俺の凡高での日常   作:ブリザード

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第2話 部活=スイエイ

一条side

 

「ない!俺のペンダントが……」

 

一体いつだ?いつ落としたんだ?今日学校に行く時には首にかけていたから…………

 

「あの時か!!」

 

俺は桐崎に蹴られた時のことを思い出した。

 

それを思い出した瞬間、俺は教室を飛び出していった。

 

 

 

 

 

クロside

 

「なんだ……あいつ」

 

「何かいきなり叫んだ後、慌てて出ていっちゃったね」

 

走って飛び出した楽を見て、俺と小野寺が呟く。

 

「あ、それよりさ。さっきのハーゲンダッツを買いに遊びに行く時に映画行かないか?久しぶりに見てみたい映画があってよ」

 

「私はどっちでも。小咲は?」

 

「私もいいよ。何時からなの?」

 

「んー、それはまた調べとく。わかったらメールするからそれから集まろうぜ」

 

「わかった」

 

「了解」

 

よし。ただ、ホラー系なんだけど小野寺は大丈夫なのかな?……まぁいいか。あ、楽が戻ってきた。

 

「はぁ?何で私がそんなもの探さなきゃいけないのよ!!」

 

「お前の膝蹴りのせいでなくしちまったんだぞ!!お前も一緒に探すべきだろ!」

 

「そんなのあんた1人で探せばいいじゃない」

 

「探して見つからなかったから頼んでるんだろ!!」

 

折角の昼休みにうるさい2人だな……少し話しに入ってみるか。

 

「おい、楽。どうしたんだ?」

 

「どうしたの、一条君」

 

「クロ、小野寺。いやちょっと大事なもんなくしちまってよ」

 

俺と小野寺が楽に話しかけると、楽は気づいたようでこちらに向いた。小野寺を見た瞬間、一瞬顔を赤くしたのは気のせいだろうか。

 

「探すの手伝おうか?」

 

「おう。1人じゃ大変だろ?」

 

「いやいいよ。こいつのせいでなくなったんだ。こいつが探すのが筋ってもんだろ」

 

「なんですって!!」

 

2人がにらみ合う。だが、桐崎さんが先に溜息をついた。

 

「で、それどんなペンダントなの?」

 

「ん?あぁ、これぐらいの大きさでこんな形をした……」

 

「えっ?」

 

楽がジェスチャーしながら説明していく。すると、それに小野寺が反応した。

 

「それって……」

 

「小野寺、知ってるのか?」

 

「ううん。勘違いかも……多分」

 

手をブンブン振りながら否定する小野寺。

 

「わかったわ。その代わり、そのペンダントが見つかったら今後、学校で私に話しかけないで!私嫌いなのよね。過ぎたことをグチグチいう人って」

 

「はぁ!?………わかったよ、望むところだ!」

 

「あと、探すのは放課後だけだからね」

 

それだけ言うと桐崎さんは椅子に座った。楽は腹が立っているようで乱暴に自席に戻った。

 

「あ、いたいた。一条に桐崎」

 

キョーコ先生が教室のドアからひょこっと顔だけ出して2人を呼ぶ。

 

「桐崎に学校の事を色々教えてあげたいからさ。桐崎をお前と同じ飼育係にしたから。頑張ってー」

 

それだけ言うとキョーコ先生は何処かに行ってしまった。

 

「な…………」

 

「「何ーーーーーー!!??」」

 

 

 

 

 

2人は嫌々という感じで飼育小屋の方へ向かった。

 

「小野寺。さっきの楽のペンダントの話しに何か心当たりがあったんだろ?」

 

「えっ?ないない!何にもないよ。ただの勘違いだったからさ!」

 

「嘘吐くな。あの反応のしかたは明らかに不自然だ。……多分、お前がいつも首から下げてる鍵と関係してんだろ。楽のやつは錠のペンダントだしな」

 

「つっ!?……いつそれを知ったの?鍵の話しはるりちゃんにも話してないのに」

 

「………1年の頃、お前と遊びに行った時に公園で俺がトイレ行って戻ってきたら、お前がベンチで寝てた時があったんだ。その時、偶然その鍵が見えたんだよ。かなり、古そうに見えたから家の鍵ではないって事はわかってた。今日ではっきりしたよ。その鍵は楽のペンダントに何か関係があるんだろ?」

 

あの時か……と呟きながら小野寺は溜息をついた。

 

「………また、今度ちゃんと話すよ」

 

「……わかった。その代わり、本当にちゃんと話せよ」

 

「うん。ごめんね」

 

それだけ言って俺達は自席に戻った。

 

 

 

 

 

放課後

 

「なぁ、宮本。今日って部活あったっけ?」

 

「あるわよ。そろそろ、泳いでも大丈夫な頃だと思うわよ」

 

「っしゃあ!そうとわかれば早く行こうぜ、宮本」

 

「はいはい、わかったわよ。じゃあね、小咲」

 

「うん。また明日ね、るりちゃん、クロ君」

 

「おう、また明日!」

 

そう言って俺と宮本は教室を出て、凡高の水泳部に向かう。俺と宮本は男子水泳部と女子水泳部に所属している。まぁ、人数少ないからいつも一緒に練習してるけど。弱小と言われていた凡高の水泳部は俺達が加入してからそれが変わった。中学から数々の記録を塗り替えてきた宮本は当然高校でも活躍して今では『凡矢里高校のマーメイド』と呼ばれるようになった。同じく俺も昔から運動と水泳だけが取り柄だったので中学でも高校でも活躍できた。俺の二つ名は『クロールのライトニング』か『マーメイドの彼氏』と二つ目がよくわからない名前になっている。

 

「さてと、泳ぐか!!」

 

「その前に準備体操しないとダメでしょ」

 

「あ、忘れてた」

 

男子水泳部の部室ですぐに着替えて泳ごうとすると、宮本に止められた。

 

「てか、お前女子なのに着替えるの早いな」

 

「着替えるの面倒だから、今日は下に着ていたのよ」

 

「ふーん。まぁ宮本がそれでいいなら別にいいか。じゃあ、準備体操もしたし泳ぐか!」

 

最初に1番得意なクロールから、平泳ぎやバタフライと色々泳いでいく。

 

「………相変わらず、泳ぐの速いわね」

 

「そうか。俺は宮本の方が速いと思うんだけどな。勝負してみるか?」

 

「お世辞はいらないわ。それに勝てる気がしないから別にいいわよ」

 

「……お世辞じゃないんだけどな」

 

今日はタイムを計らずに、ただ普通に色々泳いでおわった。部活終了時刻となりみんながプールから上がって部室に戻る。

 

「さて、俺も着替えて帰るとするかな。宮本、今日一緒に帰ろうぜ」

 

「いいわよ。てか、部活ある日はいつも一緒に帰ってるじゃない」

 

「それもそうだな。じゃあ、校門前で待ってるから」

 

そう言って俺は部室に向かう。俺と宮本の家は100mと全然離れていないため用事とかない時はいつも一緒に帰ってる。

 

「今日の弁当の事、ばあちゃんに謝らないとな」

 

「お待たせ。待った?」

 

「全然。じゃあ、行こうぜ」

 

恋人同士のデートの時みたいな会話をして俺達は歩き出す。………そういえば、楽のペンダントは見つかったのかな?また明日聞いてみるか。

 

「ねぇ、今日の昼に言ってた映画の話。あれってどんな映画なの?」

 

「ん?ホラー映画だけど」

 

「あんた小咲を悶絶させるつもりなの?それは流石にどうかと思うわよ」

 

「うん。それは俺も話した後に気づいた。……でも、悶絶してる小野寺を見るのも面白そうだなって思ったからもういいやってなった」

 

「それには同意するわ。私も怖いシーンとか出てきたらクロくんに抱きつこうかしら。私も怖いの苦手なんだ」

 

「えっ!?」

 

「冗談よ」

 

あまりに真剣な感じで言うから本気かと思ったぜ。てか、抱きつかれるって………

 

「クロ君、何で顔赤いの?」

 

「なんでもねぇよ。今日はちょっと暑いからな」

 

「今は涼しいくらいだと思うけど」

 

宮本がじっとこっちを睨んでくる。そして、納得したように手をうった。

 

「クロ君はこういうことをされたかったのね」

 

そう言って宮本は俺の方に体を寄せてくる。

 

「ちょっとまて、それはマジでやばいって」

 

「………そうね。悪ふざけが過ぎたわ。悪かったわ」

 

あれ、意外に素直に離れた?でも、何か寂しいな。もうちょっと寄せてくれてても………て、俺は何を考えてんだ!

 

「あ、もう家に着いちゃったわ」

 

「本当だ。じゃあ、また明日だな」

 

「うん。また明日ね」

 

お互いに手を振りあって別れる。明日は部活ないし、あいつのペンダントが見つかってなかったら俺も手伝うか。

 

 

 

 

「…………あんな事しなければよかった。今の私の顔が真っ赤な気がする」

 

身を寄せたのを後悔した宮本だった。




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