燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード21

 

 

 

 

 

「あっつー。」

 

長々と続く高野連のお偉いさん方の有り難ーいお話を聞きながら、俺はひっそりとアンダーシャツをパタパタとさせて暑さを軽減しようとした。

もちろんこんな炎天下の中では、意味がないのに等しいが。

 

全国高等学校野球選手権西東京大会。

所謂、夏の本戦が開幕した。

 

その狼煙として開催される、開会式。

この神宮球場に東西東京の全校が揃っているのだ。

 

そりゃあもう、人口密度で体感温度も上がっている。

 

「よくみんなぶっ倒れねえよな。んな暑いところじゃ、気分悪くなるやつだっているだろうに。」

 

俺は元々全国大会とかで慣れているから大丈夫だけど、こんな炎天下の中で長時間立たされているのだ。

倒れるやつがいても、仕方ない。

 

「まあ、ぶっ倒れそうなやつはいるけどな。」

 

そう言って、一也が小さく後ろを指差す。

先には、フラフラと揺れる頭が見えた。

 

ひょこりと出ている頭は、高い身長の証。

サラサラの髪が、ゆらゆらと揺れている。

 

「ああ、降谷ね。あいつ北海道出身だし、こういう暑いところには慣れてないのかも。中々こんなに人が集まるところもないだろうし。」

 

「確かにな。でかい大会だって出た経験ないし、こういう場所は初めてか。」

 

沢村に寄りかかるようにして態勢を崩す降谷。

ナイス、沢村少年。

 

「あっつー、まだ終わんないの?てか話長すぎでしょ。」

 

「ちょっと黙れ、鳴」

 

聞き覚えのある、エースとその女房役の声。

向こうも向こうで大変だなあとか思いながら、俺は当たりに目を向ける。

 

市大三校の真中さんに、仙泉の真木。

今後当たるであろう敵たちをこの目で確かめる。

まあ、いい暇つぶしになる。

 

 

 

そんなことをしていると、気づけば開会式が終わっていた。

さあ、開幕…と言いたいところだが、俺たちはシードだから来週まで試合がない。

 

帰って練習だな。

 

 

 

 

練習自体は、仕上げの段階に入っているため強度自体はそんなに高くない。

まあ、最後の確認や対策練習が中心になる。

 

意外とやることは多い。

が、今更焦ってやることはない。

 

気づけば、俺たちの初戦も眼前に迫っていた。

 

 

 

対戦相手は、米門東高校。

ごく普通の都立高校だ。

 

どこか優れたところがあるわけではない。

しかし、勢いがある。

 

最後の夏にかける思い、そして一つでも多く試合を戦うために。

 

エースは、最速132キロの直球とそこそこ曲がるカーブで打者を翻弄する右腕。

正直言って、攻略できない相手ではない。

 

コントロールも特段いいわけでもない。

よくも悪くも、普通である。

 

打線もまあ、悪くはない。

クリーンナップはパンチ力があり、勢いもある分一発怖い。

 

そして、意外と試合運びが上手い。

監督の采配なのかもしれないが、ランナーを動かしたりバスターエンドランなど積極的に仕掛けてくる。

 

初戦もその策略がドンピシャにハマり、接戦をモノにしてみせた。

 

 

「こちらとの試合でも、何か仕掛けてくるでしょうし油断はできません。」

 

「ご苦労だ、渡辺。」

 

そうして、ノートを閉じる俺たちと同い年の渡辺。

クリス先輩から直接推薦された、俺たち青道高校の偵察班だ。

 

「相手の強さは、もはやこれまでの成績は関係ないと言える。それだけ、勢い付いているということだ。」

 

やはり監督はわかっている。

最後の夏にかける3年生の強さを、そして先に勝ち星を上げていることによる勢いの怖さを。

 

「しかし、だからと言って俺たちがやることは何ら変わりはない。目の前のプレーに全力で向かっていく。それこそが、相手にとって最もプレッシャーになるはずだ。」

 

地力で言えば、間違いなく俺たちの方が上。

しかし、奇策や攻めの姿勢、何より接戦をものにしたことによるチーム全体の勢いが凄まじい。

 

先に一勝を挙げている反面、こちらは初陣。

相手も確実に先手を打って流れを掴もうとするはずだ。

 

 

まずは、その勢いを真正面から捻じ伏せる。

そしてそのまま、相手が初戦で掴んできた勢いをそのまま根こそぎ奪い取る。

 

先に勝っているからこそ、その分勝った時にもらえるものも大きい。

 

だからこそ、それを真っ向から捻じ伏せることに意味があるのだ。

 

 

 

「初戦から、全力でいくぞ。いけるな、大野。」

 

「勿論。」

 

エースだから。

チームを代表する投手だから。

 

この大事な初戦。

エースとして、必ずチームに勝利を呼び込んでみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ 青道高校投手マニュアル(夏大開始直前)

 

 

 

背番号1 大野夏輝 右投左打

 

ストレート 132km/h 球威B

ツーシーム 130km/h 球威A

スライダー 変化量2 球威E

Dカーブ  変化量4 球威C

SFF 変化量2  球威D

 

コントロール A82

スタミナ   B76

 

 

特殊能力

対ピンチA /ノビA /クイックF

奪三振 /低め○ /球持ち○ /闘志 /アウトロー球威 /軽い球 /負け運

 

 

 

 

背番号10 丹波光一郎 右投右打

 

ストレート 140km /h 球威D

Dカーブ   変化量5  球威B

フォーク  変化量4 球威D

 

コントロール C65

スタミナ   D55

 

 

特殊能力

キレ○ /一発 /乱調

 

 

 

 

背番号11 川上憲史 右投右打

 

ストレート 132km /h 球威E

スライダー 変化量4 球威C

 

コントロール B71

スタミナ   D53

 

特殊能力

対ピンチE /打たれ強さF

リリース○ /低め /緊急登板 /シュート回転 /寸前

 

 

 

 

背番号18 降谷暁 右投右打

 

ストレート 151km /h 球威A

フォーク  変化量3 球威C

 

コントロール E41

スタミナ   D53

 

特殊能力

対ピンチC /怪童

怪物球威 /荒れ球 /奪三振 /ポーカーフェイス /四球 /スロースターター /乱調

 

 

 

 

 

背番号20 沢村栄純 左投左打

 

ストレート 134km /h 球威C

ムービングファストボール 130km /h 球威C

 

コントロール D58

スタミナ   C68

 

特殊能力

対ピンチB /ケガしにくさA /ノビB

リリース○ /勝ち運 /闘志 /球持ち /内角攻め /調子安定

 

 

 

 

原作ともちょくちょく能力も変えてます(球速うpなど)

そして何より、沢村が強い。

 

 

あくまで高校野球内での査定ですので、悪しからず。

 

 


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