松永沙耶は神である   作:スナックザップ

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失われた希望

「すみません。無理を言って。」

「……勇者様の希望です。」

 

やっぱりこの神官達って苦手。

 

「本当に十華ちゃんは勇者なのか? 出まかせを言っているんじゃないだろうな?」

「神樹様のご神託です。」

「でも、それだって貴方達がそう解釈しただけなんでしょ。」

「神樹様のご神託は絶対です。」

 

おじさんとおばさんの言葉にも、神官さんは機械音声のように返答する。

それなのに仮面のせいなのか不気味な威圧感がある。

 

おじさんとおばさんは十華が勇者になることを強く反対した。

正確には大社には預けておけないという言い分だったけど、十華を心配したというより、バーテックスはもう存在しないって言う自分たちの言い分に基づいたものだと思う。

 

ただ、十華が自分の母親やお姉さんに会いたいというのには強く反対しなかった。

 

どんな思いがあったのかは分からないけど、十華への思いやりがあるのだと信じたい。

 

(本当に勇者が必要ないんだったら、どれほど良かったことか。)

 

昔から、大きな災害に見舞われた時に人は普段では考えられないような異常な言動をする。

 

変わってしまった現実の否定。

失ったものへの代償行動。

特定のモノや行動への依存。

 

できるなら、みんな、戦いが終われば普通の人だと思いたい。

 

神官さんが呼び鈴を押しても誰も出て来ない。

 

というか、これ電気通ってないんじゃない?

 

「どういうことだ? 本当にここは勇者の生家なのか?」

「正しくは引っ越してきたところだけどね。」

 

おじさん達の疑問はもっともだ。

神官たちも反応が無いとは思っていなかったのか、仮面越しでも戸惑っているのがわかる。

 

 

「……誰だ。」

 

 

しばらく待つとドアが15cmほど開いて、男の人が出てくる。

確か千景様のお父さんだ。

 

なんだか周りの様子を警戒しているみたいだ。

 

「大赦です。先日ご連絡した新しい勇者・郡十華様の件です。」

「そ、そうか、早く入ってくれ。」

 

神官さんを見るとさっきまでの急いで入るように急かしてくる。

 

なんだか様子がおかしい。

 

おじさん達と顔見合わせる。

 

私はカメラの映像で見てたから、少しは覚悟していたけど、みんなは面食らってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そいつが新しい勇者なんだろう。なあ。」

 

何故か私の腕を掴む千景様のお父さん。

 

「いえ、私じゃないですよ。」

「なんだ。紛らわしい。」

 

やっぱり感じ良くない人だな。

 

「な、これからも今まで通り。」

「もちろん、勇者様の生家の方には支援を致します。命を懸けてお役目に就いて頂く以上は憂いなきように。」

 

耳障りなこびへつらう声。

 

最近のおじさん達の様子もおかしかったけど、こっちはこっちで気が滅入りそう。

 

あたり前のように言ってるけど、これで子供売れって聞こえませんかね。

 

星屑はまだしも進化体のバーテックスは雑居ビルくらいの大きさがある正真正銘の化け物なのに。

 

勇者様以外に戦えないのは分かっているけど、もう少し不安そうにするとか、ないんだろうか?

 

毎年この時期に延々と聞かされる旧世紀の戦争の話だと、兵隊に取られる息子に別れを惜しむみたいな話だったのに、あれは美化していただけなんだろうか。

それとも表面上は万歳って言わないと、後ろ指を差されるとか思ってる?

 

「ちょっと、あんた。私達はこの子が勇者になることを全面的に承知しているわけじゃないぞ。」

「そいつの親権者は俺だろう。外野は黙っててくれ。だいたいアンタ達は誰なんだ。」

「なんて言い方。私達はこの子の、十華ちゃんを引き取って……。」

「皆さま、神樹様の神聖なるお役目を……。」

 

そこから先は、三者三様でバラバラなことを言い募る。

 

「あの! 先に十華をお母さんにお母さんとお姉さんに会わせてあげていいですか!」

 

できるだけ丁寧に、でも世界中に聞こえるように。

 

言い争っていた声が瞬間的に止むのに、私が希望した音は聞こえない。

 

これはやっぱりそういうことなんだろう。

だったら、まずは十華のお母さんだけでも確保しないと。

 

「そうですね。では、案内をお願いできますか?」

 

神官さんがいつも通り平静に千景様のお父さんに問いかける。

 

「あ、ああ、そうだな。母親に会いに来たんだよな。だけどな、電話でも言った通りアイツの天恐の症状はステージ4だ。会話は無理だ。」

 

少し間だけ沈黙。

 

「構いません。お願いします。」

 

年齢不相応なほどしっかりと十華が答える。

 

十華とおじさんとおばさんには、ぼかしてはいるけど、きっと後悔することになるとは事前に言ってある。

 

それでも、ここまでしっかりしていると、これが勇者と言うものなのかなと思ってしまう。

 

そっと開けられた奥の部屋。

 

ゆっくりと十華とおじさん達が入っていく。

 

私は……行かない。

次があるから。

 

この後の事だけを考える。

 

それでも、声だけは聞こえてくる。

 

「お母さん、分かる?」

「ええ、ええ、分かるわ。千景。あなたは私の……。」

 

きっともう天恐が進んで認知も歪んでいるのだろう。

確か今の十華は、母親が出ていった頃の千景様と同じ年頃だから、余計にごちゃ混ぜになっているのかもしれない。

 

声が少しずつ聞こえなくなる。

 

(私のお母さんはどんなんだっけ? お父さんはおじさんや千景様のお父さんに似ていないといいなあ。)

 

頭の中と手足が別々に動く。

 

扉を前に1回深呼吸。

2回軽くノックする。

そのあと3秒だけ待ってから呼びかける。

 

「千景様。起きていますか?」

 

やっぱり返事はない。

 

扉は……閉ざされたまま、鍵もかかっている。

 

1度だけ下に降りて、神官さんの1人に首を振る。

 

「鍵が閉まったままでした。開けても良いですか?」

 

神官さんが頷くと、千景様のお父さんが横から聞いてくる。

 

「開けられるのか? だったら俺も。」

「いえ、ご家族はショックかもしれませんので、少し待っててください。」

 

私の強い言い方に神官さんと顔を見合わせている。

 

そりゃ、そうだろう。

 

何を言われているのか分からないんだから。

私もきっと同じ反応をする。

 

でも、今の私は分かる。

千景様はこのままにしておくと長くないと。

 

2人の返事を待たずにもう一度ドアの前に立つ。

 

(蝶番がここで……ネジは1、2、3、4か。これなら直せるか。)

 

「よっ、と、これで…どうだ。」

 

空間転移の応用で扉の飛び出す部分―ラッチと言うらしい―を押し上げるように小石を詰めて、扉を開ける。

 

カチャという軽い音とともに扉が開く。

 

部屋の中はカーテンや雨戸も降りていて薄暗い。

 

ここまでして、中の千景様の反応がほとんどなかったというのは、つまりそう言うことなんだろう。

 

「千景様、失礼します。」

 

音一つなく、千景様を横向きに抱え上げて、なるべくく振動を与えないようにゆっくりと階段を降りる。

 

「千景様!」

「千景?」

 

私に抱えられたまま微動だにしていない千景様を見て異変を察知したのか、神官さんや千景様のお父さんもこっちやってくる。

 

いえ、こんなになるまで千景様を放っておいた者にそんな資格はもうない。

ただのそのあたりにいるだけの男だ。

 

「私達に……触れるな!!」

 

自分でも何に怒っているのか分からないけど、一度抑制が外れると操られるように動いてしまう。

 

気のせいなのか、神官さん達もその男もさっきまでの詰め寄ろうとした勢いをそがれて、何かの重圧に耐えるようなうめき声をあげる。

 

「結城…ちゃん。」

 

何かの儀式かなとも思ったけど、何だか十華も苦しそう。

千景様を抱えたまま近づいて、そっとソファの上に降ろす。

 

「十華、よく聞いて、この人が郡千景様。あなたのお姉さんだった人。」

「お姉さん……。」

 

降ろされた千景様を十華が覗き込む。

 

「あの、この人。お姉さんの呼吸が……。」

「うん、残念だけど、もう……。」

 

私と千景様を交互に見ながら、十華が混乱しているのがありありと分かる。

 

「どういうことなんだ? 勇者が死んだって?」

 

おじさんの声が今は少し苛立たしい。

貴方達にとっては虚飾の中心でも、十華のお姉さんであることには違いないのに。

 

「私にも分かりませんよ。そこの男に聞いてみればどうなんでしょうね。」

「そうだな。確かにこの状況は何なんだろうな? お前はどう思う。花本。」

「……こうなる可能性はあるって言い続けてきたのに。」

 

新しく姿を見せたのは2人。

 

白衣の女と私達と同じくらいの巫女服を着た女の子。

白衣の女が隙のない動きで玄関への道をふさぐ。

 

「烏丸久美子、それに花本美佳、なぜお前たちが?」

 

息苦しそうにしながら、大赦の神官さんが問いかける。

今の言い方からしてよく知った者同士。

と言うことはこの人たちも大赦の人間なんだろう。

 

花本と呼ばれた子が前に進み出る。

 

「郡様をどうするつもりですか! 」

 

その言葉に言いようのない怒りを覚える。

 

「お前たちのものじゃない。千景様のことさんざん放っておいたくせに今更しゃしゃり出てくるな。行くよ、十華。」

 

言うが早いが千景様を抱えたまま、十華のちっちゃい手を掴む。

 

「え? でも未だお母さんも……。」

 

十華の言葉の続きを待たず、空間転移で一気に茉莉さんの部屋の前まで跳躍する。

 

千景様を抱えたまま、急いで扉を開けると中に飛び込む。

 

「ゴメン。茉莉さん、少しの間だけ十華と千景様を預かってて。10分くらいで戻るから。」

「え? 結城ちゃん? 十華ちゃんも。」

 

戸惑う茉莉さんと、目を白黒させている十華を置いて、もう一度千景様の家に跳ぶ。

 

十華のお母さんを連れてくるためだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空間転移で一気に十華達のお母さんの部屋まで移動する。

しかし、そこに当然のようにお母さんの姿がない。

 

代りに待ち構えていた大赦の神官たちが驚きながらも、投網や催涙弾を投げかけてくる。

投網は持ち手の神官諸共振り回しながら、壁に叩きつけて気絶させる。

催涙弾は目を閉じ、息を止めて、バーテックスと同じような対人感覚で相手を倒していく。

 

それでも、振り被られた拳受け止めるしかなかった。

 

「完全に読んでいた状態で、ここまで奇襲を外したのは久しぶりだな。」

 

催涙ガスが薄くなったので目を開けると、さっきまでの白衣をどこかへやった女―確か烏丸久美子と呼ばれていた―が腕を引きながら、そんなことを呟く。

 

ガスが完全に晴れると、投網や催涙弾を投げてきた大赦の人はあっさりと昏倒している。

例えどれだけ強力な武器を持って来ても、素人が扱うなら、対策はいくらでもある。

 

(と言うことは、この烏丸久美子って奴は正規訓練を受けたほどでないにしても、それなりに経験者だ。)

 

本当の特殊部隊なら、身体能力が人間離れしていても、私くらいの腕ではさっきの拳を受け止められなかった。

そのまま関節技とかを決めてきていただろう。

でも、受け止めることはできたってことは、あくまで護身術とか喧嘩とかその程度なんだろう。

 

(だったら、やりようはある。)

 

正面から正拳のように拳を突き出す。

同時に瞬間移動で"床の一部"を取り除く。

 

「なに!?」

 

烏丸が私の拳を捌こうと一歩踏み出した瞬間、地面が消える。

 

それでも何とか私の拳を受け止めたのは、やはり実戦慣れしているんだろう。

でも、未だ終わりじゃない。

 

「はああああああ!」

 

そのままアッパーカットのように防御ごと家の天上にたたきつける。

それも何とか天上を背にして変則的な受け身のを取っている。

 

けれど、これで決まりだ。

 

床と違いまっすぐでない天上に叩きつけられてかなりの痛みがあったはずだ。

加えて、人間は空中から落ちてくるときは自由が利かない。

 

あとは格闘ゲームで拾得した対空キックを決めて仕留める。

烏丸はダメージコントロールも上手いみたいだ。

私の攻撃を防御の姿勢で迎えようとしている。

 

「郡様を返せ。」

「うわ、この!」

「よせ、花本。」

 

すっかり意識の外だったけど、もう一人いたんだった。

けど、貧弱なタックルでは私はビクともしない。

ちょっとビックリしただけだ。

 

でも、タイミングがずれたら無理をしない。

タックルしてきた花本を蹴り飛ばし、反動を利用して横っ飛びに落下地点から離れる。

 

「助かったよ。花本。でもあんまり無茶をするな。あれは素人が手に負える相手じゃない。やっぱり警察の力を借りるべきだったんだ。花本?」

 

だけど、花本は急に頭を下げる。

 

「何? 何の真似。」

「郡様を返してください。あの方は私にとって他の人間を差し出してでも、私自身を差し出してでも返して欲しい。」

 

え、何この想いが重い人。

 

すっかり毒気を抜かれてしまう。

それでも構えだけは解かずに否定する。

 

「貴方がそう思っていても大赦はそう思っていないのでしょう。だったら、返せるわけないじゃない。貴方達大赦は十華が勇者にならないと言ったら、人質にだってするでしょう。」

 

単純に自由意志で済むなら良いけど、既に千景様を含めて3人の勇者が落命しているのに、戦う意志を本人にゆだねるとは思えない。

状況がそれを許さないだろうし、何よりそこをうまくごまかせるような組織運営ができているなら、千景様があんな風になることはなかった。

 

「そんなこと!」

「よせ、花本。お前の事はさっき確認した。結城友奈……だったか? 」

 

詰め寄ろうとする花本さんを烏丸が止める。

 

「何ですか?」

 

私が急に襲ってこないと思ったのか、タバコに火をつけ、子供に諭す余裕の姿勢で語りかける。

 

「確かにお前の言う通り、大赦のやり方がまずい側面があるのはわかる。だが、このままどうするつもりだ? いつまでも逃げられる訳もないだろう。」

 

そんなことどうでも良いと思っているだろうに。

 

「大赦が力を持つのは、大赦と勇者だけがバーテックスに有効な手段を持つから。だったら、その前提を壊してやる。」

「何?」

 

空間転移で壁の外から星屑を数匹呼び寄せる。

 

呼び寄せられた星屑たちは大人しく私に頭?を撫でられたまま、誰を襲うこともなくフワフワと浮いている。

 

「バカな!?」

「バーテックスを手懐けている…。」

「恐ろしい。ああ、神樹様。」

 

さすがにこれは予想外だったみたいだ。

さまあみろ。

 

目を醒ました何人かの神官たちが跪いて神樹様に祈りだす。

滑稽だなあ、こういう時の人は。

滑稽すぎて関わり合いになりたくない。

 

「それでも! お願いします。郡様を返してください。」

 

まるでこの人は千景様以外何も見ていないみたいだ。

 

ガラリとドアが開く。

 

「行かせて…あげてください。結城ちゃん。きっとその人は千景さんを……お姉ちゃんのことを大切に思っているから。」

「十華、その姿は勇者の……。」

 

さっきまでの十華はあくまで勇者になれるだけだった。

でも、今は勇者になって、ここまで自分の力でやってきた。

 

その小さな腕一杯になっている千景様を抱えながら。

 

誰も動き出そうとしない中、まるで他の何者に臆することもなく、堂々と十華が私の前を通り過ぎて、花本さんのところまで千景様を連れていく。

 

"赤ちゃんだった"この子がこんなに凛々しくなるなんて、やっぱり子供の成長は早い。

 

「まだ、お姉ちゃんは生きています。でも、すごく衰弱していていつまで保つのか分かりません。目を醒ますかも分かりません。」

「それでも構いません。私は郡様の巫女です。今度は私が必ず郡様をお守りします。」

 

それを聞いて安心したのか十華が初めて笑顔になる。

 

「ありがとうございます。お姉ちゃんのことよろしくお願いします。花本美佳さん」

「もちろんです。勇者様。」

 

ゆっくりと、十華から花本さんに千景様が託される。

 

ほとんどの人が微動だにしない中、私は唯一人、声に出さずに微かに笑う彼女見る。

私の視線に気づいたのか、烏丸の顔はすぐにポーカーフェイスに戻っている。

 

(さっき、私が星屑を召喚した時も、この人は一瞬だけ笑っていた。気のせいだと思っていたけど、何考えてるんだか。)

 

「それで、お前たちはこれから……。」

 

きっと烏丸はどうするんだと聞きたかったんだろう。

 

だけど、誰も次の瞬間起こった出来事に対応できなかった。

この私も含めて。

 

前兆の一つもなく、それは突然やってくる。

 

激しい振動で立っているのも困難な地震が1回。

 

「今のはかなり大きかったな。おい、これもバーテックスか?」

「この子たち星屑は知らないみたいだ。」

 

何だか、外も騒がしい。

 

「うう、これは……。」

「美佳さん? 大丈夫ですか?」

 

急に頭を抱える花本さんに十華が慌てている。

 

「そんな、どうして、神樹様の壁が……。」

 

同時に私の携帯電話が茉莉さん専用の着信音を鳴らす。

この場に似つかわしくないその音を止めて、電話に出る。

 

「どうしたんですか、茉莉さん。今……。」

 

一瞬だけ、烏丸の表情が動いた気がするけど、茉莉さんの要件の方が先だ。

 

「どうしよう。どうしよう。どうしよう。世界が本当に終わっちゃう。壁が……。」

「壁? 神樹様の壁ですか? か、ぁ……。」

 

電話に出ながら窓を開けて壁を……見ることは無かった。

 

神樹様の壁は私の視界の範囲ではどこにも見えなくなっていた。

 

代りにそこに在るのは神樹様の壁すらかすむ巨大な何か。

横の大きさは私の視界に収まりきらず、縦の大きさは雲を遥かに突き抜ける。

そんなものが明確にこちらに近づいてきている。

 

距離はまだ50kmはありそうだけど、その大きさに比べれば、その距離も余りに頼りない。

 

 

きっと、私達は忘れていたんだ。

4年という年月は壁の外は安全なんじゃないかっていう妄想じみた不満まで発生させていた。

だから、みんなを守ってくれていた勇者たちを罵る自由だって、身勝手に貪ってこれた。

 

だけど、私達は思い知る。

 

自分たちが敗けて逃げてきたことを。

壁に囚われた哀れな虜囚でしかなかったことを。

哀れな小さな世界で息をひそめて生きていくしかなかったことを。

 

 

 

脳に響く茉莉さんの電話の声。

 

「どうしよう。バーテックス達が…来ちゃう。もう止められないよ!」

 

 

 

 




壁を壊したのはバーテックスではありません。
TV第一期10話で東郷さんが初めて壁を壊したように、バーテックス側は壁を壊せないみたいなので。
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