イナズマイレブン~クロスライジング~   作:shoogel(復活)

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気持ちのぶつけ合い

「円堂、本気で無限の壁を突き崩す気か?」

 

俺が円堂に聞くと、円堂は

 

「ああ!正面からズバーンとな!」

 

と俺に向かい話す。

 

「今の俺たちに出来たらだけどな」

 

と豪炎寺も呟く。

 

「…大丈夫さ、俺たちにはファイアトルネードDDも炎の風見鶏だってある!」

 

「決められればな…」

 

俺はドラゴントルネードやイナズマ2号すら決めれない状態の為、不安な気持ちが隠せなかった。そんな時、木野が土門に向かい話し掛けた。

 

「土門君、トライペガサスだったら?」

 

「おお!トライペガサスか、あれなら!」

 

話についていけない俺たちだったが、円堂が土門に質問する。

 

「なに?それどんな技?」

 

すると土門は口を開く。

 

「一之瀬と俺と、もう一人の奴の技だったんだ」

 

そしてそのトライペガサスという技を木野は俺たちに習得を勧める。だが二回戦までに習得出来るのだろうか…

 

「3人技かぁ…!なあ、その一之瀬ってどんな奴?」

 

円堂は俺たちの知らない一之瀬について木野たちに聞く。

 

「私と土門君がアメリカに留学してた時の友達。サッカーすっごく上手かったんだ」

 

「ああ、俺たちのチームをアメリカ少年リーグ優勝に導いた立役者だったんだ。天才だったよ!フィールドの魔術師って呼ばれてた」

 

土門が天才と言い切るほどの才能か…。俺は土門に聞いてみる。

 

「フィールドの魔術師か…会ってみたいな。なあ、その一之瀬はどこにいるんだ?」

 

俺がそう土門に聞くと、土門は空に指を指した。

 

「あ…」

 

俺は聞いちゃいけないことを聞いたみたいだ。

 

「死んじまった」

 

淡々と答える土門だったが、その表情はどこか寂しげだ。

 

「ねえ土門君、あなたならあの技をみんなに教えること出来るんじゃない?」

 

そして木野がトライペガサスを俺たちに教えることが出来るんじゃないのかと土門に聞くが

 

「かもなぁ…うーん」

 

と曖昧な返事が返ってくる。

 

「……」

 

「う~~ん」

 

「……」

 

「う~~~~ん」

 

「早く教えろよ!?」

 

ついに我慢できなくなった円堂が叫ぶ。

 

「言葉にするのムズいんだよぉ」

 

土門の口から説明するには難しいらしく、土門はうーんと呟くだけだ。これは短期間じゃ無理そうだな…

 

 

────────

「ふむふむ、ふむふむ、ふむふ…ん?あっ!」

 

その時グラウンドを見回しメモを取っていた音無が何かに気がつき、駆け出して校門の外へ出て行く。

 

「お兄ちゃん!何よコソコソして、もうそんなことしなくたっていいじゃない」

 

そこにいたのは鬼道だった。

 

「今の俺には、あいつらが眩しすぎるんだよ」

 

「あ…お兄ちゃん」

 

音無と鬼道はそのまま河川敷に向かった。

 

「聞いたよ、世宇子(ゼウス)中のこと…残念だったね」

 

「残念…?残念なんてものじゃない…!俺の目の前で仲間があんなことに…こんな悔しいことがあるか…!」

 

そんな時2人に向けて凄まじいシュートが飛んできた。

 

グオォォォ!

 

「!?」

 

鬼道は突如として飛んできたボールを反射的に足で止めにいく。

 

「く…っ!!」

 

バゴッ!

 

「こんなボールを蹴ることが出来る奴は…雷藤か!!」

 

そのシュートとは俺のサンダーキャノンだった。俺は密かに2人のあとを付けて来ていたのだ。

 

「雷藤先輩!?お兄ちゃんは別にスパイをしていたわけじゃないんです!本当です!」

 

「…お兄ちゃんか…来い!!」

 

俺は鬼道を誘い、河川敷の中央に立つと鬼道との本気のボールの蹴り合いを始めた。

 

「鬼道ッ!そんなに悔しいか!!」

 

「悔しいさ…!世宇子(ゼウス)中を俺は倒したいッ!!」

 

「だったらやれよ!!」

 

「無理だ!!帝国は…フットボールフロンティアから…敗北したっ…!」

 

夕日の河川敷でボールを蹴り合いお互いの気持ちをぶつける俺たちだった。鬼道は、なんとしても世宇子(ゼウス)と戦って、仲間の仇を取りたいと訴える。

 

「自分から負けを認めるのか!鬼道ォォォーッ!!」

 

俺はボールに凄まじい縦回転を加え蹴る。

 

「ライトニングアロォォー!!」

 

ボールは鬼道の横を通りすぎ、ぶつかった土手にはクレーターを作り上げ、ボールを破裂させる。

 

俺は一呼吸おいた後、鬼道に話し掛けた。

 

「ひとつだけ方法がある…鬼道は円堂を正面からしか見たことがないだろう?あいつに背中を任せる気はないか」

 

「なっ…」

 

俺は世宇子(ゼウス)と戦う方法を鬼道に言い終わった後、その場をあとにした。

 

 

 

─────────

どよどよどよ

 

「そろそろ始めませんか?」

 

審判が響木監督に向かい話す。

 

「いいや、まだだ。もう一人来る」

 

しかし響木監督は試合を始めようとせず、じっと誰かを待っている。

 

「監督、いい加減にしてください!」

 

「もう一人もう一人って、全員揃ってるじゃないですか!」

 

流石の風丸と半田も響木監督に抗議をする。

 

「いいですか?大会規定により、あと3分以内にフィールドに出ないと試合放棄とみなされます」

 

「えええっ!?」

 

審判の言葉に心美が戸惑う。

 

「監督どうしたんです、誰を待ってるっていうんです!」

 

風丸が叫ぶ。

 

「お兄ちゃん副キャプテンみたいなものでしょ、監督に何か言ってよぉ!」

 

「良いから待ってろ…」

 

「もぉっ!試合放棄になっちゃうよ!」

 

そしてあと一分になった。

 

「試合放棄なんて勘弁してください!」

 

「来る来るって誰が来るんですか!?」

 

「もう誰も来ませんよ、全員揃ってるんですよ!?」

 

「なんで試合を始めないんですか監督ぅっ!」

 

チームからいろんな声が響きわたる。

 

そんななか何か音が響いた。

 

スタ…スタ…スタ…スタ…

 

「来たか…」

 

俺はそう呟き、音がする方に振り向く。

 

そこに現れたのは赤いマントから青いマントに変え雷門中のユニフォームを身にまとった鬼道の姿だった…。


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