燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

73 / 283
エピソード71

 

 

 

 

 

「アウト!ゲームセット!」

 

 

ふぅ…終わった…。

ベンチ内の選手もグラウンドに集まるように促され、俺はホームベース近くへ向かう。

 

そして、グラウンド後方の得点板に目を向けた。

 

 

豊崎 0 0 0 1 0 1 0

青道 0 0 0 4 2 4 ‪✕‬

 

 

試合は、10-2の7回コールドで勝利した。

結果だけ見れば圧勝なのだが、内容自体はいいものではなかった。

 

 

 

序盤は中々点が取れず、チャンスを作ってもランナーが残塁してしまうという悪い流れが漂う。

 

そして4回、フォアボールからランナー三塁に置かれた場面。

ここで甘く入ったストレートを4番の香月が弾き返し、一二塁間を抜けるヒットとなる。

 

 

 

しかし、先制された直後。

6番の降谷が自援護のホームランを放ってすぐさま追いつくと、7番の東条と8番の金丸で連打。

 

その後麻生のタイムリーヒットで逆転すると、倉持、小湊にもタイムリーが生まれてこの回一挙4点を入れる。

 

 

残りの回はこちらも勢いに乗り、コールドまでこぎつけた。

 

 

 

 

ちなみに俺の出番はなかった。

まあ、そこまでやばい展開じゃ無かったわけだし、そもそも俺が出たところでと言うところはある。

 

 

降谷は先発として6回を投げきり2失点。

初回から飛ばしていたというのもあり、7回までは投げきれなかったが、試合を作った点で言えばかなりの成長だろう。

 

最後はノリが三者凡退に抑え込み、試合を終えた。

 

 

 

 

降谷は、いい出来だったと思う。

特に初回からフォアボールがなく、失点してからの大崩れしなかった。

 

初回はボールが浮いていたが、回を追うごとに低めに集めることも出来ていた為、今日の降谷は上出来だったというのが、俺と落合コーチからの評価である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後。

青道、ブロック予選2回戦目を迎える。

 

相手は都立三野高校。

1回戦目の相手同様、苦戦するような相手ではない。

 

 

 

今日の先発は、練習試合でも安定した投球をみせている沢村。

主にリリーフが多かったものの、先発でも結果を残していた為、監督も思い切って先発に指名した。

 

 

まあ、そうだな。

あとは俺が抜けた分を補う為っていうのもあるんだろう。

 

 

元々俺と降谷が先発、ノリと沢村がリリーフも兼任という形でやっていた。

 

その為もう1枚の先発として、沢村。

沢村が抜けた分に、東条が入ってリリーフも2枚になった。

 

 

 

夏の大会ではその安定感を評価されて、抑え。

しかし、俺と一緒に毎朝走っていると言うのもあり、スタミナもかなり上がっている。

 

また、投球幅も落合コーチからのコーチングによって広がった。

 

具体的に言うと、不規則に変化する高速チェンジアップに、ある程度コースを決めることができるカットボール。

また、得意のインコース攻めと夏の大会で得た外角低めの投球。

 

ある程度制球も安定しており、投球テンポもいいため、野手も勢いに乗って攻撃に移りやすい。

 

そんなこともあり、実は夏大会後から沢村の先発自体は計画されていたのだ。

 

 

 

 

 

さて、気になる沢村の立ち上がり。

先頭打者にこそ四球で歩かせてしまったものの、失点を許さずに投げ込んでいく。

 

 

打線も初回からチャンスを作る。

 

相手投手が乱調というのもあり、倉持、この日2番に入った東条が連続ヒットで出塁。

また、3番の白州が四球で出塁し、いきなり0アウト満塁のチャンスを作る。

 

 

ここで回りますは、4番の御幸。

チャンスヒッター、生粋のクラッチヒッターであり、今年の青道の4番である。

 

 

(俺なら勝負だが。)

 

無理に勝負して撃たれるくらいなら、歩かせた方がいい。

失点する勇気か、抑え込みにいくか。

 

 

勝負だけが、全てじゃない。

寧ろ投手に求められるのは、勝つことだから。

 

 

さあ、どうする。

 

 

 

キャッチャーは、座った。

 

 

「ほう、勝負するか。」

 

 

落合コーチがそう零す。

初回から逃げてては、勝ち目がないと感じたか。

 

 

「勝負するなら、腹括っていくしかないですね。」

 

 

抑えにいくなら、それだけの力が必要。

でなければ、火傷する。

 

逃げ腰なら、やられる。

なんて言ったって、満塁の一也は悪球だろうが平気で外野まで飛ばす。

 

 

構えられたコースは、外角の低め。

少し、ボール気味か。

 

案の定、外れてボール。

 

続けて投げられたコースは、さらに外に外れてボール。

 

 

逃げ腰だな。

投手ではなく、リードしている捕手が逃げ腰になっている。

 

 

魂胆としては、厳しく攻めてカウントが悪くなったら歩かせる、かな。

だとしたら、悪手だな。

 

その逃げ腰は、投手にも伝染する。

 

 

 

案の定、少し入れた外角のボール。

しかし、力はない。

 

もちろん一也は、これを狙っていた。

 

 

 

 

快音。

逆方向に飛んだ打球はレフト方向。

 

外野手も全く追いかけることもなく、そのまま場外へと消えていった。

 

 

 

 

 

初回、一気に4得点を入れた青道高校。

この熱い援護に応えて、沢村もテンポ良く投げ込んでいく。

 

打線もコンスタントに点をとっていき、4回終了までで11得点と大爆発していた。

 

 

 

ラスト一回。

スタミナに余裕がある沢村がベンチに下がり、マウンドにはこの男が上がる。

 

 

「東条ー!お前ならできるぞー!」

 

「余計なお世話だっつーの。」

 

 

ベンチでアイシングをしながら声をかける沢村。

すかさず、チョップをかましてツッコミを入れる。

 

 

高校野球の公式戦では初登板。

かなりの点差もあり、気持ち的にも余裕があるはず。

 

 

そもそも、中学時代は投手だったのだ。

きっと、大丈夫。

 

 

「東条ー!頑張れよー!」

 

「なっさんも言ってるじゃないですか!」

 

 

熱いピッチャー返し…基ツッコミを受ける。

こいつ、やるな。

 

 

そんなことをやっているのとは関係なく、東条がマウンドへ。

 

 

まずは、先頭の8番に対しての投球。

 

 

初球、外角のストレート。

これが低めに決まり、1ストライク。

 

続く2球目。

先ほどより甘いコースのストレート。

 

これに打者は手を出す。

 

球速としては120キロ台。

しかし打者は、打ち損じた。

 

 

球の正体は、ムービングボール。

打者の手元で高速で小さく変化する、ツーシームファストでセカンドゴロに抑えた。

 

 

 

 

続く打者に対しては一転。

緩い変化球カーブを2球続け、これを引っ掛けさせる。

 

力なく弾き返された打球はピッチャー正面。

これを東条が丁寧に捌いて2つ目のアウトを奪う。

 

 

落ち着いてるな。

流石に強豪シニアで投げてきただけあって、マウンド捌きもいい。

 

これは思っていたより期待できるんじゃないか。

 

 

 

 

最後の打者は、1番。

この打者に対して、初球はスライダー。

 

外角に逃げていくこのボールに、空振り。

 

2球目、同じようなボールを投げるも、これは見逃されカウント1−1。

 

 

3球目、今度はインコースのツーシーム。

これがバットに当たるが前にとばず、ファール。

 

 

 

 

追い込んだ。

カウントは以前、バッテリー有利のカウント。

 

 

1−2から放った4球目。

 

最後は低めのボールゾーンに落ちるカーブを拾われるも、強いあたりをサードの金丸がガッチリキャッチ。

 

 

金丸のファインプレーで、沢村の先発挑戦と東条のデビュー戦は無失点で飾ることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。