燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード104

 

 

 

 

 

あ、どうも。

大野夏輝です、市大三高との試合を終えました。

 

試合結果は、5-2で勝利。

6回の集中打で一気に流れをもぎ取り、そのままリードを守りきることが出来た。

 

 

初回から全速力の降谷は、6回を投げて1失点。

後半こそスタミナ切れでマウンドを降りたものの、そこまでは完璧な出来であった。

 

 

圧巻の投球を見せる天久に負けじと、初回からペースを渡さないピッチングをして流れを掴んだ降谷は、正にこの試合の立役者。

 

投球結果以上に、貢献度は高いと思う。

 

 

やはり試合を決定付けたのは、4番。

 

降谷のソロホームランで乱れた天久を一気に攻め立て、作ったチャンス。

それを完璧に生かしたダメ押し満塁ホームランは、4番の風格と相まって凄まじい盛り上がりを見せた。

 

 

その後天久に替わってマウンドに上がった三崎から追加点は奪えなかったものの、4点差あれば十分。

 

7回途中、0アウト二塁で降谷は降板。

降谷に替わって入ったノリが見事に火消し。

 

2回を投げて無失点。

スライダーと、久しぶりに解禁したシンカーで三振を奪った。

 

 

最後の9回。

何とか反撃の糸口を掴みたい市大三高。

 

それに対して青道は、1年の東条をマウンドに送った。

 

 

4点差という大きな点差。

少し焦りが出たバッターたちを、御幸と東条は見逃さなかった。

 

ツーシームと小さく変化するスライダーを低めに集め、最後はストレートを詰まらせる。

カーブも混ぜ、スイングを崩しながら打たせれば、あとは守りの硬いバックが何とかする。

 

4番の星田に1発こそくらったものの、それを引き摺らずに最後まで投げきった。

 

 

 

挨拶を終え、足早に片付け。

勝利の余韻に浸りたいところだが、そうもいかないのだ。

 

何故なら。

 

 

このあとここに、俺たちの決勝戦の相手がやって来るからだ。

 

「早くいくぞ、沢村。次が来るからな。」

 

「は、はい!」

 

 

そんなことを話していると、目の前に現れた影に気がつく。

何かを感じて視線を上げると、そこには見覚えのある男が立っていた。

 

 

「よっ、久しぶり。」

 

黒いアンダーシャツに、縦縞のユニフォーム。

とある球団を連想させる色合いだが、チームカラーはまるっきり違う。

 

切れ長の目付きに、前髪の上がった特徴的な髪型。

成宮のせいであまり話題にはならないが、かなり整った顔立ちのクールなこの男。

 

 

「真田か。夏ぶりだな。」

 

 

真田俊平。

薬師高校のエースであり、クリーンナップを担う薬師の中心的選手。

 

そんなに話し込んだことはないが、この社交的な性格も相まって、会った時には少し話す仲ではあった。

 

 

「だな。肘だっけか、大丈夫だったか?」

 

「まあ、程々にな。」

 

 

俺の肘の怪我が発覚したのは、夏の薬師との練習試合の時のこと。

当然真田も、知っている。

 

それに実はこの真田も、怪我持ち。

確か足だったか。

 

先日肘の検診で行った際に、奇しくも出会ってしまった。

彼も太腿の怪我持ちで、定期的に通っているらしい。

 

それもあって、まあちょっとは話す。

 

 

「相手は、仙泉か。」

 

「そう。決勝で待ってろよ、この間のリベンジしてやるから。」

 

 

真田がそう言って笑う。

やはりこいつは、いい性格をしている。

 

俺も笑うと、もう1つの影が現れる。

真田のそれよりも小さいが、何となく圧を感じる。

 

 

と同時に、とんでもない大音声が耳に突き刺さった。

 

 

「カハハハハ!全員ぶっ飛ばァァす!」

 

こいつもまた、聞き覚えのある声。

自分の顔を鏡で見なくてもわかる、多分今の俺はめっちゃ眉を顰めている。

 

その五月蝿い男と眼が会うと、そいつは俺を指さした。

 

「オオノナツキ、ぶっ飛ばァァす!」

 

「え、えぇ…」

 

思わず、困惑してしまう。

いやまあ、わかるんだけどね、面と向かって言われると流石にあれだな。

 

結構、困る。

 

 

「ああ、宜しくな。轟雷市。」

 

俺がそう返すと、轟も少し間を置く。

そして、大袈裟に頷いた。

 

 

あまり長居しても仕方がない。

それに次の試合も控えている。

 

それこそ早く、出ないとな。

 

 

 

「悪いな、すぐ出るよ。」

 

「良いって。足止めしたのは俺だからよ。」

 

 

最後にそう言って、俺と沢村は慌ててベンチから離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせた。」

 

「おせーよ。薬師のやつらに変なことゲロってねーだろうな。」

 

「そこまで不用心じゃない。」

 

 

先に観客席に腰掛けていた御幸の横の席に早足で座り込む。

その横に、沢村も座らせた。

 

 

「随分真田と仲がいいな。」

 

「向こうが社交的なんだろ。話してみるとわかる。」

 

 

バッグから水を取り出し、口をつける。

そしてすぐに、俺はグラウンドへと目を向けた。

 

 

真田は…リリーフか。

 

ここまでの起用としても、彼はピンチや拮抗してる重要な場面で登板するケースをよく見る。

 

恐らく、それが薬師の勝ちパターンなのだろう。

 

 

まずは試合を作る投手が投げ、圧倒的な打力で点をとったら真田で抑え込む。

薬師のような強力打線だからこそ、できる。

 

 

今日の先発は、1年の秋葉。

去年の夏は投げているところを見てなかったが、投げられるのか。

 

サイドスロー気味のスリークォーターからテンポよく投げ込む右腕。

 

ストレートとスライダーかな、持ち球。

あのフォームじゃ、多分落ちる球はない。

 

 

典型的な、打たせてとるピッチャーだろう。

 

 

 

まあでも、気になるのはやっぱり攻撃だな。

先攻は薬師か、早速見せてもらおうか。

 

 

打順は昨年とあまり変わらず。

1番に秋葉が入り、3番に三島。

 

そして4番に、轟雷市が座る。

 

 

 

打力に磨きが掛かっているのは間違いないはずだ。

さて、どんなもんか。

 

 

残った試合は、ただ1つ。

最後の相手を決めるこの試合、拝見させてもらおう。

 

 

 

 

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