ALL OUT WAR   作:村田ですよぉ!

3 / 3
Fu-43に搭載されていたアルケーシステム。しかし、アルケーシステムはパイロットを廃人にしてしまう程のものであった。ヴィーカはアルケーシステムを搭載した死神に、再び搭乗する


第三話 アナザー

ロベルト「ドッグフィッシュ1、ロベルト、出る!」

ヴィーカ「ドッグフィッシュ2、ヴィーカ、出ます。」

ドナルド「ドッグフィッシュ3、ドナルド、行きますぜ。」

エミール「ドッグフィッシュ4、エミール、出撃します。」

ドッグフィッシュ隊が全機、空へと上がっていった。

ドナルド「いいよな、ヴィーカは」

ヴィーカ「何が?」

ドナルド「そいつ、新型だろ?俺なんか渡されたのはオンボロだぜ?これでどうやって戦えと..」

ヴィーカ「...」

エミール「おいドナルド、ヴィーカの機体は危険なんだぞ。」

ドナルド「んあ?どこがだよ?飛行中にクソを垂らせねぇってことか?それなら俺のも同じだぜ?」

エミール「ロビ社と長い間関わってきたから言えるんだ。あの機体は―」

ドナルド「へっ、流石社長の息子さんだな。」

エミール「その言い方はよせ!」

ロベルト「喧嘩はよせよ。もうすぐ敵さんがお見えになる。」

そんな頃、AWACSからの命令が下された。

AWACS「こちらはAWACSホークアイ。ドッグフィッシュ隊はこれより本機の管制下に入る。」

ロベルト「久々だな、ホークアイ殿。」

ホークアイ「そうだな、ロベルト大尉。」

ロベルト「前の戦争で一緒に生き残ったんだ。安心して戦えるよ。」

ホークアイ「こちらもだ。ただ、そっちにはアルケーを積んだ機体もいるんだろ?」

ロベルト「ヴィーカか、」

ホークアイ「ヴィーカ....女か?まさか...」

ヴィーカ「貴方達の戦友の娘....と言えば良いでしょうか。」

ホークアイ「やはりか。」

ロベルト(あいつと同じ道を辿らないことを願うが....ヴィーカ....)

ホークアイ「では戦況の説明と行こう。まず先程の不明機による攻撃はヴァールハイト国のものだと判明した。」

ロベルト「宣戦布告もなしに....か。」

ホークアイ「ああ。卑怯な連中だ。そして今、ヴァールハイトの連中はエース部隊をひっさげてロビ社の研究基地へ攻撃を仕掛けようとしている。」

エミール「たしかあそこにもアルケーを積んだ機体が....」

ホークアイ「君の言うとおりだ。あそこにはアルケーの試作機がまだある。万が一強奪でもされたら大変だ。死守してくれ。」

ロベルト「了解」

ホークアイ「指定空域に入った。作戦を開始せよ。」

狩りの始まりだ。

ドナルド「っしゃあ!やってやるぜ!」

エミール「はしゃいでるが撃墜されるなよ?」

ロベルト「おい!待て....これは!」

突然、ドッグフィッシュ隊の機体に異変が起こる。

ロベルト「レーダーがロックされている....妨害電波か?」

エミール「敵のジャミングか!」

ホークアイ「いや、発信源は―」

 

敵機「ヘヘッ、強奪に偽装した譲渡とはね。」

敵機「ロビ社もやってくれるじゃないか。ね、グレーテ少佐。」

グレーテ「....何か裏がある気がするけど。」

 

ホークアイ「発信源はロビ社の施設だ!くそったれ!」

ロベルト「譲渡しようってのか...?」

エミール「クソ野郎!だからロビ社は嫌いなんだよ!」

ドナルド「おーいおい、初陣からこれとはついてねーな。」

ロベルト「敵の隊長機、グレーテか?」

ヴィーカ「誰ですかそれ。」

ロベルト「最近ヴァールハイトで噂になってんのよ。まるで機体を手足のように操れるんだって。」

ヴィーカ「そんな人にアルケーが渡ったら...」

ロベルト「....エメリアはまずいかもな。」

ドッグフィッシュ隊の機体は全てジャミングされていてまともに戦えない。しかしその中でも敵機は容赦がない。

ロベルト「ケツにつかれたか!くそったれ!」

ドナルド「撃ってこねぇな...舐めてんのか?俺らを。」

ヴィーカ「レーダーが見えなくても大丈夫ですよ。」

そうすると、ヴィーカが駆る死神は敵飛行隊の隊長、グレーテの機体へと急加速した。

ヴィーカ「アルケーシステム.....私に力を...!」

Fu-43「アルケーシステム、スタンバイ」

ヴィーカ「っ....!」

ロベルト「システムを過信するな!システムの声に耳を傾けるな!」

グレーテ「何よあの機体!あれがアルケーシステムなの?」

死神は、グレーテの機体の後ろへと食らいつく。

ヴィーカ「レーダーが使えなくても...!機銃なら...!」

たちまち、グレーテの機体は蜂の巣となった。

敵機「隊長!早くベイルアウトしてください!」

グレーテ「この私が.....!」

グレーテはベイルアウトした。

ヴィーカ「はぁ.....はぁ....」

ロベルト「意識を保て!システムに飲まれるぞ!」

ホークアイ「ジャミング装置のハッキングに成功した!ジャミングを解除する!」

ジャミングが解除され、機体の異常はなくなった。

ロベルト「レーダーが復活したか!」

敵機「おい!なんでロックオンされてるんだ!ジャミングしてくれるんじゃなかったのか?」

敵機「ぐわっ!」

ドナルドのミサイルが敵機に直撃した。

ドナルド「ヘヘッ、俺のファーストキルだな。」

ロベルト「やるじゃねぇか。」

エミール「...!おい!下を見ろ!」

滑走路から飛び立つ、新型が見えた。

ロベルト「盗まれたのか...!もう1機の死神が...!」

ヴィーカ「迎撃します!」

ロベルト「アルケー同士でやり合うな!死ぬぞ!」

グレーテ「ベイルアウトした着地点にアルケーの機体があったとはね...!反撃と行くわよ!」

二機の死神が、初めて敵対し合う。

ヴィーカ「アルケー!言うことを聞け!」

Fu-43「アナザーを検知....」

ヴィーカ「いつもと動作が違う...!?」

エミール「始まってしまったか....」

ロベルト「何が起こっている!?」

エミール「アルケーシステムは、同じアルケーシステムを搭載したい機体"アナザー"の存在を検知すると...そのアナザーを潰す死神となるんだ。制御なんかできない。どちらかが死ぬまで暴走を続ける。」

ロベルト「救う方法はないのか!?」

エミール「....無理があろうかと」

ロベルト「クソっ!見殺しにするしかないのか!ヴィーカを!」

エミール「あの死神達の間に割って入る事も可能ですが...この機体では無理です。」

ロベルト「くそったれ!」

ヴィーカ「何がアナザーだ!いくら拒否しても、お前は私の機体だ!私に従え!」

グレーテ「フフフ....始めましょうか。死神たちのパーティーを。」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。