燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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本当にガバ文章で申し訳ない…
皆様のご指摘とご意見で相当助けていただいております、ありがとうございます。

これからも精進していただきます、どうぞよろしく。


エピソード25

夏の大会3回戦目も無事勝利を収めた俺たち青道ナイン。

しかしながら、試合はまた直ぐに始まる。

 

3日後に控えた4回戦目。

対戦相手は、明川学園である。

 

都内でも有数の進学校であり、特に留学生や外国人の迎え入れを積極的に行っている海外交流の多い高校だ。

 

 

 

チームとしては、突出して抜けている箇所は特にない。

強いていえば守備が安定しているということか。

 

打撃も特に秀でている訳でもなく、寧ろ貧打である。

 

 

が、そんなチームが勝ち抜けてきたことには理由がある。

それは、エースの存在だ。

 

楊舜臣。

台湾からの留学生であり、語学留学を目的に明川学園にやってきた投手である。

 

最速133km/hの直球とカーブフォークの変化球、1試合を投げ切るのには十分すぎるスタミナ。

 

何より、正確無比なコントロール。

インハイからアウトロー、またボール1個分の出し入れも可能とするほどの制球力こそが、楊舜臣の最大の武器である。

 

誰が呼んだか「精密機械」

その二つ名に偽りはない、制球力である。

 

 

「すげえな。俺もアウトローへの制球は自信あるけど、あそこまで四隅を的確に突けるのは相当のコントロールがないと無理だぞ。」

 

素直に、そう思う。

それも9回でも変わらず制球できるのだから、スタミナだって相当あるんだろうな。

 

「誰かさんにも見習ってもらいたいもんだな。」

 

一也がそう言って、降谷と沢村に目を向ける。

同時に目を逸らす2人、仲良しである。

 

「実際あそこまで厳しいコースを突かれたら、打つ方も苦労するよな。」

 

「あぁ。ストライクとボールをボール1個分の出し入れで投げ分けられたら、見極めるのも困難だぞ。」

 

純さんと増子さんが腕を組みながら話す。

やはり、うちの打線でも難しいか。

 

とはいえ、純さんはかなりの悪球打ち。

多少のボール球でもヒットにするこの人であれば、そんなに影響も出ないと思うけど。

多分、楊も苦手としているはずだ。

 

あとは、一也。

相手の配球を読んでコンタクトしにいくということを考えると、配球通りに投げ込めるような制球の良い投手とは相性が良いと言える。

 

実際、コントロールがいいピッチャーとの対戦成績はかなり良い。

というよりは、ノーコン投手との対戦成績が悪いだけなのだが。

 

 

恐らく打撃面で鍵になるのはこの2人。

制球をあまり苦にしない純さんと、制球の良さを逆に生かす一也。

 

ともにパンチ力があるということで、次の試合はこの2人が暴れるかどうかで試合展開は大幅に変わっていくだろう。

 

 

あとは、足での揺さぶり。

盗塁やエンドランなど、塁上からプレッシャーをかけていくことで、クレバーな楊から隙を作る。

 

特に制球が乱れての自滅がない楊だけに、こちらから仕掛けて崩していく他ない。

その為、塁上からの揺さぶりは必要不可欠になってくるだろう。

 

 

ちなみに先発は丹波さん。

次に当たる可能性の高い市大三高戦で先発予定の俺は、登板回避かリリーフになる。

 

ということで、今回もレフトでの出場。

打撃は降谷の方が一発があるけど、如何せん守備が心配。

 

お世辞にも上手いとは言えないが、まだマシという俺が守備に入った方が安定はする。

 

「他の投手はいつでも行けるように準備しておけ。特に川上と沢村、お前たちは終盤だけでなく中盤以降からも投げられるように早め早めに準備をするように。」

 

「はい!」「イエス、ボス!」

 

声高に返事をする両名。

どっちがノリでどっちが沢村少年かは、言うまでもない。

 

「楊のようなクレバーな投手は、なかなか一筋縄にはいかないだろう。お前たちが自分の役目を理解し、それを実行に移してこそ活路が見えてくる。迷わず自分達の野球を貫いていくぞ。」

 

チーム全体が大きく返事をし、解散。

 

 

さーて、俺は特に呼ばれていないのだが。

まあ次の市大三校との試合で先発する可能性が高いわけで、この試合で投げる可能性は低いからな。

 

しかし。

あの時、確かに俺はあいつと目が合ったんだ。

 

観客席から、俺を見下ろしていた。

きっとあいつも、俺を意識しているはずだ。

 

同じ、制球を自慢としている投手として。

 

 

まあ、監督の采配次第だ。

1番は丹波さんが6回もしくは7回まで投げ切ってノリに継投、最後に沢村が締める。

 

それが、1番っちゃ1番。

丹波さんが試合を作って、ノリと沢村にも経験を積める。

 

特に、夏の本戦が始まれば継投はもっと大切になってくる。

真夏の炎天下の中で、何度も完投するというのはそれだけ危険が伴うことだから。

 

 

だから、今のうちに経験値を積める分だけ積んだほうがいい。

と、勝手ながら思ったりしている。

 

よーし、そうと決まればバットを振ろう。

丹波さんを援護しよう、そうしよう。

 

そう思い、席を立ち上がる。

そして今日もまた、バットを振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てゆっか、丹波の攻略が最低条件になりそうですね。」

 

校舎の一角である多目的ホールを借りて、明川学園のナインたちは画面に映し出された1人の投手に視線を集めていた。

 

そのビデオは春の関東大会で投げている丹波の姿。

今大会の背番号10を背負った3年生投手である本格派投手である。

 

最速140km/hと大きく変化する縦のカーブでガンガン空振りを奪う高身長の投手だ。

 

強いボールと大きく曲がる緩い変化球。

お世辞にも打線が強いと言い難い明川で打ち崩すことは困難と言えるだろう。

 

 

しかし、そんな彼らがここまで勝ち上がってきたことには、確かな理由がある。

 

「そのカーブは、もはや全部捨てて仕舞えばいい。」

 

それが、このチームの2年生エースである陽舜臣。

台湾から語学留学を名目にこの明川学園にやってきた投手。

 

高い制球と優れた野球脳を生かして打者を手球にとる投球スタイルで、ここまで明川を勝たせてきた。

そして彼がチームを勝たせてきたことにはもう一つの理由がある。

 

それは、彼のもつ野球脳を生かして相手を攻略すること。

特に投手の攻略に関しては秀でており、打力のない明川打線を勝利に導いてきた。

 

 

今回も、丹波を攻略する糸口を完全に掴んでいた。

 

「彼のカーブは殆どの打者が空振りをしている。なぜだかわかるか?」

 

「そりゃ、変化が大きいからだろ?」

 

明川の1人がそう答える。

それに対して楊は否定するように首を横に振った。

 

「そもそも打てるコースに来ていないんだ。」

 

そうして楊が画面を巻き戻す。

そして、あるシーンでまた静止させる。

 

「ここも、ここもそうだ。空振りを奪っているカーブは基本低めのボールゾーンで勝負している。」

 

「確かに…でも、コースに決められたら見逃し三振になるんじゃないか。」

 

「ある程度は仕方ない。そうやって割り切らない限り、彼を打つことはできない。」

 

あえて言うのならば、格上なのだ。

並の高校では確実にエースであるし、下手をすれば強豪校でもそこそこやれる実力がある。

 

そんな丹波を攻略するのは、やはり少しばかり大胆に攻めることが必要なのかもしれない。

 

「初回からストレートの一点狙いだ。初球から狙って行って、俺たちがストレートを狙っていることを意識させる。」

 

こちらが策を投じれば、相手はそれに対して対策を講じてくる。

それを、利用する。

 

「カーブが増えれば自然とボール球が増えてくる。後は、カウントが悪くなったところで甘く入ったコースを叩く。特に丹波の場合は、追い込まれると抜け球が多い傾向にある。」

 

「そこを狙えばってことだな。」

 

楊が、小さく頷く。

 

「そんな簡単にはいかないだろうが、彼もまたムラがある選手だ。場合によっては序盤から攻撃することができる。」

 

そうなれば、明川としてもありがたい。

先制することができれば、自分達のペースに持ち込むことができるからだ。

 

 

「リリーフで出てくる可能性があるのは2人。一年生の沢村と川上だ。」

 

変則フォームのサウスポーと、サイドハンドの右。

特徴的な2人だが、楊はそこまで注意していなかった。

 

「川上に関しては、徹底的にゾーンを上げていく。角度のついたストレートとスライダーは見慣れていないだろうが、球速自体はそこまで速くない。しっかり観察すれば、お前たちでも甘いコースなら打てる。」

 

「この沢村ってやつはどうなんだ?そこまですごい投手には見えないけど。」

 

「それに関しては俺も同意だ。なぜベンチに入っているのかはわからんが、枚数計算できるほどにはいい投手なんだろう。初戦ではテンポ良く振らせていただけに、フォームや球筋が影響して打ちにくいのかもしれない。こいつに関しては、追い込まれるまで待った方がいいだろう。打席でしかわからないこともあるだろうしな。」

 

 

そうして、楊がビデオを止める。

これ以上見る必要はないし、そんな時間を費やすくらいなら練習して少しでもバットに当たる確率を上げた方がいい。

 

楊がそういうと、彼らもそれぞれ試合に向けて練習を始める。

 

それに続き、楊もゆっくりと立ち上がる。

そして、もう一度振り返った。

 

「大野、なぜ君は…」

 

そう呟き、少し切なそうな顔をして止まる。

すぐに彼は口を閉じてグラウンドへ向かった。

 

 

 

 

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