俺の凡高での日常   作:ブリザード

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第31話 3人のホウカゴ

放課後

 

「クロ君、どこ行ってたの!?午後の授業もこなくって、橘さんもいなくなって心配したんだよ!!」

 

「うんうん。るりちゃんの不機嫌度が明らかにあがってぜ。本当何してたの?」

 

「ごめんごめん。ちょっと、マリーと話ししてたらそのまま俺が眠っちゃってさ」

 

俺は車の中でマリーに寄りかかり寝てしまい、そのまま放課後なっていた。その間にマリーも眠たくなってしまったようでマリーも俺に寄りかかり寝てしまったようだ。2人揃って午後の授業をサボった俺たちはキョーコ先生にみっちり怒られ、教室に戻ってきて小咲や集に何があったのか問い詰められている。

 

「なんだークロ。お前、万里花ちゃんに手でも出したのかー?」

 

「んなっ!!そんなことするわけねえだろ!俺とマリーはただの幼馴染で……………………」

 

城野崎が俺をからかってくる。まったく、マリーにそんな事できるかよ。俺にはそんな勇気なんか……

 

「昼休みにクロ様にこんな事やあんな事までされてしまいましたわ……私の体と心はクロ様に…………」

 

「待てマリー。頼むからのらないでくれ。男子たちが嫉妬の目で俺を睨んできてるから!」

 

マリーが悪乗りしたせいで楽と集以外の男子全員が俺を睨んでくる。やべぇ、本気で怖い。

 

「まぁ、冗談はそのくらいにして。そろそろ文化祭の練習始めようぜ」

 

「と言っても、俺とかるりはする事がないんだし、何を『パシーーーーン!!!』………………え?」

 

突然の音に驚いて俺はそっちの方を向く。その音は廊下からしていて何が起きたのか一瞬わからなかったがすぐに理解した。桐崎さんが楽の頬を思いっきりしばいたのだ。

 

「い、一条君?」

 

「悪い小野寺。ちょっと俺抜けるわ」

 

そう言って楽は歩いて何処かへ行ってしまった。桐崎さんも早足で反対の方向へ歩いて行った。一瞬の出来事をだったため、2人に何が起きたのかわからない。

 

「ど、どうしたんだ?桐崎さん」

 

「一条君もあの感じは普通じゃなかったよ」

 

「でも、最近あの2人の様子おかしいよね?」

 

「1学期の時はもっと2人が一緒で仲よかったぞ」

 

みんなが楽と桐崎さんの関係のおかしさにおどおどしている。なんとかしようと思った俺は集に声をかけた。

 

「おい、集。これどうにかできないか?」

 

「まっかせとけ!!みんな、ちょっと聞いてちょうだいな」

 

集がみんなの注目を集めるように声をかける。そして言った。

 

「今のことなんだけど、実は最近楽がドM体質に目覚めたんだ。だから、何も心配する事はない。オールOKだ!」

 

「いや、誰がそんな事信じるんだ」

 

「へぇ、そうなのか。一条がドMに」

 

「それなら納得だよね〜」

 

「一条ってドMっぽいもんなー」

 

「嘘だろ!!?」

 

「流石は舞子隊長だな」

 

集の説明にがっかりしたが、その説明に納得したクラスメイトに俺はがっかりした。そんな事あるわけないだろ普通…………

 

「まぁ、何があったかわからないけどあの2人なら大丈夫でしょ」

 

集が勝手にうんうんと頷く。

 

「………………るりに俺が引っ越す事言ったらさっきと同じ事になるのかな?」

 

「ん?クロ、なんか言った?」

 

「いや、なんでもない。ただの独り言だ」

 

とにかく俺が引っ越すにしろ、しないにしろ早く決めないとな。ギリギリに言ってもるりが怒るだけだろうし。そのためにも早く機嫌を直してもらわないと。

 

 

 

 

 

「るりー、小咲ー。一緒に帰ろうぜ」

 

「…………………」

 

「う、うん。いいよー」

 

練習が終わり、俺がそういうと小咲は了承してくれたがるりは1人で教室を出ようとする。仕方ない…………

 

「あー、そういえば今日ってデパートにあるクレープ屋の新作クレープが販売される日だよなー」

 

わざとるりに聞こえるようにでかい声で言うと、るりはピタっと足を止めた。

 

「しかも、販売初日だけそのクレープを買うと、もう一個無料でもらえるんだよ。小咲、一緒に行かねえ?」

 

「へ………………あ、うん。私も行きたい」

 

「よっしゃ。じゃあ行こうぜ」

 

俺たちは自分の鞄を持って教室を出ようとする。

 

「………………たしも…………」

 

「えっ?なんだって?」

 

「私も行くって言ってるの!!本当にクロ君性格悪いわね!!」

 

俺に激怒しながらもるりはデパートに行く事を了承してくれた。るりの機嫌を。特に向こうが一方的に怒ってる時に機嫌を直す時は食べ物が一番だ。

 

「わかった。じゃあ行くか?昨日の事もあるし、今日は奢るよ」

 

「当たり前よ……………」

 

(もしかしたら、クロ君って私よりるりちゃんの事理解してる?)

 

そう言って、るりは教室を出た。俺と小咲もそれについていくように教室を出て行った。

 

 

 

 

 

デパートのクレープ屋

 

「それでは、ごゆっくり」

 

クレープ屋にやってきた俺たちは適当に飲み物とクレープを頼み席に座った。少し気になるのはいつも俺の隣に座るるりが今日は向かい側に座っていること。完璧に許したというわけではないのかな?

 

「ねぇ、クロ君。今日橘さんと何話したの?」

 

「ん?大したことじゃないよ。今日はただ、マリーと2人きりで飯を食いたかった気分だったんだ。で、2人で話してるうちに眠たくなってそのまま放課後に。悪いな、本当」

 

「……………………嘘ね」

 

「え?……いや、嘘じゃねえよ」

 

マリーと2人で話したかったっていうのは嘘じゃない。これは本当。

 

「自分で気づいてたか知らないけど午前中のクロ君、いつもの違って凄くおかしかったわよ。でも、それが放課後になってからはマシになってたわ」

 

「昨日は何か眠れなくて疲れてただけだって。で、昼休みにマリーと寝たらそれが治っただけだよ」

 

「朝のクロ君は疲れとは別の事を抱えてるように見えたんだけど」

 

「私も思った。今日のクロ君、凄くどんよりしてたよ」

 

俺ってそんな表情に本心出すようなやつだっけ?自分じゃよくわからねえ。

 

「いや、気のせいだって」

 

「ふーん…………本当かしら?」

 

「悩みとかあるなら言ってね。私、力になれるように頑張るから!」

 

「ありがとう小咲。でも、俺大丈夫だから。そんな事より、小咲は愛しのロミオ様との練習はうまくいってるのか?」

 

「い、愛しの!?ち、違うよ!一条君はそういうのじゃなくて」

 

これ以上、俺の話題で引っ張られるのは嫌だからとっさに小咲に話題を振る。すると、小咲は顔を真っ赤にして否定した。

 

「あれ?小咲は楽の事が好きじゃないのか?」

 

「いや、好きだけど愛しいって言うのとはちょっと違うくて……えと、その…………るりちゃん〜」

 

自分ではうまく説明できずに、挙句涙目になりながらるりに助けを求めた。

 

「わかってるわよ。小咲がいいたいのは……………………一条君を私のものにしてめちゃくちゃにしたいって事よね」

 

「それクロ君が言ってることより悪化してるよ!!」

 

「なるほど。小咲って見かけによらず大胆なんだな」

 

「もう!2人でからかわないでよ!」

 

なんか久しぶりに小咲をからかった気がする。やっぱり、小咲は面白いな。

 

「………………こんな日が一生続けばいいんだけどな」

 

「クロ君、なんか言った?」

 

「いや、なんでもない」

 

その後も俺たちはクレープを食べながらいろんな話をして時間を過ごした。その時、俺を時々るりが鋭い視線で睨んできていたのを知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後の放課後 るりside

 

「舞子君。悪いけど今日私と小咲用事があるから休むわ」

 

「えっ?るりちゃん、私用事なんて…………痛っ!!」

 

余計な事を言おうとする小咲の足を思いっきり踏んづける。小咲が涙目になっていたが私は無視した。

 

「小野寺休むのか!?そろそろ劇の仕上げをしたかったんだけど………仕方ないなー。万里花ちゃん、代役よろしく〜」

 

「待ってましたー!!さぁ、楽様!私とともに最高のロミオとジュリエットになりましょう!」

 

「いや、おいちょっと待て!待てってー!!」

 

「………………悪いわね一条君。じゃ、行くわよ小咲」

 

「行くってどこに?」

 

「決まってるでしょ。クロ君の家よ」

 

 




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