『お前、今までどこにいたんだ?』
「え?ああうん」
『…………答える気は無ぇのかよ』
討也は、ベリタスと共に勇者たちの居るサンクト・イグノレッドに来ていた。
ルシフェルは、ベリタスがやり過ぎだと必死に言うので、仕方なく止め勇者たちに任せた。
その時、ルシフェルを討也以外の全員が同情の視線を向けていたのは言うまでもない。
「で?なんでお前俺の事呼んだわけ?」
討也はどういうわけかサンクト・イグノレッドに来てから不機嫌だ。返事とかもかなりテキトーである。
そのことにベリタスは内心首をかしげていた。
中央大陸で一体何が有ったのだろう?と。
『いや、ルシフェルの相手をしてもらおうかと……』
そう、討也を呼び出すことが、ベリタスが掛けておいた保険だったのだ。結果としてオーバーキルも良いところだったが。
「はァ?んなくそ詰まらねェ事で、人を呼び出しやがったのかァ?」
『オイ。口調が違うキャラになってるぞ』
と言うか、勇者がいるからつまらなくはないと思うのだが…とベリタスは思った。
「はぁ……帰ろうかな」
『………おうちあるんですかボク~?』
「その「器」没収して良いですかね?」
『あ、スイマセン』
ベリタスと討也の会話を、エミリアたちは呆然と聞いていた。
とても異形と化け物がする会話には思えない。
会話の端々から、お互いが相手の事をよく理解していることが覗える。
気になったアルバートは聞いてみた。
「なあ?あんたら…一体何年相棒やってんだ?」
『え?正確な年数は…』
「ちょっと待てよ」
ベリタスが答えようとしたが討也が途中で遮る。
『なんだよ?』
「なんでお前が俺の相棒ってことになってんの?今までいた世界でも言ったけどお前は俺のぺッtもがッ」
何か言い出した討也の口をベリタスが迅速に塞ぐ。
そのやり取りに、4人はキョトンとした。討也は一体何を言おうとしたのか。
『大体7000年くらいだ』
聞き間違えかと4人は自分の耳を疑った。
「「「「は?」」」」
反応の仕方も4人全員が同じだった。
そして4人の視線は討也に向けられていた。どう見ても7000歳には見えないのだが…と全員が思う。討也の姿は、少年と言った方が良い。
「ん?まあ俺人間じゃないからね」
くははははッ!と討也は軽く笑う。
討也本人にとっては、自分が何歳でどんな存在なのかなどどうでも良いと言わんばかりだ。
『で?お前今までどこにいたんだよ?』
ベリタスが再びその質問をし、討也がめんどくさそうな顔で答えた。
「どうせ気配でいた場所位察知してんだろうが。魔王城だよ」
『なんで呼ばねーンだよッ!?一人で楽しんでんじゃねえよッ!?』
「お互い様だろうが!?ぶっ殺すぞ!」
「ちょ、ちょっと待って!」
二人のやり取りのせいで、流しそうになった討也がいた場所を、エミリアは再確認する。
「今、魔王城に居たって言った?」
「うん。言ったよ」
本当に何でもない事のように討也は答える。
「よく無事だったな…あんた」
アルバートが感心したように言う。
いくらルシフェルを一方的にボコれる力があっても、魔王はそうもいかないのではないかと考えたのだが、討也は楽しげに笑って言った。
「ああ、魔王はなかなか面白い奴だったぞ」
『やっぱ魔王と遊んでたのかお前』
「「「「 」」」」
討也の行動を予想していたと言わんばかりのベリタスに対し、4人は絶句していた。
「待て…魔王と会ったのか!?」
「大丈夫だったの!?」
驚くアルバートと、無事であるのが分かっていてもなお討也を心配するエミリア。
「うん。あまりにも弱いから俺にかすり傷付けられるくらいに鍛えてきた」
「…………は?」
「何してたんだよ!?」
「なんで魔王を鍛えてんですか!?」
「どういう経緯で?」
「いや、俺が魔王城の魔王がいる部屋行ったらさ、いきなりいろいろネタばらしてくれたんで殴らせろって言ったら、やれるものならやってみろって言うから、ぶん殴って……………で、まあ色々あってそうなった」
「「「「色々のとこ端折り過ぎ!」」」」
あまりにもテキトーな討也に、全員が唖然としていた。
『なあ、ちょっと待て、お前にかすり傷付けられるって……相当ヤバくないか?』
そんな中、ベリタスが深刻な声を出す。
「え?なんで?」
エミリアはどうしてベリタスがそんな深刻な声を出すのか分からず、問い返す。
『俺さ…こいつ相手にしたら、まずかすり傷どころか射程圏内にすらこいつを捉えられないんだけど?』
速過ぎて、とベリタスは付け加える。
「「「「 」」」」
強いことが十分に分かっているベリタスからそんな言葉が出され、4人は凍り付いた。