燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード74

 

 

 

 

 

 

秋大のブロック予選を1位通過で、本戦へと駒を進めた俺たち。

今日もまた、練習に勤しんでいるところだ。

 

 

「センター、バックホーム!」

 

ノッカーの声に反応し、俺も声を上げる。

 

「お願いします!」

 

バットの快音、打球は高く上がってセンター前へ。

これを無難に前で処理し、打球を収める。

 

そして最短で右手に移し替えてステップ。

低い弾道で、ホームへと送球してみせた。

 

 

「ナイス送球!今のは倉持でも回れねえよ!」

 

夏休みから始めたセンター守備も、だいぶ慣れてきた。

まだシフトや打球処理には課題があるものの、何とかこなせる。

 

 

まあ守備位置とかに関しては完全に白州任せだけどね。

そこら辺はやっぱり、外野歴が長い人にお願いしちゃう。

 

 

インプレー時の動きに関しては、ある程度何とかなる。

元々レフトを守っていたというのもあるし、足自体結構速い方だから、範囲に関しては悪くないと言われた。

 

最低限、だと思うけど。

でも守備面に関しては、シニアの時から一也と、同チームで今は稲実のセンターを守っているカルロスからもみっちり教えこまれていたからね。

 

 

 

 

打撃自体の調子も、悪くない。

投球を気にしなくて良い分、良くも悪くもリズムを崩されることがないから安定した成績を残せる。

 

長打がないから、あまり怖いとは思われないんだけど。

それはまあ、俺の力的に言っても仕方がない。

 

 

 

 

 

 

さて、秋風が少し心地よくなって来た今日この頃。

風物詩である秋の大会の本戦が近づいてきている。

 

それに合わせて、今日はトーナメントの組み合わせ抽選会の日。

キャプテンの白州と、高島先生が都内ホールにて抽選会に赴いている。

 

 

その間、俺たちは練習を続ける。

 

 

「さあ諸君、ラン行くぞ。」

 

 

諸君とは勿論、投手4人である。

 

基本的には野手と練習をしているのだが、フィジカルトレーニングやランニング時は投手と混じって行っている。

 

 

理由だが、片岡監督から直々にこんなことを言われているからだ。

 

「野手としての出場とはいえ、お前はエースだ。その姿勢や意識で、他の投手を引っ張っていけ。」

 

練習に対する姿勢から、考え方。

俺から伝えられること、出来ることは全て見せていかなければいけない。

 

あくまで俺は、野手でありエースでもあるから。

4人の投手で、勝つために。

 

この背中の番号は、その役目を果たすために与えられている。

 

 

 

「なっさん!今日はどのようなメニューでしょうか!」

 

この喧しい声は、沢村である。

走るっつってるだろーが。

 

 

「今日は中距離だな。1kmのインターバル走を9本ね。」

 

明らかに、降谷の表情が暗くなる。

まあこの子はほんとに体力ないからね。

 

 

「タイムはそんなに厳しくないから安心しろ。その変わり、タイムが明らかに落ちたらやり直しね。ペース配分ちゃんと考えるように。」

 

9本は勿論、9回まで完投することを想定してのこと。

 

 

先発をして長いイニングを投げるとなれば、ずっと全力というのはまず無理な話。

 

流すとは言わないが、ある程度余力を残した状態で長い回を投げなくてはいけない。

 

そして要所で力を入れて、抑え込む。

所謂、ギアを入れるというもの。

 

 

今回は、その訓練の一種。

心肺機能、下半身を鍛えることもそうだが、メインは投手としての力配分を身体に染み込ませることが主となる。

 

 

 

実際、きつい。

 

ただでさえインターバル走は負荷がかかる強度の高いトレーニングなのだ。

それをタイムを落とさずペース配分も考えてともなると、まあきつい。

 

 

 

 

それはもう、みんな瀕死である。

俺含めて。

 

 

俯せで屍と化している降谷。

彼はそっとしておこう。

 

沢村とノリも、かなりキツそうだ。

 

 

あとは、東条。

シニア時代も練習量は多かったらしいが、高校野球の強度には及ばない。

 

 

「きついか、東条。」

 

「えぇ。着いていくので必死です。」

 

 

そんなことを言いつつ、立っていられるのは流石。

降谷は屍になっていると言うのに。

 

 

「その割にはまだ余裕ありそうだな。」

 

「意地で立ってるだけですよ。大野先輩は流石ですね。」

 

 

「俺も死にそうなんだが。」

 

「その割には余裕ありそうですけど。」

 

「意地で立ってるだけです。」

 

 

9本目なんかはもう、意地である。

気合と根性で走っている。

 

俺は投手であり、エースなのだ。

弱々しく倒れて付けた土など、あってはならない。

 

 

要は、偉そうに言ってる奴がぶっ倒れてちゃかっこ悪いだろってこと。

限界まで追い込んでるけど、倒れない。

 

 

「降谷、きついのは分かるが、すぐ止まったら乳酸溜まるぞ。歩け。」

 

そう言っても、降谷は中々立ち上がれない。

そんだけきついんだろうな。

 

けど、すぐに止まったら疲労が溜まって後日に影響が出てしまう。

そうなると怪我のリスクにも繋がるし、練習の質も下がってしまうからね。

 

 

だから、そうだな。

 

「投げ終えて跪く投手はエースとは言えないぞ、降谷。」

 

人のこと言えないけど。

しかし、俺がそう言うと、降谷はスクッと立ち上がった。

 

「何処かに掴まりながらでいい。無理にでも歩くんだ。最悪、足踏みでもいい。」

 

 

そうして、降谷がフェンスに手をかけながらゆっくり歩く。

 

いいぞ、それでいい。

高強度のトレーニングで追い込んだ、言わば筋肉が傷んでいる状態で動きを止めてしまうと、筋肉は硬直してしまう。

 

それを防ぐために、歩くのだ。

適度な刺激を与えて緩やかに硬直を進めると、その後の動きにも影響が出にくい。

 

 

その為、歩くのが難しくても、その場で足踏みなど軽い刺激を与えてやるだけでも効果はあったりする。

 

 

 

「っし、各自ちゃんと水分取れよ。少し休んだら、そのまま自重トレーニングに移るからブルペン前に集合な。」

 

 

「う、ウス!」

 

「わかった。」

 

沢村とノリが返事をする。

降谷も、遠くで(というよりかなり後ろで)頷く。

 

 

「夏輝。」

 

「あ、おかえり白州。どうだった?」

 

そんな感じで次に移ろうとしていると、組み合わせ抽選から白州が戻ってきた。

 

うーん、自重は後にするか。

組み合わせも気になるし。

 

「あぁ、それに関しては練習後のミーティングで話すよ。」

 

 

あっ、そういう感じね。

じゃあ予定通りかな。

 

 

「了解。じゃあ投手もそのまま練習続けるわ。」

 

俺がそう言って離れようとすると、白州がもう一度呼び止めた。

 

なんだよ。

そう返そうとすると、間髪入れずに白州は右手を立てて言った。

 

 

「すまんと、先に言っておく。」

 

「え?」

 

 

この時の俺は、頭に疑問符が浮かびまくっていた。

しかしその謝罪の意味が分かったのは、ほんの数時間後。

 

 

組み合わせ表を見たときの、ことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







ど、どーなっちゃうんだー!?



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