燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

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エピソード78

 

 

 

 

成孔学園との初戦で勝利を収めた俺たち青道高校。

 

3得点で尚且つ初回以降追加点を奪えなかった為、お世辞にも打線は好調と言えないが、それを補って余るほど降谷が完璧な出来であった。

 

 

しかしその絶好調に代償は必至。

横にいる降谷暁は、明らかにフワフワしていた。

 

 

「で、大丈夫?」

 

「…大丈夫です。」

 

 

身体、キツイんだろうなぁ。

 

公式戦では、これまで最長5回まで。

それも、得点差も多い初戦だけ。

 

精神的にも肉体的も疲労が溜まっただろう。

 

 

普段よりも良いピッチングをしたと言うのもあったのかな、多分。

いつもより高い出力で投げていたから、その分身体にもきているはずだ。

 

 

「次の試合は1週間後だし、今日は流しでいいぞ。お前含め、沢村もノリも投げてるからな。」

 

 

大会はこれからも続いていく。

初戦と2回戦目の感覚こそ1週間と空いているものの、試合を重ねれば重ねるほど、間隔はどんどん短くなっていく。

 

それが、トーナメント形式。

だから休める時に休み、余分な疲労は残さないようにしなくては。

 

 

俺も今日は野手練習に専念。

外野ノックを受けたり打撃練習をしたりと、それぞれ課題を潰していく。

 

肘の状態もだいぶ良くなり、痛みも無くなった。

 

 

実はもう、投げられたりする。

けど流石に大事をとって、この大会は投げない予定だ。

 

 

「じゃあ東条、お願い。」

 

「はい!」

 

ということで、シート打撃。

実戦形式で東条に投げてもらい、それを打つ。

 

東条はある程度制球も良く変化球も多彩な為、練習には本当にもってこいなのだ。

 

 

東条もまた、打者の立っている状態で投げ込みができる。

 

特に高校野球での投球経験が少ない東条にとってもかなり練習になるのではないだろうか。

 

 

 

 

この後、球種指定とフリーで何打席か行い、打撃練習に励んだ。

 

「ありがとう、東条。」

 

「いえ、こちらこそいい練習ですから。」

 

 

本当に、いい練習になる。

 

東条も最近ピッチングに専念してからは球の質も上がってきているし、変化球のキレも良くなってきている。

 

 

きっと実戦形式が多くなってから打者の反応を見てどんどん改善出来てるんだと思う。

投手として、本当に数に数えられるようになってくれた。

 

 

 

東条に礼を言い、バッティングのゲージから外す。

バットを肩に乗せて歩き始めると、また声が耳に突き刺さった。

 

 

「なっさん!俺も空いてますよ!」

 

 

声の方向には、左肩を大袈裟に振り回す男。

 

沢村である。

昨日投げたのは1イニングということもあり、彼も東条同様バッティングピッチャーの役を買って出てくれていた。

 

彼もかなり制球が纏まるようになってきているし、安定感で言えば今の投手陣で一番だろう。

 

 

あとはまあ、貴重な左腕。

左からの角度はこいつからしか練習できない。

 

 

(寄りにもよって変則なんだがな。)

 

 

出処が見えにくく、球持ちよく伸びのある快速球を投げてくる。

そして、手元でブレる高速チェンジアップとカットボール。

 

中々こう、練習相手にしては癖がありすぎる。

 

 

これもまた、対左のいい練習になる。

しかし今日は、そうだな。

 

 

「悪いな、今日は俺もう上がるんだ。」

 

「社長退社!?」

 

 

沢村からのよくわからんボケ(?)はスルーしつつ。

俺は、言葉を続けた。

 

 

「肘の検診。怪我してる以上、定期的に診てもらわなきゃいけないんだよね。」

 

「くーっ、限りあるなっさんとの対戦が儚く消えてしまった!金丸ー!付き合ってくれー!」

 

「俺は滑り止めかおい!」

 

 

ツッコミを入れつつ、打席に入る金丸。

彼もまだムラこそあるものの、サードの中では最もバランスが取れている選手となっている。

 

 

元々は守備こそ反応良く飛び込む為評価されていたが、打撃はパンチ力があるという程度だった。

 

しかし、同室の俺やクリス先輩との自主練が功を奏し、打撃でも確実性が増した。

 

 

フォームを高校野球の速球にも負けないように下半身をより強く使えるようにスタンスを少し広げ、それに合わせてトレーニングもかなり重点的に行ったりして。

 

クリス先輩のメニューもまたかなり厳しいものなのだが、愛ゆえ。

金丸もそれをわかっていたからこそ、クリス先輩について行っていたんだろう。

 

今考えると、クリス先輩の打者としての弟子は金丸なんだろうな。

 

負けん気とか、向上心とか。

あと結構、我慢強い。

 

意外にも、クリス先輩の一番弟子である沢村との共通点は多い。

 

 

 

攻撃面では、金丸。

守備面では、沢村。

 

クリス先輩が遺してくれた、遺産のようなもの。

 

 

 

荷物を纏め、ベンチへ。

そしてベンチ前で練習を見ていた監督に、声をかけた。

 

「監督、よろしいですか。」

 

「昨日言ってた肘の検診か?」

 

予め昨日伝えて置いた為、監督もわかっていた。

というよりは、定期的に診てもらわなきゃいけないためらここら辺は監督もある程度把握してくれている。

 

 

「はい。ですので、今日はお先に練習を上がらせて頂きます。」

 

「部員の怪我は、監督である俺に責任がある。終わり次第、必ず報告してくれ。」

 

 

また、こういう事を言う。

仕方の無いことだが、こればかりは外から見て分かるような異変は無かった。

 

だから多分、監督を責めることはできない。

 

 

「分かりました。では、失礼します。」

 

俺がそう言うと、監督も頷いてバッティングゲージへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言うと、検診は問題なく終わった。

というより、寧ろ予定よりも早く回復しているらしい。

 

投球禁止は変わらないが、とりあえずは回復に向かっていて良かった。

 

 

そのことを報告しようと学校に戻る。

 

外は暗くなり、練習は終わっている。

しかし未だに、金属バットの子気味良い音が幾度となく鳴り響いていた。

 

 

(俺もバット振りたいけど、とりあえずは報告が先だね。)

 

 

そう思い、俺は外出した制服のまま、寮の奥にある監督室へと向かった。

 

何だかんだ監督室入るの緊張するんだよな。

特に悪い報告じゃなくても、やっぱり気を張る。

 

そんなことを考えながら監督室の前に立ち、俺は一度息を吐く。

 

 

ノックをしようと左手を扉に軽く当てた瞬間、監督室の中から声が聞こえた。

 

 

「本気でーーーー」

 

声は…高島先生か。

何を言っているか聞き取ろうと耳を澄ませたのだが、そこから聞こえた話は俺が予想していなかったことだった。

 

 

 

 

監督が、クビにされるだと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

おまけ。

 

 

東条秀明 右投右打 1年

 

【基礎能力】

ストレート 球威E 132km/h

ツーシーム 球威F 127km/h

スライダー 球威D 変化量3

カットボール 球威E 変化量1

カーブ 球威D 変化量3

 

コントロール C68

スタミナ D52

 

 

 

弾道 2

ミート C61

パワー E45

走力 C60

肩力 B72

守備 D54

捕球 D50

 

守備位置 投手 中堅手

 

【特殊能力】

対ピンチD/打たれ強さF

低め○/球持ち○/軽い球/調子安定/変化球中心

 

送球B

粘り打ち/バント○/チャンスメイカー/対変化球○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金丸信二 右投右打 1年

 

【基礎能力】

 

弾道 3

ミート D51

パワー C64

走力 C60

肩力 D54

守備 C68

捕球 E47

 

守備位置 三塁手

 

 

【特殊能力】

チャンスB

初球○/対ストレート○/逆境/意外性/ヘッドスライディング

 

 

 

 

 

 

 

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