俺の凡高での日常   作:ブリザード

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PS-vitaでニセコイのゲームがあるそうですね。
面白いんでしょうか?


第30話 2つのセンタク

あれから大切な話があるといい、るりと小咲には帰ってもらい、今は俺と母さんとじいちゃん、ばあちゃんとさっきのことを話していた。

 

「で、さっきのはどういう事だ?何でまた九州の方で暮らそうだなんて」

 

俺の母さん、神崎翠は親父と離婚してから俺の事を1人で育ててくれていた。その時は母さんが自ら働いてくれて苦しい生活をなんとかしのいでいた。俺と辛かったが一番辛いのは母さんだろうと思い、俺は何も言わずに頑張って生活していた。

 

だが、その生活も俺が中2の頃に終わりを告げることになる。母さんが過労やストレスなどで倒れてしまったのだ。母さんを病院に連れて行き、診断された結果、命には別状ない。だが、しばらく安静にしとかないとまた倒れてしまう可能性がある。だから、しばらくは何もせず、別々に暮らして落ち着くのが一番だろうとなり、俺と母さんは別々に暮らし始めた。母さんは九州の家に残り、俺はばあちゃんの家に引っ越して来て今の生活に至るのだ。正直、母さんと別れるのは辛かったが、ばあちゃんやじいちゃん。るりや小咲や楽達のおかげで何とか安心して暮らせているのが今の現状だ。

 

「母さんの体調もだいぶ落ち着いたのよ。そろそろ、クロとまた一緒に生活しても大丈夫かなって」

 

「いや、でもまた倒れたらどうすんだよ!!」

 

「大丈夫よ。もう、あの時みたいな無理な生活はしないように頑張るわ。クロも大人になったんだし。ね?」

 

「でも………………じゃあ、こっちで生活するのは?じいちゃんとばあちゃんと俺と母さんの4人で」

 

「それも考えたのだけど、おばあちゃんもおじいちゃんももう歳なのよ。あまり無理はさせたくないの」

 

「いや、だからって…………」

 

確かに、母さんとまた生活できるのはすごく嬉しい。だけど、九州の方で生活する。ということは今の生活が台無しになってしまう。楽や集、城野崎、鶫、桐崎さん。マリー、小咲。そして、るり。このみんなと別れてしまう。今の俺にはそれは辛いことだ。

 

「………………まさか、クロ。あなた……好きな子でも出来たの?」

 

「んなっ!?いきなり何を………」

 

「言わなくてもいいわ。私はあなたの母親よ。母さんにはあなたの事をなんでもお見通しよ。相手は………マリーちゃんでしょ?」

 

「違う!マリーではない!」

 

「マリー『ではない』?やっぱり好きな女の子は出来たんじゃない」

 

「くっ………………母さん性格悪いぞ」

 

「よく言われるわ」

 

母さんがふふふっ、と言って笑う。昔から母さんはそうやって俺をからかってくる。小学校の時もマリーの事ばかり聞いてきて…………

 

「クロ。別に今すぐ答えを決めろとは言わない。もうすぐ、凡矢里高校の文化祭があるんでしょ?その時まで母さんこの家に泊まるから。文化祭終わってからまた話しを聞くことにする」

 

「母さん……………………」

 

「私文化祭行くなんて大学生以来だわ。どんなものがあるのかしら?」

 

母さんとばあちゃんとじいちゃんが笑いあっている。俺は親父が事件を起こしてから母さんが時々夜遅くに泣いてたのを知ってる。だから、俺は母さんの悲しい顔はあまり見たくない。かと言ってもみんなと別れるのも辛い。

 

俺は一体どうするべきなのだろうか?……………………

 

 

 

 

 

 

次の日

 

「ん…………母さんの手料理久しぶりに食べたな。美味しいよ」

 

「本当!?よかったわ。落ち着いてから少し料理の勉強もしたのよ。文化祭までは毎日私が作るからおばあちゃんはゆっくりしててね」

 

「助かるわ、翠。ありがとう」

 

あれから、昨日の夜はどうするべきだとずっと考えていたせいであまりちゃんと寝れていない。

 

「ふぅ……ごちそうさま。じゃあ、学校に行ってくるよ」

 

「いってらっしゃい。気をつけて行くのよ?」

 

「わかってるよ」

 

そう言って俺は家を出る。そして、いつものように口の中にFRISKを2粒口に放り込み学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ…………どうしよう」

 

「クロ様?朝からため息などついてどうされたのですか?」

 

学校に向かっている途中、ふと声をかけられ後ろを向くとそこにはマリーがたっていた。

 

「おはよう、マリー。体調は大丈夫なのか?」

 

「まぁ!心配なさって下さるのですね。ですが、心配にはございません。マリーはこの通り元気ですから」

 

「それは良かった」

 

…………待てよ。マリーなら俺の悩みをちゃんと聞いてくれるんじゃ。小咲に相談して泣かれたり、楽達にはこんな事言いにくいし。るりはなんか一方的に嫌われてるし。こんな時にマリーと会う俺って運が良いのかな?

 

「あのさ、マリー。今日の昼休みって時間ある?」

 

「時間ですか?今日の昼は楽様にアタックしに行こうとしていたのですが、何か私に用でも?」

 

…………楽、お前も大変なんだな。俺からしたら羨ましいけど。

 

「いや、忙しいならいいんだ。ただ、ちょっと言いたい事があって」

 

「あら?まさか、私にプロポーズでも?」

 

「いや、なんでそうなる!!」

 

「冗談ですわ。しかし、なにやら訳ありのようですね………………」

 

顎に手を当てて考えるマリー。

 

「…………わかりました。今日の楽様へのアタックは中止します」

 

「助かるよ。できれば、2人っきりで話せるところで飯を食べながらがいいんだけど」

 

「でしたら、本田の車の中などはどうですか?昼休みに車の用意をしとくように頼んでおきます」

 

「ありがとう。そうしてくれると助かる」

 

そうこうしているうちに学校に着いた。昇降口には楽の姿が。

 

「楽様ですわ!すみませんクロ様。昼休みに私の席まで来てください。それでは!!」

 

楽様ーー!!会いたかったですわー!と叫びながら走っていった。相変わらず、楽LOVEなんだな。

 

教室につき自分の席に着く。るりは相変わらず本を読みながら小咲と話している。小咲は俺が来たのを見ると、手を振ってくれた。

 

「小咲、今日の昼休み一緒に飯食えないから」

 

「それは別にいいけど……何か用事でもあるの?」

 

「そんな感じだ。だから、先に謝っとく。悪いな」

 

「いいよ別に。今日はるりちゃんと千棘ちゃんと食べるから」

 

るりは俺と喋ろうともしない。やっぱりまだ俺の事を怒ってるようだ。早く仲直りしないと……ヘタしたら喧嘩したまま離れ離れになるかもしれない。そうなったら俺は…………

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

「それで、私に話しとは一体なんですか?」

 

朝の授業はちゃんと受けたものの、内容はあまり頭に入ってこなかった。現在、本田さんの車の中で弁当を広げてご飯を食べようとしている。

 

「実は……………………俺、また引っ越しする事になるかもしれないんだ」

 

そう言うと、マリーはご飯を食べようとする手を止めた。そして、箸を置き俺を真っ直ぐした目で見る。

 

「それは、嘘とかじゃないんですか?」

 

「うん。昨日の夕方に母さんが来てさ」

 

「お母様が!?体調の方は?もう大丈夫なのですか!?」

 

マリーが俺の方を掴み聞いてくる。

 

「あ、あぁ。本人は復活したって言ってたよ。昨日も色々なこと話した。話しを戻すけど、母さんが俺に訪ねて来た理由は九州に戻ってまた俺と一緒に暮らさないか?って事だったんだ」

 

「お母様が…………それでクロ様はOKしたのですか?」

 

「まさか。今は決められないって言ったよ。そしたら、母さんは文化祭が終わるまでこっちにいるって。それまでに決めろって言われた」

 

「文化祭終わるまで。後、1週間くらいでございますか?」

 

「…………俺、どうしたらいいのかわからなくてさ。そりゃ、俺はみんなといたいよ。九州にいる頃より学校は楽しいし、大切な友達が出来た。マリーとも一緒に過ごせて凄く楽しいんだ。でも、母さんも悲しませたくない。きっと、俺がこっちに残るって言ったら母さん凄く悲しむと思う。そんな姿も見たくない」

 

俺はいつの間にか涙を流していた。だが、その涙を拭わずマリーの方に向く。

 

「なぁ。俺どうするべきだと思う?多分、自分じゃ決められないんだ」

 

話しを聞いているマリーの顔も少し辛そうだった。

 

「………………私はクロ様がまた遠くに行ってしまうなんて事は嫌でございます。あの時のような思いはもうしたくありません」

 

あの時。それはおそらく俺が九州からこっちに引っ越して来た時の事だろう。確かに、俺もあの時辛かったが今はそれ以上に辛い。マリーも今こういう気持ちなのだろうか。

 

「ですが、引っ越しするしないはクロ様自身が決める事です。私から何も言えません」

 

そう言って、マリーは自分の指で俺の涙を拭ってくれる。そして、マリーは俺の方にもたれかかってきた。

 

「どういう結果になろうと、私はクロ様が決めた事には否定しません。他の誰がどう言おうと、私はクロ様に味方です」

 

「マリー………………ごめん」

 

「なぜ謝るのですか?クロ様は何も悪い事を言っていませんよ?」

 

「うん…………ごめん。ありがとう」

 

もう一度マリーに謝って俺もマリーの方にもたれかかった。昨日、あまり寝れてないせいか。そのまま俺は目を閉じて寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロ様?………………寝てしまわれましたか」

 

隣で私にもたれかかってくるクロ様の頭を優しく撫でる。

 

「けど、クロ様がまた引っ越しですか………………私にはもう何もできません。今できることが精一杯です。…………小野寺さんと宮本さん。特に宮本さんがどうするかによって、クロ様がどうするかが変わっていきそうです」

 

クロ様。どんな結末になろうと1人で抱え込んではいけませんよ。前とは違い、今回は私だけではないのですから。




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