一学期の終業式を終え、夏休みに入りかかった頃、俺達は楽の家で勉強会をする事になった。
「いやー、楽の家で勉強会すんのこれで二回目か。でも、なんでこの時期に勉強会?」
「俺じゃねえよ。鶫が発案したんだ」
今ここにいるメンツはこの前一緒に勉強した俺達六人に、鶫、マリー、城野崎を加えた9人。この大人数で勉強する事になったんだが…………
「鶫、なんだそのヘンテコっぽい機械は?そんなもの勉強に使うのか?」
「ち、違うぞ神崎クロ。これは勉強の合間のレクリエーションにでも使おうと思ってだな」
…………まぁ、期末テストとかそういうのじゃなくて、ただの、宿題だからそういうことをするのもありだと思うが……
「鶫、あんた何か変な事考えてるんじゃないでしょうね?」
「ははっ、そんな事考えてないですよ」
桐崎さんが鶫に聞く。鶫はその答えを笑って返したが次の瞬間…
ビーー!!!
いきなり、その機械から音がなった。
「じゃあ、それはたまたまネット通販で買えたものなの?」
「えぇ。嘘発見器です。勉強の合間にやりましょう」
「いいね、面白そう!」
…………なんか嫌な予感しかしない。どうしよ、俺とるりの事とか聞かれたら。何か音がなる気しかしない………
なんやかんやで最初は鶫がやる事に。
「私ですか。じゃあ、どなたか私に質問してもらえますか?」
「じゃあ、私がしていいかな?」
「小野寺様?」
トップバッターの鶫に小咲が手を上げた。まぁ、小咲だしそんな変な事を聞いたりは…………
「鶫さんは今好きな人はいますか?」
「ぶふっ!!小野寺様!いきなり何を!?」
前言撤回。まさか、こんな事を聞くとは微塵も思わなかったのに……
「前に話した通り、私に好きな人はいませんよ」
ビーーー!
「やっぱり!」
「違います!!!」
顔を真っ赤にして、嘘発見器を否定する。
「まぁ、嘘発見器なんて元々あてになるようなもんじゃありませんし、そもそも、質問がいけなかったのかもしれません」
「うーん…………あ、じゃあ!」
「鶫さんは恋をしてますか?」
「だからしてませ『ビーー!!!』
「おかしいな?うん、この嘘発見器は壊れてるに違いない。そうだ、壊れてる」
…………必死だな、鶫。なんか惨めでかわいそうだよ。
「あ、じゃあ俺から鶫に質問してもいいか?」
次に手を上げたのは城野崎。……何かエロい事を聞きそうな気がするぞ。
「じゃあ、聞くぞ」
「鶫は今誰かと付き合『しつこい!!』」
「私の事はどうでもいいんですよ。一条楽。次はお前がやるんだ」
「えっ、俺!?」
「そうだ。お前はお嬢を本気で愛している?イエス、ノー?さぁ、答えろ」
てか、絶対それを聞きたいがために今日それを持って来ただろ。クロードとかいう奴に命令されたのか?
「そ………そんなもん、イエスに決まってんじゃねぇか」
シーン………
「ど、どうやら本当のようだな」
あれ?なんで反応しないんだ?楽が好きなのって小咲だろ?この嘘発見器不良品なんじゃねえのか?
「楽様、私も質問していいでしょうか?」
今度はマリーが楽に質問をしようとする。
「楽様はこの中で誰が一番可愛いと思う女の子はどなたですか?」
「えっ!?…………そ、そりゃハニーじゃねえか」
フニョンフニョン
「……少しメモリが反応してるな」
「うぉっ!!知らん知らん。俺はしらんからな!!てか、なんで俺ばっかりなんだよ。はい、次クロ!!」
「えっ、今度は俺かよ………」
「じゃあ、私から質問させてもらいます」
俺の番になると、とっさにマリーが手を上げる。妙な事は聞かないでくれよ…………
「楽様と同じ質問です。この中で一番可愛いと思う女の子はどなたですか」
なんでそんな事聞くんだよ。俺は楽みたいなハーレム野郎じゃなくて、るり一筋男だぜ。
「……………………るり…………」
シーン…………
「まぁっ!!どうやら本当の様ですね!よかったですね、宮本さん」
名前を言われた本人は顔を真っ赤にしながらこっちを睨んでる。なんだよ、俺の本心を述べたまでだぞ。俺も恥ずかしいんだからな。
「はーいっ!じゃあ、次俺が質問する」
「あ、その次俺な」
集と城野崎が手を上げる。こいつらにも質問されたくねぇな。
「ぶっちゃけた話、クロとるりちゃんってどこまで
バゴォン!!!
「変な事聞いたら殴るわよ?」
「もう、殴られてます」
明らかに人を殴ったような音じゃないのが聞こえた気がする。
「じゃあ、次俺な。実はクロって背の小さい女の子と仲良くするのがいいって思って
ドゴォン!!!
「聞いていい事と悪い事があるって知ってるかしら?てか、今明らか私を罵倒した感じに聞こえたんだけど?」
集と城野崎が部屋の隅の方でノックアウトしている。ご愁傷様だな。
「じゃあ、次誰がやる?」
「それでは、私が」
今度は、嘘発見器をマリーが持つ。
「私は楽様を愛しているか?答えはイエス!」
「えっ、お前一人で何してんの?」
「そして、私はクロ様が大好きですか?これもイエス!」
「お前マジで何がしたいの!?」
一人で質問して一人で答えるマリー。まぁ、自分の本心を改めて自覚するということで。
「あ、じゃあ私から質問。あんたが
ダーリンにキスしたっていうのは本当?」
「それはもちろん、本当ですわ」
シーン…………
「一条楽、貴様どういう……」
「うおぉっ!待て、誤解だ!!」
えっ!?いつの話!!俺と楽がマリーの家に行った時か!?それとも……俺の他にも集、城野崎、るり、鶫はこの事を知らなかったようだ。
「へぇ、楽にキスしたんだ。俺にもしてよ」
「地球が爆発しても嫌ですわ」
「じゃあ、俺なら?」
「宇宙が消えてなくなっても嫌ですわ」
ボロクソだな、おい。
「次は……小野寺さんとかどうですか?」
「えっ、私!?」
「あ、じゃあ俺が!ずばり、小野寺のバストはC以上?それとも、以下?」
ドグシャ!!
「わー!ちょっとタンマ。冗談だって…………ギャーーー」
……集も懲りないな。
「……………………………………い………………い…………」
「そこ頑張らなくていいから、小野寺!!」
顔を真っ赤にして必死に答えようと頑張ったが、途中で楽に止められた。ちっ、もう少しだったのに。
「小咲をあのバカのような目でみたらいくらクロ君でも怒るわよ?」
「…………イエッサー」
またここ読まれた。いい加減それはやめて下さいよ…………
「はい、じゃあ次るりちゃん!」
「えっ、私もやるの?」
「はーい、じゃあ俺が質問するー」
城野崎。マジで変なこと聞いたら殺されるぞ。もうやめとけよ。
「えっとー、宮本ってこの中の男子なら誰が一番好み?」
「つっ!!あんたね………………」
「はい、ストップ。この質問は楽もクロも答えたんだから宮本も答えるべきだ」
「くっ!…………………………クロ君よ」
シーン…………
マジかよ、すげぇ嬉しい。でも、よく考えたら楽は(偽)彼女持ちで他2人はるりがかなり嫌ってそう。結果的に俺は選んだ……という風にも考えられなくはないな…………
「ふーっ!これが両想いってやつじゃないんですか、ねぇ、舞子隊長」
「そうだな、城野崎隊員。そして、俺からも一つ質問。俺的にるりちゃんはBカップもなさそうに見えるがそこのところ
バゴォン、ドゴォン、ドグシャ
「あんたマジで殺してあげてもいいのよ?てか、殺すわよ。そこの隊員と共に」
「ずみまぜんでじだ」
「ったく、はい、千棘ちゃん」
「え、私も!?」
「あ、それなら私が。桐崎さんは楽様とキスをすませましたか?」
何でこんな恋愛話しにしかならないんだよ。もっと違うことがあると思うんだけど……
「い、いや、それはまだ……わたしたちはピュアな付き合いを…………はっ」
ビーー!!
『えぇーー!!?』
「してないしてない、断じてしてない。もう!はい、鶫!」
「はい、じゃあ俺!」
…………もう本当に死んでも知らないぞ集。
「実は前々から気になってたんだよ。普段は目立たないが、俺は実は誠士郎ちゃんはクラスの中でもトップクラスだと思う。教えてくれ、誠士郎ちゃんのバストは少なくともEカップ以上…………答えは如何に」
「あんたはそういうことしか聞けないのか!!」
「そ……そ……そんなにあるわけないだろうが!!!」
ビーービーー!!!
「鶫ーー!!?」
「もーー!!!」
(E以上ってどのくらいだ?)
(私だってこう見えてもE以上)
(E?Eって?)
「ごめんごめん。じゃあ今度はもっとマシな質問。俺と楽と城野崎なら誰が一番好み?」
「はい?」
「おい、待て集。なんでそこに俺をまぜなかった?」
「まぁ、いいからいいから。で、答えは?」
「…………だ、誰も好みじゃない」
ビーーー!
「えーー、今のどういうこと?」
「こんなものはもうやめです」
…………結局、この日の勉強会は全く勉強にならずに終わってしまった。ただ、俺としてはるりが何で俺を選んでくれたのが疑問に残っていた。
「…………クロ君」
「ん?どうした、るり」
「…………その、私をあの中で一番可愛いって思ってくれてありがとう」
「………………おう」
まぁ、今はわからなくてもそれでいいかな、と思う自分がいた。
感想や訂正があればお待ちしております!