外から攻めていこうという事で学校周りを捜し歩いていると、北校舎の裏にある非常階段。その裏にある空間から先ほど一瞬頭が覗いたのを発見した。
「あれ? あれ、そうじゃないのか?」立ち止まり俺はそこを指指す。
「どこかしら」
どうやら、灰原は気付かなかったようだ。確かに頭が見えたのは一瞬であったし、常に研究所に詰めているのだから、あそこに人が入れる空間を知っているかどうかも怪しい。
「あそこに非常階段があるだろ?」
「えぇ」
「そこの裏には、人が溜まれる位の空間があるんだ」
「へぇ、なるほど。知らなかったわ。研究所にばかり詰めているとそういうこと、分からなくなるのよね。じゃ、行きましょうか」
そう言ってそこに近付いていくとやはり、伊藤と永井の二人が座り込んでいた。
結構近付いているのだが、向こうはこちらに気がついていないようだった。
どうしたのだろうか。何やら、深刻な雰囲気が二人の間に流れていた。
「誰!?」
俺達が近付くと伊藤が立ち上がり振り返った。そして、近付いてきたのが俺達と分かると落ち着きを取り戻した。
永井は俺達の方をチラリと見ただけでまた、うつむいてしまった。
「なんだ、あんた達か……。何の用?」
「えぇ、実は事件関係者から話しを聞いているの」
「貴女は……」
「灰原哀よ。よろしく」
伊藤は再びその場においてあった大きく四角い石に腰を下ろした。
「それで? 何を話せば良いのかしら?」すこし憎しみを込めた目で灰原を見ていた。
その視線を受けた灰原はなんとも思っていないようで、伊藤の隣に石へは腰をかけず腰を下ろした。
「ふふふ、そんなに邪険にしないで仲良くしましょうよ」
「馴れ合う気は無いんだけれど……」
「じゃ、さっそく話しを聞いていくけど……。そうね、あなた達と長野君の関係は?」
「私とそこにいる永井君はいわゆる幼馴染。小学校の頃から一緒でね。親友だったわ。」
何かを懐かしむように目を細めながら伊藤は語る。
その目の向こうには何を思い出しているのだろうか。
「なるほどね。それから、あなた達の事件当時のアリバイは何か有るかしら?」
「…………。私たちは今日は講義はまだ無かったから、その時、二人で話しながらお菓子を食べていたわ。確かそうだったわよね? 永井君?」
「あ、あぁ……。」いきなり話しを振られた永井は、かなり驚いたようだった。
「けれど、二人だけだったからそれを証明してくれる人はいないわね」
伊藤は残念そうに顔をうつむかせた。
「長野君とは親友だったようだけど、何か最近おかしいって思うことはあった?」
「んー。特に無かったわね」伊藤は少し考え話した。
「いや、あった!!」しかし、今まで黙っていた永井が大きな声を出して割り込んできた。「あいつ最近。ずっとそわそわしてた。俺が話しかけてもどこかそそっかしくて。前はそうじゃなかったのに……。」
彼等の間には何か有ったのだろうか?
しかも、それを永井の方は知らない?
灰原を見ると何か真剣な表情で試案していた。何を考えているかまでは分からない。
「なるほどね。二人の関係は?」
その質問を灰原がすると、伊藤は良くぞ聞いてくれましたといったような表情で、マシンガントークを繰り広げる。
「!! よく聞いてくれたわね。私と永井君はね恋人なの。相思相愛よ……。」
それから数分にわたりのろけ話が繰り広げられていた。
「そ、そうなの……。仲が良い事はよろしいことだわ」それをずっと聞いていた灰原は精神的に疲れていたようだった。
その間、俺が気になった事は……。いや、気のせいかもしれないが、永井が惚気話の途中伊藤のことを睨んでいたのが気になった。
今回はいつもより短いです。