燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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大変お待たせ致しました。
順次投稿していきます。






エピソード45

 

 

 

先頭のカルロスをツーシームで三振に切ってとると、続く白河をサードゴロ。

クリーンナップである吉沢をカーブでセカンドゴロに抑え、三者凡退で初回を終えた。

 

 

 

息を吐き、駆け足でベンチに引き上げる大野。

その背中に1つの声を感じて、振り向いた。

 

「ナイスピッチ。」

 

「ありがとうございます。」

 

セカンドであり、3年生の小湊。

彼もまた、大野の信頼する先輩の1人であった。

 

「オーバーペースじゃない?」

 

「大丈夫です、そんなヤワじゃないですよ。」

 

「言ったね?じゃあ9回まで頼むよ。」

 

小湊の言葉に軽く会釈をして返すと、流れてきた汗を軽く拭ってベンチへと入っていった。

 

 

(やっぱ今日、いつもより暑い。)

 

それもそのはず。

今日は、今年3度目の猛暑日が予想されているのだから。

 

そんな彼の姿を見てか、後輩である沢村がスポーツドリンクの入ったコップを手渡した。

 

「おう、サンキュー。」

 

「いえいえ、グイーッといってしまってくだせえ!」

 

独特な後輩の言い回しに少し苦笑いしながらも、彼は一口ドリンクを口に含んだ。

 

 

 

既に気温は30℃を超えており、またこの後も気温が上がっていくことが予想されている。

 

そんな今日の天気予報を思い出し、大野は小さく息を吐いた。

 

 

「先頭は哲さんか。」

 

横にいる女房役に、何の気なしに声をかける。

 

「ああ。見た感じ今日の鳴は絶好調だからな。早い内から点をとっておきたいな。」

 

おっしゃる通りで。

そう思いながら、大野は再び紙コップに口をつけた。

 

 

打席には、主将で4番の結城。

マウンドには、エースである成宮。

 

去年は、成宮から長打を放った数少ない打者の1人。

 

今大会でも打率5割を記録しており、決勝戦でのキーパーソンの1人となっている。

 

 

 

まずは初球。

真ん中低めに入るストレート。

 

これを振りにいくも、少し振り遅れてファール。

 

(甘いぞ。)

 

(振り遅れてんじゃん。でもまあ、危なかった。)

 

原田の返球を右手で掴み、その逆の手でロジンバックに触れた。

 

 

(こいつには特に気をつけて攻めろよ。)

 

(わかってるって。)

 

 

ワインドアップから足を高く上げる。

そして、2球目を投げ込んだ。

 

今度は外角に少し外れるボール球を見送る。

 

 

1ボール1ストライク。

続けて投げ込んだスライダーを見逃したものの、これが外いっぱいに決まって2ストライクと追い込んだ。

 

 

そして。

 

「空振り三振!最後は渾身のストレートで怪物スラッガーを三振に切って取りました!」

 

 

マウンドの投手はその利き腕を握り込み、打者は跪いた

 

 

 

一度目のエース対4番の対決は、成宮に軍配が上がった。

 

「すまん、夏輝。」

 

「まだ始まったばかりですし。やっぱり、すごいですか。」

 

「ああ。去年よりもかなり進化しているな。」

 

ストレートの最速自体は、そんなに変わっていない。

しかし、球の質自体はかなり向上していた。

 

 

続く増子も三振。

6番の御幸に打席が回る。

 

何度も言うが、チャンスでしか打てない。

ランナーがいなければ、初球打ちゴロ製造機となる。

 

 

 

 

(まあ、そんなすぐに点が入るなんて思っていないし。)

 

そう、言い聞かせる。

別に、そう簡単に点が入るとは思っていないし。

 

 

今はとにかく、点をやらないこと。

 

「やるしかない、かな。」

 

呟き、ベンチを立ち上がった。

 

 

 

「4番からな。慎重に攻めるぞ。」

 

「わかっている。」

 

御幸の言葉に、一言で返す。

そして、また帽子の鍔に手をかけた。

 

 

打席に立つのは、4番。

数分前、成宮が立っていたマウンドに、同じ状況下に立った。

 

 

 

打席に立つ原田に目を向けながら、マウンドに置かれた袋に手を置く。

白く染まった右手に息を吹きかけると、白い粉は粉雪のように舞い、宙に消えた。

 

やはり、大きい。

 

体が大きいと言うのもそうだが、やはり強打者特有の風格のようなものが漂っているのだろう。

 

 

少し、圧倒される。

が、構うことなく大野は息を吐いた。

 

御幸の構えたコースは、内角の低め。

 

 

(慎重にいくのでは?)

 

(あくまで見せ球だ。外一辺倒じゃ抑えられないぞ。)

 

(そう言うことなら、OK。)

 

小さく頷き、モーションに入る。

 

甘く入れば、長打。

だが、決まればかなり有効なコースになる。

 

(ここ。)

 

一点。

指先に、全力を注ぎ込む。

 

思い切り、振り抜いた。

 

 

 

乾いたミットの音。

同時に、審判のコールが響く。

 

「ストライク!」

 

内角低めいっぱい。

低めから伸び上がってくるような真っ直ぐがピンポイントのコースに決まった。

 

 

2球目、今度はインコース高めのボール。

迷わず振りにいったが、間も無くして白球は原田の視界から消えた。

 

 

 

 

内角、125km/hのツーシームファスト。

大野の生命線とも言われる、ストレートと対をなすウイニングショット。

 

これを空振り、早くも追い込んだ。

 

 

(流石の高速変化だ。やっぱこの球は中々打てねえよ。)

 

単体ずつで見れば、大したことのない2つの球種。

しかし組み合わされば、それぞれが魔球となる。

 

 

打者の手元、普通の投手なら失速するであろう地点から「加速するような」ノビのあるフォーシーム。

 

フォーシームと同じスピードで、且つ打者に近い点から「失速する」シンカー並みに落ちるツーシーム。

 

 

それを自由自在に制球できるから、また厄介なのだ。

 

(さあ、何で来る。)

 

ツーシームか、フォーシームか。

勝負球は、この速い球が多い。

 

だから、この2球種に狙いを定める。

 

 

3球勝負の可能性が高いため、ゾーンに入ってきたらバットに当てる。

且つ甘く入れば、強く叩く。

 

大野の3球目を待った。

 

 

 

高い打点から放られた3球目。

外角の低めに少し外れたボール球の直球。

 

これを原田が見逃し、1ボールとなる。

 

(見逃したか。)

 

(ってよりは、左右の揺さぶりで反応しきれなかった感じだな。入れてもよかったかも。)

 

(後の祭りだ。次はどうする。)

 

目を合わせ、御幸のサインに頷く。

 

 

「っつ!」

 

選んだボールは、内角真っ直ぐ。

インローのフォーシームに詰まり、打球は打ち上がり。

 

 

高々上がった打球は、落下点に入っていた結城のグローブを鳴らした。

 

 

 

 

「最後は129Km/hの直球で完全に詰まらせました。原田をファーストフライで打ち取りまずは1アウトです。」

 

また歓声が、大野の耳に突き刺さった。

 

 

 








どうやらまだ2回らしい(白目)
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