雨の日は、ネイチャと一緒にいることが恒例になっていた。
最初の頃は私がネイチャの部屋に行くことが多かったのだが、最近は完全にネイチャのほうから私の部屋にやってきている。・・・というか、何の事前連絡もなしにやってくるため、『突撃』と表現したほうがニュアンス的にはあっている。まぁ私も『たぶん来るだろう』と予想して待っているので、突撃してきてもたいして困らないのだが。
お菓子でもついばみながら、ネットで可愛い動物(もっぱら猫)の動画をあさったり、ゲームをしたり。ふたりで猫カフェに出かけたこともあった。大雨の中。なんでそんなことしようと思ったのかはいまだに謎だ。
「ね~スカイ~、・・・ちょっと髪型いじってみていい?」
「え?・・・あ、全然かまわないけど・・・」
「・・・あっ、違う違う。スカイの髪型いじってみたいんだけど・・・いい?」
「あ~、別に全然かまわ・・・え?」
窓の外では、まるでゲリラ豪雨のような大雨が降っていた。
「う~ん・・・だいたいこんな感じ?いやでもなんかなぁ・・・」
ネイチャが私の髪型をいじり始めてはや数十分。
彼女の納得のいくヘアスタイルが完成しないのか、ネイチャによるヘアアレンジは一向に終わる気配を見せない。
「・・・もういっそのこともっとショートに」「やめてそれだけは」
『いいこと思いついちゃった』と言わんばかりの顔で彼女が何やら取り返しのつかなそうな事をはじめそうだったので、即答で止める。
「・・・なんでよ」
「いや、ほら・・・今の髪の長さ、自分でも結構気に入ってるし・・・
それに、いきなり髪をもっとショートにしたら、失恋したって思われるかもじゃん?」
「あ~ね・・・」
私の言っていることを察したのか、ネイチャは再び私の髪型をどうするか悩み始める。
「・・・あっ、そうだ」
彼女はまた何かを思いついたのか、ポケットからいくつかヘアピンを取り出す。・・・鮮やかな緑のヘアピンが目を引いた。
「ここをこうして、っと・・・
・・・よし、完成!!」
彼女から手渡された手鏡を覗く。
・・・前髪をあげ、ヘアピンで横にとめただけの案外シンプルなアレンジだったが、心なしかどこか新鮮な気がした。
「・・・でも、学校にはこれで行きたくないな・・・」
「!?・・・もしかして、嫌だった?」
「いやそういう訳じゃなくてさ・・・
これ、ネイチャがしてくれた、大切な奴だから。・・・ネイチャに、ひとり占めさせてあげようと思って。」
そう言っていたずらっ子のようにくすっと笑えば、彼女はすぐに顔を紅潮させる。
「・・・あ、あーっ!!スカイまた揶揄ったでしょ!!」
「さ~て、どうだか。本音か冗談かは、ネイチャさんにお任せしますよ~」
・・・大雨の雨音は、もう耳に入らなくなっていた。