「ルシフェル軍が………壊滅した?」
部下の悪魔からその知らせを聞いたとき、魔王が最初に思い浮かべたのは神無討也の楽しげに笑う笑みだった。「勇者」と名乗るたった一人の人間の手によってルシフェル軍が壊滅。討也なら一瞬でやってのけそうだ。
「まさか………」
だが、すぐにその可能性は薄いと気付く。討也は相棒が呼んでいると言って西大陸に向かった。が、あれだけの強さを持つ討也の相棒を務めるものが、果たして普通の人間であり得るだろうか?
ついでにそれは「一人」とは言えないのではないか?
「いやしかし……」
ルシフェルが討也の癇に障るような真似をしたのかも……。
「ありえそうだな……」
仕方ない、もしそうだとしたらルシフェルが悪かった。
だが討也ではない可能性の事を考え、魔王はこれからの事を考え始めた。
「で?ここはどこ?わたしh…」
『ここは北大陸だ、アドラメレクっていう悪魔が支配してる』
「ふぅん」
船から降りながら、討也とベリタスはそんな会話をしていた。
「討也さん、もしかしてアドラメレクを知らないんですか?」
反応が薄いことが気になってエメラダは聞いてみた。
「うん。名前しか知らない。俺原作小説一巻の途中までしか読んで無ぇし」
『おいお前、前の世界より原作知識少ねぇじゃん!?』
「うん。だからさっさと原作始めよう。とっととサタン君とこ行こう?」
「魔王をサタン君呼ばわり………とんでもない人だな」
アルバートが呆然と呟く。
『いや、まだ悪魔大元帥倒してねえから無理だ、もう少し待て』
「………俺今のうちにアルシエル君の所に緊急訪問しようかなぁ」
『おい待てバカ、やめろ、勝手なことするんじゃねえ』
「うん。そうしよう!というわけだから………ね?」
『ね?じゃねえだろ!?何がそうゆうわけd……あ!?』
討也がトントンと地面を軽く足でたたいた。
「行っちゃたわね……」
「はい、行っちゃいましたねぇ~」
「だな、どうやって跳び上がったんだあの人?」
「お前たち…そんな軽いノリでいていい場面ではないぞ?」
『あいつがいないと戦力の90%以上無いのと同じなんだが?』
「「「あ」」」
エミリアとエメラダとアルバートは三人そろって同じ反応をした。
「「「いやでも、アルシエル倒してきてくれるかもしれない…」」」
「『魔王放置してきたどころか鍛えてたのに?』」
オルバとベリタスが同時に同じツッコミをした。
が、ベリタスはふと考える。原作でならこの4人で大丈夫なんだし、そこに自分もいるんだからどうにでもなるのではないかと。
大体自分が追いかけて行ってそれで討也を説得できるとは思はない。
なら…。
『仕方ない。この戦力でアドラメレクを討伐しよう。……その前にエミリア。お前に討也流の剣の使い方を教えてやる』
魔王がパワーアップしたこともあり、ベリタスはエミリアをパワーアップさせることにした。
「広いな……」
東大陸の、エフサハーンにたどり着いた討也は、街の広さに少し驚いていた。ロードラの世界の「王都」よりは確実に広い。
「大方あのデカい城にいるのは間違いないんだろうけど探すの面倒だなぁ………向こうから来てもらおうか」
そう言った討也は、気を開放し悪魔たちを呼び寄せることにした。