・・・年末。といえばやることは決まってくるわけで。
案の定、トレセン学園では午後の授業時間を用いて、【環境整備】・・・というかっこいい名前の大掃除をやることになったのだ。
「・・・相変わらず、この時期は落ち葉がひどいですね・・・」
わたし・・・ミホノブルボンは、竹箒で昇降口の周りを掃いていると、ふと、そんなことを思う。
・・・普段はあまり気にしないのだが、【清掃】という目的を持った状態でみてみると、非常に存在感を放っていることが分かる。しかもよりにもよって針葉樹の落ち葉ばかりなので、掃くのが非常にめんどくさい。
時折ライスやタンホイザさん(担当場所が同じだった)と雑談しつつ、わたしは黙々と清掃を続ける。
・・・まだ終了時刻にならない。そして、いかんせんジャージなので寒い。・・・ウィンドブレーカーとか着てくればよかった。どうせそこまで寒くないだろうとか考えていた数十分前の自分をちょっとだけ恨む。
「・・・もうやること全部終わったし、教室もどろっか~。」
終了時刻が近づいてきたころ、タンホイザさんがそう提案してくる。・・・確かに落ち葉はもう気にしないくらいの量しかないし、なぜか途中で追加されてしまった(?)傘立ての洗浄もしっかり終わった。竹箒を片付けてゴミ袋を焼却炉に持ってってしまえば、もうここでやることは無いと言える。
「・・・では、ゴミ袋はわたしが持ってっておきますので、ふたりは先に帰って・・・」
「あっ!!ライスもついてく!!」
わたしの言葉を遮るように、ライスがうっきうきの表情でそう言ってくる。・・・まぁひとりよりかはふたりのほうがいいか。
ゴミ袋は見かけと比べると重い方だったが、わたしには割と軽い分類に入った。まぁ私に限らず、パワーのトレーニングをしっかりしている方々はきっとそうだろうけど。
ゴミ袋を焼却炉横の回収ボックスに放り込む。・・・これで仕事は終わりだ。箒はタンホイザさんが片付けてくれたし、あとは教室に戻るだけだ。
「ねぇ、ブルボンさん、
・・・ふたりきり、だね・・・。」
「・・・えぇ。そうですね・・・。」
思えば最近、ライスとふたりきりになることなんて全然なかったような気がする。
ライスがちらっと、なにかをしてほしそうな瞳でこちらを見てくる。・・・すべてを読み取った。・・・念のためあたりを見回す。・・・よし、わたし達以外は誰もいない。
「・・・ライス。」
じっと彼女の瞳を見つける。・・・わずかに顔を紅潮させたライスが、ゆっくりと目を閉じる。
頬に手を添え、唇を重ねる。・・・別に今回が初めてじゃないが、やっぱり緊張してしまう。
・・・どれくらいの時間そうしていたのかはわからない。そっと唇を離す。
「・・・また、しようね?」
「はいっ・・・!!」
教室に戻った後、帰りが遅かったことをタンホイザさんに詮索されたが、それはまた別の話・・・。