「ごめんね、わっしー。脅かしちゃって。でも、この先は」
「大丈夫よ、そのっち」
私達は、今壁の上に立っている。
この先は神樹様の加護受けていない炎の世界が広がっているという。
(こちらから見ているだけだと樹海が広がっているだけに見えるけど…)
「それじゃ、行くよ二人とも」
「うん」
「ええ」
銀が先頭を歩いていくと、途中から急に姿が見えなくなる。
「え? 銀は…銀は、どこに?」
「行こう、わっしー。たぶん見えないだけだから」
そのまま、そのっちに促されて私も一歩歩みを進める。
急に吹き付けた熱風に一瞬目を閉じるけど、広がる光景に目を見張る。
「これが、本当の世界」
夜空のような暗い空間には、けれど輝く星はなく、代りに白い星屑のバーテックスが広がり続けている。
その下には、宇宙なんてどこにあったのか忘れてしまうくらいに、無限の炎が広がっている。
時々吹きあがっている火柱は紅炎だろうか?
「こんな…本当に。あれ? そのっち、銀、あれは?」
炎の海の向こう。少し周りと違う赤色が動いている。時々爆発のようなものが起こっている。
「ホントだ。さっきまであんなの無かったのに」
「そう言えば、十華はどこだ? 簡単にやられたりはしないと思うけど」
銀が誰かを探して、周りを見まわしている。
「十華さん、銀を蘇らせた?」
「まあ、そうだよ。ただ、こうしていると自分がホントに死んだのか、すごく疑問だけどな」
「それは…でも、良かった。こうしてまた会いに来てくれた」
「あ、わっしー、ミノさん、なんかこっちに来るよ」
そのっちの指す方を見ると、やっぱり見間違いじゃなかった。赤い何かが炎をかき分けながら進んでくる。
間違いなくそれは炎じゃない。
その赤は炎よりも瞳に焼き付き、淡く白い輝きを持っていた。
その姿はどこか旧世紀の怪獣映画のようだった。
その大きさは周囲に浮いているバーテックス達さえ上回るくらいの巨体だった。
「あれは…バーテックスと戦っているの?」
時々、稲妻のようなものが空に走っている。遅れて雷鳴が届くくらいだから、かなり距離が離れているみたいだけど、
この距離でもはっきり見えるくらいだから、相当な大きさの稲妻だ。
「アイツが十華の本当の姿さ。天の3分の1を引き抜いて、神様に背いた昔のヨーロッパの悪魔とかいうやつ」
「まって、私は一瞬しか見てなかったけど、人間が変身した姿なの?」
「ああ、アタシもここまで来るときに運んでもらったんだけどな」
「そう、あれも人間…」
もう一度雷雲の向こうを見る。もうだいぶ近づいてきている。
いくつかの頭が長い首に支えられて四方八方を睨み、まるで距離を測るようにしながら、でも確実に近づいてきている。
「…あの子は満開のことを知っている。そして、私やわっしーの体を動かせるようにしてくれたんだよね」
「ああ、アタシに命を譲ろうとしたのも本当だろうな。荼毘に付されたアタシの体ごとこうやって蘇らせたんだから」
銀が生き返ったということも驚いたけど、満開の後遺症、散華を解消できるというのもよくわからない。
そんなことができるなら、大赦も動いていたと思うのだけど、それに天の神に属する彼女が何故そこまで私達に手を貸そうとするのかも分からない。
けれど、
「それでも、銀は来てくれた。今はそれだけで十分だわ」
「そうだね。それにさっきはああ言ったけど、私もまだまだやれるよ~」
そのっちも少し調子が戻ってきたみたいだ。
確かに一人でこの光景を見て、さらに満開に不都合な秘密があったなんて、その時点で戦う方法がなくなってしまう。
「こうやって3人がもう一度そろったのなら、まだ私達は戦える」
「そうだな。やってやろうぜ」
「うん、せっかくみんな無事だったんだもの。なんとかしてみせるよ」
3人が頷き、顔を上げると、目の前に10の獣の顔があった。
牙が伸び、角がある者もいる。爬虫類のや猫の目のようなものもいる。
でも、そのどれもが私達を待っていたように、じっと見つめていた。
その姿は恐ろし気なのに、不釣り合いなその様子は、なんとなくおすわりをしている犬みたいに見えてしまった。
不意に再び雷鳴が轟く。一瞬白くなった視界が元に戻ると獣はまるで悪夢のように消えていた。
「うーん、やっぱりテレパシーは一回わたしを認識してもらわないとダメなんだ。これ変身するたびに服がなくなるから、あんまり変身したくないんだけどね」
声?
「ええー、なんて恰好しているんですか!」
そこにはさっき私が目覚めたときにいた女の子が、文字通り一糸纏わぬ姿でそこにいた。
「ええっと、何か着る物、上着とかでも良いから…」
「わわわ、樹海の中だから何もないよ。わっしー」
「でも、樹海から戻った時に大問題だわ」
鷲尾さんがこういう反応するのはある程度予想できたけど、実際に見るとちょっと申し訳ない。
獣になると、どうしたって服は無くなってしまう。
それは、大きくなって服がダメになるとかじゃなくて、獣の特性として衣服の代りに毛皮や鱗を持つからなんだけど、やっぱり人間に戻るときはちょっと恥ずかしい。
でも、ここでわたしが恥ずかしがると、余計に落ち着かないと思うからここはなんでもない振りを続けよう。
「鷲尾さん、気を使ってくれてありがとう。でも、安心してください。樹海から戻った時にもっと小さな動物になって家まで帰れば、衣服はありますから」
これは嘘だ。神世紀にわたしの家はない。300年前の人間であるわたしは保護者もいない。
当然お金も戸籍もないから、服を用意することも難しい。
極端に言えば、大赦が協力でもしてくれない限り、わたしは四国で生きていけないだろう。
代りにわたしはこの炎の世界でも活動できる。
「それで、この後のことなんだけど、鷲尾さんと園子さんにはこっちの世界ではちゃんと挨拶してなかったから、もう一度自己紹介をば」
そう、鷲尾さんと会うのは"今回は初めて"だ。
「これは銀さんにも言ったことだけど、わたしは神様の使徒、いわゆる天の御使い。人間の言葉でいえば天使ってところ。もっとも、わたしは預言通り反逆したから元天使の堕天使だけどね」
そう、わたしの反逆は天の神の預言どおりで、予定調和として
「時間がないからわたしのことは後で、今から星座型のバーテックスが蘇ってくる。そのうち4種類の攻撃は精霊バリアがなくても効かないようにしているから、満開は適当に使って。とにかく生き残る事だけを考えてくれればいい」
「4種類の攻撃が効かないって言うのは、トーキチがそのバーテックスの力を持ってるから?」
「そうだよ。アリエス、タウラス、ライブラ、スコーピオン。で、そのトーキチっていうのは何、園子さん」
「気にしないで、ただの呼び名」
呼び名って…なんか調子狂うな。さっき銀さんと一緒に戻ってきた時はかなり焦ってたみたいだから、彼女もやっぱり子供なんだと思ったんだけど、まさかただの人見知りだった?
(とにかく、神様がわたしのバーテックスに対する執行権を破棄する前に数を減らす。あとは結城友奈殺せば神様は自暴自棄になる。その瞬間、我を忘れた時を狙うしかない)
「来るよ、アリエス・E・モード、電磁格子展開。続けてタウラス・ベルを前面150度仰角25度で斉射」
我が身を再び獣へと変え、周囲に発生させた電気の檻を神樹様の結界の外周に追加する。あくまで大型のバーテックスを通さないものだけど、わたしや星座が近接戦闘できないだけで星屑の突撃までは防げない。
その分、強度はただバリアを展開させた時より遥かに高い。ジェミニやキャンサーがほとんど無力化できるし、サジタリウスの大きいほうの矢も途中で止められる。
こっちも電撃とか普通の飛び道具は通せなくなるけど、音であるタウラス・ベルはその隙間を抜けて来た星屑達をバラバラに分解していく。
「なんか、アタシらやることないな」
「まさか、本番はこの後だよ。あ、これはテレパシーね。ビーストになってると人間の声帯は使えないから」
「わ、ホントだなんか耳塞いでも聞こえる」
「二人とも気を気を引き締めて、星屑が来るわ。満開はなるべく使わないこと」
おお、ちゃんと動いてくれる仲間って頼もしい。わたしの場合は、神様をはじめとして、ちょっとあれな人たちばかりだったからな。
格子をすり抜け、タウラス・ベルの弱いところを強引に潜ってきた星屑が近くまでやってくる。
「それから3人ともこれ受け取って、矢避けの加護があるから」
そう言いながら、七つの首の一つ獅子の鬣から一本ずつ引き抜く。
「鬣に効果があるわけじゃないけど、ライブラの風の力が宿っているから、少しは攻撃も防いでくれる」
これなら不意打ちが原因で気を失ったり、怪我をしたりすることも減るはず。
さすがにレオの炎は防げないけど、サジタリウスの小さいほうの矢なら気にしなくても良い。
「お、こいつ腕にくっついた。よっしゃ、それじゃいくぜ」
銀さんのいう通り、引き抜いた毛はそのままふわりと浮くとみんなの前腕内側に近いところにくっつく。
「これなら落とさずにすみそうね」
「あ、まってよ、二人とも」
銀さんが腕を振って落ちないことを確認すると、そのまま飛び出して大口を開けた星屑の一体を口に沿うように真横に分けていく。
その横合いを狙った星屑を鷲尾さんの矢が追いかける。
鷲尾さんに近づこうとした星屑も、園子さんの槍が遠くに近くにと、次々打ち払っていく。
(さて、順調だけど残りの星座の連中はどうする。って、やっぱり、そう来るよね)
わたしが出現させた格子を迂回するように地面に潜ったピスケスが飛び出そうとする。
「でも、それは悪手だよ。何も格子は地上だけじゃないし、そして、こういう方法もある。捉えよ風の槍」
空気逆巻く。わたしの周囲に10本以上の竜巻が生まれ、地中をショベルカーのように掘り進み、ピスケスの体を削り取る。
ピスケスを援護しようとするのかアクエリアスとサジタリウスが遠くから打ち込み続けているけど、格子の2メートルに満たない隙間を通すような精密射撃には向かない。
サジタリウスの狙撃用の大型の矢に至っては、後ろがつっかえて通ること自体ができない。
逆に、格子から発生させた電撃をアクエリアスに放ち、風の力で拘束したキャンサーをサジタリウスに向けて盾にする。
普通なら反射板を気にするところだけど、電気格子と風の力で飛び道具はまっすぐ飛ばないから、気にするまでもない。
「あれ、何かすごい勢いで走ってくる」
園子さんの声に惹かれるように前方を見ると、1対のジェミニがものすごい勢いで電気格子に飛び込んでいく。
確かジェミニの俊足は時速250km。
人間の視力で捉えるのは大変なはずだけど、七つの頭それぞれで視覚を持つわたしに死角はない。
(というか、ジェミニでも通り抜けできないと思うけど)
けれど、ジェミニは速度を落とさず、そのままジャンプすると頭から格子の隙間に飛び込んでいった。
いわゆる飛び込みでヘッドスライディングをやって見せたのだ。
「って、ええー、そんなのありか」
慌ててアリエスの電撃やライブラの風で拘束しようとするけど、どれも簡単に避けられてしまう。
噓でしょ。電撃の速度にどうやって対応しているんだ。
「く、狙いきれない。は、何かデジャブを」
鷲尾さんのスナイパーライフルも悠々と回避している。
「この、大した力もない癖に」
タウラス・ベルの向きを変えて、進路妨害を試みる。
「うわ、何だこの音」
「頭が、グワングワンって鳴ってるよー」
しまった、二人がジェミニを追っていたから、タウラス・ベルの影響を受けてる。
ジェミニもずっこけたけど、すぐに立ち直って走り出す。
即席で連携は無理だと思っていたけど、ジェミニがこんなに近くまでやってくるなんて思ってなかった。
(どうする? せめて神樹様の前に電磁バリアを張りなおして…)
わたしが電気格子を解除して、神樹様の直前に電磁バリアを展開すると、こんどはサジタリウス達の攻撃を防ぎきれない。
「園子、頼む!」
「うん、ミノさん。いっくよー」
二人も立ち直って、追いかけようとするけど、かなり距離が離れている。
けれど、銀さんはそのまま追いかけず、園子さんの槍の上に飛び乗ると、その槍は信じられない速度で大きくなっていく。
もう、銀さんの姿は、学校の屋上よりも高いところだ。
「よいしょっと」
園子さんが振り下ろした槍は重力加速度が追加されて、ジェミニ達の少し前に銀さんを送り出す。
「うりゃあ」
ジェミニ達は槍を避けようとしたけど、今度は槍を足場にして飛び出した銀さんの斧で、一体のジェミニが体をバラバラにされる。
けど、ジェミニを鎮花の儀で治めるためには、二体同時に実行しないといけない。
「もう一体は?」
「大丈夫、わっしーが見つけてくれてるから」
「位置さえ分かれば…はあ」
槍が着地した土煙を裂いて、銀の閃光が残ったジェミニに突き刺さる。
ジェミニがひっくり返っているけど、まだもがいている。
威力が足りない。
けれどどこから取り出したのか、鷲尾さんのもう一つの銃からたくさんの弾が吐き出されて、ジェミニの全身に降り注ぐ。
あれはかなり痛そうだ。
と、思う間もなく体を引きちぎりながらピスケスが鷲尾さんに覆いかぶさる。
「そんなに好き勝手させる訳ないでしょうがー!」
唯一の手持ちの武器、王権の錫杖が伸びる。
これの特長は長さを変えられること。
範囲は12万km。地球を貫くこともできる。
真芯で硬いものを捉えた感触。
「うおおおおおおお、ホぅームラン!」
そのまま振りぬき電磁格子に衝突したピスケスが五体?バラバラになって散らばる。
バラバラになったピスケスに目もくれず、火達磨になった星屑達が押し寄せる。
(レオが復帰した。やっぱり神樹様の結界の外で倒しただけだと再生が早い)
やっぱりレオが姿を見せ巨大な炎を放つ。
電磁格子に衝突した火球が轟音と共に電磁格子の一角を消滅させる。
考えてみれば、炎はエネルギーだけじゃなくてちゃんと燃えるし、音が聞こえるということはここは空気があるんだろうか?
「わわわ、いっぱい入ってくるよ」
「安心して、園子さん。ほら」
「消えた電気が戻ってる?」
電磁格子は電気でできた檻だ。
だから、爆発で吹き飛んだように見えても、電気が走る速度と同じように復元できる。
もちろん、わたしの力が尽きたらダメだけど、獣に堕ちた今なら思う存分力を振るっても、いくらでも元気なままだ。
バーテックスの特長はわたしだって持っている。
いつまでも思い通りになんかさせない。
遠くからの攻撃が炎でもダメだったからなのか、さっきやられたところのピスケスとジェミニ以外が一度に電磁格子にぶつかってくる。
ぶつかってきた端から、崩れて、そしてまた再生する。
「うへぇ、なんか気持ち悪いな」
銀さんが道端に落ちていた物を拾って食べたみたいな顔をしている。
「ねぇ、銀さん」
「ん、どうした?」
「わたしは?」
すいっと首の一つワニの顔だけを3人の方に向けながら確認する。
何の意味もない会話。銀さんが気持ち悪いと思おうと、そうでもないと応えようと、あるいは、適当なごまかしを言おうとも、
わたしのやることは変わらない。
わたしの本当の目的は神様を止めて、この世界の炎を沈めること。
でないとこの世界はいつか燃え尽きてしまう。
きっと、お姉ちゃんもそう願っていたはず。
「あー、そうだな、確かにちょっと怖い見た目だな」
確かにまるで物語にでてくる魔物みたいに、いろんな動物の首が生えているこの姿はおっかない。
「まあ、でも、こうやって話せるだから、そんなに気にしたことはないな。お前、その見た目のわりに小心者だし」
「ええー、わたし、そんなに小さいかな」
やっぱり、人間が嫌になるのは、理解できないものってことなのかな。
「うーん、私はもう少し可愛くしてもいいと思うんだけど、セバスチャンとかみたいに」
「そうね。あれだけ恐ろしい満開の機能を持つ精霊たちも、見た目は和むし、これでいろいろと動ていくれているのだから、きっと貴方も大丈夫よ」
「ホントにぃー? この見た目で怖くないって言うのもなー」
唸るように返事をする。
「お前、どっちだったら良かったんだ…」
銀さんは少し呆れたみたいにつぶやいている。
乙女心は複雑なのです。って、そろそろ冗談は止めないと。
「でも、3人ともありがとう。いろいろ聞いてくれて。けっこう楽しかったよ。さてっと、それじゃ、そろそろあっちも何とかしないとね」
今も電磁格子を通り抜けようとバーテックス達が火花を散らし、体を焦しながら、それでも前に進もうと踊り続けている。
「どうする? このまま持久戦で戦う? それともこっちから攻撃してみる?」
3人に改めて確認してみる。このまま相手が諦めるのを待つか、こっちから倒しに行くか。
「アタシとしては、そろそろ外のやつらを倒せるなら何とかしたい。持久戦って言っても何日もできないし、さっきのジェミニみたいなのもいるかもしれない」
「私もこちらから攻撃したいわ。後衛の私が言って仕方ないのだけれど、今のままだといつまでも終わらない」
銀さんと鷲尾さんは攻撃かな? あとは園子さんだけど…
「…もう少しだけ待っても良いかな? バーテックスの動きが少し変な感じがする」
そう言えば、さっきまでぶつかっていたバーテックス達が少し後ろに下がっている。距離を取るつもりならさせない。
「距離は開けさせない」
電磁格子がバーテックの動きに合わせて広がっていく。もしかしたら、隙間が大きくなると思ったのかもしれない。
けど、わたし作った電磁格子は物理的な存在と言うよりも高エネルギーが放射している結果だ。
一度途切れても隙間を埋めるように新しい電磁気を発生させ続ければ良い。
けれど、バーテックス達は後退していたわけじゃなかった。
レオを中心にバーテックス達が集まる。
形が崩れ、お互いの姿が曖昧となり、そうしてついには踊るように、レオの周りにつながっていく。そして・・・
「合体…した?」
3人だけでなく、わたしもこんな機能なんて聞いていない。
誰一人、言葉を紡げないまま、レオが燃える。レオ自身の体が崩れ御霊が炎に包まれる。
「自滅? 違う!」
誰が叫んだのか分からない。太陽と見紛うよう炎が吹き荒れる。視界が歪み、レオの御霊はすぐに見えなくなる。
「電磁格子解除、電磁障壁へ変換」
慌てて作り直した電磁バリアに炎が衝突した。いえ、炎が電磁バリアと神樹様の結界ごと四国自体を覆っている。
「こんな、これじゃどこに敵がいるのか分からない、いえ、世界自体が私達を…」
「この、どこに攻撃すれば良いんだ」
「何か、何か、私が考えないと…」
3人もそれぞれの武器を持って構えるけど、もう、ここまでくるとどこを攻撃していいのか分からない。
少しでも電磁バリアを解除すると四国自体が炎にのまれる。
世界の他の場所のように。
(でも、この熱さなら太陽くらいだ。わたしの電磁バリアが敗れることは無い。あとは、100年でも、1000年でも、根競べで…え? 熱量が上がって、まさか…)
「3人とも伏せて、これ、爆発する」
けれど、その言葉はどこにも届かない。膨張し続けた対応は限界を超えて…
とうとうあたりを白熱へ染め上げながら、その命をすべて解き放つ。
「「「満開」」」
爆発のほんの少し前に、3人が満開を起動している姿が見えた。
そうして、世界は炎の赤ではなく光へ還る白い輝きが満たされていった。