速度で上回るベリタス。
破壊力で上回る魔王。
両者の戦いは一見均衡しているようで均衡していない。
魔王が思った通り、破壊力に関しては魔王の方が完全に上である。一撃でも当たれば十分に危険なレベルだ。
だが、今までロード・トゥ・ドラゴン、涼宮ハルヒの憂鬱の二つの世界で過ごしてきた討也やベリタスからしてみれば、魔王程度の攻撃力を持った相手など今までに何度も渡り合ってきた。
そこに来てロードラの世界にいたときはベリタスは討也を相手に修行していたのである。
能力値だけを見れば一見均衡してるように見えるベリタスと魔王の戦いも、これまでの経験なども考慮に入れた実力で測ればまた違った結果が見えてくるのだ。
実際に、先ほどからベリタスが放つ細かな攻撃は少しずつじわじわと魔王にダメージを与えっているが、魔王の攻撃はただの一度もベリタスには掠っていないのだ。
「ほら、赤い彗星も言ってるじゃん?当たらなければどうと言うことは無い!ってさ」
「何の話だそれは?」
「と言うか討也さんが戦えば一瞬で終わるんじゃあ…………」
「エミリアちゃん?君仮にも勇者(笑)だよね?」
「仮じゃなくて本物の勇者です。あと余計なものをつけないでください?」
「止めくらいは自分で刺したほうが良いと思うよ?たぶんベリタスが魔王の両手両足捥いでくれると思うからさ」
「「ソレこっちが悪者みたい」」
「そういえばアルシエル君どこ行ったんだろうね?」
一撃。
胴体に向けて放たれた強烈な魔力のこもった一撃をふわりと上空に浮かんでベリタスはやり過ごした。そのまま背後に回り込みつつ左手の射撃兵装で牽制程度に砲撃を浴びせる。魔王はあっさりと防いで見せたが、これを人間が食らえば一瞬で木端である。もっとも討也だったら防ぐどころか避けもしないが。
さらに一撃。
後ろに回り込んだベリタスに魔王が後ろ蹴りを放つ。これを後退してやり過ごしたベリタスにさらに振り向きざまに魔王が放った魔力弾が数発襲い掛かる。それは日本刀を横薙ぎに振るい生んだ衝撃波で掻き散らした。
本来ならベリタスが防勢一方に回された状況だがこの場合は違う。なんせ日本刀を振って生み出した衝撃波は、魔力弾を掻き消した勢いをそのまま殺さず魔王に襲い掛かるのである。
攻撃し続ける事が出来れば魔王にも勝ち目はあるのだが、防御と同時についでに攻撃してくる様な相手には迂闊に攻撃だけに集中することは出来ない。魔王がベリタスの攻撃を防いでいるのは、当然そのままで受ければかなりのダメージを受けるからである。
先ほどから少しずつとは言えどもダメージを受けている魔王としては致命傷は極力避けたいのだ。
「さて、と。そろそろ原作通りに異世界送りにしますかねぇ……」
まあ、原作もラノベの一巻の途中までしか知らないけど。と付け加えながら、討也は天使の羽ペンを片手に未だに戦い続ける二人の方へと近づいて行った。