燃え上がれ青炎!   作:聖戦士レフ

90 / 282



前回投稿時間間違えましたわ。


エピソード88

 

 

 

 

 

鵜久森との試合が始まって、少し時間が経った頃。

初回の守りについている俺たちナインを待ち受けていたのは、降谷の大乱調であった。

 

 

先頭の近藤にフォアボールで出塁を許すと、大西にヒットを打たれた。

 

丸山を何とかライトフライに抑えたものの、迎えたバッターは4番の梅宮。

 

 

ピンチで迎えたくないバッターNO.1。

このチームで一番打たれてはいけない打者。

 

結果は、真ん中高めを思い切り引っ張られて3ランホームラン。

 

 

スコアボードに刻み込まれた「3」という数字を見て、俺は溜め息をついた。

 

「どーすんのよ、これ。」

 

「俺に言われてもな。」

 

俺が零すように呟くと、横にいた白州も顔を背けた。

 

 

 

 

これだよなぁ、降谷の難しい所は。

 

 

絶好調の時は、相手は全く手が付けられないほどに打者を圧倒する。

 

しかし絶不調の時は、こちらからは全く手が付けられないほどに乱れて自滅する。

 

 

捕手の手でもどうにも出来ないから、直しようがない。

 

 

 

この後何とか後続を断ち、3失点に抑える。

幸いなことにフォークはある程度落ちてるから、それで何とか三振が取れていた。

 

 

「成宮もストレート勝負でやられてたし、梅宮にはそういう能力でもあんの?」

 

「んな訳あるか。」

 

 

御幸からツッコミを受け、それを流す。

まあ、取られてしまったものは仕方ない。

 

俺たちが点を取り返してやれば、負けることはないからな。

 

 

ということで、裏の俺たちの攻撃。

先頭打者は、初のリードオフマン起用の小湊。

 

 

「やることはいつもと変わらない。初球から狙っていけ。」

 

監督がそう言うと、小湊も頷く。

右手で木製のバットを握り締めながら、打席へと向かっていった。

 

 

倉持が足で掻き回すリードオフマンだとすれば、小湊に期待するのはヒットによる出塁。

出塁率の高いミート力を生かして、ランナーを置いたケースを増やすことが目的だ。

 

何より、ランナーが出れば初回から4番に回せる。

先発からしたら、嫌だと思う。

 

 

相手は、コントロールのいい投手。

尚且つ、強気に攻めることができるメンタルもある。

 

 

(甘いコースは来ない。だから、思い切っていけ。)

 

 

そう思いながらネクストで待っていると、その初球。

 

木製バット特有の小気味良い音が、鳴り響いた。

 

 

強い打球は、センター前へ。

初球の甘いボールを、完璧に弾き返した。

 

 

「いらない心配だったか。」

 

 

そもそも、気負うようなタマじゃないか。

普段はおとなしいが、打席にはいると本当にボールのことしか見てないからな。

 

塁上、赤面しながら右手を突き上げる小湊。

それを見て、なんとなくホッとする。

 

いつも通りだね、なんか安心した。

 

 

 

 

さて、じゃあ俺の打席だな。

 

できればランナーを進める、か。

元々バントは得意じゃないし、方法としてはヒットで繋ぐのが俺の役目なんだ。

 

 

コントロールが良くて、ストレートとカーブが持ち球。

縦のスライダーは、とりあえず無視だな。

 

集中、ストレートに狙いを澄まして。

カーブは粘って、弾き返す。

 

 

初球、低めのストレートが高めに外れているものの、手が出てしまいファール。

 

焦りすぎたか。

珍しく、がっつきすぎた。

 

 

2球目、カーブ。

かなり、遅い。

 

上手く合わせたものの、これが一塁線切れてファール。

 

 

うーん、これは打っても長打になりにくそう。

やっぱりストレートを弾き返すのが1番かな。

 

 

難しいことは考えるな。

シンプルに、来た球に反応する。

 

集中、集中。

 

 

来た球は、速球。

外のボールに対して俺は、思い切り弾き返した。

 

 

あまり強くない当たりだが、これがサード後方に落ちてヒットとなる。

 

 

(コース、良くなかったな。)

 

やっぱり、昨日からの連投が影響している。

そんなことを考えながら、俺は一塁上でレガースを外した。

 

 

「ナイスバッチ。いい流し打ち。」

 

「サンキュ。詰まっただけだよ。」

 

 

ランナーコーチの木嶋と軽く話して、外したレガースを手渡した。

 

 

 

 

さあ、立ち上がりの不安定なこの状態で、できるだけ多く得点を取りたい。

ここから先は。

 

打撃のプロが、並ぶのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後白州がフォアボールで出塁すると、満塁のチャンスで4番の御幸。

 

ランナーが貯まれば貯まるほど、得点圏に進むほど打力が上がる不思議なバッター。

つまり今の御幸は、最強だ。

 

 

カウント3−1。

ストライクゾーン内で変化した早い変化球を、御幸は弾き返した。

 

 

打球はライト後方。

強い打球はライトとセンターの横を抜けていき、一塁ランナーの小湊と二塁ランナーの俺がホームに帰る。

 

4番の御幸の2点タイムリーツーベースで、得点差を一点まで詰めた。

 

 

 

なおもチャンスの場面で、打席には昨日逆転のタイムリーを放ったゾノ。

 

この男もインコースのボール球をうまく捌き、これもまた長打となる。

またもランナーが2人帰り、逆転に成功。

 

 

この後金丸のタイムリーを含む打者一巡の攻撃で、初回からいきなり6得点と大躍進。

降谷もなんとか立て直し、2回以降失点を許さずに抑えていく。

 

得点圏に何度もランナーを置いたものの、決定打を許さない。

 

 

しかし、反対に。

 

初回から6失点を喫した梅宮もまた、これ以上の得点を許さない。

 

 

普通の投手なら崩れてもおかしくないのだが、ここまで立ち直るとは。

少し、異常な気もするくらいだ。

 

激動の初回以降は、静かな展開が続く3回戦目。

 

 

3−6で迎えた5回の表。

試合が、動き始める。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。