名探偵の手記   作:ヨコミチ

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学園事件⑥

 外から攻めていこうという事で学校周りを捜し歩いていると、北校舎の裏にある非常階段。その裏にある空間から先ほど一瞬頭が覗いたのを発見した。

「あれ? あれ、そうじゃないのか?」立ち止まり俺はそこを指指す。

「どこかしら」

 どうやら、灰原は気付かなかったようだ。確かに頭が見えたのは一瞬であったし、常に研究所に詰めているのだから、あそこに人が入れる空間を知っているかどうかも怪しい。

「あそこに非常階段があるだろ?」

「えぇ」

「そこの裏には、人が溜まれる位の空間があるんだ」

「へぇ、なるほど。知らなかったわ。研究所にばかり詰めているとそういうこと、分からなくなるのよね。じゃ、行きましょうか」

 そう言ってそこに近付いていくとやはり、伊藤と永井の二人が座り込んでいた。

 結構近付いているのだが、向こうはこちらに気がついていないようだった。

 どうしたのだろうか。何やら、深刻な雰囲気が二人の間に流れていた。

「誰!?」

 俺達が近付くと伊藤が立ち上がり振り返った。そして、近付いてきたのが俺達と分かると落ち着きを取り戻した。

 永井は俺達の方をチラリと見ただけでまた、うつむいてしまった。

「なんだ、あんた達か……。何の用?」

「えぇ、実は事件関係者から話しを聞いているの」

「貴女は……」

「灰原哀よ。よろしく」

 伊藤は再びその場においてあった大きく四角い石に腰を下ろした。

「それで? 何を話せば良いのかしら?」すこし憎しみを込めた目で灰原を見ていた。

 その視線を受けた灰原はなんとも思っていないようで、伊藤の隣に石へは腰をかけず腰を下ろした。

「ふふふ、そんなに邪険にしないで仲良くしましょうよ」

「馴れ合う気は無いんだけれど……」

「じゃ、さっそく話しを聞いていくけど……。そうね、あなた達と長野君の関係は?」

「私とそこにいる永井君はいわゆる幼馴染。小学校の頃から一緒でね。親友だったわ。」

 何かを懐かしむように目を細めながら伊藤は語る。

 その目の向こうには何を思い出しているのだろうか。

「なるほどね。それから、あなた達の事件当時のアリバイは何か有るかしら?」

「…………。私たちは今日は講義はまだ無かったから、その時、二人で話しながらお菓子を食べていたわ。確かそうだったわよね? 永井君?」

「あ、あぁ……。」いきなり話しを振られた永井は、かなり驚いたようだった。

「けれど、二人だけだったからそれを証明してくれる人はいないわね」

 伊藤は残念そうに顔をうつむかせた。

「長野君とは親友だったようだけど、何か最近おかしいって思うことはあった?」

「んー。特に無かったわね」伊藤は少し考え話した。

「いや、あった!!」しかし、今まで黙っていた永井が大きな声を出して割り込んできた。「あいつ最近。ずっとそわそわしてた。俺が話しかけてもどこかそそっかしくて。前はそうじゃなかったのに……。」

 彼等の間には何か有ったのだろうか?

 しかも、それを永井の方は知らない?

 灰原を見ると何か真剣な表情で試案していた。何を考えているかまでは分からない。

「なるほどね。二人の関係は?」

 その質問を灰原がすると、伊藤は良くぞ聞いてくれましたといったような表情で、マシンガントークを繰り広げる。

「!! よく聞いてくれたわね。私と永井君はね恋人なの。相思相愛よ……。」

 それから数分にわたりのろけ話が繰り広げられていた。

「そ、そうなの……。仲が良い事はよろしいことだわ」それをずっと聞いていた灰原は精神的に疲れていたようだった。

 その間、俺が気になった事は……。いや、気のせいかもしれないが、永井が惚気話の途中伊藤のことを睨んでいたのが気になった。




今回はいつもより短いです。
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