燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード76

 

 

 

 

 

 

試合当日。

今日の対戦相手は、成孔学園。

 

典型的なパワーヒッター揃いで、その力強いプレーで試合の流れを強引に持っていく攻撃的なチームだ。

 

 

「うお、近くで見るとでけーな。」

 

御幸がそう呟き、俺も同調の意を込めて頷く。

 

確かに、デカい。

上背もそこそこにあるのだが、何より身体の厚みが違う。

 

 

野球選手というよりは、本当にボディビルダーとかラガーマンのような筋肉の付き方だな。

 

余分な脂肪を落としてシャープな身体付きとは、真反対。

大きく、とにかく強い力を出せる身体。

 

 

 

きっと、相当ウエイトトレーニングをやり込んでいるだろう。

それに、食事面もきっとかなり管理されている。

 

筋肉を構成するのは、トレーニングと栄養、そして休養。

この3つが揃っていなければ、強い筋肉というのはできない。

 

 

トレーニングは多くの高校が取り入れている。

しかしそれでは、筋肉は上手くつかない。

 

栄養と休養がそれぞれ十分に取れる高校というのは、そもそも少ないからな。

俺たちみたいな全寮制で食事管理されていないと、難しい。

 

 

「スイングスピードも速いな。」

 

「特に4番の長田は要注意だな。真っ直ぐにとにかく強いのは分かるが、変化球に合わせる技術もある。」

 

 

昨年秋まではストレートブンブン丸の扇風機だったのが、今ではミート力もかなり上がっている。

 

捩じ伏せるなら、力勝負。

と言いたいところだが、それでも変化球は振ってくれる。

 

 

 

 

 

先攻めは、相手の成孔学園。

その為、こちらの先発投手である降谷がマウンドへと上がった。

 

 

1番打者の、枡が打席に入る。

 

この成孔学園という強打のチームでは珍しく、俊足好打の高アベレージのバッター。

また高打率ながら粘り強くカットも上手い為、先頭打者の中でもかなり嫌な部類に入る。

 

 

 

初球、外角の真っ直ぐ。

147km/hのストレートを見逃し、1ストライク。

 

2ストライク目も真ん中低めに決まるストレートを同じく見逃し、2ストライクと早くも追い込む。

 

 

やはり、2ストライクまでは見るよな。

ここからがしぶといだろうから、敢えて決めに行った方がいい。

 

やはり御幸も、高めに構えた。

 

 

(ここは思い切って、高めに来い。)

 

 

選んだボールは、威力のあるストレート。

外角高めの直球は枡のバットをすり抜け、御幸のミットを鳴らした。

 

最後は150km/hで空振り三振に切ってとってみせた。

 

 

「良い調子だな。」

 

「球も相当走ってるからな。今日の降谷は、多分打てない。」

 

 

コントロールもある程度低く行ってるし。

今日の降谷は、高めでガンガン空振りが取れるくらい調子がいい。

 

あとは、フォークだな。

これが上手く決まるようならそれこそ今日の降谷は打たれない。

 

 

2人目のバッターは、山下。

 

このバッターに対しては、低めのストレートを打たせてサードゴロ。

続く3番の西島をフォークで空振り三振に切ってとり、無失点に切り抜けた。

 

 

初回からエンジン全開。

成孔打線に全く付け入る隙を与えず、真っ向勝負で捻じ伏せた。

 

 

「ナイスピッチ。今日はマジで100点に近い。」

 

「高めのボールも狙って投げれば確実に空振りが取れるからな。」

 

「毎回これができれば良いんだがな。」

 

 

今日は、珍しく3人ともベタ褒め。

それくらい、今日の降谷は最高の出来であった。

 

後ろに頼れる投手がいるからこそ、か。

継投前提だからこそ、ここまで出力を出しているんだろうな。

 

 

ポワポワとしている降谷。

たまには、俺も褒める。

 

 

「んじゃ、降谷の力投に応えて撃ってくるか。」

 

「セーフティでもいいぞ。」

 

打席には、あまり頼りないバッター倉持。

新チーム結成後の彼の打率は、.221。

 

しかしそれでも1番で起用され続けられるところには理由がある。

 

 

 

「セーフティ!」

 

捕手の桝が声を上げる。

それに反応した三塁手の長田は急いで打球処理のために猛チャージ。

 

鈍足且つ、お世辞にも守備が上手いとは言えない長田。

 

 

この競争は、流石に倉持に軍配が上がった。

 

 

セーフティバントによる内野安打。

こうやって塁に出ると、とにかく強い。

 

この男が塁に出ると、青道に得点が入る。

 

 

 

 

 

さてと。

 

ランナーには、倉持。

ピッチャーの小島はあまりクイックは早くない。

 

そうなると、確実に走るだろう。

んで、スイングでのアシストさえすれば多分セーフになる。

 

 

「2番、センター、大野くん。」

 

 

できれば初球で仕掛けて欲しいけど、どうせ倉持の足は警戒されている。

となると、何球か待つべきか。

 

そんなことを考えながら、俺はベンチに目を向けた。

 

 

バントは、ないかな。

俺あんまりバント上手くないし。

 

 

(打ちに行って良いぞ。初球から狙っていけ。)

 

(マジですか。)

 

 

盗塁を仕掛けるのであれば、待った方がいい。

フライやライナーでダブルプレーになってしまう確率が高くなるから。

 

まあ打てと言われれば、打つ。

 

 

 

初球はおそらく高めのボール球。

倉持の盗塁を警戒しているのなら、初球はウエストするであろう。

 

そうなると、狙いは2球目か。

警戒しているのであれば、自然と速い球で攻めてくるはずだけど。

 

 

 

(倉持、初球から行きそうだな。)

 

 

そうだな、そしたら狙ってみるか。

多少のボール球でも、弾き返してみよう。

 

 

クイックモーション。

迷いなく倉持がスタートを切る。

 

 

投げ込んできたコースは…ドンピシャ。

高めの速いボール、これを叩く。

 

 

強く叩きすぎるな。

弾き返すだけでいい。

 

高めの直球を、上から下に。

思い切って、狙った。

 

 

 

「っつ!」

 

少し詰まった当たり。

しかし少し前に出ていたファーストの頭を抜けるヒットとなる。

 

スタートしていた倉持は三塁へ。

ファーストの頭を越えるヒットで出塁。

 

 

ランナーは、一、三塁。

ここから、クリーンナップへ。

 

 

 

 








成孔はサクサク行きます
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