燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード14

夏大会まで、あと一ヶ月。

三年生最後の大会が刻一刻と近づいてくることを感じながら、今日も今日とて練習に励んでいた。

 

 

 

「っし!」

 

投げ込まれる白球に対して、バットを一閃。

逆方向に弾き返された打球は、レフト近くへと落ちた。

 

「やっぱりうまいね、流し打ち。」

 

「まあ、得意ではありますね。」

 

隣で打ち込んでいた亮さんに最低限返答し、すぐに練習に戻る。

あんたの方が上手いだろと思いながら、俺はバットを振り直した。

 

 

力になれるのならば、やっぱりバッティングも頑張りたい。

俺は非力だからホームランとはいかないけど、チャンスを広げることくらいならできると思うから。

 

そして、もう一つ。

 

「いいぞ、来い。」

 

無言で圧力をかけてきていた降谷。

どうやら、俺のシート打撃を手伝ってくれるらしい。

 

まあ、あれだ。

打席から見た時の感想とか、所謂「打者目線」での意見も伝えてあげたいから、こうやって一年生に入ってもらうこともある。

 

丹波さんは元々打てる人じゃないし、こう言う役は俺に回ってくる。

 

 

 

ワインドアップの後豪快な縦回転と共に、これまた豪快なストレートが放たれる。

伸び上がってくるような勢いのあるストレート。

 

まず一球。見逃す。

このストレートは、打席に立って初めて感じる圧力があるよな。

 

2球目。

良いボールだ、150キロも出てるだろうし。

 

けど。

 

「まだ高い!」

 

そう返しながら、思いっきり引っ張ってライト線へ。

 

打球はライト前に落ちるであろうヒット。

しっかりミートしてるんだけど、浅めに落ちたか。

 

つーか痛え。

流石に威力あるわ。

 

唖然としながら打球の方向を見ている降谷。

おいおい、いつまで呆けてんだよ。

 

「さー次こーい。」

 

痛いけど。

 

「…お願いします。」

 

お、さっきよりやる気になった。

なんとなく、オーラ的なやつが見えてくる。

 

けど。

 

「そんな力入れんなよ。力んでもバラけるだけだぞ。」

 

俺がそういうと、降谷も頷いて深呼吸をする。

ああ、素直だなあとか思いながら、バットを構え直した。

 

3球目は低めに決まる良いボール。

俺も思わず、引っ掛けてしまった。

 

「全部低めに投げろとは言わない。特にお前の場合は高めで空振りが取れるからな。それを生かすための低めだ。丁寧にカウントを取って、最後に空振りを奪う。その方が気持ちいいだろ?んでもって効果的だ。」

 

俺にはできない芸当だが。

まあほんとは、低めで打たせるのが理想なんだけど。

 

どちらかと言うと降谷は空振りを奪って調子を上げていくタイプだし。

高めに行くことが、悪いことだとは思わない。

 

 

この後もシートバッティングに付き合ってもらい、打ち込みに励んだ。

 

「ありがとう、ございます。」

 

「おう、こっちこそありがとう。」

 

ヘルメットをとり、軽く会釈。

最低限の礼儀はね。

 

 

さて、試合まで一ヶ月を切っている。

と言うことで、今日は待ちに待った抽選日。

 

哲さんと監督がいない。

と言うことで、今日は自主練である。

 

そろそろ帰ってくる頃かな。

 

「帰ってきたぞ、夏輝。」

 

「え。」

 

いきなり来た。

というか俺の心の声聞かれてんのか?

 

「どうでしたか。」

 

「ああ、優勝するぞ。」

 

「聞いてません…。」

 

まあ、組み合わせは後で見よう。

とりあえず練習だな。

 

この後、俺はウェイトトレーニングとランニングで下半身強化。

まあ投げない日はこうやって打撃と筋トレをして過ごしている。

 

 

今日も汗を流し身体を苛め抜き、あっという間に日が落ちた。

 

と言うことで、抽選発表!

の前に、今日は背番号をもらう。

 

メンバーはもう既に発表されているため、今日は正式な背番号がわかるような感じだ。

 

 

平静を装ってはいるが、実は緊張している。

 

メンバーは決まっているとはいえ、背番号自体は発表されてない。

つまり、誰がエースナンバーをもらえるかは、わからない。

 

さて、今回はどうかな。

 

「1番、大野夏輝。」

 

「はい!」

 

っしゃ。

元気に返事をして、背番号を頂く。

 

みんなの代表になってもらう背番号。

俺は胸を張って、もらった。

 

 

続いて2番。

これは、正捕手である一也。

 

俺との相性もそうだが、やはり投手の力を引き出すことに関しては、チームで最も長けていると思う。

 

何より、打てる。

チャンスでしか打てないのだが、チャンスで回せばほぼ確実に結果を残してくれる。

 

総合的に見ても、正捕手に最も相応しい。

 

 

以降はいつも通り。

 

一塁手は、結城哲也。

我が青道高校の頼れるキャプテンで、4番。

 

チャンスメイクから走者一掃、そして一発。

まさに理想の4番であり、チームの精神的支柱である。

 

 

二塁手は、小湊亮介。

鉄壁のセンターラインを形成するセカンドであり、小技の達人。

 

バントや右打ちなどランナーを少しでも前に進めることもさることながら、打者の嫌がることを熟知して実行することができる器用な2番バッターだ。

 

 

三塁手は、増子透。

強いスイングが持ち味の、重量級サード。

 

コンパクトなスイングでもスタンドを越えるなど規格外のパワーが自慢のスラッガー。

そして、足も速くハンドリングも上手いため、守備もかなり上手い。

 

 

遊撃手は、倉持洋一。

青道高校が誇る、二年生の快速リードオフマン。

 

打撃はそこまで突出していないが、内野安打や四死球で出塁すればほぼ確実に二塁打である。

そのため、こいつが出塁した時の得点率は非常に高い。

 

 

中堅手は、伊佐敷純。

強肩強打、そして技術もある外野守備の要。

 

豪快なフルスイングが持ち味ながら、右打ちや犠牲フライなどチームバッティングに徹する打者。

そして、ポジショニングや肩の強さ、そして守備範囲など総合力も非常に高い。

 

 

右翼手は、白州健二郎。

堅実なプレーが持ち味の、職人タイプの二年生。

 

高いバットコントロールを生かした出塁率の高さと器用な打者。

下位打線での起用が多いものの、チャンスメイクから繋ぎ、さらには打点を上げるところまでできる幅広いプレイヤーだ。

 

 

ここまでが、固定されているメンバー。

レフトは、守備範囲と打撃共にそこそこマシな俺が基本入り、それ以外は打撃能力が最も高い降谷が入る場合が多いらしい。

 

 

ここまでは大方の予想通り。

しかし、次の選手が呼ばれた時、チーム全体がざわついた。

 

「背番号12、滝川クリス優。」

 

宮内さんの変わりにベンチに入ったのは、クリス先輩。

怪我で長いブランクはあったものの、試合の組み立てやリード面が評価されてベンチ入り。

 

また経験の浅い一年生の指導も兼ねてバッテリーを組んで成長につなげていくのも大切な役割の一つ。

 

 

後は、代打の切り札として一年の小湊春市。

高いバッティングセンスでヒットを量産するバッター。

 

本当にチームの流れを変える一打を期待されての、代打起用。

 

 

 

投手としてベンチに入るのは、5人。

 

背番号1は、大野夏輝。

チーム1の防御率と安定感がある投手としてこの夏、エースを任された。

 

先発として登板しない試合は、レフトに入りつつ打撃を活かしていきたい。

 

 

背番号10は、丹波光一郎。

高い身長から放つストレートと縦に割れるカーブでガンガン空振りを奪う本格派右腕。

 

三年生になってから安定感が増したため、俺と一緒に先発の柱として試合を作っていく。

 

 

背番号11は、川上憲史。

低めへの高い制球を活かした丁寧な投球で、角度のあるスライダーで空振りを奪う技巧派投手。

 

基本はセットアッパーとロングリリーフでの起用。

 

 

背番号18は、降谷暁。

一年生ながら都内で随一の豪速球が持ち味の速球派投手。

 

課題であるスタミナとコントロールはまだまだだが、やはりその速球は魅力的なため、ノリと同じくリリーフとしての起用が中心。

 

 

背番号20は、沢村栄純。

降谷と同じく一年生であり、チーム唯一の左腕。

 

実は制球も纏まっており、動くボールとキレのある4シームでテンポ良く打者を抑えていく。

ムービングボールと4シームの組み合わせは中々初見での攻略は難しく、さらにはハートも強く安定感もある為、抑えとしての起用が中心となる。

 

 

 

バッテリーとしては、俺とノリと丹波さんは一也とのバッテリー。

そして一年生2人は、クリス先輩。

 

正捕手と控え捕手というよりは、それぞれの役割を互いにこなしていく。

 

 

 

この夏は、以上のメンバーで戦っていく。

 

ちなみに、哲さんが引いてきたくじは可もなく不可もなくというかんじ。

 

準々決勝で市大三高、準決勝でベスト8常連の仙泉、決勝は宿敵の稲実。

決して楽な道のりじゃないが、強いチームを倒さなければ頂点には立てない。

 

そしてこの3校以外だって、最後の夏にかけている思いだって油断ならない。

それこそ死に物狂いでくるから、大きな波乱だって起こりかねない。

 

 

一発勝負の夏を最後まで戦うために、精一杯を尽くしていこう。

そう決心をして、俺たちは拳をグッと握りしめた。

 

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