中々、進まなくて。麻雀描写って難しいな。
しばらく休憩した俺達は次のアトラクションへ向かい歩いていた。まだ、少し気持ち悪いが。
「次はこれに乗りましょう!!」
春ちゃんが指差すのはコーヒーカップ。春ちゃん、頼むから俺の事も考えて。あんだけ酔ったのにさらに目を回させるなんて君はドSなのか?俺がどうなってもいいのか?
「あの、ごめん春ちゃん。俺は乗らないでおくよ」
「えっ!?どうしてですか?」
「いや、どうしてって言われても…………」
「先輩は私と一緒にコーヒーカップに乗りたくないんですか!?」
春ちゃんが訴えるような目で俺を見る。違うんだ。別に春ちゃんと乗りたくないわけじゃない。頼むから悟ってくれ!
「違うよ、春。先輩は春と乗りたいわけじゃないんだよ」
「えっ?そうなの?」
風ちゃん、ナイス!ナイスフォローだよ!!
「先輩は私と一緒に乗りたいんですよね?」
前言撤回。それはフォローであるけどフォローじゃないよ。どっちにしろ俺にはメリットがないような気がする。……まぁ、女子とコーヒーカップなんてシチュエーションは充分メリットになるけど。
「…………わかった。じゃあ乗ろうか、コーヒーカップ」
「えっ?私とですか?」
「違うよ、私だよ」
春ちゃんと風ちゃんが俺に詰め寄って来る。そんな二人で俺に詰め寄ってこないでよ。周りを見てごらん。非リア充と思われる方々が俺の事を睨んできてるじゃないか。
「み、みんなでのろうぜ!なっ?」
「……クロ君、実は私達四人を虜にしようとする鬼畜ハーレム野郎だったのね?」
「ちょ、なんでそうなるんだよ!!」
「……冗談よ」
なんだ、冗談か。よかった…………
「3割わね」
「残りは!残りの7割はどうなんだ!?」
「…………ほら、早くコーヒーカップに乗りましょう」
「おい待て!話を逸らそうとするな!!」
「ほら、クロ先輩も早くいきましょ」
春ちゃんが俺の腕を引っ張ってコーヒーカップに乗り込んだ。
「結局、こうなるんじゃん」
俺、るり、小咲、春ちゃん、風ちゃんの順で円になって座る。気のせいか、風ちゃんが少し俺にくっついてる気がする。
「じゃあ、回しますよー!」
春ちゃんがコーヒーカップをクルクルと回し始める。………………やっぱり、乗らない方が良かったかも。
「…………クロ君、大丈夫?』
こんな時でも冷静でいるるりは回りながらも俺の顔を覗き込んで来る。
「だ、大丈夫だ!問題ない。うりゃああぁぁぁ!」
そんなるりの顔を見た俺は一発で酔いが覚めた気がして、調子に乗り、春ちゃんと一緒にコーヒーカップをクルクルと回し始めた。
結果
「おぇっ、やっぱり乗らなければよかった。なんで遊園地に来てこんなに酔わないといけないんだよ」
「クロ君、大丈夫?何処かで休む?」
今度は小咲が柵にもたれかかってるおれの顔を覗き込んで来る。うぅ、女子に心配される俺って一体…………
「だ、大丈夫だから。ちょっと休めばすぐに良くなるはずだから。ほら、俺男だし」
「うん。体調さらに悪くなったら言ってね?」
…………うん、小咲。お前はやっぱりいいやつだよ。ここまで俺の事を心配してくれるなんて………
「クロ先輩、お姉ちゃんはあげませんよ」
「と、とらねぇよ」
春ちゃんに睨まれて俺はたじろぐ。
「春、そんな事絶対ないから大丈夫」
「えっ?どうして?」
「だって、先輩にはるりさんがいるもん」
「ぶふっ!!!」
酔い覚ましに飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになる。この子は一体何を言ってるんだ!?
「あぁ、そういえばそうだよね」
「何、春ちゃんも簡単に納得してんの!?てか、今のるりは聞いてねえよな!!」
「るりさんはクレープ屋を見つけて、ダッシュで買いに行っちゃいましたよ」
「そっか、良かったー…………」
(この感じからすると、おそらく先輩はるりさんの事を…………なるほど。これはフォローのしがいがあるもんですね)
?、何か風ちゃんが納得したような顔をして頷いている。俺なんか変なこと言ったっけ?
「みんな、クレープ買ってきたけど食べる?」
クレープを買いに行っていたるりが戻ってきたようだ。手には色とりどりのクレープがある。
「うわー!ありがとうございます!はい、お姉ちゃん!」
「ありがとう。るりちゃんもありがとね」
「ありがとうございます、るりさん」
春ちゃん、小咲、風ちゃんの順でクレープを渡していく。最後に俺の方にやってくる。るりの手に握られてる残りのクレープの数は3つ。
「サンキューな、るり」
「何言ってるの?クロ君の分はないわよ?」
「………………why?」
「3つとも私が食べるの」
何!?3つともるりが食べるのか!?そんな…………俺達の友情はそんなちっぽけなものだったのかよ!!
「てか、そんなに食ったら太るぞ」
俺が思うにるりの脳内イメージって食事が4、水泳が3、読書が2、その他1だろうなと思う。うん、ってあれ?
「クロ君、殴るわよ。てか、殴っていいわよね?」
手に持っていたクレープを小咲に預けて俺に近づいてくる。
「いや、ちょっと待って」
俺は他の3人に助けを求めようとすると、3人は咄嗟に目線を逸らした。くそ!俺に味方はいないのか!!
「…………すいませんでしたー!!」
結局、俺は殴られた。
「次言ったら本気で怒るわよ」
「は、はい」
「時間もあれですし、次で最後にしましょうか」
「そうだね」
「じゃあ、遊園地で最後に乗るものと言えばこれだよね!」
あたりが暗くなってきた俺達は観覧車の近くまで来ていた。…………そういえば、今日は酷い目にあってるな。ジェットコースターとコーヒーカップで酔って、るりに殴られて。そろそろ、良いこと起きてもいいと思うんだけどな。
「どうします?5人で座りますか?それとも、別々に座ります?」
「あ、じゃあクジ引きで決めましょ」
どこから取り出したのか、風ちゃんが手に5本の棒を持っていた。
「この中に赤は2本、白が3本あるのでそれで別れましょう。じゃあ、まず私から引きますね」
「結局、こうなるのよね」
観覧車の中、俺はるりと向かい合わせで座っていた。風ちゃん、春ちゃん、小咲の順でクジ引きを引いていくと、3人共、白だったので俺達は引く意味がないということになり、こういう結果になった。
「………………」
「なぁ、まださっきのこと怒ってんのか?」
「別にもう怒ってないわよ。ただ、景色がきれいだなぁ、って思って見てただけよ」
「そうか…………るり、ありがとう」
「い、いきなりなのよ…………」
「いや、お前がいなかったら小咲と春ちゃんと風ちゃんと仲良く遊園地に行くなんて出来なかっただろうなって思ってさ。だから、そのお礼」
「べ、別にいいわよそんなの」
るりは照れたのか顔を赤くしながら横に向く。そんなるりを見てドキッとした俺はいきなり変な事を言ってしまった。
「隣座ってもいいか?」
「つっ!!?」
驚きのあまりるりは顔が少し歪んでいた。
「悪い。今のは忘れてくれ」
「………………いいわよ」
「えっ?」
「隣に座ってもいいって言ってるの!!ほら、こっち来なさい!」
何故かるりは怒りながらも、隣に座れる分くらいのスペースを空けてくれた。俺は戸惑いながらもその横に座る。
「………………ねぇ?」
「ん?」
「クロ君って私の事どう思ってるの?」
「えっ?………………」
何を聞かれたかしばらく理解できなかった俺は数秒時が止まるような感じになった。そして、質問の意味を理解した俺は…………
「え、あ、いや。どうって言われても、俺はるりの親友?だと思うぞ」
顔を真っ赤にして、テンパりながらもるりの質問に答えた。すると、るりははぁ、とため息をついた。
「やっぱり、クロ君って意気地なしよね」
「はぁ!?何でそんなこと言われるんだよ!!?」
俺の何処が意気地なしなんだ?まったく、そんな事はないと思うんだけどな。
「クロ君は意気地なしでデリカシーがなくて、すぐ人をからかってくる意地悪な人よ」
なんで俺こんなボロクソ言われてるんだろう?
「でも、私はそんなクロ君が」
その言葉と同時に遊園地で花火が上がり、
「好きだから」
ボソッと言った言葉は花火の音と共に消えてしまった。
「今なんて言ったんだ?俺の事が?」
「なんでもないわよ。ほら、もうすぐ下に着くから降りる準備しないと」
「いや、俺的には今の事を聞かないとスッキリしないんだけど?」
「じゃあ、スッキリするまで観覧車に乗っていたらどうかしら?」
「それは勘弁したいな」
遊園地を出た俺達は4人を家まで送り、家に帰りベットの上に寝転がった。
「しかし、あの時るりはなんて言ったんだろう…………気になって、なかなか寝れない」
『俺さ、るりちゃんとクロって絶対クラスで1番最初に付き合うと思っていたんだけどな』
『クロと宮本ってお似合いだと思うぞ』
『うーん……2人の中に入ってもいいなら別にいいけど』
何故か、この時俺は集と城野崎と小咲に言われた言葉を思い出した。あれ、なんかひっかかる。何だろう…………
『クロ君は私の事をどう思ってるの?』
『でも、私はそんなクロ君の事が…………』
「………………もしかして、るりって俺の事が好きなのか?」
俺はふと、そう思ってしまった。
ついにクロもるりちゃんの気持ちに気付いてしまった。
ここから、話はどう動いていくのか。
感想と訂正があればお待ちしております。