俺の凡高での日常   作:ブリザード

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すいません。鶫のラブレター話を飛ばします。
いきなり、千棘の誕生日編に入ります。
一応、形だけ話に入れました。
後、この話から少しオリジナル設定です。



第15話 友達のためのオイワイ

林間学校が終わり、しばらく日がたったある日……

 

「おーい、楽ー!」

 

楽は小野寺に話しかけようとしたが、桐崎さんによってそれが遮られた。

 

「この日誌ってどこに持っていくんだっけ?」

 

「あ?さっき先生が準備室って言ってたじゃねえか」

 

「あー、そっかそっか、ありがと」

 

桐崎さんは準備室の方へ向かって歩き出した。

 

「おい、千棘!理科室の方の準備室だぞ。また、音楽室の方と間違えるなよ」

 

楽が注意すると、桐崎さんは了解と言わんばかりに手を振って歩いていた。

 

「…………名前」

 

「ん?あぁ、そっか。いや、最近下の名前で呼び合う事になってよ。結構長く付き合ってるのに下の名前で呼んでないのはおかしいみたいな事を友達に言われたんだと」

 

「………ふーん」

 

下の名前で呼び合ってる事に疑問を感じた小咲は楽に聞いて事情を納得していた。

 

「でも、そういう小野寺と宮本だってクロに下の名前で呼んでもらってるよな?」

 

「それは二人に頼まれたんだよ。中2の頃から仲良くしてるんだから、そろそろ下の名前で呼んでくれてもって」

 

これは余談だが、下の名前で呼び出した事をクラスの女子にばれて『クロ君の本命はでらちゃん?それとも、宮本さん?どっちなの』って質問されて少し困った。まぁ、何とかなったんだけど。

 

「おい、一条楽。お嬢を見ていないか?」

 

教室のドアを開けて出て来たのは桐崎さんのボディガード、鶫だった。

 

「ん?ハニーならさっき理科準備室に行ったぞ」

 

「おぉ、それはちょうどよかった。ちょうど皆さんもお揃いのようですし」

 

「集がいないぞ?」

 

(あと、ついでに言うと城野崎も……いや、あいつは少し違うか)

 

「皆さんお揃いのようですし」

 

どうやら、鶫は集をいつも一緒にいるメンバーだと思っていないらしい。

 

「実は今日お嬢の誕生日なんです。それで、お嬢に楽しんで欲しいので私達はサプライズパーティーを計画しているのですが、ぜひ、皆さんもそのパーティーに招待したいのですが」

 

「へぇ、そうなんだー。私は行くよー」

 

「私も」

 

小咲とるりが承諾する。なるほど、桐崎さんの家でサプライズパーティー。つまり俺は……

 

「悪い、俺パス」

 

「えっ?何でだよ。お前も来ればいいじゃん。千棘もそっちの方が喜ぶぞ」

 

「こっちにも色々事情があるんだよ。とにかく、俺は遠慮しておくよ」

 

そう言って俺は教室の中に入って行った。入る時に一瞬後ろに向いた時の三人の女子の目がすごく痛かったが無視して扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

放課後になると、俺はすぐに家に帰ろうとしたが、鶫に呼び止められた。

 

「神崎クロ………その、すまないな。本当は誘ってやりたいのだが」

 

「わかってるよ。どうせ、あのクロードって奴がいるからなんだろ?あいつのいる家に入ったら、俺、何されちまうかわからねぇよ」

 

そう言うと、鶫は下を向いて黙り込んだ。まぁ、これでよかったんだろ。こいつにとっても、俺にとっても……

 

「…………あと、もうひとつ。私はおまえの事を少し誤解していたようだ」

 

「誤解?」

 

いきなり改まって何のつもりなんだ?

 

「その、昼休みに決闘した時の事だ。あの時は復讐の事しか頭になかったが……今はお前を違う感情で見れるようになった。だから……あの時は悪かった」

 

鶫は俺に頭を下げて謝った。ちょっと待ってくれ。いきなり、そんな事されたらこっちが悪いみたいじゃねえかよ。

 

「いや、別に気にすんな。あん時のことならるりと小咲のおかげで助かったから」

 

「しかし!」

 

「その代わり、二度とあんな事しないでくれよ。あんな思いはもうしたくねえんだ」

 

もし、これでるりと小咲がいなかったらと思うと……

 

「………すまない、感謝する。では私はパーティーの準備があるから、これで」

 

鶫は俺と別れて廊下に出て行った。あの、鶫があんな簡単に謝るとはな………ラブレターもらってから何かあいつは変わった気がするぞ。

 

ため息をついて、俺は教室を出た。その後、キョーコ先生とすれ違ったり、集と城野崎にちゃかされたりしたが、特に何てこともなく校門についた。すると、校門前で一人の女子生徒に話しかけられた。

 

「クロ君、ちょっといいかしら?」

 

「……鶫の次はるりか。帰りながらでもいいか?」

 

るりはコクリと頷いて二人で並んで帰る。

 

「で、何の話だ?まぁ、だいたいわかってるけど」

 

「何で、千棘ちゃんのパーティー断ったの?」

 

やっぱりか。………そういえば、るりには一回あいつの事話してなかったっけ?……まぁ、いいか。

 

「鶫の親的存在の奴が俺の事をすげぇ憎んでるんだよ。俺の親父が鶫の仲間を殺したって話のやつで。ほら、俺と楽を女子風呂に入れさせたやつ」

 

「あぁ、その人が」

 

「そっ!だから、俺はあいつに出会わないようにするためにも桐崎さんのパーティーに参加するわけにはいかねぇの」

 

本当はすげぇ行きたいんだけどな……どれもこれもあのクロードって奴のせいだ。

 

「そう………それは残念ね。でも」

 

るりはいきなり俺の手を取って前を歩き出した。いきなり手を取られた俺は顔が赤くなる。

 

「おい!一体どうした!?どこ行くんだよ」

 

「デパートよ。パーティーに参加できなくてもプレゼントを買いに行くくらいはできるでしょう?買ったのを私が渡しといてあげるから」

 

「プ、プレゼント!?そんなの俺なに買ったらいいかわかんねえよ」

 

「そのために私がいるんでしょ。私も一緒についていくから、一緒に選びに行くわよ」

 

そう言って歩いていた足を速めて歩くるり。てか、いつまで手握ってんだよ。これじゃまるで、デートみたいじゃねえかよ………

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、ついたわ。時間もあまりないし、はやく選びに行きましょ」

 

「お、おぅ………」

 

デパートに入ってからでも、手を握ったままでいるるり。そろそろ、恥ずかしいから離して欲しいんだけど。

 

「うーん……千棘ちゃんって何が好きかクロ君知ってる?」

 

「さ、さぁ……でも、お菓子とかそういうのあげたらどうだ?女の子ってそういうのが好きなんじゃないのか?てか、そろそろ手離してくれない?」

 

「あら、ごめんなさい………それもそうね。じゃあ何か和菓子でも」

 

「なぁ、そういえば小咲の誕生日ももうすぐだったよな?ついでだし小咲のも買わないか?」

 

小咲の誕生日は6月15日。今日から一週間後くらいだ。

 

「……クロ君ナイスアイディア。まぁ、小咲には適当におかしなもんあげたらそれでいいわよね?」

 

適当におかしなもん。確か去年はゴキブリのティッシュケースだったか?それ見て確か気絶してたような……

 

「今年は何あげようかしら?」

 

「たまにはまともなもんあげてやれよ。……お、こんなのどうだ?クジラのストラップ」

 

「ダメだわ。面白みにかける」

 

もう何を言っても聞きなさそうなのでもうるりに任せることにした。

 

「あぁ、悩んでても仕方ないしな。俺、これにしようかな?」

 

選んだのはネコが三匹ついてるストラップと犬のぬいぐるみ。何でか?そんなの単なる思いつきだよ。

 

「ネコが桐崎さんで犬が小咲かな」

 

「………クロ君、何か面白くないわ」

 

「うるせぇ、ほっとけよ」

 

「さて、私は一体何を………あら、これは…………面白ものを見つけたわ」

 

うわ、るりの目つきが変わった。きっとまたとんでもないものを選んだんだな。小咲の誕生日まで見ないでおこう。

 

「これで小咲のは買えたわ。あとは千棘ちゃんのね。どんな和菓子がいいかしら?」

 

「うーん……饅頭とかでいいんじゃねえのか?」

 

饅頭といえば小咲の家の饅頭うまいよな……今度買いに行こうかな。

 

「でも、饅頭ってありきたりじゃないかしら?もっとマイナーなとこを責めたいわ」

 

「もうるりの勝手にしてくれ。どんだけ意外性を求めてるんだよ」

 

「冗談よ。じゃあ、はやく饅頭を買いに行きましょう」

 

「あぁ、そうだな。あ、先に桐崎さんの誕プレは渡しとくな。ちゃんと渡してくれよ」

 

「えぇ。でも、よく考えたら一日遅れでもいいから、自分で渡すのもありなんじゃないかしら?」

 

おいおい、それできるならわざわざ帰りに買いに来る意味あったのか?まぁ、そのおかげで小咲の誕プレも買えたんだけど。

 

「手渡しの方が喜ぶんじゃない?」

 

「うーん。どっちでもいいと思うんだけどな。まぁ、それでいいなら自分で渡すよ」

 

「そうしてちょうだいな。………あ、饅頭屋発見。ねぇ、どの饅頭がいいと思う?」

 

るりは店にあるガラスで守られた見本のやつを見つめる。

 

「これなんかどうだ?六個入りで結構お手軽な安さだぞ」

 

「私はこれなんかいいと思うんだけど。ちょっと高いけど十二個入りの高級そうなやつ」

 

二人で饅頭を見て決める。てか、十二個入りっていくら桐崎さんが大食いだからってそんなに食えるか?

 

「間をとって十個入りのこれは?見た目結構うまそうだぞ」

 

「………そうね。これにしましょう。すいません、これ一つ下さい」

 

…………よく考えたら、十個も十二個もそんなに変わらないんじゃ……まぁ、いいか。

 

「よし。これで誕生日プレゼントは買えたわ。後は、千棘ちゃんの家に行くだけね!」

 

「お疲れー。じゃあ、また明日だな」

 

「えぇ。…………クロ君、本当にいいの?」

 

「いいんだよ。もう、仕方のねえことなんだから。ほら、早く行かないと間に合わないぞ。家帰って着替えもしねえといけないんだろ?今からだと走らないとやばいから」

 

なかなか家に向かおうとしないるりを俺は早く行かせようとする。

 

「ごめんね、クロ君。じゃあ、また明日」

 

そう言って、宮本は走って行った。さて、俺も帰るかな。…………ん、電話?

 

「もしもし?あぁ、ばあちゃん。どうしたの?」

 

『もしもし、クロちゃん?今あなたにお客さんが来てるの。悪いけど、早く帰って来てくれないかしら?』

 

「俺に客!?一体誰だろ。わかったすぐ帰るよ」

 

俺は電話を切ると走って俺の家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー、ばあちゃん。今帰ったよ!」

 

「あ、クロちゃん。おかえりなさい。悪いとは思ってんだけど、あなたの部屋で待たせているから。早く行ってあげて」

 

「わかった。ありがとう」

 

おれは靴を脱いですぐに二階へ上がった。そして、一応ノックをして部屋に入る。

 

「お待たせしました。神崎クロですけど………」

 

「クロ様……クロ様なのですね!お久しぶりです。私のことを覚えていらっしゃいますか?」

 

そう俺に話しかけたのは栗色の髪に花の髪飾りをつけている、いかにもお嬢様のような格好をした女の子だった。だが、俺はこの女の子を知っていた。るりよりもずっと昔に会った人物。ちょうど、親父が鶫の仲間を殺した数日後に仲良くなった俺の数少ない友達の一人。

 

「マリー………マリーなのか!!」

 

「はい!そうです!!」

 

マリー。橘 万里花。それがこの少女の名前だった。

 

 




ということで、マリーをだしました!
どんな関係なのかは次の話で!
感想と訂正があればお待ちしております!

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