松永沙耶は神である   作:スナックザップ

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風邪治りました。
ご心配をおかけしました。

コロナやインフルエンザではなかったです。


途絶えぬ記憶 Unbroken Memory

「記憶なんて戻ってないよ。だっていらないもの。なくてもただ"知っている"だけ。」

 

未来…いえ、はるかな過去に送り返した私に呟く。

 

記憶も記録も記述もいらない。

だって、ずっとずっと私の中に全部あるんだよ。

 

体だって、存在だって、魂だって、もういらない。

人間のように考えることも、樹木のように佇むことも、獣のように走り続けることもない。

 

 

私はどこにも存在しないから、誰からも、何からも、いつからも自由。

私はどこにも存在しないから、全てに宿り繋がり遍在する。

私はどこにも存在しないから、同時に森羅万象(ありとあらゆるもの)に満ちる。

 

なぜ最初に"なにもない"ではなく、"ないかがある"のか。

 

最初に考えた人はすごく急所をついている。

それって過去・現在・未来の縦軸の関係で考えれば、"ある"か"ない"かの2択になっちゃうけど、"ある場合"と"ない場合"を共存させてしまえばいい。

 

私は"ある"けど"ない"。

プランク時間ごとに生成と消滅を繰り返しているように見える素粒子や宇宙ひもと同じ。

 

友奈が私を最初に観測していなければ、こうして指向性を持つ必要すらなかった。

 

ようやく、もう1人の私や、アル、十華、那由多、すべて私が心惹かれる状況に配置して、役割を果たさせることができた。

 

誰かと繋がりたい、誰かと友達になりたい、誰かと一緒にいたい。

 

どれも脆弱な余分。

私が望むのは"誰か"ではなく、結城友奈でなくてはならない。

 

「ありがとう。いつもどおりこれで人間としての私はきれいさっぱりいなくなった。今のボクは必ず同じようにしてみせる。」

 

人間として誰かとともにいれる可能性がある限り、私はそこに引き寄せられて諦めたくなる。

だったら、そんな可能性は摘んでおければならない。

 

でないと、また諏訪の時と同じように変えたくない過去が増えてしまう。

 

全知全能なのに、やりたく無いからできないが増えちゃったら、友奈を助けるための選択肢を取り零してしまう。

 

実際、宇宙開闢からやり直せば、天災なしで友奈に巡り逢う方法も無いわけじゃない。

でも、その選択肢は取りたくない。

 

それは歌野達と戦った世界を選ばないということだ。

彼女達が選んだ選択を無かったことにすることだ。

そんなのは嫌だ。

 

例え余分でも私はそれを選びたくない。

 

そして、これ以上そんなの増やすわけにいかない。

 

「高嶋友奈、あなたに咎はありません。だけど私の本当の願いのため。あなたは生きていけないの。」

 

友奈因子という宿命の始まり。

 

また、神樹様を通じて実行する。

 

高嶋友奈を神樹様に吸収させ、最後の友奈に会いたいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意気込んでは見せているが、今のところすることは無かったりする。

 

彼女たちが四国内で防衛戦をする間は問題ないからだ。

何だったら、100年くらいは放っておいて、実戦なしで勇者は亡くなりました、でも良かった。

 

問題なのは、四国外の調査に出た時だ。

 

外に出た後、3度程四国外で高嶋様は帰らぬ人となったことがある。

そして、その場合は友奈は生まれてこなかった。

 

1度は諏訪を荒らされたと勘違いしてカッとなって、

2度は東南アジア方面でマラリアによって、

そして、3度は人間の手で毒を盛られて。

 

彼女たちは強い。

 

けど、人間の肉体は弱い。

 

精霊バリアのような自動防御がないと意識の隙間から命を落とすこともある。

 

この世界は1つの有機生命体が種として活動できる環境時間は有限だ。

無限に続く存在しない私とは、もう全然違う。

違っていなければならない。

 

最初の1度は私が冷静になれなかった結果だ。

 

畑を耕しているのを畑荒らしの害獣と勘違いしたんだよね。

畑護衛のバーテックスがやられている時点で、勇者以外ありえないのにテンパってやり過ぎてしまった。

 

おかげでその時だけでなく、同一時間軸上の平行世界でも同じ場所が破壊されたままになってる。

早く修復したいけど、バーテックスはぶきっちょな怪獣だから、2、3年くらいじゃ進まない。

 

 

やっぱり私は勇者たちのことが好きになるんだろう。

 

あれだけ、友奈のためと言っておきながら、恥ずかしい話だ。

 

一番はっきりしているのは歌野と水都。

それに、もう一人の私は防人の中で仲良くできた。

しかも、あのレディ・ディスコミュニケーションみたいなアルまでちゃんと人間を理解し始めている。

 

なんか、これだと私だけダメみたいだけど、これは私が選択した結果。

 

私は勇者たちには直接会わない方が良い。

 

でないと、変えられない過去が増えていく。

 

(その意味では茉莉さんと出会う時間の前だったのは良かった。)

 

あの頃の私は毎日楽しくやってたから、記憶が戻らなくてもいいやって、諦めそうになっていた。

実際、何回かはあのまま普通に生きて、普通に死んでから、今回みたいに思い出して、悶絶したこともある。

 

その場合でもちゃんと高嶋様は神樹様に取り込まれていたから、無駄にならなかった。

 

「やっぱり、もう一人の私を追い詰めると過去に遡って、早めに私の肉体を処分してくれるから、良い感じに進むね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えているうちに、さっそく勇者たちがバーテックスと対峙している。

 

けれど、勇者たちはすぐに戦闘を開始せずに、球子がゴソゴソと何かを取り出す。

 

あ、あれは!?

 

高級うどん玉!!

 

いけない、いけない。

思わず飛び出しそうになった。

 

あ、ジェミニが球子の投げたうどんをスルーした。

 

待って、ジェミニ。

 

それ回収…って、私、300年後に生まれるまでは機械の体だから、食べても味がしないんだった。

 

微妙に勇者たちも衝撃を受けてるけど、そもそもバーテックスは、私から直接無線エネルギー供給されてるから、食事の概念ないんだった。

 

あんまりふざけてるとジェミニが神樹様に到達しそう。

 

 

 

……やっぱり、ダメだ。

 

長いこと見ていると本当に心が揺らぐ。

 

今回は茉莉さんやルリちゃんと過ごした時間が長すぎたから、感傷的になってるのかもしれない。

 

ジェミニが引き倒される。

 

「よーし、うどんの仇はタマが決める。」

 

球子の投げた旋刃盤をキャッチする。

 

「なに?」

「え? 誰…ですか?」

 

お互いの顔が見えるくらい近くにいた球子と杏ちゃんが驚いている。

 

「初めまして、神樹…の勇者達。」

 

思わず神世紀からの癖で神樹様と呼びそうになる。

バレないうちにライブラの風で、同時に2人を他の勇者たちの近くまで吹き飛ばす。

 

「うわあああ!」

「きゃっ、タマっち先輩どこ掴んでるの。」

 

2人仲良く飛ばされていく。

 

「その言い方。勇者ではないのか。何者だ。」

 

乃木様の向ける切先が私の正面に着く。

 

「名乗る名などない。あえて貴方達の呼び方ならば、天の神。あるいは天津神。」

 

効果は抜群だった。

この時代の勇者たちは自分たちが土地神様から力をもらっていて、バーテックスが天の先兵であることを知っている。

 

「えーっと、天の神っていうことは、バーテックスの……。」

「ええ、高嶋さん。敵の総大将よ。」

 

2人を見ていると、ちょっとうらやましい。

私も本当はあんな風に友奈と毎日話していたはずなのにって思う。

 

 

「いかにも、バーテックスは私の玩具だ。四国から出ないなら見過ごそうかとも思っていたけど、だらだらと引き延ばしてもこんな消化試合では飽きるだけ。だから貴方達に命じる。」

 

すうっと息を吸い込むような仕草。

 

ロボット体だってバレても構わないけど、理解しやすい形には落とし込まないと無視されてしまう。

 

「降伏しなさい。条件は後で通達します。」

「断る。我々はお前に奪われた世界を取り戻す。お前に必ず報いを受けさせる。」

 

秒も考えずに乃木様が応じる。

 

「そんなの貴方一人で決めていいことじゃないでしょ。」

 

至極当然の言葉を首をかしげながらしたはずなのに、まるで意表を突かれたような顔をする。

 

「まあ、待て若葉。ここはタマに任せタマえ。えーっと、天の神? それは役名だろ。やっぱり名前を教えろ。」

 

ええー、なんて面倒なところに気づくんだ。

絶妙に悩ましいところだ。

 

下手に名前を明かすと、大赦が使用禁止にする可能性がある。

 

そうだ、あの人の名前を借りよう。

そうすれば、未来永劫大赦に語り継がれる。

ご先祖様の名前が語り継がれているっていういのは感慨深いしね。

ついでに高嶋様の反応も気になる。

 

忘れるつもりなら許さない。

 

ここで殺して、あとはバーテックスにお任せだ。

 

「横手茉莉、もちろん偽名だよ。」

「高嶋さん?」

「友奈?」

 

みるみるうちに高嶋様の顔が引き締まる。

固く結んだ唇と、血がにじむほど握りしめた拳と、急激につり上がる(まなじり)

悲壮とも悲愴ともとれる。

 

効果がてきめん過ぎてちょっと心が痛い。

 

「ウソだ。」

 

これも断定。

 

だけど、さっきの乃木様とは違い、こちらは信じる気持ちがそう言わしめる。

 

「だから、偽名だって。信じられないなら、烏丸久美子に確認すると良い。彼女は本物の動静を把握しているはずだよ。高嶋友奈。あなたにその勇気が残っているならね。」

 

せめてこれくらいはしないと、ちょっと歯がゆい。

 

「もう黙れ! そうやって人々を惑わしてきたのか。」

 

切っ先が私の頭上に落ちる。

もちろんダメージはない。

そして、あくまで彼女達に分かりやすい形を提示するための操り人形だから壊れたってかまわない。

 

「血の気が多いね。その力ではボクは倒せないよ。それにまだ話は終わってないよ。」

「話をする前に世界を滅ぼしただろうが、今、ここでお前を倒して世界を取り戻す。」

 

乃木様の纏う雰囲気と姿が少しだけ変わる。

 

源義経の伝承もとに精霊扱いしたもの。

 

ジャンプを繰り返すごとに速度が倍加する特性から、乃木様の居合の技と合わせて神速の攻撃を得意としている。

 

でも……。

 

「刃が通らない?」

「ちょっと違う。」

 

キィーンと高い音が響いて止まった刃をガッシリと掴み、少しずつひびを入れていく。

 

「話の続き。今のままでは勝てないよ。私と貴方達では、力の量に大きく差がある。でも、それだと対等なら勝てたと、希望があると、勘違いされるからね。そんな言い訳なんてさせない。」

 

もう一人の私にしたようにみんなにパスを通す。

 

これで宇宙全体のエネルギーを自由に使える裁量権を持てる。

それでも及ばないなら、私の方が強いということ。

 

「何だ? 急に活力が戻る。いや増えている?」

 

うん、乃木様の生太刀もちゃんと直ってる。

 

「なんか分からんが、すごい力だぞ。よーし、これなら。」

「ああ、待ってタマっち先輩。」

 

やっぱり球子は気が早い。

まだ力の使い方なんて慣れてないとどうにもならないのに。

 

飛んできた旋刃盤の中止を蹴りあげて、一度方向を変えて、今度は刃の部分を無造作に持って、杏ちゃんが打ち込んできた矢にまとめてぶつける。

それでも勢いが殺し切れなかった旋刃盤が、杏ちゃんに向かって飛び続ける。

 

「うわわ、なんで杏の方に飛んでいくだ。」

 

慌てて球子が旋刃盤を止めようとするが、念力でひょいひょいとかわす。

犬みたいでちょっと可愛い。

 

それから、杏ちゃんにも矢を返しておこう。

 

「"天に弓引き、唾することなかれ"」

 

旋刃盤に撥ね飛ばされた矢が運動エネルギーを取り戻し、ミサイルのような軌跡を描きながら、杏ちゃんに迫る。

 

「わ、私の矢まで。」

 

厳密には球子の武器は操っているだけだから、球子がちゃんと制御を取り戻せば終わりだけど、こっちは違う。

天若日子が天に弓引き矢を返されて死んだように、杏ちゃんに刺さるまでは、ずっと追い続ける。

もし、これを止める方法があるとすれば……。

 

私の考えを読んだわけではないだろうけど、触れていない矢も含めて、全て鋭い鎌の一撃だけですべて地に伏せる。

 

「千景さん、助かりました。」

「あまり、不用意に攻撃を仕掛けない方がいい。ボス前に回復があるけど、そういう場合は大抵セーブしておかないと失敗する。」

 

そう、矢を返されて亡くなった天若日子の友は、その友と勘違いされる。

その時使っていた大葉刈が振るわれるのは、矢を撃ったものが"死んだ後"で無くてはならない。

 

「でも、私ならどんな攻撃でも一撃では倒れない。」

 

七人御先で呼び出された分身達が同時に展開する。

確かに一見すると同時に倒すのは難しそうに思える。

 

「それ、近接格闘中心の貴方の戦いには向いてない。」

 

人形の全身から星の中心温度を越える熱を放射する。

一瞬で半数の分身が消滅し、地表の根が蒸発していく。

 

「く、近寄れない。」

「なら、近寄りたいの? だったら、私から近寄ってあげるよ。」

 

瞬間移動で千景様の1人の目の前に移動する。

 

「しまっ!?」

「このまままとめて灰も残さず素粒子に還ると良い。」

 

でも、こうすればきっと彼女は私の前に立つ。

 

「おおおおおおお!」

「高嶋さん、来てはダメ! 近づいたら燃えちゃう。」

 

振り被った手甲が燃えながら仮初の私の体を連打する。

「ぐんちゃんは守って見せる。」

「そんなこと言う割には、茉莉さんに冷たかったじゃないか!」

「どうして、茉莉さんのことを知っているんだ。勝手に名前まで使って。」

 

神造の皮膚がめくれ、鋼の骨格が折れ曲がる。

その間も高嶋友奈の全身は燃え続けながら、前に踏み出し続ける。

その姿に……気持ちが沸点を越える。

 

「お前が側にいてくれれば、茉莉さんは他にはもう何も要らなかったんだ。要らなくなるはずだったんだ。そうすれば、継嗣たる私だって、こんな焦燥をこじらせることだってなかった。」

 

人形を爆発させて、高嶋様を地面に叩きつける。

 

「高嶋さん。」

「友奈。」

 

勇者たちが高嶋様を心配している。

だけど、それは筋違いだ。

 

「無限力の正しい使い方を見るが良い。」

 

ブラックホールに等しい超重力が勇者たちに圧し掛かる。

それでも、私が強制的につないだパスが彼女たちの形を続ける。

 

ただし、仲間の姿も声も体温も感じられない完全なる闇とプレッシャーの中だけど。

 

このまま気絶させてしまおう。

余計なことを口走った。

私も少し頭を冷やしたい。

 

 

 

 

 

そう思っていたのに、この人はどうしてここに来たんだろうか。

 

ブラックホールが晴れ、遮られた光が戻る。

 

勇者たちがようやくプレッシャーから解放された落差で意識を手放す中、最後に高嶋様が朦朧とした意識でつぶやく。

 

「茉莉さん、ごめん……。」

「ゆうちゃん、謝るのは私の方だよ。私がちゃんとゆうちゃんの最後を受け止められていれば、あの子は生まれなかったんだよ。」

 

これは……。

茉莉さんも記憶が戻った?

いや、私とパスが繋がってる。

 

(まずい、早くパスの切断を……。)

 

「切らなくても良い。もう全部分かってるよ。結城ちゃん。」

「……………………。」

 

何を言うべきなんだろう。

謝罪、懇願、歓喜、陽気、尊大、命令、静観、無視、動揺。

 

グルグルと心の中を渦巻く。

 

初めての行動を取ったら、初めての結果が出るとは思っていた。

このタイミングで天の神として姿を見せ、高嶋様だけを犠牲にする提案を行う。

 

これが今回の初コンセプトだった。

 

茉莉さんがここにいる理由はわかる。

 

この状況で勇者たちの危機を脱するためには、私の動揺を誘う必要があるってことだろう。

まだ樹海化も解けていないというのに、神樹様も無理なことをする。

 

「あっと、本当は結城ちゃんじゃないんだよね。でも、もう慣れてるから。」

「……………………。」

 

ダメだ。喋るな。考えるな。感じるな。

振り返ると還りたくなる。

 

全部なかったことにして、歌野達を無理に生き残らせる方法だっていくつも知識として流入する。

 

全部ほっぽり出して、神樹様が以前に試練で用意した世界を再演してしまえばいい。

今度は永遠の敵として私がいる。

 

ずっと、みんな一緒にいられるようにだってできる。

中立神の後だから、茉莉さんだって、烏丸さんや安芸先生だって呼んじゃえる。

だって、決めるのは私だけなんだから。

 

きっと毎日楽しくて、忙しくて、世界を滅ぼす暇なんてなくなる。

 

でも、それは、それだけはしたくない。

 

みんな一生懸命だったのに、その軌跡を消して奇跡を起こすことだけはしたくない。

 

全知全能となってなお、うまく言えないけど、全部知っていても、その時でなければならないものがあるはずなんだ。

 

私が手にした永遠に遠く及ばないほど短い間でも、あっという間に過ぎてしまうものでも、今の私から見れば取るに足らない綿毛のようなものでも。

 

「綺麗だったんだ。生まれる太陽。消える星の最後の輝き。すべての平行世界を飲み込み、また生まれる量子の揺らぎ。それを知ってなお、綺麗なものだと思ったんだ。」

 

急造だからそんな機能なんて着けていないはずなのに、涙が流れている冷たさを感じる。

 

こんな残酷な世界であっても変えたくない。

最初から答えなんて決まっていたんだ。

 

300年繋がれていたのは友奈だけじゃない。

私だってボクからずっと続いて、続けてきたんだ。

 

「本当はみんな誰かから繋がってここまで来ているんだ。例え断絶しているように見えたって、物理的には時間ごと量子で分解できる数値でしかなくっても、本当は繋がってなんかないなずでも、やっぱりぜんぶ…。」

 

茉莉さんの指先が私の唇の前で言葉を止める。

 

「その先はボクじゃない。遥か未来のゆうちゃん達に聞かせてあげて。」

「うん、分かってる。だから、勇者たちが起きたら伝えて欲しい。」

 

私を見つめる茉莉さん(ボク)がいる。

ボクを見る沙耶(わたし)がいる。

 

きっと、300年後の最後に神樹様がいなくなる時まで、ずっと友奈を探し続ける。

 

私達はそういうもの。

 

例えそれが永遠に失われた未来でも、そうせずにはいられない。

 

だからこそ、私は今の茉莉さんに一番残酷な宣告を。

 

「高嶋友奈を差し出せ。そうすれば伊予二名洲を汝らの地として赦そう。」

 

それだけを告げると、その横顔を見たくなくて全部遮断したのに……。

 

全知全能なる私はその哀しい貌を永遠に思い出し続けることしかできなくなってしまった。

 

 

 

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