・・・息が、白い。
「・・・はーっ・・・。」
なんとなく絵になるかなと思い、わたしは再び息を吐く。・・・特に深い理由はない。
「スカイさ~ん!!こっちこっち~!!」
そんな声がしたので、声の主の方へ振り返る。
フラワーがこちらにぶんぶんと手を振っていた。その様子はさながら飼い主を待っている子犬のような・・・おっと失言。
「どうする?このまま帰る?」
「う~ん・・・寒いですし、それもいいですけど・・・あっ!!そうだ!!・・・お散歩、いきませんか・・・?」
「・・・行く。」
拒否する理由はない。彼女の手を握り、なんとなくあたりをお散歩する。
「・・・にしても、なんだか静かですね。今年のお正月。」
「だねぇ。・・・ま、どっちかって言えば、去年までが騒がしすぎただけじゃないかな?」
去年のお正月は特にやることがなかったので、当時はまだ学園に在籍していたフラワーのところに、泊りがけで遊びに行っていた。
一時的に戻って来た学園の様子は、時期が年末年始という事もあってか、なにかしらのイベントがあるたびにお祭り騒ぎをはじめる連中はもちろん、他の生徒たちも含めて、かなりにぎやかだった気がする。・・・そういえば、フクキタルも帰ってきてたような。
「騒がしいのに慣れちゃってるからなんだか新鮮だけど、こういう静かなのも、落ち着いてていいじゃん?
・・・それに、来年からはずっとこうなるんだし・・・」
「・・・ですね。」
今わたし達が暮らしているこの場所には、イベントがあるたびに大騒ぎするあの連中たちはいないし、変な神を信仰する占いウマ娘さんもいない。・・・それどころか、学園に在籍していたころに関わりのあった人物は、ここにはフラワーしかいない。・・・そう考えると、なんだか寂しいような気もする。
・・・元気かな、あいつら。年賀状届いてたりしないだろうか。・・・あとで確認しよ。
「・・・そういえばスカイさん、今年はお爺様のところに帰省しなくてよかったんですか?」
「まぁ、それも考えたんだけどね?・・・きっと、いったら怒られるだろうからさ。自分の事はいいから、今を生きろって。」
それはただの勘なのだが、なぜかわたしはその勘に確信が持てた。天性の勘という奴だろうか。知らんけど。
「・・・にしても寒いね・・・。・・・そうだ、家帰ったらさ、ココアとか飲もうよ。・・・昔お揃いで買ったマグカップでさ。」
「?・・・あ~、あのマグカップ、なんかもったいなくって全然使ってませんでしたね。
・・・でも、なんで急に?」
「いや~、なんか、思い出しちゃってさ~。」
理由を詮索される前に、わたしは適当にお茶を濁す。・・・ココアだけにお茶ってか。・・・全然笑えないな、うん。
「あっ・・・でもわたし猫舌だから、あっついの無理かもなぁ・・・。
・・・フラワー、ふ~ふ~して冷まして?」
「え~?まぁいいですけど・・・」
彼女はそう文句を言ってくる。・・・すっごくうれしそうな顔してるくせに。
・・・吐く息は相変わらず白かった。