燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード56

 

 

 

 

 

 

新チームとして練習を再開した2日目。

俺は晴れて退院し、チームへ合流した。

 

 

「戻ったぞ。またよろしく。」

 

 

とりあえず、一也に挨拶。

去年もそうだが、こいつにも心配をかけた。

 

 

「意外と早かったな、エース。」

 

「元、な。それに、寝てても野球は上手くならん。」

 

「ご最も。」

 

 

互いに変わりない。

いつも通り冗談を交え、アップをする。

 

 

体をほぐすようにストレッチをしていると、一也がずっとこちらをみてきていた。

 

 

「何だよ。久しぶりで俺の顔忘れちまったのか。それとも恋心か?」

 

「ねーよ。意外と引きずってねえなって思ってな。」

 

一也が、そう言って笑う。

まあ、確かにそうだな。

 

 

「まあ、な。」

 

いつまでもくよくよしたって始まらないことは、去年の時点でわかっている。

だったら、もう二度と同じ思いをしないために、練習するしかない。

 

 

それに、これからは俺たちの世代なのだ。

いわば、俺たちのチームなのだ。

 

 

自分がチームの中心というのは、わかっている。

そんな俺がいつまでも部屋にこもっているわけにはいかない。

 

 

「待っていても、勝ちはやってこないからな。」

 

「お前らしいな。とにかく、よかったよ。」

 

 

それに。

成宮と投げあっている時の充実感みたいもの。

 

俺は何となく、決勝戦という舞台よりもそこに意識がいっていたのかもしれない。

 

 

 

 

「そういえば、キャプテン降りたんだな。」

 

 

新チームとして動き始めた青道高校。

何よりまず決めなければならないのは、チームを引っ張る大将。

 

 

つまり、主将である。

前年は満場一致で哲さん。

 

今年はその哲さんの推薦で一也の予定だったのだが。

 

 

「そういえば降りたんだな、キャプテン。」

 

「あぁ。お前の異変にも、降谷の緊張にも気がつけなかったからな。投手の変化にも気がつけないのに、チームは背負えねえよ。」

 

 

一也は投手ともう一度向き合いたいと監督に直訴。

 

主将ではなく一捕手となることを熱望した。

 

 

 

監督自身もそれを咎めることはとくにせず、御幸の意志を尊重することにしたらしい。

 

まあうちには、癖の強い投手しかいないからな。

それを纏めて尚且つチーム全体も見ろというのは、中々苦労する。

 

 

 

 

ということで、キャプテンとして上がったのが、外野手の白州健二郎である。

 

寡黙ながらも熱い心の持ち主で、チームのことも広く見えている。

 

1年時から試合に出ているため実力も伴っており、外野手としての野球IQも高い。

 

 

 

「白洲か。意外と適任なんじゃないか。」

 

「俺もそう思う。副キャプにゾノと倉持もいるし、チームの統合的には悪くないと思う。」

 

「そうだな。」

 

 

軽くキャッチボールしながら、話す。

流石に今日は投げ込まないが、少しずつ感覚を戻していかなければ。

 

 

それこそ、まる3日間寝ていたからな。

そもそも身体自体鈍ってる。

 

「投げるのか?」

 

「いや、今日はいい。肘の調子もあまり良くないし、もっと先にやらなきゃいけないこともある。」

 

 

走り込み、トレーニング。

あとはバッティングか。

 

肘がまだ張っている感覚があるし、ピッチング以外の練習をしよう。

 

 

 

「ありがとう。そろそろ時間か。」

 

「そうだな。」

 

 

日が昇り、だいぶ明るくなった。

蝉が鳴き、その音が夏の暑さをさらに感じさせる。

 

 

 

足早に整列し、監督がやってくる。

今日からまた、練習がはじまる。

 

 

次の大会は、秋大か。

春の甲子園に繋がる大会であり、東西東京すべてがトーナメント形式で試合をする。

 

 

そのブロック予選が、8月末から始まるのだ。

まずはそこに向けて、チーム作りを始める。

 

 

 

 

「昨日も話したが…」

 

 

チーム練習自体は昨日から再開しているため、新キャプテンの抱負とかはもう昨日のうちに済ませてある。

 

白洲が前で何か話すとか、中々想像できない。

 

それでも御幸がいうには、やはり決勝での敗戦を糧に優勝すること。

彼なりにそれを伝えたのだろう。

 

 

まあ白洲はしっかり者だし、大丈夫だろう。

そもそも心配はしていないし。

 

 

まあ副キャプテンは熱い男、ゾノこと前園健太。

もう1人は、意外と人の観察力がある人、倉持洋一である。

 

 

副キャプテンも2人体制でついているため、チーム管理はかなり円滑にいくのではないだろうか。

 

 

 

ブルペンの管理は、御幸一也。

元々キャプテンを推薦されていただけに、やはりここのまとめ役は彼しかいない。

 

 

投手は去年同様、俺が中心になってメニューは考えていく。

 

 

チーム方針としては、やはり昨年同様。

 

攻撃は積極的に仕掛けていく。

守りは、堅実に確実に相手にチャンスを作らせない。

 

 

打線は、御幸を四番に。

後は試行錯誤しつつ、大会まで見定めていくらしい。

 

 

 

「悔しさを忘れるな。それが明日への勝ちにつながる。今日もそれぞれ目標を持って取り組んでいけ!」

 

 

「ハイ!」

 

 

「じゃあランニングから、元気よく声出していくぞ!」

 

 

監督が手を叩くと、白洲が声を張り上げて先頭に。

 

「ランニング、いくぞおぉぉ!」

 

 

おっ、意外と様になってんじゃん。

しゃあ、俺も声出していきますか。

 

 

「いっ…」

 

「いっちにい!」

 

俺の声を掻き消すほどの声が、横から。

こいつは…。

 

 

「はっはー!なっさん、もうエース争いは始まってるんですよ!」

 

 

沢村である。

こいつはもう、休み明けだというのに変わらずやかましい。

 

 

ったく。

 

 

 

 

「俺がエースになる。」

 

「なっさん、俺だって負けませんよ!」

 

「俺も忘れんなよ。」

 

「いたのか、ノリ。」

 

 

明らかにシュンとするノリに謝りながら、ふと違和感に気がつく。

 

 

 

 

 

 

降谷…?

 

 

 








白洲推し、歓喜なのでは。



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