凄く嬉しくて仕方がありません。
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!
「あ、宮本、小野寺!こっちだこっち!悪いな、昨日いきなりメールして知らせちまって」
「別に大丈夫だよ!それに連絡してくれないと何時にどこ集合とかわからなかったわけだし」
「右に同意」
約束通り日曜日になって宮本にハーゲンダッツを奢るついでに俺達は小野寺も連れて映画を見ることにした。……心配なのは小野寺がホラー映画が大丈夫なのかということだけなんだが。
「……そういえば、私は何の映画見るって聞いてないんだけど……るりちゃんに聞いても教えてくれないし……」
俺が宮本を見ると、宮本は咄嗟に顔をそらした。くそ、俺が言わないいけないのかよ……
「………ホラー映画」
「…………えっ?」
「だから、ホラー映画だよ。ほら、最近CMとかでやってるだろ。面白そうなやつ」
「全然面白そうじゃないよ!むしろ、怖いよ!私帰ってもいい!?」
「ここまで来たんだし、折角だから見ようぜ」
「大丈夫よ、小咲。私がちゃんと手繋いであげるから」
「おう、俺も手繋いでてやるよ」
「クロ君。それはちょっとしたセクハラかと思うんだけど……」
「はい、すいません……」
宮本に睨まれて少したじろぐ俺。
「うーん………まぁ、それなら頑張ってみる」
「よし、それじゃさっさと行こうぜ。早くしねえと上映しちまうしな」
俺達は映画館の中に入り、ホラー映画のチケットを買って、適当にポップコーンや飲み物を買ってからその映画が見れる場所に入った。休日のためか少し人は多かった。
「えっとー……あ、ここだ」
右から小野寺、宮本、俺の順で座る。
「うぅ…怖いよ、るりちゃん」
「安心しなさいな。私が手繋いでてあげるから」
そう言って小野寺の手を握る宮本。
「そう言って宮本はどうなんだ?実は怖いのが苦手とかあるんじゃねえのか?」
「………私がそんな女の子に見える?」
「あんま見えねえけど、もしかしたらってこともあるからな。まぁ、宮本なら大丈夫だろうけど……お、始まるぜ」
携帯電話の電源をお切りくださいだの、カメラの撮影はおやめくださいだの説明を聞いてから、映画が始まった。
『うわああぁぁぁああ!!!』
「きゃああぁぁぁ!!」
「ちょ、小咲。手握る力強すぎ!痛い痛い!」
「きゃああぁぁぁあああ!!」
あまりの怖さに小野寺は悲鳴をあげて宮本の手をギュッと握る。ただ、握る力が強すぎるせいか宮本は小野寺の肩をばんばん叩く。本人は怖がりすぎてまったく気づいてない。
怖いシーンがおさまって、少しの休憩?のようなものが入る。その時に小野寺は手の力を緩めたようだ。
「小咲。あんた手の力強すぎるわよ」
「ごめん、るりちゃん。あまりに怖かったから……」
小声で話す2人。それだけ言うと2人は静かにした。俺も映画に集中する。
映画では主人公とヒロインが夜中の廃校舎に入るというホラー映画ではありがちなシーン。俺は2人の様子が気になって横を見ると、宮本が少し寒そうにしていた。
「寒いのか?」
「えぇ。ここクーラー効きすぎなんじゃないかしら?」
小野寺は大丈夫だろうかと思いみると、やっぱり怖さでそれどころじゃなさそうだった。
「………これ着とけ。少しはマシになるだろ」
「えっ?でも、クロ君大丈夫なの?」
「あぁ、俺はむしろ暑いぐらいだから大丈夫だよ」
(本当は俺も少し寒いんだけど)
心の中ではそう思いながら俺は半袖の上着を宮本に渡した。宮本はしぶしぶという感じでそれを受け取って羽織る。
「………ありがと
『ぎやああぁぁああ!!!』
「きゃああぁぁぁ!!!!」
「ちょ、だから小咲。手痛い!」
お礼を言われかけたが、小野寺の悲鳴によりそれは遮られて、宮本は手を痛そうにする。そうそう以上に怖い系は無理だったんだな……
映画が終了すると、次々と他の人が席を立って出て行く。
「俺達も行こうぜ。ちょうど、昼時だしファミレスでもさ!」
「そうね。お腹も空いたし……あれ、小咲?」
「ごめん、あまりの怖さに腰抜けて立てなくなっちゃった」
「「はぁ!?」」
立ち上がろうとして頑張るが結局たちあがれない小野寺。
「しゃあねえな。ほら、おんぶしてやっから………って、何宮本はむすっとしてんだよ」
「別になんでもないわ」
少しイライラして顔を背ける宮本。俺なんかしたか?
「ありがとう、クロ君………って、身体が異常に冷えてるけど大丈夫!?」
あ、やべっ。ずっと寒いの我慢してたのに。宮本にばれちまったか?
「クロ君。もしかして、寒いの我慢して私に上着貸してくれてたの?」
「いやー、あんまりにも宮本が寒そうにしてたからさ。いや、俺は別に大丈夫だったから気にしなくていいぜ」
「いや、でも本当に冷たいよ。るりちゃんも触ってみてよ」
おんぶされながらも俺の腕をとって宮本の方に差し出していく。その腕を宮本は触った。
「………やせ我慢して……」
「あれ?もしかして心配してくれてる?」
「調子に乗るんじゃないわよ!」
「ちょ、痛い痛い!!」
両手で俺の腕をギュッと握りつぶしにかかる宮本。正直少し怖い。
「ほら、行くんでしょファミレス。さっさと行くわよ!」
少しキレ気味になりながらも歩き出した。俺はそんな宮本を少し可愛いと思いながら後ろをついていった。
ファミレス
「さてと、何食うか……宮本達は何食べる?」
「私はサンドイッチにしようかな」
「私はオムライスとホットドッグ」
「組み合わせもそうだけど、宮本、本当によく食べるよな」
「だって、お腹空いてるから」
さっきポップコーン食いまくってた奴がなにいってるんだと内心思いながらも俺も注文を決めて店員を呼ぶ。
「あ、本当にハーゲンダッツでいいのか?何ならここで何か豪華なデザート頼んでいいぞ?」
「……何、そんなに私を太らせたいの?ひくわー」
「ちげえよ!!てか、いきなりなに言ってんだよ!」
少し身を引きながら、俺を冷たい目で見てくる宮本に真面目に怒鳴る。
「冗談よ。それじゃこのアイスの乗ってるパフェでも頼もうかしら?」
「別に構わねえぞ。小野寺もどうだ?」
「えっ、いいの?」
まさか自分も奢ってもらえるとは思ってなかったのだろう。俺はニッコリ笑って小野寺にデザートが書いてあるメニューを渡した。
「うーん……じゃあ私はこれで」
そう言って選んだのはただ普通のバニラアイス。
「なんだ?もっと豪華な物頼んでもよかったのに」
「いいよ!そんなの何か悪いし」
俺は別に気にしないのにな。
「……そういえば、2人とも兄弟とかいるのか?今までそういう話一回もしてきてねえから少し気になったんだけど」
「私は一回話した気が……まぁ、いいか。私は一人っ子よ」
「私は寮から女子校に通ってる妹が1人いるよ。今中学3年生で来年はここ受験する予定だって言ってたよ」
「そうなのか。小野寺の妹か………小野寺に似て絶対可愛いんだろうな」
小野寺の顔と性格から小野寺の妹を想像していると、いきなり宮本に足を踏まれた。
「いってぇ!!いきなりなんだよ!」
「ごめん。何か今のあなたの顔をみてたら無性に腹がたっちゃって」
「何それ!スゲェ理不尽じゃねえか!」
(本当にこの2人は仲良いな。もういっその事付き合っちゃえばいいのに)
その後料理が来たため、俺達は仲良く喋りながらも昼ご飯を食べた。
………ちなみにデザートをあんまりにも美味しそうに食べる宮本を見て俺は無意識のまま携帯を取り出して宮本の写真を撮っていた。
他にも服屋に行ったりして何故か俺が着せ替え人形ごとく遊ばれたり、ゲームセンター行って3人でプリクラ撮ったりととにかく色々な事をして遊んだ。俺達がたくさん遊んで帰る頃には空が少し茜色になっていた。
「ふー、今日は楽しかったな〜」
「そうだね。また、3人で一緒に遊ぼうね!」
俺と小野寺がそう話す。宮本は黙っていたけど俺達が話しているのを聞いて少し笑っているのは見えたから本人も多分楽しかったんだろう。
俺達は帰路につきながらも公園に入った。
「にしてもちょっと歩き疲れたな………ん?あれは……?」
俺は歩きながら伸びをすると、俺の視線の向こうの方でベンチに2人で座っている人物が気になった。何故ならそこに座っていた2人が……
「楽………桐崎さん……」
俺の友達の楽と一週間前に転校してきた桐崎さんだったから。
「クロ!?何でお前がここに……小野寺に宮本まで!!」
楽が俺に気づいて立ち上がって驚く。桐崎さんも俺達がいる事に気付き楽ほどではないが驚いているようだった。
「俺達は折角の休みだから3人で遊びに行ってたんだよ………そういう2人は?」
「俺達は………まぁ、ちょっと色々あって遊ばないといけないというか……なんというか………」
なんだそれ?何こいつは意味わからないことを言ってるんだ?
「あー、もう!ちょっとあんた!さっさと行くわよ!」
「えっ!?おい、桐崎!ちょっと待てって!!」
桐崎さんに腕を引っ張られて楽は桐崎さんと何処かに行ってしまった。
「どうして一条君と桐崎さんが一緒に……まさかあの2人って」
「落ち着け小野寺。明日になればわかることだ。それにあの2人にそんなことがあるわけないだろ」
「うん………」
俺達は今日は本当に楽しかったけど、最後の最後でモヤモヤ感が残って何か嫌な感じだった。
感想や訂正があればお願いします。