燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

61 / 283
エピソード59

 

 

 

 

やあみんな、俺だ。

青道高校2年、元エースの大野夏輝だ。

 

今日は新チーム結成後初めての練習試合。

久しぶりの試合だし、俺も張り切っていくぞ。

 

 

 

ちなみに今日のオーダーは、こんな感じ。

 

 

 

一番 遊 倉持

二番 中 大野

三番 二 小湊

四番 捕 御幸

五番 右 白洲

六番 一 前園

七番 投 川上

八番 三 樋笠

九番 左 麻生

 

 

 

 

俺はセンターでスタメン出場。

まあ、今日はダブルヘッダー(1日で2試合行うこと)だからな。

 

俺はその二試合目に登板する予定だ。

 

 

 

一試合目の先発投手は、同い年のノリ。

リリーフで沢村の予定。

 

 

 

俺は午後の試合で先発予定。

そのリリーフで、降谷が入る予定。

 

 

 

 

 

さて、相手は言っちゃ悪いが確実に勝てる相手。

あとはそれぞれがどうアピールしていくか、だな。

 

 

相手先発は、一年の左腕。

スライダーが決め球の、最速136km/hの有望株である。

 

 

 

「コントロールは、普通かな。」

 

「スライダー、結構いい角度で曲がるな。打ちにくそ。」

 

 

ベンチ前でタイミングを合わせながら、倉持と軽く話す。

 

 

「先頭打者さん、まずはチャンスメイクお願いします。」

 

「っるせ。」

 

 

ちなみに、倉持セカンドゴロである。

完全にストレートに詰まってのゴロである。

 

 

 

「頼みますよリードオフマンさん。」

 

「るせ!」

 

さっきよりも、強めの怒気が帰ってくる。

 

 

仕方ない、実戦は約3週間ぶり。

最初の打席は、感じるだけでいい。

 

そもそも倉持は、元々率がいい方じゃない。

内野安打や足でもぎ取る安打が多い為、ヒット自体は少ない。

 

 

塁に出れば、ほぼ二塁打確定なんだけどな。

 

 

 

さて、と。

言っていても仕方ない。

 

 

「2番、センター、大野くん。」

 

 

ここは俺が、チャンスメイクをしていかねば。

 

 

「よろしくお願いします。」

 

「おや、今日は先発じゃないんですね。」

 

 

キャッチャーから、そう言われる。

向こうとしては、こちらの集中力を削ぐのが半分、単純に疑問を感じたのが半分だろう。

 

別に隠すも何も無いし、普通に答えるけど。

 

 

「そうですね。次の試合では先発しますんで、その時はよろしく。」

 

 

 

相手は、平均球速130キロほど。

俺よりも少し速く、決め球のスライダーもキレている。

 

情報はこれくらいか。

1年生なだけに、やはり情報があまり多くない。

 

 

特に夏の大会でもあまり投げていなかったからな。

 

できれば、隠れている「それ」を引き出したい。

 

 

 

まず初球。

インコース高め一杯にストレート。

 

あくまで見せ球だろうが、これが決まってストライク。

 

 

2球目、インコース低めにストレート。

これも見逃し、早くも追い込まれる。

 

 

 

スピードはそれぞれ120後半くらいか。

まあ、体感速度も大体違和感がないかな。

 

フォームも癖がないし、タイミングも取りやすい。

 

 

3球目、アウトコースのストレート。

これは外れてボール。

 

 

4球目のスライダーもカット、カウントとしては未だに1ボール2ストライクとまだ投手有利のカウントである。

 

 

 

(スライダーは、横気味だな。真っ直ぐも威力がある訳でもない。)

 

あとは、もう一つ変化球があるか。

そこだけ、知りたいな。

 

 

一つ息を吐き、構え直す。

もう少し辛抱させてもらうよ。

 

 

 

5球目、再びスライダー。

これが低めに外れてボール。

 

もう1球スライダー。

ゾーンにきたこのボールをカットして、並行カウント。

 

 

 

うーん、この感じはスライダーだけかな。

なら、そろそろ狙わせてもらう。

 

 

 

 

 

6球目、ストレート。

外角の甘く入ってきたボールを、弾き返した。

 

狙い通りライトのライン際。

逆らわずに打ち返した打球は切れることなく、ライトの前に落ちた。

 

 

 

とりあえず、ヒットだな。

球もだいぶ見せたし、2番の活躍はできたんじゃないか。

 

まあ、亮さんほどじゃないけど。

 

 

 

この後、続くのは春市。

彼も持ち前のシャープな打撃でチャンスを広げ、ランナーを一二塁と増やす。

 

 

2番、3番と仕事はした。

あとは、4番。

 

ここが機能するかどうかで、今年の打線が決まる。

 

 

 

さあ頼むぞ、4番。

 

 

「4番、キャッチャー、御幸くん。」

 

 

チャンスでしか打てない男。

得点圏にランナーが近づけば近づくほど、ランナーが貯まれば貯まるほど打力が向上する、不思議なバッターである。

 

その条件下であれば、このバッターはチーム1のパンチ力を誇る。

 

 

 

現在のランナーは、2人。

一、二塁とはいえ、得点圏である。

 

 

(悔しかったんだろ。打てなかった自分が不甲斐なかったんだろ。)

 

 

夜中、普段他の人の前で自主練をしないこいつが、バットを振っている時につぶやいていたのを知っている。

 

 

 

一番近いところで、あの怪物投手を見てきたのだ。

あの怪物投手に、完膚なきまでやられたのだ。

 

 

その悔しさは、必ず力になる。

 

 

 

 

 

相手投手が速球を放った初球。

甲高い金属音とともに、白球は右中間を抜けていく。

 

 

これがうちの4番。

チャンスでしか打てないが、チャンスなら確実に仕留めてくれる。

 

 

 

ムラっ気のなさは、今後練習をしていくしかない。

しかし今。

 

最も打線の主軸における男は、この選手なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この回一気に3得点。

やはり打の青道の名前は今年も健在であり、上位打線から得点を奪っていける。

 

 

さらに、先発の川上。

サイドハンドからテンポよく放り、5回までを1失点に抑える好投を見せる。

 

夏の大会では影が薄かったが、低めへの制球とキレのあるスライダーで打たせて取る投球は、やはり安定抜群である。

 

 

 

続く沢村は、序盤こそ制球に苦労したものの、御幸の巧みなリードと二つの速いボールの組み合わせで残りの回を無失点に抑えた。

 

 

俺も野手として3安打1打点と上出来。

打線もコンスタントに得点を重ねていき、7得点。

 

 

 

俺たちの練習試合初陣は7−1で大勝することができた。

 

 

 

 

反省点もあったが、とにかく勝った。

ノリも流れを作る投球に、沢村も立ち上がり以外はほぼ完璧な投球。

 

打線も二桁安打に7得点。

完成度としては、かなりの水準なのではないだろうか。

 

 

 

 

今のところは不安要素も特になし。

 

次の試合は、少しメンバーを入れ替えて。

あとは、俺と降谷か。

 

同じ対戦相手であり、先発も前大会でエースとして躍動した塩崎。

最速140km/hの直球と緩く沈むシンカーで試合を掌握する本格派サイドスローである。

 

 

 

入れ替えたのは、先発投手。

あとはサードの金丸とセンターに麻生、レフトに降谷が入る。

 

 

 

 

よし。

バックを守る仲間は変わっても、俺がやること自体は変わってこない。

 

 

チームを背負って、腕を振る。

 

 

 

新青道のエースとして。

俺は、マウンドへと向かった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。