燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード98

 

 

 

 

 

 

試合前最後の紅白戦を行った俺たち。

結果からいうと、かなり良い内容になった。

 

まずは初回。

Aチーム先発の降谷は、三者凡退に抑える。

 

 

対するBチームの先発は、沢村。

先頭の倉持をセカンド後方に落ちるヒットで出塁すると、すかさず盗塁。

 

続く俺がヒットで繋ぎ、クリーンナップへ。

 

しかし、沢村も粘り強さ見せる。

 

3番の小湊をセンターフライ、4番の御幸にヒットこそ打たれたものの、5番の前園はセカンドフライ。

最後の白州も、レフトフライに抑えて最小失点で抑えてみせた。

 

 

降谷はカーブを織り交ぜつつ、5回を投げて被安打6の2失点。

高くなってしまったカーブを痛打されたものと甘く入ったストレートを弾き返されたものの2つのタイムリーで失点を喫した。

 

しかし、結果以上にいい内容。

何より、カーブとの緩急差が思った以上に効果的面であり、ストレートをより生かすことができた。

 

 

課題はやはり、フォアボールだろう。

連打を浴びての失点というよりは、フォアボールからランナーを進められての失点。

 

前々からの課題なんだが、まあ仕方ない。

そう簡単に直せるものじゃないことは、御幸も落合コーチも、勿論俺も分かっている。

 

 

 

対する沢村も同じく、5回を投げて2失点。

初回こそ連打で失点してしまったものの、ストライクゾーンの両サイドを目一杯使った投球で、試合を作る。

 

特にチェンジアップがかなり冴えており、キレのある直球と相まって三振を取れていた。

 

 

課題は、左への攻めだな。

少し利き手側に変化するチェンジアップが浮いてしまうと、やはり痛打されてしまう。

 

失点は2つとも、甘く入ったチェンジアップを御幸と白州に打たれたもの。

ここは投げ込んで、失投を減らすしかない。

 

 

 

ノリと東条も内容としては○。

 

シンカーを解禁したノリは、対右だけでなく左に対してもかなり刺さっていた。

 

東条は、持ち前の制球力と多彩な変化球でゴロを量産。

低めに小さく動くボールを投げ続け、しぶとく抑えた。

 

 

 

野手の先発は、それぞれが躍動。

倉持は5打数2安打2盗塁と、出塁してからの強さを発揮。

 

御幸は4打数の2安打、3打点。

勝負強さもそうだが、やはり安定感が出てきている。

 

 

ちなみに俺は、4打数2安打。

倉持と共に得点に絡むケースを作ることが出来た。

 

 

 

チームの状態は、かなり良くなっているはず。

 

投手陣も、頼もしくなってくれた。

野手もそれぞれが仕事を全うし、打線も形を帯びた。

 

 

あとは、仕上げか。

次の試合は、市大三高。

 

そして、その次の試合は。

 

 

 

 

いや、まずは目の前の試合だ。

天久というエースに、強力な打線。

 

はっきり言って、昨春に戦ったときと変わらないか、それ以上の実力があるはずだ。

 

 

あと2つ。

勝って、監督と長く野球をしたい。

 

その思いを胸に、息を吐く。

するとまた、耳に突き刺さる声。

 

 

「なっさん!どうでしたか今日のピッチングは!」

 

 

沢村である。

こいつはまた、今日もうるさい。

 

 

「低め要求の小野に対して、浮いた球が多かった。特にチェンジアップ、市大三高からは狙われるぞ。」

 

「ぐぬぬ、おっしゃる通り。」

 

 

抜けた変化球は、球質も軽く変化も小さい。

特にチェンジアップは、高めに浮くとただの棒球になる。

 

市大三校は、爪の甘いチームではない。

気の抜けたボールを投げれば確実に仕留められる。

 

 

「試合を作る技術に、お前の持ち味を生かしたピッチングは、見れた気がした。」

 

「そうですか!」

 

テンポのいい投球に、意図して動かせるボール。

さらに緩急を作る、チェンジアップ。

 

強気な投球は、健在。

外の投球にも磨きをかけて、攻めの幅も広がった。

 

 

本当に。

 

「成長したな、沢村。」

 

あ、やば。

こういうのは大会後に行ったほうがよかったか。

 

試合前にこんなこと言って気負わせたら悪いし。

 

 

そう思っていた俺だったが、沢村から返ってきたのは、予想外の答えであった。

 

 

「まだ、敵いません。」

 

「…なんのことだ。」

 

「まだ、足りません。エースになるにはまだ足りないって、今日もまた実感しました。」

 

 

そう言って、沢村は俯いて胸に手を置いた。

 

「はっきり言って、なっさんにも、降谷にも届いていないのはわかります。」

 

ほう。

 

「でも、俺は。」

 

「成長しているさ、確実にな。」

 

 

入った時は、ただ面白いやつだとは思った。

東さんを三振で抑えた時は、少なからず可能性を感じた。

 

夏の大会で、こいつの才能に驚愕した。

 

 

 

そして、秋大会の今は。

降谷と並んで、チームを支える投手になってくれた。

 

はっきり言って今は、俺なんかよりもずっと。

チームのために、戦っている。

 

 

「今のお前は…」

 

「待ってください!」

 

俺が言いかけた時、遮るように沢村は割って入った。

 

「なっさんがいるから、俺たちは成長できたと思っていますし、これからも成長できると思っています。まだ実際に越えられたなんて思っていません。次の大会で必ず、エースナンバーを奪って見せます。」

 

 

沢村の瞳に、俺がどうやって移ったかわからない。

しかし、いらん心配をかけた。

 

俺は、どんな顔をしていたのだろうか。

自分でもわからないし、あまり想像したくないかな。

 

 

「まあ、そうだな。俺も負けないよ。」

 

 

遠いな、この2人は。

それに、眩しすぎる。

 

少し褪せた視界に、沢村と降谷がやけに眩しく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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