松永沙耶は神である   作:スナックザップ

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もう一度愛します I love you again

「燃料の再構成終わりましたよ。」

 

十華ちゃんが沙耶ちゃん(天の神)に与えられた癒しの力。

それが"失われた"と認識するものであれば何にでも有効というのは、

沙耶ちゃんらしいいい加減な設定だなと思う。

 

確かにガソリンがなくなったとか、表現することはあるけど、

それをそのまま実現するための条件にできるってどうなんだろう?

 

これは想像だけど、本当はなんでもありなんだろう。

でも、そうしない。

そうしないことで確認しようとしている。

 

「ああ、お疲れ様。出発前に使えそうなものを探しに行こう。

本当に1、2分で燃料を創造してしまうとはな。

おい、十華、全部片付いたら世界中廻ってみないか?」

「わたしは未だそこまで考えられません。」

 

ボク達は大阪の梅田地下街まで到着している。

 

地下が残っているなら地上よりは缶詰のような食品が残っていないかと

来てみたんだけど、何故かあっちこっちの入口が人の手で封鎖されていて、

まだ中に入れていない。

 

「よっと、久美子さーん、こっち側だけバリケードが破られてたところがあります。」

 

向こうからゆうちゃんと千景ちゃんが顔を出す。

 

「茉莉、花本、近くにバーテックスの気配は無いんだな?」

「えっと、うん、大丈夫だと思う。」

「……。」

 

花本さんは久美子さんから少し距離を開けてしまっている。

 

久美子さんが本当は巫女じゃなくて、

ゆうちゃんと合流した本当の巫女はボクだと言う事実。

 

花本さんが久美子さんとボクに対する不信を抱かせるには十分な理由だ。

 

今でもあの時どうすべきだったのか答えは出せていない。

 

ボクだってゆうちゃんと一緒にいたかったんだ。

 

でも、久美子さんの言う通りで、ゆうちゃんが戦って、傷ついて、

倒れてしまいそうになったら、きっと、沙耶ちゃんがいなくても、

ボクはきっと今と同じことをしていた。

 

きっと世界がおかしくなってしまっても、そうしていただろう。

 

変なことを考えていたせいで、その影が何なのか、最初分からなかった。

 

 

「だからって、それはないでしょ!!」

「友奈! 千景! そいつから離れろ。」

 

 

突然鋭い声がボクに落ちる。

寸前に十華ちゃんが宙に飛び出し、何かを、いえ、誰かを受け止める。

 

「若葉ちゃん!」

「何やってるのよ貴方は!」

 

驚いたゆうちゃんと千景ちゃんがこっちに来ようとして止められる。

 

「待ちタマえ、友奈、千景。」

「ああ、もう、若葉さんもいきなり攻撃しないでください。」

 

また新しい勇者。

 

(ダメだ。勇者同士が戦うなんてことになったら……。)

 

「十華ちゃん。戦っちゃダメ。」

「わかった。」

 

十華ちゃんが乃木さんから離れる。

 

「若葉さん、間違って、友奈さんや千景さんを傷つけてはダメです。」

「あ、ああ、すまない。」

「まったく、ビックリさせないでくれ。」

 

良かった。乃木さん達も本気で攻撃するつもりはなかったみたいだ。

 

「まったく、貴方はいつも突っ走るんだから。」

「そうだな。悪かった。千景、友奈も。」

「ううん、いきなり仲間がいなくなったら心配になるよね。私達も黙っててごめん。」

 

ゆうちゃんと千景さんが乃木さん達と楽しそうに話している。

 

(でも、やっぱりゆうちゃん達は戦うべきじゃない。)

 

ゆうちゃん達がいっぱい頑張ってきたけど、本気で沙耶ちゃんを何とかするためには、

今の時代では無理だと思う。

沙耶ちゃんは十華ちゃん達にさえ明かさなかった全てを教えてくれたけど、

ボクには宇宙の外って言われても分からない。

誰かに言えれば良いんだけど、誰に話せば良いのかも分からない。

 

そう言えば、沙耶ちゃんもボクより成績悪かったのに、

どうしてそんなに難しいことが分かるようになったんだろう?

 

神様になったから?

 

でも、それなら、全部を知っているけど、それを活かすことができていないのかもしれない。

少なくとも今は未だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカな! ひなたがそんなことをするはずがない。」

 

そして、また乃木さんの頭に血が集中している。

 

落ち着いたと思ったタイミングで、花本さんがボクと久美子さんの本当の関係を糾弾したからだ。

 

――貴方達は人類全体を騙している――

 

ボクはそこまでちゃんと考えていなかったけど、

久美子さんがあの時言った通り、ボクはゆうちゃんが戦うことに受け止められなかった。

 

でも、今度はちゃんと受け止めよう。

 

ゆうちゃんが戦うことも。

久美子さんの気持ちも。

沙耶ちゃんが世界を滅ぼすことも。

 

だからこそボクにできることがある。

 

 

ちらりと見ると、相変わらず久美子さんは楽しそうだ。

 

自分が糾弾されることさえ、この人は楽しんでいる。

楽しむことができてしまえる。

 

「真実は上里に聞けば良い。だが、私達は大赦に捕まってやるわけにはいかない。」

「ですが、今、四国は混乱しています。勇者が戻らなければ、きっと暴動になる。」

 

あくまで飄々とした態度を崩さない久美子さんに、”珍しく”伊予島さんが言葉を強くする。

 

気まずい沈黙が流れる。

 

事実としての神婚がとても救いとは呼べないから、ゆうちゃんも簡単に賛成しないと思うけど、

本当にどうしようもなくなったら、それも分からない。

 

そうしたら、人類は今度こそ滅亡して……、あれ?

 

沙耶ちゃんの目的は結城友奈さんが幸せになる事じゃなかったっけ?

そして、今まで時間を繰り返してきたのは、ゆうちゃんの持つ友奈因子を神樹様に取り込ませるため。

 

でも、ゆうちゃんが死ななくても友奈因子をもった結城さんが生まれてくるようにできるのなら、

そもそも、この時代自体が必要ないんじゃないの?

 

自分でも驚くくらいの勢いで顔を上げて、口を開くのとほぼ同時。

 

「でも、おかしいですね。友奈さんが必要無くなったのなら、

天の神はどうして私達の力を増やしたり、友奈さんを差し出せって言ったりしたんでしょうか?」

 

 

本当にどうして気づかなかったんだろう。

 

「そうだな。本当にどうしてなんだろうなあ。お前はどう思う? 十華?」

 

 

みんなの視線を一斉に浴びても、十華ちゃんの小さな体はピクリとも動じない。

 

「それは白鳥さんが頑張ったからでしょう。だから神様になってなお、

まだ自分が知らない素晴らしいものが人間にはあるという強迫観念に取りつかれている。

追い詰めればまったく違う可能性が誕生するかもしれないって。

みんなを死に追いやって強制参加させるなんてめちゃくちゃだけど。」

 

あ、そうなんだ。

 

うん、なんだか、そんなところは沙耶ちゃんっぽいな。

 

すぐに熱くなって、考えるより先に手が出て、意地ばかり張って、いつもトラブルばかり。

 

みんなが幽霊でも見たようなビックリした顔している。

 

「茉莉、お前、なんで笑ってるんだ。」

 

久美子さんがいち早く我に返って指摘する。

 

「え?」

 

ボクは自分の頬っぺたを触ってみる。本当だ。

 

「えっと、なんていうか、すごく沙耶ちゃんらしい理由だって。」

「らしい? どういう意味だ?」

 

乃木さんが首を傾げる。

 

意外だったのは十華ちゃんも不思議そうにしていたことだ。

 

「えっと、ほら、ボク達と一緒に逃げてきた黒シャツの男がいたでしょう。」

 

ボクがゆうちゃんと久美子さんに投げかける。

でも、反応は対照的だった。

 

「誰だっけ?」

「ああ、アイツか、そう言えば窃盗か何かで捕まったんだったな。」

「あの人が捕まったのって、沙耶ちゃんが後ろからキックで倒しちゃったからなんですよ。

人質を取られていたのに、近づくなって言い終わる前にナイフを蹴り飛ばして。」

 

あの時、あの男は追いかける沙耶ちゃんから逃げようと人質を取ろうとして、

お決まりの警句を言い終える前にナイフを遠くに飛ばされて、また逃げたけど結局捕まった。

危ないって後で言ったら、人質を取ってる自分から動かない相手だから平気って返されたけど、

そういう問題じゃないと思う。

 

「それが、歌野が頑張ったように人間すべてに頑張らせようとするのとどう関係しているんだ?」

 

球子さんが不思議そうにする。

 

「忘れられないんだよ。あの光景は沙耶ちゃんにとって、人の心の光に映ったんだ。」

 

忘れられなかったのはボクもだ。

 

どれだけ時が経っても、自分の幸せを手に入れても、ふとした時に思い出す。

あの時ゆうちゃんと一緒に大社に行くって言えなかった。

 

「そして、辛うじて可能性が残った。 もし、白鳥歌野がただ戦いがうまいだけの人だったら、

人類全体のことなんて気づかず、もっと早くに、ループしなくても結城友奈さんに会えるって

気づいていたでしょう。」

 

とうとう気づいたから、今回で終わりにして、もう一度結城友奈さんだけに絞り込んで、

ループなしで進めていこうとしているんだ。

 

その時が来たら、乃木さん以外の西暦の勇者は、今度こそ生き残れない。

 

(ゆうちゃんはそれでも戦うの?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梅田地下街の入口。

 

バーテックスが通ったのか、階段とか壁とかが壊れたり崩落したりしているところがある。

クレバスみたいな裂け目を超える時は、基本的にボク達巫女はゆうちゃん達勇者に抱えてもらっている。

 

基本的には、ということは例外もいるわけで、そう例えば……。

 

「はははは、これは良いな。おい、十華。もっと身体能力を上げることはできるのか?

いろいろ試したい。」

 

久美子さんがビョンビョンと飛び回りながら、十華ちゃんに要求する。

 

「できますけど、ここ地下ですよ。」

「仕方ない、ん? お前たちちょっと止まれ。」

「うーん、先行しているのは久美子さんだと思うけどな。バーテックスですか?」

 

久美子さんの言葉にゆうちゃんが首を傾げる。

 

「違う。そういう意味じゃない。この先を見るならそれなりに覚悟しろ。かなりキツイぞ。」

 

さっきまでのはしゃぎようとは違って、まるで本当の巫女のような真剣な表情で

久美子さんがボク達を制止する。

 

 

「まずは私が見よう。ひなた、みんなと一緒に、ここで少し待っていてくれ。」

「はい、わかりました。若葉ちゃん。」

 

ひなたさん、ボクの代わりに久美子さんを巫女として迎え入れた巫女の代表みたいな人だ。

 

会ったのは1度だけだったから、あんまり印象がないけど、彼女もまた勇者を見つけた人。

 

(ボクとも花本さんとも違う。巫女も勇者に性格に統一性は見られないか。)

 

だとすると、選出基準はやっぱり”良い人”かどうかくらいしかないのかもしれない。

 

「みんな、来てくれ。ただ、烏丸先生が言ったように、かなりショックだから心してな。」

 

この先にあるのは泉の広場。避難してきた人たちの最期の場所だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茉莉さん、大丈夫?」

「大丈夫だよ。ゆうちゃん、ここには血を感じるものはもう何も残ってないから。」

 

たぶん、地下街に避難してきていただろう人たちの遺体…はもうなく、たくさんの骨が高く積み重なっている。

 

誰かの手で骨はここに運ばれている。

そして、亡くなった人たちはバーテックスに襲われていない。

バーテックスに襲われていれば、骨も残さず食べられていただろう。

 

その理由を、ボクはもう教えられている。

 

「いるんでしょう、アル。」

 

さっきまで何の気配もしなかったのに、ピリピリとした空気が闇の向こうから湧き上がってくる。

 

「……。」

 

出てくる。

 

12人の使徒の中でも一番の力を持ち、神に最も近い少女。

 

暗闇にあっても、月の光のように輝く白銀の髪。

伸びた青白い腕が入口とボロボロの剣をしっかりと掴む。

恐ろしいほどの黄金率で配置された絵画のような姿。

 

知らずに誰かが唾を飲み込む。

 

ここまで来れば、バーテックスと直接会ったことがある人間なら、誰でも分かる。

 

この子はバーテックスと同じだけど、どのバーテックスと比較しても別格の力を持ってる。

 

あれがアル。

 

「違う、それは先生の名前。貴方は先生を知っているの? そしてここはどこ?」

 

「ふぅ、今回はいきなり斬りかかってこなくて良かった。すかさず同期。」

 

アルが剣を降ろして、十華ちゃんが最初に言った言葉はそれだった。

 

 

 

「便利なものだな記憶の同期というのは。」

「でも、あまり使いたくないです。自分が自分でなくなったみたい。」

「そうか? タマは全然平気だぞ。」

 

記憶や知識をテレパシーみたいに共有する方法。

厳密には各脳神経を構成する原子に働きかけているって言っていたけど、

よく理解できていない。

 

沙耶ちゃんがボクにしたように、十華ちゃんもその方法を知っていた。

 

「これでわたしの知っていることはすべて。どう、アル、いろいいろ思い出せた?」

「……別に。だけど、どうせ行く当ても目的もない。四国に連れて行ってもらえるなら同行する。」

 

アルは表面上なにも変わった様子がない。

でも、この時点のアルは四国どころか、日本という国の存在すら知らなかったはず。

 

だから、十華ちゃんからの同期はうまくいっていると思う。

 

本当はボクも同期とかできれば、ゆうちゃん達の役に立てそうなんだけど、

あくまでボクは巫女の域を超えられない。

 

「貴方も頑張ってきたのね。間違えても、失敗しても。」

「おねえちゃん、ありがとう。わたしもみんな幸せになれるようにしたい。でも……」

 

十華ちゃんは、ようやく千景ちゃんをお姉さんと呼べるようになったみたい。

 

「あ、まだ、あなたの名前聞いてなかったよね? 十華ちゃんも本当の名前は知らないみたいだし。」

 

ゆうちゃんがアルに聞いた通り、みんなはまだアルの本当の名前を知らない。

アルフレッドはあくまで剣を教えてくれた人の名前だ。

 

アルが先生の名前を借りて、自分の名前を言わない理由。

 

1つはいずれ未来で執事をやるなら男装っていう沙耶ちゃんの間違った知識を真に受けたから。

沙耶ちゃんも自分が言ったことを神の言葉として、結構悪ふざけで使ってる気がする。

 

そして、もう1つ。

 

これが本当の理由。

 

 

「私の名前。両親に貰ったものなど、今となっては無価値なものだ。」

「そんなことないよ。やっぱりちゃんと知りたい。」

 

アルが十華ちゃんに視線を向けるけど、十華ちゃんは千景ちゃんに頭をなでられて気持ちよさそうにしている。

 

「シオン・ナースティカ・ベッケンシュタイン。昔にはなく、今となっては意味がない。

遠い未来にしかない名前。」

 

ようやく、正気に戻った十華ちゃんが首を傾げながら、こっちにやってくる。

 

「うーん、その名前って、どこかで聞いたような?」

 

久美子さんを見ると、首を振って否定する。

 

「ナースティカとベッケンシュタインがつながらない。まるでキメラみたいな名前だ。」

 

久美子さんがそう言うなら、たぶんそうなんだろう。

 

「あ、そっか、未来でまだ観測できない宇宙だ。」

 

十華ちゃんが何かを思い出すと、何となくアルがイヤそうな顔をしている。

 

「うーん、別に私も知りたかっただけだから、これからもよろしくねアルちゃん。」

「……そう、なら、それで。」

 

ゆうちゃんが差し出された手は間違いなく、受け止められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十華ちゃんとアルの力を借りて、地上にテレポートさせた骨を簡単に埋葬する。

 

「今はこのくらいしかしてやれないが、いつかすべてを取り戻した時に必ずちゃんと供養する。」

 

若葉ちゃんの言葉を合図に全員で黙とうだけを捧げる。

 

アルや久美子さんも思うところがあるのか、参加してくれていたみたいだ。

 

「それで、次の目的地は?」

 

久美子さんが問いかけると、意見が割れる。

 

 

「いや、その前に四国に戻らなければ、いつ敵が来るかもわからない。」

「でも、今戻ると高嶋さんを神婚の儀式に連れて行かなければならないわ。」

 

乃木さんと千景ちゃんの繰り返し。

結局はそこに戻ってきてしまう。

 

「やれやれ、お前たちは飽きずに同じことばかり、おい、新入り、お前は何かないのか?」

「別に私はどちらでも良い。」

 

久美子さんがアルに聞いてみるけど、乏しい反応しか返って来ない。

 

「ダメだよ。アルもわたし達と一緒に来るなら、神様と止める方法を考えてよ。

と言うか、最後の1人がいるでしょ。」

「那由多のこと? いても力不足。神に対することはできない。」

 

そう言えば、まだもう1人使徒が残ってたんだ。

 

あんまりこの時代で出てこない人だから、すっかり忘れていた。

 

「そう言えば、那由多さん?は今はどこ?」

 

2人の間に入って確認する。

 

「伊勢神宮ですね。わたしは諏訪の帰りで良いかなと思っていたんですけど、

先にここに来たから、寄っていきましょう。彼らが来る前の平行世界は先の天の神の怒りが

300年後ろにずれた時代だから、わたし達の持っていない技術をたくさん持っているかも?

アルの場合は5000年ずれで人類が衰退しちゃってますけど。」

 

ボクの質問にアルが口を開く前に、十華ちゃんが早口で答える。

 

「ふむ、と言うことだが、上里お前はどう思う?」

「そうですね。先ほどのお骨を回収してくださったときの力もすごかったですし、

味方が増えるのでしたら、そうしたいところですが、今の四国は不安定です。

誰か勇者がいなければならないと思います。」

「つまり、二手に分かれようというわけか。」

 

確かに戦うわけじゃないから、固まって移動する必要はないのかもしれない。

 

「なら、三手に分けて、伊勢に行く途中に私の武器を回収したい。」

 

今までほとんど意思表示をしなかったアルが自分の意見を言う。

 

「え? アルの武器ってあの杖じゃなかったの?」

「あれは本来戦いに使うものじゃない。私の剣はゾモロドネガル。貴方のフランベルジェと同じ。

主なる神の前では無力だと思っていた。だけど、今度は間違えない。」

 

人の心をもとにして沙耶ちゃんが作った剣。

 

「三手に分かれるのはいくら何でも分散しすぎだ。友奈と千景は3人目のところまで行ってくれ。

途中でその剣を回収できそうなら、してくれて構わない。

私達は四国に戻ろう。」

 

乃木さんが迷いを断ち切るように宣言する。

 

「でしたら、わたしも四国に一度連れて行っていただけませんか?

正式に勇者であると認めてもらえれば、勇者が増える可能性。

まだ対抗手段があるという宣伝くらいにはなるでしょう。」

 

十華ちゃんが挙手してそう告げる。

 

「それで良いのね?」

 

千景ちゃんが十華ちゃんに確認する。

 

「うん、生きてさえいてくれれば、おねえちゃん達にはまた会える。

大丈夫。わたしだって神様と一緒に数回は宇宙の熱的死も超えてきてるから。

そのくらい我慢するよ。」

 

「分かったわ。私達も必ず戻るわ。だから、それまで妹のことをお願いするわね。乃木さん。」

「ああ、任せておけ。立派な勇者にして見せる。」

「……………………。」

 

その後、千景ちゃんがこっそりと、杏ちゃんに耳打ちしていたことは

乃木さんの名誉のために黙っておこう。

 

 

「……伊予島さん、あなただけが頼りよ。脳筋にだけはしないで頂戴。」

「あはは、大丈夫ですよ。千景さん。ひなたさんもいますし。」

 

 

次の目的地は奈良県御所市。

ボク達の出会った場所だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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