もしもマンハッタンカフェが愛が重くて女優でポンコツだったなら   作:明石しじま

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3月の話を書いてたらもう6月じゃないか


もしもホワイトデーを迎えたら(後編)

 

 今朝は空気も澄み、キーボードの音もどこかいつもよりも小気味よく響いている。

 一方で俺自身はそんな清々しい空気に反比例するかのような重い気分を抱えていた。

 

 パソコンの画面の中には敷き詰められたマンハッタンカフェの今までのタイムの記録の数々。デビュー時からずっと溜めているこれは俺たちの成果の現れであり、貴重なデータであり、今後の教材にもなりうる代物である。そんなデータを整理し分析することも当然今後の練習や大会におけるプランニングをする上でとても重要な作業だ。普段俺はこうした事務作業を苦手意識からつい後回しにしてしまう癖があるのだが、今日はあえてこの作業からやり始めることを選んだ。

 

 というのも、今の俺は油断すると目の前の物体に意識を取られてしまい仕事の手が止まってしまう程集中力がもたず、せめて無心でできるこの作業がありがたかったからだ。

 

 お陰で黙々と作業に取り組めていたが、慣れないことをした弊害か。没頭しているうちに目の疲労が早くも限界に達してきた。

 我ながら余程頭が回っていないのか、先程は画面の中からたまたま3と15が並んでいる場所を見つけ、反射的に息を呑んでしまった。

 

 一旦休憩をとることにして、画面から目を離して体をほぐす。

 

「…………」

 

 疲れが少しとれてクリアになった途端に視界に入ってくる、先延ばしにしている例の物。やっぱり、早い内にカタをつけてしまおう。俺は腹筋に力を入れて、立ち上がった。

 

 

 

 

「とはいったものの、なんもいい案が浮かばないなぁ。……このマシュマロ、どうしようか」

 

 部屋を出たはいいがどこか行き場があるわけでもない。同じ階を歩き回りながらアイディアを探ってみる。そんな中で生徒たちに会うと、初めは気さくに挨拶してくれたが、2回3回とすれ違う度に次第に怪訝な顔をしてくるようになり、最終的には「ああ、この人、暇なんだな」とでも言いたげな生暖かい目線を送ってくるようになった。

 

(言っとくが暇じゃないんだからな! それどころか今日は残業確定なんだよ! ……いや、俺のせいなんだが) 

 

 頭の中で言い訳をしつつも黙って通り過ぎることしか出来ない。

 そんな中で思い出すのは朝のたづなさんの言葉だ。

 


 

「グミとマシュマロ。この二種類の意味、知ってますか? 『あなたが嫌い』という意味になるそうです」

「ええ!? 俺はそんなつもりじゃあ」

 

「ええ、分かっております。意地悪でそんな事をする人じゃないことも分かっています。……でも、心配です。カフェさんもきっと意味をご存知でしょう。余計なお世話でしょうが、カフェさんを傷つけるようなことだけはしないでください。彼女たちはとても繊細な生き物ですから。それに、カフェさんは怒らせない方が良い方な気がして……」

「?」

 

「……昨夜買いに行っていた時、俺は商品の並びに違和感を感じていました。これ、異様に余っていたんですよね。こんなに偏ることがあるものかと不思議だったんですが、合点がいきました。そりゃあ、そんな言い伝えがあるならこれを選んだりしないですよね」

「なるほど。ともかく今出来る事をするしかありません。ダメ元で購買に寄ってみてはいかがでしょうか。……正直厳しいとは無いと思いますが、このまま何もしないでいるよりはいいかと思いますよ」

 


 

 ああ、気が重い。まさかそんな意味があったなんて。そんな事をしたら折角培ってきた信頼が壊れてしまうじゃないか。

 

 ……もういっそそのへんは有耶無耶にしてしまうか? たかがホワイトデーじゃないか。

 

 そんな、投げやりな思考が一瞬わいてくる。

 

 だが一方で、このまま誤解を与えてしまった時のカフェを想像する。

 例えば、元々貧血気味なせいで爪が割れることがあるのだが余程じゃないと俺が止めない限り黙って走り続けてしまう一面がある。

 そんな我慢強いカフェは、たとえ自分が悲しくなったとしてもそのまま抱えてしまうと思う。理由を尋ねることもせず、そのまま受け入れて無言で立ち去ってしまうかもしれない。

 ……そんなふうに考えただけで、先程までの荒んだ考えから一転、胸が痛くなる。

 

「ぐぅっ、いてて」

「……おなか、痛いんですか?」

 

 

(はぁ……もし今本人に会ったりでもしたら最悪だな。……ま、流石に大丈夫か。もう少ししたら授業が始まるし、この広大な学園の中でこの数分間の間に鉢合わせるなんてそんな偶然があるわけな……)

 

 

 

 

 ん? 待て。今誰か俺に声をかけてきたか?  

 

 

 嫌な予感と共に恐る恐る顔を上げる。それだけの動作なのに頭が重い。

 

 

 

「……トレーナーさん、おはようございます」

 

 ……その声は、我が担当、マンハッタンカフェではないか。

 今だけはいっそ虎になって逃げ出してしまいたい。ウマ娘と虎ってどっちが速いんだろうな。あはは。

 

「あ、ああおはよう」

「ふふ、奇遇ですね。こんな朝から会えるなんて珍しいです……。ところで、トレーナーさん」

 

 俺が現実逃避をしていることなど露知らず。嬉しそうにカフェがこちらに話しかけてくる。

 

 心なしか、カフェが挨拶してきた後、俺の目を見た後一瞬俺の手元を見ていた気がする。

 もしかして、向こうからお返しを貰いに来たのか? 

 

 

 

「……朝はちゃんと起きれましたか? 少し、寝癖がついていますが」

 

 

(あれ?)

 

 呆けてる俺を尻目に、カフェがてくてくとこちらまで寄ってきた。そのまま俺の寝癖に手を伸ばしサッサッと手櫛をかけてくれた。

 

「あ、ああ。気がつかなかった。仕事疲れかもな」

「ご苦労様です。たまにはリフレッシュがてら、今度のお休みに()()()にでも行ってみたらどうですか?」

「ああ、いいな。3月ならまだスキー場は開いているだろうしな」

 

「カフェはちゃんと起きれたか?」

「ええ、大丈夫です。……そういえば、()()()シャワーさんと一緒に朝食をとったんです。恥ずかしそうにしながらもたくさん食べていて、可愛らしい方だと思いました」

「ああ、ライスシャワーも結構食べるらしいよな」

 

 ……どうやら何か用件があったわけじゃなく、ただ雑談をしたかっただけか。まぁそうだよな。我ながらちょっと自意識過剰だったか。

 

 

「そうだ、トレーナーさん。実は最近()昼夢を体験しまして……珍しい体験でしたので、マチカネフクキタルさんにお話してみようかと……。きっとそういうお話、お好きでしょうから……」

「白昼夢か、」

 

 ……なんか「白」に関連したワードが多くない? 流石に俺の気にし過ぎだよな? サブリミナル効果とか狙ってないよな? 間接的に今日がホワイトデーであることをアピールしているとかじゃないよな? 

 

「カフェ、そろそろ授業が始まるんじゃないか?」

「……流石に分かりづらかったですか。……はい、そろそろ失礼しますが、最後に一つだけ……」

 

 カフェがため息をつきながら俺の横を通り過ぎようとする。そのまま俺の真横まで来たときに一言だけ言葉を残した。

 

 

「待ってますからね」

 

 

 ……催促してたわこれ!! 

 

 

 

 

 ♦♦

 足の震えを必死にごまかしながらカフェを見送った後、全速力で購買部に向かう。しかし残念ながらたづなさんも言ってた通り良さげな物は見当たらなかった。

 いや、この言い方は語弊がある。そもそもほとんど売り切れていた。

 

 何故こんなに売れてるのか一瞬事態が飲み込めなかったが、すぐ横の壁の広告を見ると合点がいった。どうやらホワイトデー記念と言って割引セールをやっていたらしい。

 そのため仕方なく、かろうじて残っていた板チョコを買った。

 

 これで一体どうしろっていうんだか。仮に仕事の合間をぬって手作りするという無茶な事をこなしたとしても満足いく結果にはならないだろう。だって形がブロックになっただけのただのチョコにしかならないじゃないか。

 

 

 そうして得た戦利品入りの袋をぶら下げながら廊下を歩いていると、にこやかな笑顔を浮かべる娘に出会った。

 

「こんにちは! カフェさんのトレーナーさんですよね? お元気そうですね」

 

 耳にすうっと入ってくる透明感のある声で人当たり良く話しかけてきたのは、サトノダイヤモンドだった。

 

「そう見える? 実はあまり元気じゃないんだ。ちょっとミスしてしまってね、悩んでるんだ」

「あら、そうなんですか? 先程から貴方が歩き回っていらしたのを見てたので、てっきり体力が有り余るほど元気なのかと思いました」

 

 まぁと驚いたような身振りで口元を手で隠す。

 

「一体何をそんなに焦っているのですか? 言えることでしたら仰ってください。もしかしたら助けになれるかもしれません」

 

 トレーニングの事とかならともかく、こんな私的な事は生徒に対して話すような事じゃない。

 そのため丁重に断ろうとする。だがここで一回立ち止まった。

 

 サトノダイヤモンドは学年こそ違うもののカフェと近い世代。女の子の心情を理解するにはこれ以上ない上、俺よりも遥かに柔軟な思考ができるだろう。もしかしたら、何らかの打開策が聞けるかもしれない。

 

 決意して、サトノダイヤモンドに事の顛末を話した。

 

 

 

「成程。……それはなんと言うか……随分慌てん坊さんだったのですね!」

 サトノダイヤモンドは全て聞き終えると、口に手を押さえて無邪気にカラカラと笑った。

 今時慌てん坊と称されるのなんてサンタクロースか俺くらいじゃないか? 

 

「はは……そう言われても仕方ないな。配慮に欠けてたよ」

 思わず乾いた笑いが浮かんでしまった俺を見て、落ち込んでいると思ったのか。途端に慌てた様子のサトノダイヤモンドが言葉を付け加える。

 

「そ、そんなに気にされなくてもいいのではないでしょうか? 別に私たちの周りは皆が皆そういう意味を知っているわけではありませんし。知ってたとしてもそれを気にされるかはまた別の話ですし。…………と、私は思うのですが……」

 

 そういえば結局たづなさんからカフェから貰ったお菓子の意味教えてもらってないな。気づくといつの間にかサトノダイヤモンドは顎に指をあてて何やら考え込んでいる。すると、何か思いついたように声を上げた。

 

「……もしかしたら、代わりの物をこちらがご用意するのも、可能かもしれません」

 

 彼女のその言葉が、まるで天啓の様に鋭くハッキリと俺の頭に響き渡る。

 

「何!? 出来るのか!?」

「ええ。実はサトノ家がお得意様にしているパティシエが何人かおります。もしかしたら、お声をかけたらお店にある在庫の商品を売ってくださるかもしれません」

 その後彼女が挙げた店の名前は、俺でも知っているテレビや雑誌にも何回もとりあげられているような有名店ばかり。聞けばこういう高級店では、突然のリクエストにも対応できるよう、規定の販売数よりも少し余分に取っておいてあるものらしい。

 

「そんなツテがあるのか……恐ろしいなサトノ家」

「ふふ、多分メジロの方々とかはもっと規模がでかいんじゃないでしょうか? 多くのお客様をもてなしている内に自然とそうなっちゃうんです」

 

 そうなのか。金持ちの世界はよく分からないが、何にせよ協力して貰えるならこれほどありがたい事は無い。あまり時間もないしな。

 

 

「じゃあ」

「でもよろしいのですか?」

 

 早速お願いしようとした俺を、サトノダイヤモンドが掌で制した。

 

「折角選んだのでしたら、それをそのまま差し上げればよろしいのでは? お相手の事を考えて選んだのでしょう?」

「うーん、まあそうだな。一応は考えて選んではいたけどさ。でも常識的にあげちゃダメな物だと言われちゃあしょうがないだろう」

 

 残念じゃないかと言われたら嘘になる。だけどここで意固地になってもな。変に誤解を招くくらいなら全然妥協するさ。……しかしまさかこんな有名な店の物を用意してくれるとは思わなかった。これでカフェも喜んでくれるだろうか。

 

 

「…………そうですか、スミマセン。やっぱ今の話は無かったことにしてください。『不採用』です」

「……!?」

 

 

 突然の通知。あまりにも寝耳に水な発言に呆気にとられていると、サトノダイヤモンドが一度だけぺこりと頭を下げて、背中を向けて立ち去り始めた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」

 

 先程までと一転したあまりにも業務的な対応に、わけも分からず慌てて追いかけた。

 再び近くまで来るとサトノダイヤモンドがこちらに向き直った。

 

「えいっ」「あでっ!」

 

 ピシィッ……という小気味よい音が頭に響きわたる。一瞬何をされたのか分からなかったが、デコピンをされたらしい。

 

 ……これ、地味に結構痛いんだが。まぁ、もしウマ娘の本気の力でされれば銃で撃たれたに等しい衝撃を食らっているだろうから、相当力は弱められているだろうがそれにしても痛い。

 一体何をするのか。そう言おうとしたがサトノダイヤモンドの顔を見ると一瞬でその口が開かなくなった。

 こちらを見ているその表情が、先程までとは一転、冷たい印象を与えるあまりにも張り付いたような笑顔だったのだ。

 

 

「すみません。最初はお助けするつもりだったのですが、今の貴方の言葉を聞くとカフェさんが可愛そうだと思いまして。トレーナーさんは、失礼ですが女の子の気持ちを分かっていないと思います」

 

 

 グサグサと厳しい言葉が突き刺さる。分からない、何故サトノダイヤモンドはこんなに怒っているのか。

 茫然自失としていた俺を見ると、一度小さくため息をついて話し始めた。

 

 

 

「私が今のトレーナーさんを選んだ理由って知ってますか?」

「……いや、知らないな」

 

 サトノダイヤモンドがトレーナーを探していた時期の事は俺も覚えている。面接を受けた28人が誰一人受からず、その数日後に面接に参加していなかった別の若いトレーナーが担当になったというちょっとした事件。やはり後ろ指をさされることも多かったと、以前サトトレが振り返っていたのが印象的だったのを覚えている。サトノダイヤモンドの事を担当する前から気にかけてはいたことは聞いていたが、そういえば逆の立場からの話は聞いたことがない。

 

「あの人は、『私』を見ていてくださったのです」

「私は私の家柄に誇りを持ってますし、お父さまやお母さまの夢を叶えたい一心でここにやってきました。ですが一方で時折『サトノ家』のウマ娘ではなく『サトノダイヤモンド』を見てほしいという思いもあったんです。ワガママでしょうか」

「! ……そんなことないよ」

 

 サトノダイヤモンドのその発言に驚かされた。

 彼女が語るその悩みは、一見矛盾しているようで矛盾していないと思う。一人の存在としてアイデンティティーを求めるのはごく自然な事だ。それは自分とは何なのか。俺みたいな凡人でさえ成長の過程で一度は考える命題。むしろ、中等部でその悩みに至れるというのは相当早い。余程家庭での教育が素晴らしかったのだろう。

 

「ふふ、ありがとうございます。ともかく、あの方は私の()を理解してくださりながらも、()の走りを見てくれた。だから、()()()()()として、逃したくなかったんです!」

 

 初めて聞いた、一見大人しそうな見た目とは裏腹の熱く強い夢への想い。バディを組むにあたっては、相性のいい相手と出会えることも勝利への大事な要素。サトノダイヤモンドは、どうやらそれを満たすことが出来ていたみたいだ。

 

 

 サトノダイヤモンドが抱えているものは分かった。だが、それが何故今俺が怒られたことに繋がるんだろう? 

 

「昔から、サトノ家の娘と聞くと大人しいお嬢様だというイメージを持たれるみたいで。そう言われるうちに、反抗心のようなものが生まれてきまして。気づいたら、固定観念染みたものを聞くとどうにかしてそれを打開できないか、と考えるようになっていったんです」

 

 確かに俺も、先程の話を聞いた時意外に思ってしまっていた。見た目の印象からある程度内面を判断してしまっていた。

 

「オセロの角を取られたとしても勝てないか。黒猫が横切ってもその日に良い事を起こせないか。……サトノ家からGⅠが出たことがないのなら私がそれになれないか。ジンクスを破れる程強ければ、『私』の証明になるのではないか。きっと私は、そう思うようになっていったのかもしれません。後付けですけどね、ふふ。……ここまで話せば、私が援助を止めた理由をご理解いただけるかと思います」

 

 

「……『お返しにマシュマロをあげてはいけない』。俺がそんな一般論に囚われていたからか」

「正解です♪」

 

 そうだ、彼女がジンクスブレイカーであることは有名な話だったじゃないか。そんな彼女に対して、頼る理由としては禁忌と言っても良いような理由だった。

 

 

「うん、やっぱりあくまで貴方が選んだ物を渡すべきです。こちらで物を用意する事は出来ませんが、その代わりに一つ、知識をご教授しましょう!」

 サトノダイヤモンドはそう言って、俺に最後の手助けをしてくれた。

 

 それを教わった俺は、ずっと心に燻っていた曇天が晴れていくような気持ちになった。そしてこの板チョコをうまく使うアイディアも思いついた。

 

 

「サトノダイヤモンド……ありがとな」

「いえ、先程はお説教みたいなことを言っちゃってごめんなさい。身の上話をすればより私の言いたい事が伝わるかなと思いまして。余計なお世話だったでしょうか?」

 

「とんでもない。逆にそこまで真剣に向き合ってくれて嬉しかったよ……デコピンは痛かったけどな」

「う、痛かったですか、ごめんなさい……。つい力が入っちゃったかもです。とにかく、もっと自分の選択に自信を持ってください。応援していますから!」

 

「気にしてないよ。それより、何かアドバイスのお礼ができればな……」

「とんでもない! 感謝されたくてやったわけではありませんから!」

 

 

 彼女の底抜けの優しさに感動しつつ、何か返せるものが無いか思案していると、ポケットの中のスマホが短く震える。

 それはサトノダイヤモンドの担当トレーナーからのメッセージだった。

 

 

<サトトレ

 

助けて! 実はダイヤが「お返しはダイヤモンドを所望します! 3倍返しのジンクスをご存知ですか?」とか言ってリッツカールトンのチョコレートを渡してきたんだ! 11:22

 

なんかこのチョコ5万円くらいするらしいんだ。15万円するダイヤなんて買えないよ! 11:22

 

そう言ったら「でしたら婚姻届でも良いですよ? あ、貴方のサイン付きという条件ですが」なんて言ってきてさ……俺どうしたらいい!? 11:25

 

それからずっと様子がおかしくて。今も逃げ隠れながらメッセで説得してるんだが全然聞いてくれないんだ! お願い、第三者として言い聞かせてやってくれよ! 11:26

 

 

 

 

(…………うん????)

 

 いくら読んでも頭に入ってこなくて3回は読み直す。

 

 ……もしかして、さっきサトノダイヤモンドが言ってたパートナーっていうのは、レースとしてのじゃなくて恋人としての話だったということなのか? もしかして俺はある種の惚気を聞かされていたのか? 

 

「?」

 一方で、こちらの画面が見えていないサトノダイヤモンドはコテンと首を傾げている。

 

 改めて読んでみたら婚姻届を要求している事に気づいた。実際トレーナーとウマ娘の結婚というのは、時たま噂話で巡ってくる程度にはある話ではあるのだが、こうして目の当たりにしてみると、どうにもコメントに困る。

 

 

(うわてか既読つけちゃったよめんどくさ)

「先程から、どうかしたんですか?」

「いや、なんと言うか……何でもない」

「? はい」

 

 俺はどうすればいいのか。サトトレを助けてやるべきか?

 困ったようなあいつの童顔が浮かんでくる。年下同期であるサトトレは、どこか自分に自信がないと言うか気が弱いところがある。かつて担当とのコミュニケーションがうまくとれないと悩んでいた時は、「生徒を引っ張る事だけがトレーナーのあるべき姿とは限らない筈だ。担当の事をもっとよく見てみろ」とアドバイスをした記憶がある。それがきっかけであいつとはよく喋るようになったのだ。

 このアドバイス自体は、正直カフェと一緒にいると時折物言わずにこちらを見続けている時があったことを思い出しながらそれっぽいことを言っただけなので大したことはしていないのだが、あいつにはうまいことハマったらしく、それからはうまくいっていたようだ。

 

 そんな事を思い出しながら、覚悟を決めて文字を打ち込んだ。

 

 

<サトトレ

それからずっと様子がおかしくて。今も逃げ隠れながらメッセで説得してるんだが全然聞いてくれないんだ! 頼む、お前も第三者として言い聞かせてくれないか!? 11:26

 

既読12:44今何処にいるんだ? 

 

来てくれるのか!? 第二校舎裏の物陰にいるよ! 12:44

 

 

 

「君のトレーナーさ、今第二校舎裏にいるよ」

 

 

 俺は同期を売った。

 

「……今、なんて仰りましたか? ……第二校舎裏ですか。逃しませんよ。ありがとうございます!」

 

 俺の唐突な発言に対して一瞬で意味を汲み取ったサトノダイヤモンドは、言うが早いか俺のもとから立ち去っていった。足速いね。

 

 ちなみに第二校舎裏というのは学園の中でもとりわけ奥まった場所であり、周りからもうまいこと死角になっていて人目につきにくいことで有名な場所だ。余程の騒ぎにならない限り見つかったりはしないだろう。

 すまんな、サトトレ。お前はいいヤツだったしそこそこ長い付き合いだが、たった今できた大恩を返したい思いが強かったんだ。決してこっちを焚き付けた方がちょっと面白そうだと思ったとかでは断じてない。まぁいいじゃんお前彼女とかもいないし、多分幸せになれるよ。

 

 

 さて、後は再びこちらの作業に戻らなければ。まずはカフェに授業後にトレーナー室に来るよう連絡を入れる。その後先程思いついたアイディアを実行に移すために家庭科室にいかなければならないな。

 

 それからの午後の仕事は一転、調子を取り戻す事ができた。

 

 

 

 ♦♦

 午後の仕事を始めてからは、あっという間に今日の最後の授業を意味する5限の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 俺は先程トレーナー会議が終わり、カフェを呼んだ場所であるトレーナー室に向かっている所だ。

 さっき確認したら、俺の連絡に対してカフェからはもう返信が来ている。それを見る限り、もう既に彼女は到着しているようだ。

 

 恐らく向こうもなんのために呼んだのかは見当がついているだろう。ああ、緊張する。

 いつもと違う心持ちのせいかノブの感触もまた違ったもののように感じる。そのままドアを開けた。

 

 

「トレーナーさん……! お疲れ様です」

 

 椅子に座っていたカフェが立ち上がってこちらに駆け寄ってくる。

 

「やあカフェ。授業が終わって早々に呼び出してしまって悪いな。今日も晴れていて格好の練習日和だ。早速本題に入りたいんだが、その前に一つ聞きたいことがある。

 

 

 

 なんで勝負服着てるの?」

 

 

 扉を開けた瞬間、いつもの紫を基調とした冬服じゃなくて真っ黒の姿だったことに我が目を疑った。

 これが明日GⅠに出走するとかなら分かる。直前期の練習だと、特にGⅠの経験が浅い娘の場合は実際の感触を確かめるために勝負服を着て走ってみる事は確かにある。でも今日はそんな予定はない。勝負服の洗濯代って実は結構するんだよ? 

 

 

「一回気合をいれようと思ったんです。……今この瞬間は、ある意味私にとって勝負みたいなものですから」

「……嫌な予感しかしないが、一応聞くわ。誰とのだ?」

 

 

 

「…………たのもー」

「俺かぁ」

 

 まぁ正直流れ的にそうだよな。散々悩んでいた俺が言うのもあれだけど、凄い真剣に行事に向き合ってるんだね。

 

 

「……言っておくが、これを選んだことにネガティブな理由はないんだからな。誤解だけはしないでくれよ」

「なんですかもう……いいから早く下さい。早く早く」

 

 カフェが待ちきれないとばかりに手を差し出して催促をする。こんなに前のめりになっているのは珍しい。

(まぁもう渡してしまうか)

 

 俺は横の棚に置いた紙袋からそれを取り出した。

 

「はい、これがお返しね」

「…………はい、ありがとうございます。後でゆっくりいただきます。あと体調不良なので今日の練習お休みしますね」

「待て待て待て待て。だから違うんだって」

 

 

 心なしかいつもの2割増しで顔が白くなったカフェが帰ろうとするのを引き止める。

 渡す前からだらだらと解説するのも野暮かと思ってたが、やっぱり先に説明しとけばよかったか。

 

 それから暫くの間、帰ろうとするカフェとそれを防ぐ俺との間でドアの前の攻防戦が始まった。

 

 

 

「はぁ……はぁ……そんなに言うなら教えて貰えますか。何で態々これを選んだんですか……」

 

 

 何とかカフェを引き止めることが出来たが、根負けしたカフェがこちらを睨みながら理由を尋ねる。

 俺の方が力が強かったとかではなく、全力を出して耐えた俺に対してカフェはお返しを抱えていた分手が使えず、俺のことを体で押し出す事しか出来なかったというハンデがあったからだが。結果として粘り勝ち出来て良かった。

 

 

「そんな深い理由があるわけじゃないんだけど、その場で売られてた物の中でこれが一番喜ぶかなと思ったんだよ。お菓子の意味については買ってから聞いたんだ」

 

 売り場にはバレンタインに負けず劣らずの色々な商品が置かれていた。

 

 一番人気のクッキーはあまりぴんとこないので一回保留にした。

 隣のキャンディーは、カフェが折角いろいろくれたのに少々味気無い気がした。

 その隣のチョコレートは、カフェが甘い物があまり得意では無かった事を思い出したのでやめた。カカオ多めの苦いやつならいけるかと思ったが残念ながら売ってない。

 ウイスキーボンボンは未成年なので論外だ。

 最後に見つけたのが、一番端に置いてあったマシュマロだった。

 

 

「そ、そうなんですか……色々考えてくださったのですね……」

 それを噛み砕いて話すと、カフェがまとっていた剣呑な雰囲気が消えて恥ずかしそうに俯く。

 

 

「あと、ちょっと手を加えてみたんだ。食ってみてくれ」

 

 カフェが言われるがままに袋を開けて、一つ、口に運んだ。

 

 

「……確かに、ただのマシュマロじゃないですね……中にチョコが?」

 

 

 

「ああ、タキオンからちょっと道具を借りてな。後は家庭科室で湯煎して中に入れたんだ」

 


 

「はぁ……はぁ……ふふっ、流石に研究の疲れが溜まってきたか。だがこの成果でウマ娘の未来が変わるかもしれないんだ、寝てなんていられない。……ふぅ、よし……ここが肝心だ……この薬品を17.6μg入れれば……「入るぞ、タキオン!!!」うっひゃああああ!!??」

 

 こいつ昔ボヤ騒ぎ*1起こしたくせに懲りずに実験を続けてんのか。あ、でも前より少し足の踏み場が増えている。

 

「びびびびっくりしたぁ! おい! ノックもせずに急に入ってくるなんて非常識じゃないかい!? 驚いて薬の量を間違えたりしたらどうするんだ!」

 おい、お前マッドサイエンティストのくせに何割と全うなクレームつけてんだ。

 

「タキオン、急で悪いんだが綺麗なスポイトを貸してくれ! 大きめのやつ!」

「ス、スポイトだと? 一応未使用のやつがいくつかあるが……ほらそこの棚の右から二番目」

「助かる!」

 

 アグネスタキオンが言うが早いか、俺は言われた棚を引き出す。そしていくつかのスポイトを鷲掴みにして、そのまま研究室を出ていった。

 

「君、室内で走らないでくれたまえホコリが舞う! ……ああもう何なんだい!」

 


 

「ふふっ、あははっ……ホントですか? あのタキオンさんを振り回してるじゃないですか」

 

「驚いたよ。まさかタキオンに注意されるとは思わなかった」

「……きっとまた徹夜してるんでしょうね。あの人、徹夜が続くと一周してマトモになるんです。……更に続くと、またおかしくなるんですが」

 

 

 事情を分かってくれたからかはたまた糖分のお陰か、カフェは先程と打って変わって俺の話を楽しげに聞いている。

 

「しかし、何故こんな事を?」

「これ単体だと、少々淡白かと思ってな。たまたまチョコも持ってたから、ついでに有効利用させてもらったんだ」

 

 

「なあカフェ。どうして今日がホワイトデーって名前なのか知っているか?」

「名前の由来ですか? そういえば、考えたこと無かったです」

 

 考える素振りをしたカフェが、ハッとした顔で手元の()()を見る。

 

「え、もしかして」

「そう、ホワイトデーって元々は『マシュマロデー』って名前だったんだ。定着しなかったから今の名前に変えたらしいんだけどな。じゃあ何でマシュマロが名前についていたのかというと」

 

 

「……『純白の愛で包む』」

 

 何だ、そっちの意味の方はカフェは知っていたのか。 

 

 

「そういえば、これにはそんな素敵な意味も入っているんでしたね。有名な方の印象が強くて、忘れていました」

 

 

 これが、サトノダイヤモンドから教えられたもう一つの、元々の意味だった。

 こんな意味も持っているから無理に変える必要はない、ということを彼女は伝えたかったのだろう。それを聞いた時、だったら中にチョコを入れてしまえば、よりそっちの意味に沿った品物になるんじゃないか、という俺のアイディアが生まれたのだ。

 そのためにタキオンからスポイトを貰い、家庭科室で湯煎した板チョコをマシュマロに一つ一つ注入するという作業を昼休みの間にこなしたのだった。……お陰で昼飯は軽くしか食えなかったが。

 

 

 

「なあ、練習前だが一杯どうだ」

「え? ……急ですね。頂きますが……」

 

 了承を得ると手早くコーヒーを準備する。

 趣味嗜好が違う事が多い俺とカフェだが、そんな中の数少ない共通の趣味であり仲良くなるきっかけでもあったコーヒーを今回も使わせてもらおう。

 ペーパードリップしても良いが、今回はコーヒーそのものが目的ではないので市販の一杯抽出型の製品を選んだ。

 ゆっくりとお湯を入れ、蒸らす。

 

 

「おまたせ。すまんが、それちょっと貸してくれ」

 カフェから先程あげたばかりのマシュマロを借りると、2つ手にとってコーヒーに入れた。それにカフェが驚いた顔をして、みるみるうちに溶けていくマシュマロを眺めている。

 

「さ、飲んでみな」

 

 カフェが俺からコーヒーを手にとると、恐る恐る口に運ぶ。

 

「…………あ、おいしい……。中に入っているチョコも、いいアクセントになっています……」

「マシュマロコーヒー。甘さ控えめで、案外合うだろ? これなら、縁起の悪い意味の方は消え失せただろ」

 

 縁起の悪い方の意味。つまりたづなさんが懸念していた理由であり、実際カフェが当初誤解していた方の意味の事だ。

 

 

「……? どういうことですか?」

「『あなたが嫌い』なんでそんな理由になったのかは知ってるか?」

「……いえ、そっちは分からないです。何ですか?」

 

 

「後味が残らないから、だと。ほら、こういう食い方すれば、どう食べてもちゃんと後味が残るだろ?」

 コーヒーに入れても、そのまま食べても。コーヒーの苦味あるいは中のチョコの味で、余韻を楽しめるようにすれば、そんなメッセージ性も消えるだろう。

 

「……成程」

 俺の話を聞いたカフェは、黙々とマシュマロコーヒーを飲んでいる。その表情を見るとどこか嬉しそうで、見ているこっちも嬉しくなる。

 

「ま、そういう理由を聞くと、確かに相応しくないかもって思っちゃうな。例えフラれたとしても、せめて自分のことを覚えていてほしいもんだもんな」

「……それは、何か心当たりが、あるということでしょうか?」

「秘密」

 

 俺が素っ気なく返した事が気に入らなかったのか、カフェがまたムッとした顔でこちらを見てくる。

 ……しかし我ながらうまくこじつけられたものだ。実際は、たづなさんとサトノダイヤモンドからたまたま話を聞きたまたまチョコを買っていたからに過ぎず、ここまで考えていたわけではないのだが、まあ男の見栄ということで、隠させてもらおう。ついでに俺の恋愛遍歴も隠させてもらう。

 

 さて、長々とプレゼンさせてもらったわけだが、気に入ってくれただろうか。

 カフェに最後に尋ねようとしたが、態々聞くのも無粋かと思って止めた。……先程からよく動く尻尾を見れば、何となく分かるしな。

 

 

「……それにしても、結構入ってるんですね。トレーナーさんも一緒に食べちゃいましょう」

「いやいや、そもそも貰ったものへのお返しなのに……」

 

 最初は遠慮したのだが、カフェに何やかんやと押し切られて、ちょっとしたお茶の時間みたいになる。

 まぁ早く来てもらった分、練習開始までは時間があるし、いいか。

 自分用のコーヒーも用意して、幾つかつまみながらカフェと語らったのだった。

 

 

 

 

「それにしても、知らなかったとはいえトレーナーさんも攻めたことしましたね……。例えば、私がこれで落ち込んで逃げ出したりとかしたらどうするつもりだったんですか?」

「その時は…………。校内放送でも頼むかな」

 

「ぷっ、ふふふ……そこはすぐに後を追いかけるとか言ってください……」

「いやいや、ウマ娘に逃げられたら追えるわけないだろうが」

 

 

 

「はぁ……今日はトレーナーさんのせいで疲れてしまいました」

「あはは、トレーニングを終えたら早く寝ると良い。来週の日経賞に備えてコンディションを整えてくれ。俺も今日は早く寝るよ。どうせ今日は遅くまで練習にあてるつもりはないしな」

 

「そうなんですか? ……休むのもいいですが、また夜に食事でも如何でしょうか? ……トレーナーさんの、過去の恋愛も聞きたいことですし……ほら、これ。……素敵なお店じゃないですか?」

「少なくともそれについては何も話さないが。……こんな日に行ったら、周りから誤解されそうだな」

「大丈夫ですよ。前も言ったじゃないですか。私は周りから気づかれにくいんです。それに、そっちの方が都合が……

「(今なにか言ったか?)お前、そう言ってクリスマスの時ファンにすぐばれてたじゃないか」

 

 

 

「……そしたら、今度は俺がどこか店に案内するよ。流石に今日は無理だが、少し待ってくれたら」

「え……? トレーナーさんの方から生徒を連れ回すのは立場上良くないと、以前言っていたのに」

「うん、そうなんだが。たまにはいいだろ。これもお返しってことで、な。……それとも、迷惑だったか?」

「……トレーナーさん。その言い方は……ずるいと思います……」

 

 

 

「そういえば、バレンタインの時さ、たづなさんの事睨んだりした?」

「? いいえ、していませんが……ちょっと周りを見回しちゃったくらいです」

「……とりあえず今度謝っておこうな。何かしたかって怖がってたぞ。何であの時食堂で渡してきたんだ?」

 

「…………だって、トレーナーさんあの時期、他の娘と話してばかりで……もし新しく担当が増えたりしたらと思うと……」

「(何でそれがバレンタインと繋がるんだろう?)カフェが現役の内は増やすつもりはないよ。まだそこまで器用な事は出来ないかな」

「……そう、なんですね。分かりました……ふふ」

 

 

 

「あ、あと何か店のリクエストとかあるか? 頑張って探してみるよ」

「……量が多くなければ……構いません……トレーナーさん、お店はあまり知らないって以前言ってませんでしたか……?」

「ん、ああ。今日良いトコのお嬢さんと仲良くなったからな。オススメ教えてもらおうかなと」

 

「…………は?」

 

 

 

 

 

 ・おまけの後日談

 

 後日、トレーナーはスポイトを返却するために再びタキオンの下を訪れていた。

 

「全く、まさか私の実験道具をそんな風に使われるとはねぇ。一言理由くらい言ってくれても良かったんじゃないかい?」

「ごめんごめん。……そういや、あの時タキオンは何を作ってたんだ? また発光する何かか?」

「ハハハ! 最早そんな領域には留まらないよ。ただ光らせるだけでは芸がないじゃないか!」

 

 

「なんと、地を蹴る度に体が点滅する薬さ! ちょうど完成したんだ!」

「……また変なモノを作ってるな、お前」

 近くにいたタキオンのトレーナーがため息をついた。

 

「だが実はこれも重大な副作用が分かってしまってねぇ……恐らくは成功しないだろう。実用化も期待できずデータだけ残して調剤マニュアルも捨ててしまったよ。だがこれでめげてはいられないんだ。科学の発展は失敗せずには得られないからねぇ」

「マジか……どんな副作用なんだ?」

 

「うん、実は一時的に下半身の筋力が肥大して脚の回転が速くなってしまうんだ」

「何! 一時的に下半身の筋力が肥大して脚の回転が速くなってしまうのか!」

 

(……あれ、元々タキオンの薬って、体が光る方が副作用じゃなかったか?)

 

「あいつ、主作用と副作用の認識がごっちゃになってんな」

 タキオンのトレーナーが俺に解説をしてくれた。

 

「成程な。……訂正しなくて良いのか?」

「どっちにしろ俺が飲むことになるんだからどっちでもいいよ」

 

 俺がそう聞くと、タキオンのトレーナーはどこか死んだ目でそう呟いた。

 その数時間後、案の定飲まされたらしく、足が気持ち悪いほど肥大したタキオンのトレーナー(被験者)が体を点滅させながらウマ娘と並走していたのを見た。

 

 あとサトノダイヤモンドの話なんだが、俺が背中を押した数日後、嬉しそうに一枚の紙を抱きしめている姿を見かけた。確かちょうどその時期にサトトレの名字が変わっていたから、まあつまりそういうことなんだろう。

 




高評価、感想諸々本当にありがとうございます! 書きながらもチェックはよくしていました


おまけのおまけ
・サトノダイヤモンド
何気なく出したら気づいたら重要ポジに収まった娘。ジンクスは基本破りたい物だけど時と場合によっては全然利用するつよつよウマ娘。
抱きしめていた紙は実は複製。後々、ラミネート加工して家の額縁に飾られることになる。本物は既にどこかに提出済。

・サトトレ
ウマ娘ストーリーのイメージから作者に童顔にされた。
基本隠し事はしないいい人だが第二校舎裏での出来事だけは頑なに話さない。
ちなみに変えられた名字は、当初は具体的な名字を書く予定でしたが実在する人の名字なのでやめました。
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