍛えているだけあるよね》

 

「ああ、あんたかい。丁度いい。警告があるのさ」

 

《ウサギと亀》

 

ヤーナム聖堂街、オドン教会を出て直ぐの所にいたのは烏羽の狩人、アイリーン。

 

敬愛するババアに再会できたことで狩人のテンションはそこそこに上がっていたのである。

 

「聖堂街、オドン教会の地下墓には近付くんじゃあないよ。ヘンリック……古狩人が正気をなくしている。あれは、私の獲物さね……」

 

《今から狩りするのに行かないわけないだろ痴れ者めが。ズルい女》

 

ババアの目的は狩人狩り。血に酔い正気を失ってしまった狩人を殺すことである。故にババアはめっぽう強い。初見で挑んでやられた者も少なくないだろう。

 

しかしそれ以上の難敵となるのが件の古狩人、ヘンリック。

 

彼はガスコインの相棒であり壮年を過ぎた立派なジジイなのだが、殉職率がでら高い狩人業を行いながらも強者故に死に場所を得られなかったという激強狩人なのである。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

「オ゛ッ♡?ァっ!♡アァッ!♡」

 

《絶世の強者

芸術品のような戦闘技術

一方性根は猥褻

さすがの僕も呆れ返るまでよ》

 

「……なんてことだい」

 

薄暗く死臭と埃の満ちたオドンの地下墓にて、絶賛○かされ中なのが古狩人ヘンリックであった。

 

彼は静かな狩人であり、死ぬ時もしくは攻撃を受けた時以外は声を出さない。

 

静かな子程本性は淫猥という──エロ漫画での──ジンクスの通り、やはり彼の根っこの部分はドスケベおじいちゃんなのであった。

 

《おいテメェの『内臓攻撃』巧みすぎて思わず『神秘』引っこ抜かれたんだが?ありがとう。謝罪は?》

OJT(獣狩りの夜)で学んだだろ

10回感謝の言葉を述べながらアク○しろ》

 

「うひィィィッ♡♡○゛グッ♡うお゛っ♡」

 

《うお……ッ、『地下墓』と『大橋』の『灯り』にかけてベロベロと肉厚の『先触れ』で『パリィ』回されて……っ!

あのヘンリックがこんなお下劣な姿を見せるとは……。見下げたマゾヒストだな恐れ入った

これは『変形攻撃』も収まりませんわ》

 

「ふ、ふぁい……っ♡

ありがとうございます……っ♡」

 

「…………」

 

アイリーンは完全に言葉を失っていた。

 

歴戦の狩人であり古い知り合いの寡黙ジジイが目の前で新米(廃人)のおっさんに○篭めにされている気分はどうだ?感想を述べよ!

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

「……あんたも随分とやるもんだね。まさか本当に狂った狩人を治しちまうとは……」

 

「…………」

 

《しかしこの『仕込み杖』を執拗にしゃぶりあげてくるのはなんとかならんのか》

 

先程の乱れっぷりが嘘のように沈黙を貫くヘンリック。

 

狩人が行ったのはあくまで催眠。完全に正気を取り戻させる効力は無い。しかし濃密なchinの遺志を流し込み共に育むことで新たな理性を確立させたのだ。

 

「さて、狩人狩りはあたしの役目かと思っていたが……あんたならもしや……ね。だが、あんたの役目は獣を狩る事だ。あんまり手を汚しちゃいけないよ……」

 

手を汚すが全く別の意味合いになってしまったが元々狩人狩りは彼女の責務であり、彼がわざわざ首を突っ込む問題では無い。

 

実際催眠が終わった後は見てくれがかなりおぞましいことになっており、おっさんとおじいちゃんが『神秘』塗れになるというとんでもねぇ光景が展開されていたのだ。

 

だからアイリーンは忠告したのだ。血に酔うな。狩りを全うしろと。

 

《すべての人間は

生まれながらにして

○クメを欲す》

 

……それが届いているかどうかは別として。

 

その後はヤーナム市街へ足を運び、安全な場所を探すおばあちゃん、そしてガスコイン家族をオドン教会へ迎え入れた。ヘンリックとガスコインはオドン教会の門番的役目に就くこととなった。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

アメンドーズは困惑していた。

 

アメンドーズは上位者である。常人には決して見えないが、ヤーナムの至る箇所で何をするわけでもなく建物に張り付いてただ時を過ごしている。

 

現に今、オドン教会にもその一匹が張り付いており、よく分からないブラックホールのようなものを発生させていた。これに掴まると人間は握りつぶされ、発狂する。発狂すると身体中から血を吹き出し大ダメージを受けてしまう。

 

だというのに、先程から一人の人間が執拗に自分の手に突っ込んでくるのだ。その度に発狂させてわざわざ地面に降ろしてあげているというのに、またしてもその人間は自分の元へやってくるのだ。

 

《自分のガリガリボディを形作る啓蒙で指先をぐいぐいと押される気分はどうだ?因果応報とはこのことなんだな》

 

あとさっきからずっとなんか喋ってる。

 

アメンドーズは上位者である。人語が理解できないわけではないのだが、この狩人の宣うことは全く理解が及ばない。

 

加えてなんか体に違和感を感じている。この人間を握り潰す度ジクジクと増えていく。なんと表すべきだろうか……強いて言うのであれば、そう、

 

────快感だ。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

《細指に押し潰されて体格の形変わる……

くつろいだわ》

 

彼は上位者『アメンドーズ』に握りつぶされながらも少しづつ催眠をかけ、何度も意思疎通を図っていた。少しばかり頼みたいことがあったのだ。

 

ヤーナム市街と聖堂街の比較的まともな住人は皆まとめてオドン教会へ避難させた。その中の一人、『娼婦アリアンナ』に関する問題点があったのだ。

 

このヤーナムでは至る箇所で姿なき上位者が蠢いている。それは教会内とて同じこと。

 

上位者『オドン』。この世界ではフレーバーテキストにて僅かばかりしか語られない為、脳に瞳を得た狩人(考察勢)以外気づくことすら無い。

 

だがしかし奴を放っておけば前述の娼婦、アリアンナが異形の子供──恐らくオドンの子なのだろうが情報があまりにも少ないため定かではないというか考察見ても全然分かんない──を孕まされてしまうのだ。

 

要するに上位者オドンは狩るべき対象というわけだ。

 

が、殺そうにもオドンは姿を一切見せない。正体すら酷く曖昧であり、刃が通る相手かどうかも分からない。

 

そこで頼ったのが丁度そこにいたアメンドーズくんなのである。目には目を歯には歯を、上位者には上位者をということであるのだ。

 

《おいもっと『神秘』でねちゃねちゃにせんか!

血と発狂の潤滑油》

 

「………………」

 

アメンくんは厳として応えない。それでも狩人は諦めない。何度発狂しようと、何度死にかけようと全身から噴き出すchinの遺志を支えに立ち上がり続けた。

 

そしてとうとう────

 

《全身ガリガリ骨太で気持ちいいよ♡

甘ったるい発情臭がくせぇんだよ。たまらんわ》

 

「……■■■■■■■?」

 

とうとう、彼は上位者と言葉を交わすことに成功したのだ。ちなみにアメンが言っているのは「さっきからなに?」という内容のことである。

 

彼がかけていた催眠は快楽によって思考の次元を落とさせる。そこでアメンドーズの思考や理性を人間レベルまで堕落させることで会話を可能としたのだ。

 

だとしてもこれで問題が解決したわけではない。いくらアメンドーズが上位者といえどオドンに介入できるとは限らないからだ。

 

話は少し変わるが、この世界には『狩人の悪夢』、という場所(DLCエリア)が存在する。

 

どうすればそこに行けるのか?至って簡単である。

 

大聖堂にてとあるボスを倒す→狩人の夢にて『血に酔った狩人の瞳』を受け取る→オドン教会に張り付いているこのアメンドーズに握り潰される→狩人の悪夢到着

 

という手筈だ。

 

そこで注目すべきが握り潰される、という手順だ。

 

現実の聖堂街から悪夢に移動する、つまり現界している肉体を曖昧なものとし、現世と幽世の境界線を限りなく薄れさせ────一時的にオドンと近い存在になれるのではないか。

 

彼はここに目をつけた。キーアイテムは持っていないため悪夢に行くことは叶わないが、自身の肉体を薄れさせることで姿なきオドンを狩ることができるのではないか。少なくともアメンドーズにはその力がある。

 

《白い『神秘』お○○ししたいよぉ〜♡オドンとキスしたいよぉ〜♡俺を薄れさせよ》

 

「■■……■■■■……」

 

アメンくんはあまり乗り気ではなかった。藪から棒にこんなことを頼まれてはい分かりましたと応えてくれる方が異常だ。上位者の時点で異常なのだが。あるいは、まともであることの、なんと下らないことか。

 

「■■■■?■■■■■■■?」

 

そもそも何故そんなことが分かった?その問いも尤もだ。この世界にはオドンについての情報が少なすぎる。記憶を失っている筈の彼が、何故気取ってみせたのか。

 

《分かっちゃうよおじさんエスパーだから

上位者エスパー♡》

 

「────■■■!■■■■■■!…………■■■■■■■■■■?」

 

《ピスト○一回につき三万だぞいいのか!?》

 

どうやら気に入ってもらえたらしい。ただやってあげる代わりに見物させてくれと頼んできた。が、何はともあれ、彼は上位者の協力を得ることに成功したのだった。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

『…………』

 

上位者オドンは、教会内に避難してきた女を品定めしていた。誰が自身の子を孕ませるにあたるか、誰なら子を産めるだろうか。

 

孤独な老婆……却下。

 

この老体では赤子に栄養が行き渡らない。

 

リボンをつけた幼女……保留。

 

この幼体では少し不安だが子宮が使用可能であればやれないことはない。

 

赤い服を着た女……採用。

 

程よく熟している。娼婦であるなら身篭ることも経験済みだろう。

 

そんな冒涜的な謀りをしていたオドンであるが、それも唐突に終わることとなる。

 

《だめだこりゃ

孕ませたがってるな

頼むから死んでくれ》

 

『■■■■■■!?』

 

現れたのは一人の狩人。自分を認識している。何故?

 

《ムチムチしすぎでしょ

どんだけ『狩り』を欲してたの?》

 

『■■■■■■……!』

 

抵抗しようにも組み敷かれて動けない。身を隠すことに能力を全振りしていたオドンでは朧気な人間にすら抗えない。

 

《ほんとはおどんちゃんも俺の子妊娠したかったんでしょ。死ねよ》

 

『■■■────あっ?♡!♡』

 

戸惑いと混乱で支配されていたオドンの思考回路が、徐々に快感で染められていく。

 

皮肉な話である。孕ます側の上位者が、人間によってメスイ○させられているのだから。

 

《あっ俺が○く前に勝手に○クメしやがってふざけんなよお前殺すぞ》

《入れた途端にアク○するとはスケベすぎて呆れるわ。お前竿役(エスティシャン)失格だよ》

《こんなん子○りしないと無礼でしょ……》

 

『き、キミは威勢がいいから……♡特別に生ハ○課外啓蒙してあげる……♡』

 

《テメェが○ック○したいだけだろ》

 

『ん゛お゛っ♡♡お゛お゛お゛お゛お゛〜〜ッ♡』

 

気休め程度の抵抗すら能わず。オドンは、無様に、それはもう無様に、ムッチリと、ムチムチと、その魂を震わせる。

 

《まだ中ほどまでしか入ってないよ

何○ってんだクソ上位者野郎がよ》

 

『おいっ♡やめう゛っ♡離せェッ♡』

 

《こんな男に媚びた下品な身体してるからだよ

自己中野郎》

 

『お゛っ♡死ぬっ♡助けっ♡♡死にゅうっ♡』

 

《うお……!また射○るぞ……!

礼儀正しく受け止めろっ!》

 

『僕ちゃん♡お射○できる♡ゆっくりたんたんで気持ちよく○ゅっぴ○できる?』

 

《あぶぅ♡上位者様ママになれてるぞ

『夜空の瞳』カリカリしながらイけ!》

 

『うあ゛……ッ♡ぐあ゛あ……ッ♡があ……っ♡』

 

「■■■■■■■■■……!」

 

その光景を、アメンドーズは表情の無い貌でゲラゲラ笑いながら観察していたのだった。

 

 

YOU HUNTED

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

さて、無事オドンを無力化し一度自害することで再び実体化した狩人であるが。

 

どこに行けばいいかさっぱり分かっていなかった。

 

それもそのはず、ヤーナム市街とここ聖堂街は初見だと非常に迷いやすい。アメンドーズとハイタッチして別れた後は教会内で幼女と戯れたり執拗に疑う男を弄ったりアリアンナさんに血を頂いたりしていたのだが、本来の目的は見いだせないままだった。

 

すっかり歩き疲れてしまった狩人は一旦狩人の夢に戻ることとした。

 

「今宵は月も近い。獣狩りは、長い夜になるだろう。もし獣が君の手にあまり、大きく恐ろしいのならば、聖杯を求めるとよい。

かつて多くの狩人がそうしたものだ。

聖杯は神の墓を暴き、その血は狩人の糧になる。

……聖体を拝領するのだ……」

 

《何いってんだ新人狩人に聖杯なんか行かせて

何させるつもりだ?こわっ、悪魔かよ》

 

別に全然困ってないどころか既にマラソン用*1の聖杯ダンジョンが開かれていたのだが狩人がそれを知ることは無い。

 

「聖杯の多くは、神の墓そのものにあり……

地上に持ち帰られた聖杯は、ごく少ない。

その行方も分からないものばかりだが……

懐かしい狩人たちの話が、今もそのままであれば、聖杯の1つは、谷あいの市街に祀られているはずだ。

だが、今やそこは……

獣の病が蔓延し、棄てられ焼かれた廃墟、獣の街であると聞く。

……狩人に相応しいじゃあないかね」

 

《大概にしろ!

こんな曖昧アドバイスで助言者気取ってるとか諸先生方に申し訳が立たんよ

間近で見るとお顔がとんでもなくいいな……》

 

なんのかの言いつつもひとまずはその市街へ行くことに決め込んだ狩人。早速行こうと思い聖堂街の灯りに飛ぼうとして────思い出した。

 

そういえばまだ一度も人形ちゃんを使っていなかった。確か血の遺志を消費して力とするのだったか。

 

────chinの遺志は、使えるだろうか?

 

「わかりました。では、遺志をあなたの力としましょう。少し近づきます。目を閉じていてくださいね」

 

いつも通り狩人を強化させようとした人形ちゃんだが──ここで、異変が生じる。

 

「…………っ?」

 

《お、お前……そんな上品な……

なんて美しいんだ!》

 

「あの……かりうど、さまっ、これ、は?」

 

《身体がポカポカ温かくなってきただろう

お人形ボディが作り変えられてきた証拠だよ》

 

「あ……っ」

 

狩人に手をかざしながらか細い息を漏らす人形ちゃん。果たして、彼女の身に何が起こっているのだろうか。

 

狩人は無意識下ではあるが血の遺志によるレベルアップを拒否していた。現在彼のレベルは110程。あまり上げすぎると他狩人(オンラインプレイヤー)協力(マッチング)できなくなってしまうのだ。

 

そこで使用したのがchinの遺志。これは中々特別なものであり、彼が今まで行ってきた催眠は全てコレを使用しての行動であった。

 

だが狩人の中に潜む遺志は診療所にて目覚めた瞬間よりも増幅している。それは何故か。

 

彼はヤーナム市民、獣、その他多くの者を殺すことはなく催眠に落とすことでchinの遺志を分かち合い、共に育んできた。

 

そして膨れ上がったそれを使用し、人形ちゃんを介して催眠能力を強化する。さながら催眠おじさんとしてのレベルアップ、と言うところだろうか。

 

しかしその弊害として現在人形ちゃんは直接遺志に触れてしまっているのだが、まあ特に問題は無い*2し人形ちゃんの声がエッチだから一石二鳥である。

 

「は、あ……っ、かりっ、うど、さま……」

 

《…………》

 

切なげな声を零し身を捩る人形ちゃんに狩人は思わず息を呑んだ。それでもここは理性を押し殺す。

 

「……いって、らっ、しゃい。かりうどさま……あなたの……っ、めざめ、が、ゆういぎなものでぇ……っ!あります、っ、ように」

 

《無理しなくていいよ♡愛してるよ♡》

 

「────あ、い……?」

 

もう少し人形と触れ合っていたかったがここはグッと堪え、狩人は目覚めの墓石を起動した。

 

「………っ、これ、は……?」

 

人形は自分が彼を引き留めようと手を伸ばしていることに気がついた。彼がいなくなった後も、彼女は自身の、球体関節の掌をじっと見つめていたのだった。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

《ね、入るよ?いいよね?いいよね?

クソッこの重厚木扉が!》

 

彼は今、ヤーナム旧市街へ通じる扉の前に立っていた。その途中で『血族狩りアルフレート』と遭遇したが今は割愛。扉にはこんな警句が貼っつけてあったのだ。

 

【これより棄てられた街。獣狩り不要、引き返せ】

 

《不要っじゃねぇよボケッ》

 

とは言われてもここ以外に目指す道はないのだ。意を決して彼は重々しい扉をこじ開けたのだった。のだが。

 

「狩人よ、警告は読まなかったのか?

引き返したまえ。

旧市街は獣の街、焼き棄てられて後、ただ籠って生きているだけ。

上の人々に、何の被害があろうものか。

引き返したまえ。

……さもなくば、我々が君を狩るだろう」

 

《普段はカマトトぶってる余裕しゃくしゃくの育ちのいいお嬢様をとんでもないねちっこいSE○で余裕なくしてヤベェ❤ヤベェ❤マジヤベェ❤リアルにヤベェって!ヤベェって❤ヤバヤバヤバッ❤オイギュウ❤オイギュウ❤オウ!イッギュウ!❤と本性を露見させたい気持ちが誰しにもあるよなあ────》

 

突如旧市街に響き渡った声にすっかりビビり散らかした狩人は、逃げるようにその場を立ち去ってしまった。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

《こんな夜におまえに乗れないなんて》

 

すっかり行く宛てを無くしてしまった狩人は聖堂街をぶらついていた。

 

彼は獣狩りの夜を侮っていた。それにここら一帯の敵、医療教会の使者などは皆まとめて服従完了している。

 

狩人たるもの、いついかなる時も油断してはならない。どこから敵がやってくるか分からないからだ。

 

この世界には医療教会やらメンシス学派やらビルゲンワースやら様々な勢力が存在するが深く考える必要は無い。全員ろくでもない奴らとだけ認識していればそれで全て片がつく。所詮奴らの違いなんて胸派か尻派かみたいなモノでしかないのだ。

 

《まんじり頭を叩いてみれば

明朝ポップの音がする》

 

彼は考え事をしながらその辺をふらつく。当然、背後から迫る『人攫い』、通称サンタクロースには気づけなかった。

 

《お゛っ!?》

 

狩人は倒れ伏した。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

《こんなに乱暴な世界は初めてですよ

やっぱり相当淫乱なんですね》

 

フラフラしながらもなんとか狩人は立ち上がった。ここは『隠し街ヤハグル』。一応終盤でも来ることは可能だが、ここで人攫いに倒され運んでもらわなければ特定の行動を達成できない。

 

《俺の○ンポが固くなる服装わかってるじゃん》

 

「ヒッ……!」

 

とりあえず辺りを探索した狩人は、『尼僧アデーラ』と出会った。

 

彼女はこのタイミングでしか出会えないNPC。教会の衣装かガスコイン神父の服装で話しかけることで会話が可能となるのだが、記憶はほぼ初見の狩人がそんなことに気づくはずも無く。

 

《避難したいだろ

教会の安息忘れられないだろ♡》

 

「ああ、神よ、私をお救いください……ヒィィ……」

 

怯えるばかりで暖簾に腕押し状態なアデーラさんに彼はとうとう業を煮やし、

 

《わがままだなぁ………………催眠!》

 

「アッ!?!?!?!?」

 

催眠によって認識阻害を起こさせることで事なきを得たのだった。それでいいのか尼僧が。

 

 

 

 

▫▫▫▫▫

 

 

 

 

「……ほう、貴公……どこから入ったのだ?

まあ、いい。

貴公、旧市街に何の用だ?

上がどうなっているのか知らないが、ここは放っておけばよい。

獣どもは上にはいけん、誰にも迷惑はかけないさ。それでも、貴公が彼らを狩るのなら…私は貴公を狩るだろう。どうなんだ?」

 

《…………》

 

その後、なんとか脱出した狩人はヤハグルからヤーナム旧市街へ繋がる扉をぶち開け、ついでに雷を扱う『黒獣パール』と毒にさせてくる『血に渇いた獣』を手懐けた。

 

そっからは早いもんで一気に聖杯教会の灯りから旧市街まで駆け上がり、先程狩人に警告を叩きつけた『古狩人デュラ』の元へやってきていたのだ。

 

デュラ。彼は優しく、そして愚かな男である。かつてこの旧市街で行われた惨劇を期に狩人を辞め、この(エリア)に蔓延る獣を盟友と共に護るようになったのだ。

 

彼が持ちかけたのは和解。ここの獣を狩らなければ見逃してあげるよという契約のようなものである。

 

《ナイスコミュニケーション!

和解完了だ……》

 

非殺傷プレイを心がけている狩人がそれに乗らないテは無い。あっさりと、和解は完了したのだった。

 

「……そうか、ならばよい。

今は夢見ることもないが、私とて、かつては狩人だったのだ。狩人狩りなど、忌まわしいばかりだからな。

ただ、覚えておいてくれ。

貴公は獣など狩っていない。あれは……やはり人だよ。貴公もいつか思い知る……

……さあ、もう行きたまえ。

これは、後輩への餞別さ。何れにしろ、私にはもう不要なものだからな」

 

そう言ってデュラが手渡したのは『狩人の確かな徴』。本来であれば『火薬の狩人証』という夢ん中の使者ショップに買える武器を追加するアイテムが貰えるのだが、狩人はとっくのとんまに所有している。本人が気づくことこそないが。

 

両者の間には少しばかり行き違いがあった。狩人は獣を殺しているわけではない。仮に彼がこの場所にいる獣共に催眠をかけたところでデュラが怒ることはないのだ。

 

《くそ……!テメェがこんなに優しくするからもう○精そうだぞ!先輩愛してる♡》

 

そんなことも露知らず、来た道を引き返そうとする狩人だが……

 

「……なあ、貴公」

 

不意に呼び止められた。ヨセフカといいこの先輩といい、一体何がそんなに気になるのだろうか。

 

「貴公……これは必要か?」

 

デュラが差し出した物。それは『鎮静剤』であった。要は発狂しかかっていると思われていたということなのだ。

 

《あっちょっと泣くッ♡》

 

狩人は少し泣いた。ちょっと泣いてんじゃねぇよ!

 

*1
彼氏持ち貞子、オーラデブ、etc……

*2
遺志がちょっと人形ちゃんへ滲み出している程度

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