燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード75

 

 

 

 

 

練習と食事も一通り終え、食堂。

みんなが集合して囲んでいるのは、1枚の紙切れである。

 

そこには数多の学校名が記されており、線で繋がっている。

言わば、トーナメント表というやつだ。

 

 

今大会は、4校で組まれたブロック予選を勝ち上がってきた東西東京が合算されたトーナメント形式で行われている。

 

つまりは、ある程度の精鋭が集まっている。

少なくとも、ブロック予選を通過してきたチームな訳だから、弱いチームなどない。

 

 

それを踏まえた上で、俺たちはトーナメント表を覗き込んだ。

 

 

「えーっと、白州さん?」

 

「…なんだ。」

 

 

もう一度言おう。

ブロック予選を通過してきたチームなのだから、弱いチームはいない。

 

だからこそ、楽なブロックなどないのは確かなのだが。

 

 

「…まず白州さん、トーナメントを読み上げて下さい。」

 

「初戦は成孔、2回戦目に帝東、3回戦目に稲実、準決勝には市大三高、だな。」

 

 

成孔学園。

西東京のベスト8常連校であり、強い打線が売りのチーム。

 

特にウエイトトレーニングに力を入れており、投手が投げる球から打者のスイングまで、とにかく力強い。

 

 

帝東高校。

東東京の雄であり、夏の大会では甲子園ベスト8まで上り詰めた強豪校である。

 

バランスの良い打線と堅守で守り勝つ、稲実に近いチーム性がある。

 

 

あとの2校は説明不要だろう。

西東京のライバル2校ということで、強さは言わずもがなである。

 

 

 

ここまで言えばもうわかるだろう。

この白州キャプテン、なんとまあ。

 

「くじ運、悪すぎない?」

 

「…自負はある。」

 

一也がそう言うと、白州は額に手を当てて溜め息をついた。

 

 

トーナメントで当たるチームというのが、ベスト8以上常連の高校ばかりという。

 

中でも稲実は甲子園で準優勝。

帝東は甲子園でベスト8と、中々意味が分からない。

 

 

「決まった以上、やるしかねーけどな。そう考えると、哲さんのくじ運って良かったんだな。」

 

朗報 哲さん変なところで評価がまた上がる。

そんなことは置いておいて、倉持が言ったことは間違いない。

 

 

「泣き事言っても仕方ない。寧ろ勢い全部持ってく気持ちでやってやろうぜ。」

 

 

 

初戦の相手は、成孔学園。

全ての選手が筋肉量が多く、ピッチャーバッター共にパワーがある。

 

特に打線は、繋ぐ打撃ではなく一発を狙っている。

 

三振は多いものの、ほぼ全員がフルスイングで向かってくる。

その為、投手にかかる重圧は半端ではないだろう。

 

 

1つずつ勝ち上がっていかなければ、ならない。

 

一戦必勝。

全員で勝つんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抽選日からはや3日。

秋大の本戦を明日に控え、俺たちは最後のミーティングを行っていた。

 

 

「明日のスターティングメンバーは、ボードの通り。レフトの先発は麻生、センターは大野、サードは金丸。」

 

「「「はい!」」」

 

 

明日のスターティングメンバーは、以下の通り。

 

1番 遊 倉持

2番 中 大野

3番 二 小湊

4番 捕 御幸

5番 右 白州

6番 一 前園

7番 三 金丸

8番 投 降谷

9番 左 麻生

 

 

相手先発は、恐らく2年の小島。

例の如く、威力のある直球とスライダーでガンガン押していく投手であり、制球は悪くない。

 

スライダーはそんなにキレていない為、ストレートに張りながらドンドン強くはじき返すことを意識して行けば何とかなるはず。

 

少なくとも、失投がない投手ではない。

 

 

 

先発投手は降谷。

相手はスイングが強く典型的なパワーヒッターが多いため、打たせて取る沢村なんかは相性が若干悪い。

 

ミートポイントの広い金属バットだと、小さく変化するボールでも力で押し切ると外野まで飛んだり、多少詰まってもヒットになったりしやすい。

 

 

その為、どちらかと言うと三振を奪いに来る降谷や躱していくノリの方が相性は良かったりする。

 

 

 

それにしても、危険なことには変わりない。

 

三振が多く、パワーヒッター揃い。

それはつまり、いつでもフルスイングで向かってくるということ。

 

それはつまり、1点ゲームになった際にかかるプレッシャーは非常に大きいだろう。

 

 

 

精神的疲労も踏まえると、長いイニングを投げることは危険。

そこで監督は、総力戦を決断した。

 

 

先発は降谷だが、基本的には一巡ずつで投手は替えていく。

相手に的を絞らせない、先手先手の継投でペースを握らせない。

 

 

先発の降谷、次に沢村。

継いで東条、最後はノリが抑える。

 

あとは展開次第で変えていくはずだ。

 

 

 

 

 

ロースコアのゲーム、若しくは僅差のゲーム。

或いは、その両方の条件が揃った時、成孔のような一発狙いの打線は怖い。

 

特に、一発打てば逆転の場面などだと特に真価を発揮する。

 

 

そしてこの手のチームほど、一発が出ると続けて打つことが多い。

言わば、2連発や3連発を平気でやる。

 

 

その為、大事なのは投手だけでは無い。

 

ある程度のリードを取っておく、打線。

これが、この試合で勝つために最も必要なものだと思っている。

 

 

先制点は、必ず取らなくてはならない。

先に点があるかどうかで、投手にかかってくる負担も変わってくる。

 

 

あとは、中盤での追加点。

初回からガンガン得点をとっていくのは良いことだが、できれば中押しの追加点も欲しい。

 

相手には常に攻め込まれている感覚を植え付け、こちらの守りには失点してもすぐに取り返せるという意思表示を見せることができる。

 

 

 

全員で、戦う。

そして、全員で勝つ。

 

これが、今大会のテーマ。

 

 

考え方によっては、初戦の相手が成孔で良かったかもしれない。

全員で戦い勝ち切ることができれば、きっと一気に流れに乗れると思うから。

 

 

「今、チーム状況としては、エースの大野も投げることもできず、良い状態とは言えない。これまでの実績で言えば俺たちの方が上だが、それはこれまでの話であって、今の俺たちの力の本質とは言えない。それはお前たちもわかっているな。」

 

監督がそういい、俺たちは頷く。

それを確認して、監督は話を再開した。

 

「今の俺たちの実力と成孔の実力では五分だろう。」

 

 

打線は、なかなか先制点を取れない。

ここ1番で爆発することはあっても、楽な展開に持っていくことはできない。

 

 

投手も、一年生が3人とノリ。

唯一の二年生のノリもエースクラスではない。

 

一年生は、まだ荒削り。

 

 

穴だらけで、歪だ。

だからこそ、俺たちは。

 

 

「俺たちは、挑戦者だ。王者ではなく、向かっていく挑戦者なんだ。最初から最後まで、戦う姿勢を見せていかなければいけない。」

 

 

監督が自分の胸に拳を当て、息をはく。

そして、その拳をこちらに向けた。

 

 

「全力で闘おう。俺たちは、俺たちらしくだ、いいな。」

 

 

「「はい!」」

 

 

監督の檄に、声を上げる。

勝つんだ、俺たちらしく。

 

 

まずは、一戦必勝。

挑戦者らしく、攻めていく野球で、勝つ。

 

 

 

 

俺は小さく、右手を握りしめた。

 

 

 







なかなか毎日投稿とはいかへんな。
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