燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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意味もなく、改変をしたくなる。





エピソード145

 

 

 

 

 

4回戦目。

対戦相手は、国土館高校。

 

昨年は、クリス先輩のライバルでもある財前さんが所属していた高校だ。

 

 

昨年同様、やはり勢いは健在であり、エースを温存させた前の試合でも7−8の乱打戦の末に勝利した。

 

財前さんの後を継いでエースとなった松本は、最速140キロのストレートとフォーク、カットボールとスライダーと多彩な変化球でゴロを打たせるピッチャー。

 

 

特に真っ直ぐ。

回転数が多くキレがあるストレートは、体感速度も非常に速く感じるだろう。

 

 

 

対する先発は、俺。

まあ前回の登板から予告されていたようなもんだし。

 

スタメンもほぼほぼ変わりなし。

 

俺がセンターで入っていたところに東条が入り、不調の前園のところに山口が入る。

 

 

「さて、今日はどうするか。」

 

「調子は前回登板で確認できた。これ以上手の内を見せる必要もない。」

 

 

俺がそういうと、御幸もまた同じ意見だったようで、同調するように頷いた。

 

 

「ツーシームとカットは封印な。真っ直ぐとカーブ、チェンジアップを決め球に。カウント球でスライダーとスプリットも使っていこう。」

 

 

前2球種に関しては同意だが、スライダーとスプリットも使うのか。

そう思っていたのが御幸にも悟られたのか、付け加えるように続けた。

 

 

「今日使ってみて、どこまで使えるか試したい。それに、幅が広がるに越したことはないからな。」

 

「それは、確かに。」

 

 

捻りが大きいぶん肘に負担の掛かりやすいツーシームとカットに比べれば、ある程度負担の少ない球種たち。

 

これがどこまで使えて、どこから使えないか。

それを、ある種取捨選択するようなもの。

 

 

「失点は覚悟しろよ。ウイニングボール二つ使わねーんだから。」

 

「そうはいかない、いかなる状況でも負けない投球をするのが、エースだ。」

 

「頑固者だなあ。俺らが点とるんだから負けねーよバカ。」

 

 

そう言って、彼はミットをはめた左手を前に出す。

 

頷いて、俺は自分の左手をそのミットに軽く当てた。

 

 

 

相手は勢いのある打線。

まずは上位を押さえ込んで、勢いを止める。

 

先頭打者が打席に入り、確認して息を吐く。

 

 

初球、大事に。

ますは厳しいコースで、相手に様子を「見てもらう」。

 

 

どちらかというと、カウントをとる制球重視の直球。

 

 

外角低めストレート。

118キロの直球が際どいコースギリギリに決まり、1ストライク。

 

2球目も同じコース、121キロのストレート。

これも見逃し、2ストライクとテンポよく追い込んだ。

 

 

3球目、今度は少し外しているボール。

同じようなコースから少しだけ外にズラしたボールゾーンに投げ込み、1ボールとなる。

 

 

(決めに行くか。)

 

 

一つ息を吐き、縫い目に指をかける。

グッと、力を込める。

 

アップの時は、悪くなかった。

 

 

(多少ズレていい。外に空振りを奪うボールで来い。)

 

(OK。)

 

 

さっきまでは、カウントをとるストレート。

要は、相手が手を出したくないと思うような際どいコースに完璧に決まる投げていた。

 

ここでギアチェンジ。

 

制球よりも、威力を意識したボールで、空振りを奪いにいきたい。

 

 

 

 

モーションから、指先一点集中。

引っ掛ける寸前、最も指に力が入るタイミングでボールを弾く。

 

 

(…ここ!)

 

 

スピンのかかったストレートは、外角へ。

先程とほぼ同じコースに進んでいく。

 

相手も追い込まれているため、タイミングを合わせてバットを出す。

 

 

しかしそのバットが、白球に当たることは無い。

 

振り遅れたバットは、白球の遥か下を通過した。

 

 

『空振りの三振!外角低め、132km/hのストレートが唸りをあげます!』

 

 

ポトリと落ちる帽子。

その背中に描かれた数字を見せつけるように、俺は勢いのまま半回転。

 

それは大野夏輝による、圧巻の投球の幕開けを宣言するものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『空振りの三振!外角の低め、132㎞/hのストレートが唸りを上げます!』

 

 

先頭打者である荒木が見たそれは、まさに圧巻であった。

 

 

追い込まれるまで投げられたボールは、厳しいながらも正直言って打てないボールではないと思っていた。

 

球速にしても120キロ前後と、お世辞にも速いとは言えない。

しかし最後のボールは、はっきり言って今まで見たことのないような勢いとキレのボールであった。

 

 

それもそのはず。

大野と御幸のバッテリーが、追い込むまでに投げ込んでいたボールは完全にコントロール重視のボール。

 

ギアとしては、7割くらいの力加減で投げていた。

 

 

しかし追い込んだ最後のボールは、完全に三振を奪いに行った威力重視のボール。

 

 

追い込んで勝負をかけに行く前のボールと、決め球である意味「緩急」を作っていたのだ。

 

 

 

「綺麗な真っ直ぐで、ガンガン押してくる。」

 

 

次に入る打者に耳打ちし、すれ違う。

 

130キロとはいえ、実際の体感速度はかなり速い。

となればしっかり直球待ちで行くしかない。

 

幸いこのバッテリーは、初回のうちはストレートでほぼほぼ押していくことが多い。

 

 

基本的にストレートで追い込んで、最後はキレのある変化球で三振をとるというのが1番多い攻め方。

今日の立ち上がりを見てみても、おそらくストレートを軸にくるはずだ。

 

そう自分に言い聞かせ、2番である稲田は打席に入った。

 

 

(綺麗な真っ直ぐでガンガン攻めてくる…。)

 

 

トルネード投法という、腰を大きく捻転させる独特なフォーム。

そこから若干アーム気味で投げ込まれる。

 

 

(綺麗な速い真っ直…)

 

 

バットを振るも、ボールは全く届かない。

完全に崩されながら振ってしまい、チェンジアップに空振り。

 

 

ストレート狙いの稲田に対し、2球目。

 

再びチェンジアップ。

 

 

ストレートで押してくる投手だけに、まさか2球連続でチェンジアップがくるとは思わず、ファール。

 

 

(ストレートで決めに来るのか?それともツーシームか?例の高速スライダー?)

 

 

彼が追い込んでから投げる割合としては、多くはツーシーム。

次いでストレート、そして最近になって投げ始めたのは高速で浮き上がる軌道のスライダー系のボールである。

 

となると、ここで投げ込んでくるのはこのどれか。

 

 

しかし、迷ったが最後。

 

ここまで2球、チェンジアップで完全に遅い球に目が慣れてしまった。

外2球で追い込まれ、狙い球も絞りきれていない。

 

 

「っ!」

 

 

最後はインコース高めのストレート。

 

緩いボールに完全になれてしまっていたため、ストレートに着いていけず空振りの三振に喫する。

 

 

 

 

そして、最後のバッターは3番投手の松本。

昨年のこのチームの柱が財前さんだったように、投打の要であるのがこの松本である。

 

速いボールとパンチ力のある打撃。

 

 

(さてと。たまにはこんなことしてみるか。)

 

(珍しいな、甘いコースは。)

 

 

まずは外角低め、少し甘いコース。

これを見送り、まずは1ストライク。

 

 

2球目、今度は初球よりもわずかに外にずれたボール。

 

これもギリギリコースに入り、2ストライクと追い込んだ。

 

 

 

3球目。

 

 

(決まったら気持ちいいだろうが、流石に外れていないか?)

 

(大丈夫。俺を信じて、投げ込んでこい。)

 

 

最後はさらに外にずれたボール。

ストライクかボールか、どちらに取られてもおかしくないボール。

 

はっきり言って、審判も判定に迷うコースである。

 

そこである種、判断材料になったのは、バッテリーの特徴。

 

 

完璧に静止したミット。

そして、3球勝負が多い、制球が安定している大野。

 

ここも、ギリギリのコースに決まっている。

 

些細なことが、この際どいコースを決める差を生んだ。

 

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

 

審判のコールに、項垂れる松本。

明らかに不服そうな表情を浮かべているのは、それだけ際どいコースだったから。

 

その姿を見つめながら、、ゆっくりとマウンドを降りた大野に、御幸はかけよった。

 

 

もちろん、悪い顔をして。

 

 

「どうだ、審判も掌握してる感じで気持ちよかったろ。」

 

「まあ、嫌ではない。」

 

 

圧巻のストレートでの3球勝負。

外角低めに3球続けて、国土館の主軸に全くバットを振らせない完全に押さえ込むピッチングを見せつける。

 

 

「しかしまあ、たまにはな。こういう時にしかやらないから面白さはある。」

 

「だろ?まあ、これで相手もムキになってくれたら儲けもんだな。」

 

「相変わらず性格が悪い。」

 

 

この大野の投球が幸いしてか、松本は力が入る。

 

先頭の倉持にフォアボールを許すと、すかさず盗塁。

大野がレフト前に落ちるヒットで繋ぎ、そこからクリーンナップ。

 

 

大野の投球に感化された松本は、力が入ってしまい制球を乱す。

 

 

そこからは、青道打線が爆発。

3番の小湊がツーベースヒット早速2打点を上げると、御幸フォアボールで白州ホームランで5得点をあげる。

 

 

 

さらに次の回も追加点をあげ、4回までで10得点とこの試合でもその攻撃力を示す。

 

 

大野もチェンジアップが冴え渡る。

ストレートでテンポよくカウントを奪い、最後は緩いボールで三振を奪う。

 

また、カーブで高さを使いながら、高低での揺さぶりもかけつつ打ち損じを増やしていく投球で的を絞らせない。

 

 

大野はこの試合も4回を投げて1失点と、ツーシームとカットの2球種を封印しながらでもまとめられる投球術を見せつけた。

 

 

 

5回の表、ここで投手交代。

センターを守っていた東条がマウンドに上がり、大野はそのままセンターへ。

 

この東条も低めに集めるピッチングで上手く打たせて取り、三者凡退。

 

テンポよく抑え、裏の攻撃に弾みをつける。

 

 

 

10−1で迎えた5回の裏。

ここで東条に代打が送られる。

 

 

ベンチに入っていたのは、この青道高校に新たな風を吹き起こす存在。

 

新戦力であるこの男が、大きな身体を揺すりながら、ついに与えられた打席に向かった。

 

 

『9番、代打、結城くん。』

 

 

昨夏都内で存在感を与えたその弟が、高校野球の初陣で。

また、新たな伝説を作った。

 

 

 

国土館の投手の放ったその初球。

 

高く浮いたその直球を、完全に「叩いた」。

 

 

 

豪快なフルスイング。

高く上がった打球は大きく大きく弾道を描く。

 

 

初出場初打席で、その初球。

それを完全に捉え、フルスイング。

 

 

 

コールドとなるサヨナラのソロホームランを放ち、都内に結城将司の名を轟かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






センバツ優勝やそのほかかなり改変がありますので、多少対戦相手や他校の選手能力なども原作と変わっていきます。

とは言え自分もなかなか確認不足な点もあるため、おかしいところなどあれば指摘などいただけると非常に助かります。


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