燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード11

「なっさん!」

 

「どうしてあんなに打たれたんですか。」

 

関東大会を終えて帰校して次の日、何故か一年投手2人に詰められた。

どうやら、俺が打ち込まれたのが不思議で仕方ないらしい。

 

まあ、見たまんまだよな。

 

「俺が弱くて、相手が強かった。」

 

極めて端的にそう伝えると、俺は逃げるように走り始める。

 

「ま、待ってくださいよ!」

 

というか沢村は分かるのだが、何故降谷までいるのか。

 

だって今、朝6時にもなってないのよ。

普段一緒に走ってる沢村はわかるけど、何故わざわざこんな早くに降谷いるんだ。

 

「御幸先輩に、お前も走れって。」

 

あいつか。

 

確かにこいつの弱点はスタミナとコントロール

特にスタミナは最優先重点項目だろう。

 

スタミナつけるなら走るのが1番手っ取り早いしな。

横にいる沢村(こいつ)も入学当初は大して体力があったわけじゃなく、毎日毎日俺と走っていくうちにスタミナがついてきた。

 

となれば、こいつも同じなはず。

 

きっと走り込んでいけば、スタミナだってついてくるはずだ。

 

スタミナだけでなく下半身、主に足腰だって強くなる。

足腰が強くなればフォームも安定して制球もある程度まとまってくる、というのが一也の算段なのだろう。

 

 

「で、どうしてあんなに打たれたんですか」

 

まだこの話続いていたのか。

 

「相手は全国トップクラスの打線だ。そもそも俺、球も遅いし変化球だって大したことないし。」

 

「そんなことないですって。カーブだってギュインって曲がるし、あのよくわからないボールも凄いし。」

 

「だがよく飛ぶ。」

 

ストレートは回転数が多い分問題ないのだが、変化球はミートされるとよく飛ぶ。

体重移動が下手なのか、弾かれやすいみたいな。

おそらく同じ理由で、球速も遅い。

 

つまりは、コントロールがある分厳しいコースを攻めることができるんだけど、ボール自体は大したことないということ。

それこそストレートとツーシームの組み合わせさえも、単体で見れば遅いボールだけでしかない。

 

まあ、そんなこと言っても沢村が理解するとは思えない。

というか、こんなこと言っても仕方がない。

 

「まあ、俺の投球は一也頼みってことだ。」

 

ほらいくぞ、そう言って俺は走り始める。

 

俺にはまだ、足りないものが多すぎる。

球速、変化球、そして力強さ。

 

けどそれは、短期間で治るような事じゃない。

だから今は、自分のできることを精一杯やるだけ。

 

 

そして、あの夏に届かなかった場所へ。

俺は、さらにペースを上げて走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蝉が鳴き、汗が流れる。

少しばかりというか、だいぶ夏の暑さが近づいてきた。

 

今日は練習試合。

と言っても、俺の出番はなし。

 

何故なら。

 

「今日は、クリス先輩出るんすよね。」

 

「ああ。どこかの問題児の面倒を見なければいけないからな。」

 

「金丸も出るんだよな。」

 

「ええ、折角チャンスをもらえたんで、絶対活躍して見せますよ。」

 

うん、2人の気合は十分。

 

今日の練習試合は、夏の大会で戦えるメンバーの最終選考。

レギュラーとして夏のメンバー入りが決定している野手陣と、ピッチャーは俺と丹波さん、そして降谷の11人は既に決まっているため、残りの9人を選考するための練習試合だ。

 

とは言いつつ、ベンチ入りしているメンバーもある程度固まっているため、実際にはもう少し減るだろうが。

 

一応、現段階で投手の候補としては5人。

 

関東大会まではエースだった男、大野夏輝。

そして、安定感と貫禄を得た三年生投手の丹波さん

最速150キロ右腕であるノーコン速球派の降谷。

貴重な変則サイドスローのノリ。

これまた貴重な、というか唯一の左腕、沢村少年。

 

この5人に関しては、ほぼ決まっているような感じ。

野手のレギュラー陣が固まっている分、控え野手に割く人数を投手に回すことができる。

ということで、真夏の連戦に備えて投手も多めに備えておく、ということだ

 

前半戦の試合間隔が長い時はいいのだが、準決勝と決勝戦は連日で行われる。

それこそ、決勝前に長いイニングを投げて影響を残したくない。

 

ということで、今日登板するノリと沢村に関しては最終選考というような形だ。

 

 

そして、野手。

まずは一也の控えとしてベンチ入りしている宮内さんと、復帰したクリス先輩。

 

バッティングこそまだ本調子とまではいかないものの、やはりリード面では抜けている。

何より、彼の野球脳とコーチング能力。

まだ不安定な一年生投手のケアとコーチングをしながら、この2人をリードしていくような形でベンチに入る予定

 

かといって、宮内さんも丹波さんとノリとの相性が3人の中では1番いい。

慎重な2人を安定的に稼働させることができる。

 

おそらく監督の構想では、2人ともベンチに入れるのではないだろうか。

 

続いて、内野。

ここは春の関東大会時と同じ。

内野全体を守れるショートの楠木さんと、サードの樋笠。

あとは、とりあえず保留。

 

外野手は、そこそこ激戦区。

ベンチ入りしているメンバー、というよりはレギュラー争いが激しい。

 

センターの純さんとライトの白洲は固定されているものの、レフトが残っている。

それこそ、俺や降谷など打撃もいける投手が入ったり、守備固めで坂井さんや門田さんのような外野本業が入ったり。

 

ということで、そんなに入る余地がない。

 

あとは、代打の切り札。

それが、一年生2人のうちどちらか。

 

壮行試合で存在感を見せた金丸と小湊春市。

荒削りだがパンチ力のある金丸と、高いアベレージを残すヒットメーカーの小湊。

 

一打で流れを変える大事な役割を、一年生が担うと予想。

 

 

 

おそらく、こんな感じだろうな。

あとは、今日のに試合で最終的なメンバーが選考されるのではなかろうか。

 

 

ちなみに対戦相手は、春日第一と国土館高校。

東東京地区の中堅校だ。

 

 

個人的にはルームメイトである2人を応援しているのだが、まあ今日は見るに徹しよう。

 

一緒に夏を戦う、最後のピースを。

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