ふぅ。
エントランスにある休憩室でコーヒーを飲みながら一息つく。殺人事件に巻き込まれているのにこんなに待ったりしていて良いのだろうか?という疑問が頭の中に浮かんだが気にしない事にした。
「その、大丈夫?」
俺の隣にいる黒田が不安そうにこちらを見ていた。
俺はそぶりだけで大丈夫であると返すと、幾分気が楽になったのか「そう。」と言って黒田の表情の筋肉が和らいだきがした。
残り少しとなったコーヒーを一気に飲み干し、立ち上がった。
これから、どこかに行ってしまった灰原を探しに行かなくてはいけない。どこかに行ってしまったと言うと灰原が悪いような感じであるが、実際は俺が灰原についていかなかっただけだ。
「じゃあ、そろそろ行くから」
「うん。頑張ってね」
見た目とは違い、意外と良い子のようだ。
俺はその言葉を聞いて、休憩所から外へとでた。
さて、どうしようか。俺は歩きながら灰原がどこへといっているのかシミュレートしてみているのだが、まったく分からない。
それからしばらく適当に歩いていたのだが、全く見つからない。先ほどは黒田が見つからなかったのだが、今回は灰原か……。結構人を探すのは疲れる。
そういえば、今俺達は関係者に話しを聞きにいっていたのだったか。
今度は、灰原を探すと同時にあの時俺に掴みかかってきた女性と、一緒にいた男。あいつらも頭に入れながら探す事にした。
意味も無く現場へと戻ってきた。
そこには、まだそこそこの数の警官がいて、俺を尋問した目暮警部もそこへといたが、目当ての灰原はいなかった。
もしかして、灰原が目付け役としていることで自由を許された俺であるが、灰原がいない今、警官たちのところにいるのは結構不味いのではないだろうか。
俺は、警官たちが俺に気がつく前にそこを離れる事にした。
しばらく歩いて、そろそろ足が痛くなってきた。もしかして、入れ違いになってしまったのではないだろうか。だとするとかなり面倒だ。
その時校内放送で呼び出すというのはどうだろうか。いや、一生恨まれる事になりそうだからやめておこう。
もしかすると、先ほど俺がいた休憩室にいるのではないだろうか?
俺は、休憩室まで戻る事とした。
「あら。やっときたのかしら」
俺が休憩室まで戻るとそこにはいまだそこに残っている黒田と、灰原がいた。
二人は休憩室に備わっている椅子へとすわり飲み物を飲んでいた。
「ここにいたのか、探したぞ」
「ご苦労様」
俺の苦労は伝わっていないようだった。
そして、その飲み物も残り少なかったのか一気に缶を煽る灰原。
「じゃ、また今度」
「えぇ」
「行くわよ」
「あぁ」
灰原は立ち上がるとゴミ箱に缶を捨て休憩室から出て行く。
俺達二人は並びながら校内の廊下を歩いていた。
「どうするんだ?」
「えぇ、実はもう一度警部に聞いてきたのよ。被害者の名前。学年とかね。あと、あの一緒にいた子達のも」
「へぇ、で。誰なんだ?」
「被害者の名前は、長野一郎。学年は私たちの一個上で2回生。そして一緒にいた女性の方が、伊藤美咲。そして男の方は永井大輔。こちらも同じく2回生らしいわ。今度はこの二人に話しに行こうと思っているわ」
「居場所はわかっているのか?」
「いいえ、分かってないわ。誰かさんが個人行動を取ってくれたお蔭で結構なタイムロスよ」灰原は咎めるように俺をみる。
「しかし、しょうがないだろう?」
俺は灰原をにらみつけた。
「そんなに恐い目で見ないで頂戴」
灰原は俺の視線に気付き不満の声を上げる。しかも腕で自分の身体を抱いていた。
「はぁ、俺が悪かったよ。その二人を探しに行こう」