燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード70

 

 

 

 

 

 

まだ残暑こそ残っているものの、少しずつ秋模様が顔を出し始めてきた9月半ば。

 

 

遂に、秋大の一次予選。

所謂、ブロック予選が開幕した。

 

 

秋季東京都高等学校野球選手権大会。

東西東京がブロック予選を経て、トーナメント形式でぶつかる大型の大会である。

 

 

新チーム発足後の最初の大会であり、他の競技で新人戦と呼ばれるものに位置するこの大会は、11月より行われる明治神宮大会の実質的な予選となっている。

 

 

 

そして何より、選抜高等学校野球大会。

俗に言う、春の甲子園への優先的な出場権を与えられる大会でもある。

 

その為、各チームの意気込みはかなり高い。

 

 

 

俺たち青道高校も、今日がその初戦。

対戦相手は、豊崎学園である。

 

言い方は悪いが、万年1回戦敗退のチーム。

普通に戦えばまず、負けることはないだろう。

 

 

今日の先発は降谷。

現段階でエース格のこの1年生投手に、マウンドを任せる。

 

 

ちなみに私大野夏輝は、右肘の怪我でお休み。

バッティング自体は問題ないが、少しでも回復を早める為にブロック予選は休む予定だ。

 

一応ベンチには入っている。

まあ、万が一の代打としてだけどな。

 

 

先攻めは対戦相手の豊崎学園。

ということで、マウンドには先発投手の降谷が上がる。

 

 

 

気になる初回の立ち上がり。

普段からスロースターターと言われ、中々四死球無しで三者凡退と行けない降谷なのだが。

 

 

 

 

まずは先頭に対して、高めのストレートで空振り三振。

続く2番に対しても5球目のストレートを振らせて三振。

最後の3番も高めのストレートで空振り三振。

 

全く同じ光景だが、これが三者連続続く。

つまり、ストレートによる三者連続三振である。

 

 

 

正に完璧な立ち上がりで、尚且つド派手なスタート。

その為、会場に集まっていた野球ファンは大いに盛り上がった。

 

 

 

しかしまあ、それは観客目線の話。

ベンチに戻ってきた降谷を待ち構えているは、俺と落合コーチ。

 

そして、降谷と共にやって来た御幸一也である。

 

 

「四死球ないのは○だな。」

 

「球が高い。」

 

「球数を使いすぎだ。」

 

 

ちなみに上から、落合コーチ、一也、俺である。

辛口で有名な落合さんがフォローに回るという、異例な光景である。

 

 

 

 

野手陣ないし、他の人が見たら圧をかけすぎてるように見えるだろう。

しかし、これも彼が望んだことだ。

 

 

「今の相手ならその高さで空振りが奪える。だが、これが稲実や薬師だったら抑えられるか?」

 

俺がそう聞くと、降谷は首を横に振る。

わかってるならよし。

 

 

はっきり言って、地区レベルならまず降谷のストレートは打てない。

それこそ、ど真ん中に集めてフォークを絡めてるだけで抑えられるくらいには。

 

しかし、目指すところは「そこ」じゃないだろう。

 

 

 

「エースになるんだろ。なら、相手に合わせてる暇ねーぞ。」

 

夏で悔しい思いをしたんだ。

少し厳しくした方が、こいつの為になる。

 

ポテンシャルは異常なほど高いんだ。

 

 

きっと、こいつは…

 

 

 

「御幸、2回以降はカーブも混ぜてやれ。実際に公式戦でやってみれば、より馴染むだろう。」

 

 

「わかりました。」

 

そう、降谷だがこの夏休みの間にカーブを練習していた。

 

 

降谷の持ち味と言えば、やはりその豪速球。

高めならば吹き上がるようにして加速し、低めでも落ちずに伸びる最速153km/hのストレート。

 

そしてその対を為す、フォークボール。

ストレートと殆ど同じ軌道で、伸びずにストンと落ちる変化球。

 

 

 

この2つの組み合わせで、ストレートを軸にしながら追い込んでからフォークを使って三振を奪ってきた。

 

しかし、2巡目や3巡目以降。

強豪校であれば、降谷の速球にも対応してくる。

 

 

そうなると、必要になって来るのは緩急。

緩い変化球を混ぜることで、彼の最大の武器である速球をより速くみせる。

 

更に投球に幅を持たせるために、今カーブを練習しているのだ。

 

 

 

軌道としては、俺の縦カーブに近い変化なのだが、まだ感覚を上手く掴めていない為中々変化が小さい。

 

まあ実際練習試合では何度か投げている。

が、やはり中々感覚が安定しないらしい。

 

 

 

こればかりは、人によって指先の感覚から体躯から差ができるから、俺が口頭で説明するのも難しい。

 

何より、とにかく体格が違うからな。

実際投げて、掴んでいくしかないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、対する青道高校の攻撃は、倉持がサードゴロで倒れて1アウト。

 

しかし、今日2番で起用されている白州がライトオーバーのツーベース、さらに3番の小湊がレフト前に運び、チャンスを広げる。

 

 

1アウト、ランナー一三塁。

この大チャンスで打席に回るのは、4番の御幸。

 

 

超チャンス男、得点圏打率7割近くのこの男。

流石にバッテリーもこの男との勝負は出来ないと思ったのか、四球。

 

1アウト満塁と変わり、打席には5番の前園。

 

 

典型的なプルヒッターであり、努力の鬼。

現在はチームバッティングを意識しすぎる故に、不振である。

 

 

元々引っ張るのが得意な前園である為、無理に右方向を意識するが故に、力ない打球になってしまう。

 

 

内野ゴロでも、外野フライでも1点の場面。

最悪なのは、内野手の正面に転がってのダブルプレー。

 

 

ゲッツーだけは打つなよ。

そう思ったせいか…

 

 

「あっ。」

 

 

 

中途半端に当てた打球はセカンド正面。

一塁ランナーの御幸を余裕を持ってアウトにすると、そのまま一塁に転送。

 

4-6-3のダブルプレーで、初回の攻撃を無得点で終えてしまう。

 

 

 

大丈夫か、青道打線…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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